トライアル雇用とは就職困難者雇用に利用できる制度!受給額や条件を紹介

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トライアル雇用とは、最大3か月間にわたって試験的に従業員候補者を雇用する際に国からの助成金を受けられる制度です。具体的にはどの程度の助成金を受けられるのか、また、制度が適用される条件について見ていきましょう。

目次
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トライアル雇用とは?わかりやすく解説

「トライアル雇用」とは、就業経験が少ない、あるいは転職を繰り返している、離職期間が長いなどの理由により、就職が困難であろうと考えられる求職者をハローワークや職業紹介所などを通して試験的に雇用した場合に利用できる制度です。条件を満たして雇用を実施すると、企業は最大3か月の間、トライアル雇用者の人数や状況に応じて国から助成金を受けられます。

トライアル雇用ができた背景

トライアル雇用は、就職に困難を覚える求職者と企業側が抱える問題を解決するために設けられた制度です。働いた経験があまりない人や転職回数が多い人、また、出産や育児などの理由により離職していた期間が長い人、シングルマザーなどは経験不足などの理由により、就職が困難なケースが少なくありません。

また、労働者を雇用する企業側も、面接だけでは求職者の適性・スキルを見極めることができず、適切な人材を選びにくいという問題を抱えています。雇用をしたのに生産量が増えなかったり、短期間で離職したりといった結果に終わってしまうこともあるでしょう。

トライアル雇用では最大3か月のトライアル期間があるため、人材の適性や能力をしっかりと見極めてから雇用することが可能です。また、対象者一人につき定額の国からの助成金を受け取れるため、万が一、労働者が仕事に合わずに成果を得られない場合でも企業側の損失を抑えられます。

条件によって4つのコースを選択できる

企業と求職者の雇用の悩み解消に向けたトライアル雇用制度は、求職者の属性によって以下の4つのコースがあります。

  • 一般コース
  • 障害者コース
  • コロナ対応コース
  • 若年・女性建築コース

なお、一般コースは、転職を繰り返すあるいは離職期間が長いなどの理由により就職が難しい方を対象としたコースです。また、コロナ対応コースは新型コロナの影響により離職を余儀なくされた方、若年・女性建築コースは建設関係の企業が若年者や女性を雇い入れる際に利用できます。

トライアル雇用制度のメリットとデメリット

トライアル雇用制度を利用することで、主に次の2つのメリットを得られます。

  1. 能力を見極めてから雇用できる
  2. 補助金を受給できる

しかし、トライアル雇用を利用すれば雇用者側も求職者側もともにメリットを得られるというわけではありません。とりわけ次の2つのポイントについては注意が必要となるでしょう。

  1. 手続きに手間がかかる
  2. 育成に手間がかかることもある

メリット1.能力を見極めてから雇用できる

トライアル期間は最大3か月であるため、時間をかけて労働者の能力を見極めることができます。また、トライアル雇用は本採用の義務を伴わないため、万が一労働者の適性が低いと考えられるときには採用しないという選択も可能です。

トライアル期間なしに本採用した場合、労働者を解雇するまでに時間や労力がかかることになりますが、トライアル雇用の場合はスムーズに解雇できる点もメリットといえるでしょう。

メリット2.補助金を受給できる

トライアル雇用を利用して雇用した場合には、労働者一人につき一定額の補助金を受給することが可能です。例えば一般コースであれば、労働者一人あたり最大5万円受け取れるため、雇用者が多いほど多額の補助金を受け取れます。

雇用したばかりのときは研修などが必要なこともあり、労働者の賃金に見合う利益増は期待しにくいものです。しかし、最大3か月間の補助金を受けられるため、企業側は少ない負担で初期研修を行うことができるでしょう。

デメリット1.手続きに手間がかかる

補助金を受けるためには、当然のことですが手続きが必要です。まずトライアル雇用求人をハローワークなどの職業紹介所に提出し、実際にトライアル雇用が始まったら2週間以内に実施計画書を再度ハローワークに提出しなくてはなりません。さらにトライアル雇用後には補助金受給のための手続きが必要なため、すべての書類に不足がなかったとしても最低3回は手続きをしなくてはならないのです。

デメリット2.育成に手間がかかることもある

トライアル雇用した人材の育成に手間がかかり、補助金よりも研修などによる支出のほうが多いという可能性も考えられます。育成後も思うような働きをしてくれず、雇用する前よりも収益が低下するという可能性もあるでしょう。

トライアル雇用で雇用したものの適性が低いと判断したときには、本採用しなくても問題はありませんが、その場合は再度別の人材を探し、雇用、育成の手順が必要になります。育成期間中は担当者の業務が通常通りに行えないため、会社全体の成果が落ちる可能性もあるでしょう。

【トライアル雇用制度】一般コース

一般コースとは、就職困難であると考えられる求職者を対象とした補助金受給コースです。例えば、次のいずれかに該当している求職者を雇用した場合は、一般コースの補助金を受給できることがあります。

  • 過去2年以内に2回以上離職・転職をしている
  • 離職期間が1年を超えている
  • 55歳未満でハローワークなどで就職に向けた個別支援を受けている
  • 母子家庭や父子家庭における親 など

助成金額と受給期間

労働者が母子家庭の母もしくは父子家庭の父の場合は、1か月当たり最大5万円の助成金が最大3か月にわたって支給されます。ただし、常に5万円を受給できるわけではありません。助成金額は就労を予定していた日数のうち実際に就労した日数の割合が75%以上のときは満額を受け取れますが、75%に満たないときは減額されることがあります。

また、労働者が母子家庭の母あるいは父子家庭の父でない場合には助成金額が変わるため注意が必要です。この場合は、1か月あたり最大4万円の助成金が最大3か月にわたって支給され、就労を予定していた日数のうち実際に就労した日数の割合が75%に満たないときは減額されることがあります。

申請条件

トライアル雇用期間が終わった後2か月以内に助成金受給の申請を行いますが、以下のすべてを満たしている必要があります。

  • トライアル雇用求人を通した雇用であること
  • 雇用を約束している人をトライアル雇用として雇用していないこと
  • トライアル雇用を開始する前日から遡って3年以内に雇用した人をトライアル雇用として雇用していないこと

申請方法

トライアル雇用制度を利用するためには、次の手順で制度利用の手続きが必要です。

  1. ハローワーク等にトライアル雇用求人を申請する
  2. トライアル雇用開始から2週間以内にトライアル雇用実施計画書をハローワークに申請する
  3. トライアル雇用期間終了後から2か月以内にハローワークで受給手続きをする

いずれの手続きもハローワークで実施します。期間を過ぎると助成金を受給できないため、早めに準備するようにしましょう。

【トライアル雇用制度】障害者コース

障害者コースとは、障害者の継続雇用を希望している事業所が利用できる助成金制度です。次のいずれかに該当する障害者を雇用する場合は、制度が適用されて助成金を受給できることがあります。

  • 就労経験がない
  • 過去2年以内に2回以上離職・転職している
  • 離職期間が6か月を超えている
  • 重度の身体障害者か知的障害者、もしくは精神障害者

助成金額と受給期間

労働者が精神障害者である場合には、1か月当たり最大8万円の助成金を最大3か月、最大4万円を続く最大3か月の期間にわたって支給されます。精神障害者以外の場合は、支給条件が変わるため注意が必要です。その場合は1か月あたり最大4万円の助成金が最大3か月にわたって支給されますが、テレワークによる勤務を実施する場合に限り、受給期間は最大6か月に延長されます。

週に20時間の勤務が難しい障害者を雇用する場合もあるでしょう。週10時間以上の条件で雇用し、トライアル雇用期間中に週20時間就労を目指す場合には、1か月あたり最大4万円の助成金を最大12か月受給することが可能です。

申請条件

障害者コースのトライアル期間が終わった後、2か月以内に助成金受給の申請を行わなくてはいけません。以下のすべてを満たしているか確認してから申請しましょう。

  • トライアル雇用による求人を通した雇用であること
  • トライアル雇用を開始する前日から遡って6か月前からトライアル雇用が終了するまでの間に、事業主による都合で労働者を離職させていないこと

申請方法

障害者コースを利用するためには、次の手順で手続きします。

  1. ハローワーク等に障害者トライアル雇用求人を申請する
  2. 雇用開始から2週間の内にハローワークに実施計画書を申請する
  3. トライアル雇用期間終了後から2か月以内にハローワークで受給手続きをする

期間を過ぎると助成金を受給できないため、計画書などの必要書類を早めに準備するようにしましょう。

【トライアル雇用制度】コロナ対応コース

コロナ対応コースとは、新型コロナ感染症の影響を受けて離職した方をトライアル雇用する場合に利用できる助成金制度です。ただし、雇用対象者は次のすべての条件を満たしていることが条件となります。

  • 離職後3か月を超えている
  • 今までに就労した経験のない業種を希望している

事業所は条件に合う求職者を週あたり30時間以上の労働時間で雇用し、なおかつトライアル期間終了後は無期雇用契約に移行することを前提としなくてはいけません。

助成金額と受給期間

対象となる労働者1人につき1か月当たり最大4万円の助成金が最大3か月にわたって支給されます。ただし、就労を予定していた日数のうち実際に就労した日数の割合が75%以上のときは満額を受け取れますが、75%に満たないときは減額されることがあるため注意が必要です。

また、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者として雇用する場合は、1か月あたり最大2.5万円の助成金が最大3か月にわたって支給されます。ただしこの場合も、実際に就労した日数の割合が75%に満たないときは減額されるため注意しましょう。

申請条件

トライアル雇用期間修了後は、2か月以内に助成金受給の申請を行います。次の条件をすべて満たしているか確認してください。

  • トライアル雇用求人を申請し、トライアル雇用をしていること
  • 雇用の約束がある人をトライアル雇用として雇用していないこと
  • トライアル雇用を開始する前日から遡って3年以内に雇用した人を、トライアル雇用として再雇用していないこと

申請方法

トライアル雇用のコロナ対応コースを利用するには、次の手順で手続きしましょう。

  1. ハローワーク等にトライアル雇用求人を申請する
  2. トライアル開始から2週間以内に実施計画書をハローワークに提出する
  3. トライアル期間終了後から2か月以内にハローワークで受給申請をする

手続きの期間を過ぎると、助成金を受給できません。早めに準備を始めましょう。

【トライアル雇用制度】若年・女性建設コース

若年・女性建設コースとは、若年者や女性の建設労働者を雇用するためのコースです。以下のいずれかに該当する求職者を建設業で雇用する際には、補助金を受給できることがあります。

  • 35歳未満である
  • 女性である
  • 左官や大工などの建設工事現場の作業もしくは施工管理に従事する

建設業であっても、設計や測量、経理、営業に従事する労働者を雇用する場合は、若年・女性建設コースの受給対象とはなりません。

助成金額と受給期間

労働者1人につき、1か月あたり最大4万円の助成金が最大3か月にわたって支給されます。ただし、常に満額を受給できるわけではありません。トライアル期間中の雇用において(1か月単位で計算)、就労を予定していた日数のうち実際に就労した日数の割合が75%に満たないときは減額されることがあるため注意が必要です。

申請条件

トライアル雇用期間が終了した後、2か月以内に助成金受給の手続きを行いましょう。以下のすべての条件を満たしているか確認してください。

  • トライアル雇用求人を申請し、トライアル雇用をしていること
  • 中小の建設業者であること
  • 建設事業を行っていることが登記事項証明書などにより確認できること
  • 雇用管理責任者を選任していること

申請方法

若年・女性建設コースを利用する手順も、他のコースと同様です。

  1. ハローワーク等にトライアル雇用求人の若年・女性建築コースを申請する
  2. トライアル雇用開始から2週間以内に実施計画書をハローワークに提出する
  3. トライアル終了後から2か月以内にハローワークで受給手続きを実施する

申請期間を過ぎると助成金は受給できません。早めに書類などを集めておきましょう。

最後に

トライアル雇用制度を利用すると、事業者側は助成金を受けつつ労働者の適性を見極めることができ、早期離職などのリスク回避につながることもあります。申請書類が多く、なおかつ手続きは合計3回行う必要がありますが、適切な人材を確保する大きなチャンスともいえるでしょう。ぜひ手続きを行い、人材確保に役立ててください。

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