リアリティショックとは、理想とするイメージと実際とのギャップでショックを受けること。特に入社したばかりの社員が陥りやすく、短期間で離職する原因にもなると言われます。
今回は、リアリティショックとは何か、問題点、その要因、対策方法を確認しましょう。
リアリティショックとは
まずは、リアリティショックとはどういうものかを確認しましょう。新入社員に対して行われたアンケートの結果もあわせて紹介します。
現実と理想のミスマッチに衝撃を受けること
リアリティショックとは、思い描いていたイメージと現実との違いによって衝撃を受けてしまうことです。そのギャップによって、不安な気持ちになったり絶望を感じたりしてしまいます。
新入社員が入社前のイメージとの乖離によってリアリティショックに陥ることが多いですが、入社以外のタイミングでも起こり得ます。産休からの復帰や昇進のタイミング、異なる課に異動となった時など、今までとは環境が変わった場合にもなるのです。
該当は新入社員の6割以上というアンケートも
入社して1か月後の新入社員を対象に、以前マイコミが実施したアンケート調査の結果が出ています。それによると、その時点でリアリティショックを感じた人は6割を超える結果となりました。
また、入社後1~3年の社員を対象としてパーソル総合研究所が実施したアンケートでは、何らかのリアリティショックを感じた人は76.6%にも達したという結果があります。このように、リアリティショックというのは多くの人が感じる一般的な感情であると確認できるでしょう。
リアリティショックに陥る要因とは
では、リアリティショックに陥る要因も確認していきましょう。要因となってしまうものは大きく分けると以下の4つのポイントです。
- 仕事に関するショック
- 対人関係に関するショック
- 他者能力に関するショック
- 評価に関するショック
この4つのポイントで、状態の改善が特に急務なものが対人関係へのショックです。周りの人たちとの関係に気になる部分があり、うまく人間関係が構築できないでいると、仕事で必要となることの確認もスムーズに行えなくなってしまいます。
組織自体にも馴染みにくくなってしまうため、予防・改善の対策を行うようにしましょう。なお、対策例については後述します。
看護師や教師に多い理由
看護師や教師はリアリティショックに陥りやすいようです。特に看護師は短期間での就職・離職が激しい職種であり、リアリティショックなどの研究をする業種に選ばれています。
看護師も教師も仕事に対する意識が高く、熱心であることが特徴です。しかし、実際に仕事する前のイメージが崇高である分、自らの能力や相手に対する接し方、仕事方針などがこれで正しいのかどうかという仕事関連の悩みをかかえやすい職種でもあります。さらに過酷な仕事環境となることも相まって、リアリティショックになりやすいのです。
人と接する機会の多い仕事の場合、頑張ったからといってもいつも最良のことばかりができるわけではありません。先回りして困難な状況を想定し、また最良にできなくても受容することを覚えて、リアリティショックをなるべく受けないように心掛けましょう。
リアリティショックの問題点とは
リアリティショックになると、どのような点が問題なのかも確認していきましょう。特に大きな問題点は下記の3つです。
- 組織や会社に対する一体感の低下
- 組織や会社への適応のしづらさ
- 離職を希望する気持ちの高まり
まずは「組織や会社に対する一体感の低下」に関して見ていきましょう。リアリティショックになっている状態では、愛社精神を持つことや周りの人たちとの仲を深めたりすることがしにくくなります。
「組織や会社への適応のしづらさ」も問題です。リアリティショックによって企業の価値観や社風に染まりにくくなり、その会社にスムーズに適応することが難しくなります。
そうして、企業への愛社精神がなく組織への適応がスムーズにできなくなると、「離職を希望する気持ちの高まり」に繋がるのです。リアリティショックは短期離職の大きな原因であるとも言われており、長く勤め続けてもらうためにはこの対策が必要となります。
リアリティショックの対策例
それでは、リアリティショックを予防・軽減するための対策例を確認していきましょう。対策には、社員が入社してくる前から実施する対策と、入社後に行う対策があります。
入社前に行う対策
社員が入社する以前に実施する対策から見ていきましょう。先述した通り、リアリティショックとは理想のイメージと現実との乖離によって起こるものです。
そのため、どんな会社でありどのような仕事を行うのか、入社前から正しく理解できていれば、リアリティショックにはなりにくくなります。
実際に仕事を行う体験である「インターンシップ」を実施したり、「RJP」と呼ばれる実態に沿った仕事内容の開示を行ったりすることで、予防効果が期待できるでしょう。また、内定が決定してからの研修会の実施もおすすめです。
内定者のみになることで、社会人になるとはどういうことか、またリアリティショック自体についてなど、より深い話ができるでしょう。
入社後に行う対策
入社後には、周りの先輩や上司からのフォロー体制を万全にすることが、リアリティショックの対策の一つとして有効です。気軽に相談できると、どうすればいいのか不安な時間が少なくでき、仕事もスムーズになります。
特に年の近い先輩にフォローしてもらえるようになっていれば、実感を込めた適切なアドバイスがもらえるでしょう。マンツーマンでの教育体制にすることで、悩みも打ち明けやすくメンタルケアにも役立てられます。
最後に
今回は、リアリティショックが現実と理想にしていたイメージとのミスマッチによって衝撃を受けることであると紹介しました。
短期離職の大きな原因になっているのに、新入社員にとって身近なものになっているリアリティショック。
短期離職を避けたい企業側としては、この対策を事前に行うことで、社員が自社で長く力を発揮できるようにしておくべきでしょう。そのためにも、インターンシップの実施やフォロー体制の強化といった対策を取り組むようにしてください。