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囚人のジレンマとはどんな意味?具体例と回避策を解説

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公開日: 2021.03.21
更新日: 2021.03.22

経営戦略を考えるなかで、囚人のジレンマには注意しなければなりません。自分の利益だけを考えて行動すると、不利益な結果を招くという理論です。

本記事では、価格競争などにみられる囚人のジレンマとはどのような意味なのか具体例を交えて解説し、回避策を紹介します。

目次
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囚人のジレンマとは?

囚人のジレンマとは、「各自が自分の利益を考えて行動した場合、協力し合うよりも悪い結果になるのに、そちらを選んでしまう」というジレンマのことです。

ゲーム理論の一つ

囚人のジレンマはゲーム理論の一つで、複数の主体をプレーヤーとして意思決定の在り方をゲームに見立てたものです。相手の意思決定が自分の意志決定にも影響するという状況がチェスや囲碁などのゲームに似ていることから、「ゲーム」と名付けられています。

ゲーム理論は駆け引きがある様々な分野に通じ、経営戦略を考えるうえでも重要です

囚人2人の例え話で説明

囚人のジレンマは囚人2人の例え話で説明されます。犯罪を犯した2人の囚人が別々の部屋で取り調べを受けるという設定です。

2人は自白するか自白しないかの選択肢があり、自白の内容によって科される刑罰が次のように変わります。囚人AとBを例にして見ていきましょう。

  1. AとBのどちらか一方だけが自白した:自白した方は無罪・自白しない方は懲役20年
  2. 2人とも自白しない:どちらも懲役1年
  3. 2人とも自白した:懲役3年

お互いに一番理想的な結果は、2の「2人とも自白しない」です。しかし、自白しない場合、相手が自白したら20年の懲役になるという危険があります。

ここで協力し合うならば、自白をしない選択をするでしょう。その結果、軽い刑罰で済みます。一方、2人とも無罪を得たいがために自白することを選んだ場合、自白しなかった場合よりも重い懲役3年の刑になってしまうのです。

協力せず自分の利益を得るために行動した結果、協力した場合よりも利益が少なくなるというジレンマに陥ってしまいます。

戦略は「協調」と「裏切り」のどちらか

このようなジレンマが示すのは、戦略として協調と裏切りのどちらを選ぶかということです。相手と協調すれば最善の結果が得られる場合でも、相手の裏切りで不利益を被るというリスクをはらんでいます。

それでも相手を信頼して協調を選ぶか、自分の利益のために裏切りを選択するかの意思決定を迫られるのです。政治や軍事、経営などあらゆる分野でこのジレンマが問題になり、解決へ向けた模索が行われています。

囚人のジレンマが問題になる3つの場面

実際に囚人のジレンマが問題になる場面を、具体的に見ていきましょう。

1.価格競争の加速

近年、商品やサービスの価格を競い合う価格競争が頻繁です。他社、他店より少しでも価格を下げて顧客を増やす戦略ですが、囚人のジレンマに陥ると、値下げが1回で済まずに繰り返されてしまいます飲食店Aと飲食店Bの例で見てみましょう。

  1. 一方だけが値下げした場合:値下げした店だけが利益を得る
  2. 両店とも値下げしない場合:どちらも同じ収益を上げる
  3. 両店とも値下げした場合:どちらも収益が下がる

どちらも値下げをしなければ、来客が一方に偏ることはありません。価格を下げないため収益が減るリスクもないでしょう。それぞれ、価格以外の要素で客を呼ぶ努力を行い、収益を上げることができます。

これに対し、A店とB店のどちらか一方が自分の店に集客を増やそうと値下げを行えば、値下げした方に客が増え、価格は下げても集客数で収益を上げることが可能です。しかし、どちらも同じ考えで値下げを行えば客の取り合いになり、さらに値下げを繰り返すという悪循環に陥ります。

2.銀行の金利引き下げ

囚人のジレンマは、金融業界でも問題になります。銀行が顧客を増やすために行う金利の引き下げがその一例です。

  1. 一方だけが金利を下げた場合:金利を下げた銀行に顧客が増える
  2. 両行とも金利を下げない場合:どちらも同じ収益を上げる
  3. 両行とも金利を下げた場合:どちらも収益が減る

金利がどの銀行も同じであれば、各銀行は自社のサービスなど独自の努力でそれぞれ顧客を増やすでしょう。しかし、顧客を増やすために一方の銀行だけが金利を下げれば顧客がそちらに集中します。どちらも自行の顧客を増やそうと金利を下げれば、顧客は分散し低金利によって収益が下がるという事態になるでしょう。

3.サービス残業の増加

囚人のジレンマは会社や店舗だけでなく、サラリーマンが仕事をする場面でも問題になります。残業をする方がより働いていると評価される会社を想定してみましょう。

AとBの2人のサラリーマンが働いていて、定刻でほぼ仕事が片付いたとします。2人とも定刻で帰宅すれば評価はそのままです。しかし、Aは自分の評価をあげようと考えて残業し、Bは帰宅した場合、残業したAの方がBより評価が上がります。

一方、どちらも同じように考えて残業すれば評価は変わらず、サービス残業をしたという結果だけが残りますサービス残業が増えるのも、このような囚人のジレンマが一因といえるでしょう。

囚人のジレンマの状況を回避する方法

価格競争やサービス残業など囚人のジレンマに陥る状況を避けるには、どうしたらよいのでしょうか?回避する方法について紹介します。

罰則付きの規制を設ける

囚人のジレンマを回避するには、お互いに協力し合うことがポイントです。そのためには、相手が裏切る可能性を排除しなければなりません

メーカーや飲食店であれば、業界で価格の下限などの規制を設けるのがひとつの方法です。規制が実効性を持つために、違反した場合の罰則も必要になるでしょう。

協力関係を築く 

囚人のジレンマは、相手を裏切って利益を追求することが結果的に不利益を受けることを示しています。そのようなことにならないよう、日頃から協力関係を築くことが大切です。それにより、相手を裏切れないという信頼関係が生まれます

常に協力し合えるようになり、囚人のジレンマに陥る危険はなくなるでしょう。

最後に

囚人のジレンマは、会社やお店の経営をするうえで陥りやすい問題です。自分の利益だけを考えて行動すると不利益な結果になるということを理解し、回避するための方法を考えながら経営戦略を立てるのがよいでしょう。