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テレワークでの課題と対策とは?インフラ・マネジメントの観点から解説

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公開日: 2020.12.17
更新日: 2021.03.23

働き方改革やコロナ禍の影響でテレワークへの移行が進む一方で、テレワークの課題も徐々に見え始めています。社員を監視する管理職の視点から眺めたときに、テレワークの課題はどのように映り、課題を解決するための対策はどう行われるのでしょうか。

今回はテレワークの課題をさまざまな角度から挙げ、その対策法とともに解説していきます。

目次
目次

コロナが生んだテレワーク需要と現場の声

情報通信技術(ICT)を使って、時間や場所を有効に活用する新しい働き方のスタイルが「テレワーク」です。生産性の向上を目指す働き方改革に必要な切り札として、テレワークが国によって推進されています。

そんなテレワークへの移行を後押ししたのが、意外な出来事でした。新型コロナウイルス感染症の大流行です。

コロナ禍と相性のよいテレワーク

新型コロナウイルスはくしゃみや咳などの飛沫(ひまつ)によって主に感染すると考えられています。そのため、密閉された空間、多くの人が密集した場所、近い距離で会話する場面といういわゆる「3密」状態を避けるよう、国がテレワークを推奨しました。

それに伴い、通勤や会社での勤務など3密状態は敬遠され、結果としてコワーキングスペースやサテライトオフィスでの「社外勤務」や自宅での「在宅勤務」に変えることが余儀なくされています。

先にも述べましたように、テレワークの目的は生産性の向上やワークインバランス、作業する場所や時間を有効活用することです。そのため自由な移動が制限されるコロナ禍におけるテレワークは、本来の意味で作業する場所を有効活用する働き方とは異なります。

社内勤務や在宅勤務を行うためには、同僚とリモートでコミュニケーションをとりつつチームで作業しなければなりません。このため、情報通信技術を十二分に活用したテレワークが必要です。つまり、コロナ禍とテレワークは非常に相性がいいといえます。

テレワークに関する経営者のアンケート調査結果

では、コロナ禍によりテレワークの普及はどの程度進んだのでしょうか。東京商工会議所が実施した5月29日から6月5日にかけてのアンケートによると、緊急事態宣言が4月初頭に発令されて以降にテレワークを実施した企業の割合は67.3%と高い水準でした。

緊急事態宣言が解除されたのが5月末で、新型コロナウイルスの感染者は以降も現れています。東京商工会議所が再び9月28日から10月12日にかけてアンケートを実施した結果、テレワークを実施した企業の割合は53.1%とやや減ったものの、依然としてテレワークを続けている企業が多いようです。

その一方でテレワークの課題もアンケートで明らかになりました。東京商工会議所のアンケートによるとテレワークの課題として、

  • 1位 社内のコミュニケーション 57.9%
  • 2位 書類への押印対応 56.7%
  • 3位 労務管理・マネジメント 51.6%
  • 4位 ペーパレス化 45.0%
  • 5位 PC等の機器やネットワークの整備 43.3%

が挙げられています。こうしたテレワークの課題を克服することで、真の働き方改革が可能になるでしょう。

テレワークのインフラ環境の課題と対策

テレワークの課題としてはじめに挙げられるのは、先に述べたアンケートのように、パソコン機器やネットワーク環境、はんこにどう対応するかなどインフラ環境の問題です。順番にみていきましょう。

アクセス環境導入面

テレワークは情報通信技術を活用した働き方のスタイルなので、パソコンからインターネットを通じて作業を進めなければなりません。しかし会社外で社内と同様の業務を行うためには作業場も必要だったり社内同様の成果が出せるような環境を作ったりするなど、アクセス環境の導入での課題が考えられます。

サテライトオフィスやコワーキングスペースで作業環境をレンタルするか、自宅でのテレワーク環境を準備するために、高速インターネットの開設や作業の効率化を実現するソフトウェアやツールの活用が対策になるでしょう。

セキュリティ面

テレワークを行う環境を整えることに加えて重要な課題が、セキュリティをどう確保するかという点です。パソコンやWi-Fiの利用で必要なルータにセキュリティの不備があると、「マルウェア」と呼ばれるパソコン内に侵入し不正な動作をしたり外部に情報を漏らしたりするソフトウェアの感染が起こります。

またセキュリティに不備のあるパソコン環境からインターネットを通じて社内のネットワークに侵入し、最悪の場合社内情報が外部に流出する可能性も考えられるでしょう。セキュリティの問題は、パソコンへのアクセスの問題だけでなく、社外で業務を行うために必要な情報をもち出すことに伴う管理上の問題もあります。

社外や自宅で勤務するために、会社の重要な情報をUSBを介してファイルを保存する記憶媒体やクラウドを通じてパソコンでアクセスします。このため、記憶媒体が紛失することによる情報漏えいや機密情報のもち出しにどう対応するかが課題です。

こうしたセキュリティ面での課題を解決する対策として、VPN回線の活用が挙げられます。VPN回線とはインターネットなど公衆回線を専用回線のように利用することです。通信を暗号化できるためセキュリティリスクを回避できるメリットがあります。

また「クラウドネイティブ」と呼ばれる自社のサーバーではなくクラウドサービス上の運用を前提しクラウドで構築されたシステムやサービスを利用することで、アクセス情報を可視化し不正がないかをチェックすることも有効な対策です。

コスト面

テレワークに完全移行すればオフィスの移転によりオフィススペースのコストが不要になる一方で、テレワークの環境を整えるためのコストがかかります。作業の効率化を図るソフトウェアやツールを導入すれば、さらにコストがかさむでしょう。

テレワークの環境を整備するのに必要なコストを捻出するためには、本社機能を移転したりオフィスの機能を縮小したりすることで不要なコストを減らす方法が挙げられます。また、地方へオフィスを移転することも一つの方法です。他にも、あとで述べるようなテレワーク助成金を積極的に活用するのもいいでしょう。

テレワークにおけるマネジメント課題と対策

テレワークへ移行することでコミュニケーションがリモートになるため、コミュニケーションが不可欠なマネジメントの面でも課題が生じます。ここでは対策と合わせて確認しましょう。

新入社員など人材育成について

新入社員の人材育成は、グループワークなど集まって行われることが一般的です。テレワークの場合、インターネット環境を介して人材育成の必要がありますが、コミュニケーションが困難なため、人材育成の効果が十分に発揮されにくいという課題があります。

しかしオンラインでの人材育成も可能です。ビデオチャットやウェブ会議ツールを活用し、インプットからアウトプット、フィードバックという一連のサイクルを繰り返すことで高い学習効果が得られます。

また新入社員とのコミュニケーション不足についても、ビジネスチャットツールが解決するでしょう。ツール上で気軽な会話を継続することで、慣れない新入社員の戸惑いに気づくことも可能です。必要があれば、新入社員に出勤してもらい、現状の確認と状況の改善を進めましょう。

生産性について

テレワークを導入する会社の方が導入しない会社よりも労働生産性が高いというデータがある一方で、テレワークへの移行で労働生産性が低下したと感じる会社も多いようです。作業環境が万全でなかったり、コミュニケーション不足でチームの士気が高まらなかったり、テレワーク下での管理がうまくいかなかったりすることなどが、テレワークに移行しても労働生産性が低下した理由として挙げられるでしょう。

対策として、テレワークの環境を十全に整えることが考えられます。あとで述べるように勤怠管理や業務管理のソフトウェアを導入することで社員の管理が円滑化されますし、ウェブ会議ツールを常時接続状態にすることで、ちょっとしたコミュニケーションも可能になり、結果としてチームの士気を高められるでしょう。

こうした対策を採ることで、労働生産性を向上させられます。

勤怠管理について

テレワークで管理が難しいものに勤怠管理があります。社内での勤怠管理と異なり、社外や自宅で社員がどの時間にどんな作業しているのかを逐一チェックするのは難しいでしょう。勤怠管理に失敗すると、労働生産性の低下を導きます。

以下では、勤怠管理の課題や対策をコミュニケーションと業務管理の側面から詳しくみていきましょう。

コミュニケーション

テレワークではサテライトオフィスや自宅など遠隔地で各自が作業を行うため、コミュニケーション不足に陥りがちです。

Zoomなどのウェブ会議ツールを導入し接続状態を継続することで、社員の様子を伺いながら作業を進めるのもいいかもしれません。気軽な声掛けをすることで、社員の健康状態のチェックや士気の低下を高められます。社員の作業状況を見える化し、コミュニケーションに活用するのもいいでしょう。

業務管理

顧客と直接接触する営業やマーケティングなどの業務を後方から支援するバックオフィスなど目に見えにくい業務の管理をテレワークで行うのは困難です。またタイムカードによる勤怠の記録も残りません。

業務管理ツールを導入することで、パソコン操作のログを自動で取得できます。これにより手動で随時チェックしたり記録したりするような作業は不要になるなど労力が抑えられ、その分の時間をほかの業務に回せるため、労働生産性を挙げることが可能です。ただしタスク内容まで確認できない点については注意が必要でしょう。

人事評価について

人事評価もまたリモートで行うのは困難でしょう。なぜなら勤務態度や成果、勤務時間を把握することが難しいためです。そこでテレワークに合わせた人事評価の項目を作り直し、明確にするのが重要です。

例えば業務スピードや社員のレスポンスを計測し、評価の材料することは可能でしょう。また、どの時期までにどの程度売上を出すといった具体的な目標をチームや社員が設定し達成までの過程の管理を社員らの自主性に任せる目標管理制度(MBO)の導入も考えられます。

いずれにせよ、人事評価が行える評価対象の見える化が不可欠です。

中小企業はテレワークにどう対応する?

テレワークの環境を整えるにはコストがかかるため、資金力のある大企業は対策を立てやすいでしょう。では資金力のない中小企業はテレワークにどう対応すればいいのでしょうか。

中小企業特有のテレワークの課題とは

中小企業のテレワークへの移行は、大企業に比べて進んでいません。会社の規模が大きくないために、コストをテレワークの準備に割り当てることができないためです。

またテレワークの環境を準備するために必要なシステムやITの専門家がいない、あるいは自前で揃えられないことも、中小企業がテレワークへ移行するのを遅らせています。工場勤務や医療、福祉への従事などテレワークに不向きな業務の中小企業も簡単には移行できないでしょう。

テレワーク助成金が中小企業の味方に

中小企業がテレワークに移行するのを助けるのがテレワーク助成金です。申請が通ればテレワークに必要なソフトウェアや必要最低限のクライアント端末の購入費やリース費、機器に不備がないかをチェックする人員を外部に依頼するのにかかる費用や「クラウド」と呼ばれるインターネット経由でアクセスできるシステムやサービスの利用にかかる費用などを助成してもらえます。

国の助成金以外にも、地方自治体が独自でテレワークを推進するための助成金を出す場合もありますので、ぜひ確認しましょう。

最後に

コロナ禍への対応などテレワークを急に迫られた企業にとって、その準備を行うのは容易ではありません。本来ならば労働生産性の向上につながるものの、社員同士のコミュニケーション不足や社員の管理がうまくいかないなど多くの課題がテレワークで明らかになっています。また中小企業がテレワークを導入するのはコストの面でも容易ではないでしょう。

しかし労働生産性の向上が迫られている日本にとって、コロナ禍の状況はテレワークへの移行を決断する大きなチャンスです。テレワークへの移行は簡単ではないものの、長い目で見ると労働生産性を向上させるのに大きく役立つでしょう。