コンプライアンスとは何か?簡単にわかりやすく意味と違反対策を紹介

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主に企業が法令を遵守することを「コンプライアンス」といいます。遵守する対象を拡大して、社会的な常識や倫理を守るという意味で使われることも少なくありません。コンプライアンスの本来の意味は何か、また、なぜ守らないケースが生じるのかについて解説します。

目次
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コンプライアンスとは元々どういう意味の言葉か

コンプライアンス(compliance)とは命令に従うことや追従すること、迎合性といった意味を持つ英語です。例えば次のように慣用句的に使用することもあります。

  • in compliance with the law(法に従って)

企業にとってのコンプライアンスとは?

日本語でコンプライアンスというときは、主に企業が命令や法令を遵守することを指すことが一般的です。また、法令だけでなく、社会的な常識や倫理を守ること、あるいは企業としての社会的責任を果たすこともコンプライアンスという言葉に込められることがあります。

ガバナンスとコンプライアンスの違い

ガバナンスとは企業が企業自身で守るべき基準や管理体制を構築すること、また、構築した基準や管理体制を守ることを指す言葉です。コンプライアンスが法令や倫理、社会的責任といった企業外で定められた基準を守るのに対し、ガバナンスは企業内で定めた基準を守るという違いがあります。

また、ガバナンスには元々「支配する」という意味があるため、法令順守を強化するためにガバナンスを実施することも可能です。つまり、この場合には、コンプライアンスを高めるためにガバナンスを実施することになります。

コンプライアンス違反が生じる5つの理由

法令や社会的常識、倫理を守り、企業としての社会的責任を果たすことは、どの企業にとっても重要なことです。しかし、コンプライアンスに違反する企業は後を絶たず、企業が今まで築き上げてきた社会的信頼性を失ってしまうケースも少なくありません。なぜコンプライアンス違反が生じるのか、よくある5つの理由について解説します。

1.経営陣における倫理意識の低さ

倫理は法令とは異なり、文章として明確に記載されているものではありません。そのため、元々持っている倫理意識が低い場合は、「コンプライアンスに違反しよう」という意識がなくても違反してしまうことがあるでしょう。

倫理観は時代によって変化するため、日々新しい倫理観にアップデートする必要があります。特に年齢が高い経営陣や管理職の方は、一昔前の倫理観で行動してしまうことが少なくありません。容姿や嗜好をからかったり、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントなどのハラスメント行為を行ったりすることも往々にして見られることがあります。

必要に応じて経営陣や管理職に新しい倫理観についてのセミナーを実施するなどして、コンプライアンス違反が起こらないようにしていく必要があるでしょう。また、若手であっても一般的に受け入れがたい倫理観を持っている社員はいます。

定期的にセミナーを実施し、コンプライアンス違反を起こさず、すべての社員が気持ちよく過ごせる社内環境を構築していくことができるでしょう。

2.社員における法令・行動規範への知識不足

法令や行動規範における知識が不足しているために、コンプライアンス違反を起こしてしまうこともあります。例えば会社の資金を勝手に自分のものにするのは横領です。販売店のレジからお金を抜くことは、絶対にしてはいけないということは誰でも知っているでしょう。

では、会社で発行している金券や、ハンガーやペン類などの備品については持って帰ってもよいのでしょうか。本当はこれらも横領の一種ですが、法令を正しく理解していないならば持って帰ってしまうことがあるかもしれません。

業務を遂行するうえで関連する法令や行動規範についての教育を実施することで、コンプライアンス違反を回避できることがあります。新人教育の一環として、また、中途採用者に対しても法令・行動規範に対する正しい知識を教育するようにしましょう。

3.内部監査システムが構築されていない

一人ひとりが高い倫理観を持ち、なおかつ法令・行動規範についての知識を有していても、内部監査システムが構築されていないと不正が起こる可能性があります。なお、内部監査システムとは、社内でありながらも、どの部署や個人とも関係を持たずに独立して機能するシステムです。社員が不正をしていないか、不正が起こりやすい環境になっていないか、常に目を光らせてコンプライアンス違反を未然に防ぎます。

4.内部監査システムが機能していない

内部監査システムが構築されていても、機能していないのならコンプライアンス違反を未然に防ぐことはできません。例えば内部監査のメンバーが常に同じであれば、年月が経つうちに特定の部署や個人と癒着し、不正を故意に見過ごすかもしれません。

また、内部監査システムが社内で軽視されているときも同様です。内部監査のメンバーが経理上の問題点を指摘したとしても、担当部の部長が威圧的な態度に出て、問題をもみ消してしまうならば、せっかくのシステムが機能できなくなります。内部監査システムは独立性を保ち、かつ、監査メンバーとしての役目を終えた後に、社内で適正に評価されることが必要といえるでしょう。

5.不正しやすい企業体質

企業体質そのものが不正しやすくなっている場合は、コンプライアンス違反が容易に起こり得ます。例えばレジに入っている現金が、売上よりも1万円少なかったとしましょう。本来ならば計算ミスがなかったのか、また、どこかに1万円札が紛れ込んでいないか従業員総出で探さなくてはいけません。

しかし、店長が「正しく処理しよう」という気持ちよりも「面倒なことはできるだけ回避したい」という気持ちが強いならばどうでしょうか。自分のポケットマネーから1万円を出して売上に加え、トラブルはなかったこととして処理してしまうかもしれません。

このようなことが何度も続くと、従業員も売上金の管理が雑になります。また、「どうせ店長が適当に処理してくれるから」と、故意に売上金を抜くようになる可能性もあるでしょう。一人ひとりが正しい倫理観を持つことも大切ですが、特に上の立場の人が正しい倫理観を持ち、不正は絶対に許さないという強い信念を持って業務に当たることも大切です。

コンプライアンス違反を防ぐ3つの方法

コンプライアンス違反が起こると、企業が長年にわたって築き上げてきた社会的信頼性が落ちる可能性があります。コンプライアンス違反が起こらないためにできることについて見ていきましょう。

1.社員・経営陣へのコンプライアンス教育

社員や経営陣が定期的にコンプライアンス教育を受けることで、法令や行動規範を理解し、時代に即した倫理観を習得することができるでしょう。特に倫理観については常にアップデートする必要があるため、定期的に教育を受ける必要があります。

もちろん、教育を受けたら、実践することが必要です。コンプライアンスに違反することが職場で起こったとき、誰もが「それは間違っている」と声に出せるような環境をつくることも大切といえます。

例えばハラスメントに対するコンプライアンス教育を受けたにもかかわらず、以前として容姿や体型をからかうような発言をしている管理職がいたとしましょう。自分よりも役職が上だからと見て見ぬふりをするのではなく、立場に関わらず「それは貶める発言です。撤回して謝ってください」と社員皆で声を上げることができます。

2.内部監査システムの構築

内部監査システムがない職場であれば、特定の部署や個人と関係なく独立して内部の不正を調査できる体制をすぐにでも構築することができるでしょう。どんなに一人ひとりが注意をしたとしても、第三者的な視点がない状態で業務を行うと、不正が起こりやすくなってしまいます。

例えば何十年にもわたって同じ人が経理を担当しているならば、罪の意識なくいくらか着服したり、特定の社員に資金を横流ししたりするかもしれません。内部監査システムを構築し、社内での監査が正しく行われる環境をつくっておきましょう。

3.コンプライアンスマニュアルの構築

コンプライアンスについて定期的に教育を実施することも大切ですが、マニュアルとして文字化しておくことも大切です。社員や経営陣皆が何度も熟読し、コンプライアンスを常に守ることができるようにしておきます。

なお、マニュアルは定期的に見直し、時代に即した倫理観や新しい法令に基づいて訂正していく必要があるでしょう。

最後に

企業の社会的信頼性を維持するためにも、コンプライアンスは必要不可欠な要素です。社員や経営陣の一人ひとりが企業の顔であることを意識し、法令や倫理、社会的常識を守っていくようにしましょう。また、常に新しい倫理観や法基準に沿ってアップデートすることも大切です。

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