ペルソナとは、マーケティング戦略を練る上でよく登場する概念です。マスターすることで、マーケティングを行う上でユーザーの視点でものごとを考えやすくなるメリットがあります。
今回は、ペルソナの意味から設定方法、注意点まで詳しく解説していきましょう。
ペルソナとは架空のユーザー像のこと
ペルソナとは、商品やサービスを展開する上で決める架空のユーザー像のことです。ペルソナを設定することで、ユーザーがどういった要素を求めているのか、ユーザーの立ち位置から見てその商品やサービスはどう見えているのかが想像しやすくなるでしょう。
ペルソナは、マーケティングで使われるターゲットとは意味が異なります。ターゲットの場合は「30~40代の主婦層」のように、広く設定を行うもの。対してペルソナは、「33歳、週3でパートをしている主婦。東京都在住。趣味は〇〇~」といったように細部まで具体的に設定するのが特徴です。
具体的に設定をすることでユーザーの思考を深掘りしやすいだけでなく、マーケティングチーム内でのユーザー像のイメージがブレずに共有できるメリットもあります。
空想の人物を作りだし、空想の人物から見た目線で物事を考えやすくするのが、ペルソナを設定する目的です。
ペルソナ設定の方法
ペルソナ設定の方法を、4つのポイントに分けて解説していきます。ペルソナ設定は次の手順で行いましょう。
- ペルソナの項目を決める
- ユーザーとなる層の情報収集
- 情報の分類と整理
- 細かい設定についても埋めていく
1.ペルソナの項目を決める
ペルソナの設定をするために、まずは設定する項目を決めましょう。最低限決めておきたい項目を以下にまとめました。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 収入
- 休日
- 悩み
- 家族構成
- 趣味
- インターネットの利用状況
- 普段よく使うSNS
ペルソナの項目を具体的に設定することで、よりリアルなマーケティング戦略が立てられます。
2.ユーザーとなる層の情報収集
ペルソナの項目を決めたら、そのユーザーとなる層の情報収集を行いましょう。普段接することのない層をペルソナにする場合、情報がなければペルソナの目線でものごとを見られないためです。
特に自分とは離れた年代や違う性別をペルソナに設定する場合は、その年代や性別の人がどういった悩みを持ち、どういったライフスタイルで過ごしているかを知ることが重要です。
情報収集は、政府が公開している調査結果からSNSの動向まで幅広い手段を活用しましょう。
3.情報の分類と整理
情報を集めたら種類ごとに分類して整理しておきましょう。整理をする中で、一般的にそのユーザー層にはどういった悩みが多いのか、どういったサービスを求めているのかを明確にすることが重要です。
4.細かい設定についても埋めていく
情報の収集と整理が終わり、項目が埋まってきたら改めて細かい設定に関しても埋めていきましょう。不要と思われがちですが、細かい部分の興味関心等を設定しておくことで後に役立つことがあります。
ペルソナを設定することで得られる3つのメリット
ペルソナを設定することで得られるメリットは3つあります。
- ターゲット視点でものごとを考えやすくなる
- 連鎖的に製品の改良点や需要が分かる
- 求められているサービスや商品を的確に作成しやすくなる
以下でそれぞれ詳しく解説します。
1.ターゲット視点でものごとを考えやすくなる
ペルソナを設定することで、ターゲットの視点でものごとを考えやすくなります。例えば、20代の男女複数人のチームで50代の男性向けに新しいサービスを展開する場合、チーム内ではどうしてもターゲットの視点とはズレが生じやすくなるでしょう。これは、「50代の男性」という枠組みが広すぎてしまうことが要因です。
そういったズレをなくし、よりユーザーに近い目線でサービスを考えやすくなるのがペルソナを設定するメリットの1つでしょう。
2.連鎖的に製品の改良点や需要が分かる
ペルソナを設定しているとマーケティング戦略を立てる上で、思わぬ改良点や需要が見つかる場合があります。例えば、客層を広く設定して分析を行うターゲットマーケティングでは、需要を大まかに捉えやすいことがメリットです。
対してペルソナを活用したマーケティングでは深く分析が進み、ピンポイントでユーザーのニーズにマッチした製品の改良点や需要が見つかりやすくなります。そのため、より深くユーザーニーズを理解できるのがペルソナを設定するメリットです。
3.求められているサービスや商品を的確に作成しやすくなる
ペルソナを設定することで、ターゲット層となるユーザーから求められているサービスや商品を的確に作成しやすくなります。これはペルソナを細かく設定してユーザーとなる層を深掘りすることで、見えてくる需要を捉えやすいからです。
狙うユーザー層が狭くなるデメリットがあるものの、成功すれば一定のユーザーからの高い需要が見込めます。
ペルソナを設定する上での4つの注意点
ペルソナを設定してマーケティングを行う場合、いくつか注意しておかなければいけないポイントが4つあります。
- 具体的に設定する
- 理想や想像を詰め込まない
- ユーザーの層が狭くなるリスクもある
- 定期的に見直す
以下で詳しく解説していきます。
1.具体的に設定する
ペルソナ設定は、必ず具体的に行わなければいけません。そうでなければ、ペルソナマーケティングを行う恩恵を得られなくなってしまうためです。
例えば年齢設定が30~35歳では、ターゲットとなるユーザー層の悩みや需要を深掘りしにくくなってしまうでしょう。これでは情報収集もしにくく、実際のユーザーの需要とのズレが生じやすくなります。
曖昧な数字や項目設定をせずに、具体的に作り上げることでペルソナマーケティングのメリットが活きやすくなるでしょう。
2.理想や想像を詰め込まない
ペルソナ設定をする際に、理想や想像を反映してはいけません。理想や想像をペルソナ項目に当てはめてしまっては、リアルなユーザー像が出来上がらないためです。これではユーザーの需要を的確に深掘りできず、マーケティングが失敗してしまいます。
ペルソナの項目設定は、情報やデータを機械的に分類してそのまま活用することが重要です。そのため、ユーザー層の情報収集が、ペルソナマーケティング成功のポイントと言えるでしょう。
3.ユーザーの層が狭くなるリスクもある
ペルソナを設定して行うマーケティングは、ユーザーの層が狭くなるデメリットがあります。これは、ユーザー層を狭く設定することで深掘りを行うからこそ起こるリスクです。
例えば25歳、収入600万円でやや金銭的に余裕があるペルソナ設定をしたとしましょう。ここからさらに、首都圏在住や独身など条件を追加していくと、自然に対象となるユーザーは少なくなります。
ペルソナ設定はユーザーの需要や目線をよりリアルに汲み取れるメリットがある半面、突き詰めていくと対象となるユーザー自体が少なくなってしまう点には注意が必要です。
4.定期的に見直す
ペルソナ設定は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直す必要があります。ペルソナを見直すことでさらなる利用者の増加が見込めるためです。
商品やサービスを展開していくと、実際にはどういった層が利用しているのかなど新しい情報が入ってくるでしょう。これらの情報を元に新たにペルソナを設定し直せば、より新鮮な情報を活かしたマーケティングが可能になります。
結果的に改良や欠点の解消に繋がりやすくなるため、ペルソナ設定は定期的に見直しましょう。
最後に
今回は、ペルソナの意味から設定方法まで解説し、得られるメリットや注意点まで詳しく紹介しました。
ペルソナ設定を具体的かつ的確にできれば、ユーザーに深く刺さる商品やサービスを展開しやすくなります。ペルソナをうまく活用して、マーケティング戦略に役立ててください。