プロダクトマネージャーとは、顧客満足の高い製品やサービスを生み出し、目標を達成するためにチームをまとめる人のことです。近年、IT企業やベンチャー企業などで増えてきたポジションです。海外では当たり前のポジションになっている国もあるなか、日本の企業ではまだ広く浸透しておらず、企業によって役割が異なるという実情もあります。
本記事ではプロダクトマネージャーとはどんな仕事なのかについて説明し、役割や必要なスキルについて紹介しましょう。
プロダクトマネージャーはどんな仕事?
まずは、プロダクトマネージャーの具体的な仕事内容について確認しましょう。また、プロジェクトマネージャーやプロダクトオーナーとの違いについても紹介します。
目標達成に向けて指揮をとる
プロダクトマネージャー(Product Manager)はPDMとも呼ばれ、直訳すると製品を管理する人です。
実際のプロダクトマネージャーの仕事はただ製品やサービスを管理するだけではありません。商品やサービスなど業種によって管理するものはさまざまですが、いずれにしても会社運営の中核となる重要なものを扱います。顧客が満足できるプロダクトを生み出すため、目標を設定し、実現する役割がプロダクトマネージャーです。
目標を達成するためにどのようなプロダクトを作るか、どの層の顧客に価格はどのくらいで提供するのかといった仕事をしますが、このような側面だけがビジネスではありません。顧客の満足につながるだけの品質を担保できるかといった、技術的側面からの検討も必要になります。
さらに、顧客が気に入って使い続けるための設計を行うなど、デザインの側面からのアプローチも求められるでしょう。これらを総合して目標達成のために実行可能な施策を立て、指揮をとるのがプロダクトマネージャーの仕事です。
このようにプロダクトマネージャーの仕事はひとつだけでなく、多岐にわたるのも特徴です。
プロジェクトマネージャーとの違い
プロダクトマネージャーとよく似た役職にプロジェクトマネージャーがあります。目指すものは同じですが、両者は役割が異なるものです。
プロダクトマネージャーが構想を練り具体化したプロジェクトを、プロジェクトマネージャーが予算やリソースの確保など具体的なスケジュールを組みます。つまり、プロダクトマネージャーが打ち出すプロジェクトの数だけプロジェクトマネージャーが存在することになるのです。
プロジェクトマネージャーは、ある一つのプロジェクトにのみ責任を持つということが大きな違いでしょう。
他にも混同されやすいポジションで、プロダクトオーナーがあります。プロダクトオーナーはプロダクトマネージャーの考案したアイデアに沿い、プロダクトを生産する責任者です。プロダクトマネージャーが作った構想図をもとに、その条件を満たしたプロダクトを開発する指揮をとります。
このようにプロジェクトマネージャーとプロダクトオーナーは、それぞれ異なる役割を持ちますが、目指すものは同じです。プロダクトマネージャーが作った構想をもとにプロジェクトマネージャーが具体的なスケジュールを進行し、プロダクトオーナーが生産を管理する仕事を担うといってよいでしょう。
プロダクトマネージャーの役割
プロダクトマネージャーの仕事について説明してきましたが、ここではさらに具体的な役割について詳しく紹介します。
マーケティング戦略の立案と生産を行う
プロダクトマネージャーは売上につながるプロダクトを開発するため、マーケティング戦略を立案します。どのような商品・サービスなら顧客が満足するか、そのニーズや課題を正確に捉え、どのように提供すればいいかを計画するのが大きな役割です。
プロダクトの機能を検討し、デザインやプロモーションなどすべての過程で、マーケティングを意識した意思決定を行わなければなりません。
ターゲットを明確にする
マーケティングでは市場や顧客、競合相手などさまざまな分析を行い、プロダクトのターゲットを絞り込みます。ターゲットの明確化をすることで、顧客のニーズの合ったプロダクトの開発が可能になるのです。
顧客が満足するプロダクトの完成に向けて指揮をとり、さらに数年後のビジョンやそれに至るまでの中間目標なども設定するなど、ロードマップの作成も行います。
開発を振り返り改善点を見出す
開発したプロダクトの機能や効果を分析し、改善点を振り返ることもプロダクトマネージャーの役割です。改善点を検討して、今後の開発に活かさなければなりません。
プロダクトマネージャーはそのプロダクトに関して誰よりも詳しい存在でなくてはならず、その機能と効果には責任を負います。
プロダクトマネージャーに必要なスキル
プロダクトマネージャーには高い能力が必要ですが、具体的にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。特に必要とされるスキルを紹介します。
マネジメントやコミュニケーションスキル
プロダクトマネージャーはプロダクトの企画から開発、マーケティングまで一貫して責任を負うものです。さまざまな部署や取引先などと連携し、上手にコミュニケーションをとりながら進行させなければなりません。
また、プロダクトの開発を具体的に進めるため、多くの関係者をまとめる役割があります。プロジェクトマネージャー、技術者、デザイナーなどプロジェクトに関わる人たちをまとめ、マネジメントしなければなりません。
これらの人たちと良好な関係を保つためのコミュニケーション能力はもちろん、わかりやすいプレゼンテーションができるスキルも必要でしょう。顧客のニーズを把握するため、信頼関係を築くスキルもなくてはなりません。顧客に不足するものや悩みを見つけ、解決策を提案できる能力が求められます。
理解して考察するスキル
プロダクトマネージャーは開発の前に市場や顧客をリサーチして分析し、ターゲットを絞り込んでニーズを明確にしなければなりません。そのためには、商品開発調査などを駆使できる調査力が必要です。
リサーチした結果を正確に理解し、市場に数ある製品やサービスの中から自社製品を選んでもらうにはどのような製品がいいかを考察できなければなりません。そこから顧客の満足が得られないなどの課題を見つけ、問題点を把握して解決できる能力も必要です。課題を理解して初めて改善計画の策定ができます。
開発や発想ができるスキル
顧客の目線に立った設計を行うデザイン力や、調査によって獲得した顧客のニーズを製品やサービスに反映できる開発力も必要です。プロダクトの開発には、既存の方法で進めるよりも新しいことに取り組む場合が多くなるため、発想力も必要とされます。
豊かな発想力を身につけ、発揮するためには、開発に関する知識だけでなくジャンルを超えた幅広い知識や情報が必要になるでしょう。
プロダクトマネージャーで成功するには
プロダクトマネージャーは何か資格があればなれる役職ではありません。プロダクトマネージャーで成功するためには、少なくとも次の2点が必要です。
スキルを会得する
プロダクトマネージャーとして成功するには、前項で説明したプロダクトマネージャーのスキルを会得している必要があります。コミュニケーション能力や考察力などは日常業務の中でも磨くこともできますが、資格を取得することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
プロダクトマネージャーとしての資格はありませんが、スキルアップに役立つ資格はいくつかあります。
- ITストラテジスト試験:ビジネス戦略からシステム化計画を立案し、実行を主導する戦略家としての能力を認定する
- プロジェクトマネージャー試験:システム開発計画を円滑に運営するプロジェクトマネージャーを認定する
プロダクトマネージャーを目指す一歩として、取得するのも一つの方法です。最近では、オンラインでプロダクトマネージャーのスキルを習得できるプログラムも提供されています。
キャリアを積む
プロダクトマネージャーには豊富な知識と経験が必要です。そのためには経験を積まなければなりません。キャリアを積み重ねる過程で、スキルも会得できるでしょう。
一例として、開発部門の業務に携わる方法があります。プロジェクトに関わり、プロジェクトマネージャーなどの責任者を目指すなど、少しずつ経験を積み重ねていきましょう。
最後に
プロダクトマネージャーは顧客が満足できる製品やサービスを生み出し、会社の業績を高める役割があります。会社成長の一翼を担うことになるため、高いスキルが求められることも。事業拡大のために新しいプロダクト開発をする場合は、社内でのプロダクトマネージャー養成なども検討してみるとよいでしょう。