プロダクトアウトとは?考え方や事例について解説

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「プロダクトアウト」とは企業側の立場に立った作り手優先の考え方のことです。作り手の立場から商品を開発することを指しています。具体的にはどのような考え方か、また、対極の概念やメリット、デメリットについて見ていきましょう。

目次
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「プロダクトアウト」とは作り手優先の考え方

プロダクトアウトとは作り手優先の考え方で、反対に市場ニーズに基づいた考え方を「マーケットイン」といいます。それぞれ具体的にどう異なるのか、また、顧客ニーズに応える「カスタマーイン」とは何が違うのかについて見ていきましょう。

プロダクトアウトとは

プロダクトアウトとは、作り手がよいと思うものを作ることです。例えば、ある人が開けやすく畳みやすい折り畳み傘を設計し、商品化したとしましょう。市場ニーズがあるかどうか、顧客から要望があるかどうかに関わらず、作り手がよいと思ったものを形にして販売しているので、この折り畳み傘はプロダクトアウトの考え方に基づいて生まれた製品です。

市場ニーズがあるかどうかは別のため、売れない可能性もあるでしょう。しかし、生産者のこだわりに共感する人が多ければヒット商品になる可能性があります。

反対の概念は「マーケットイン」

プロダクトアウトと真逆の考え方をマーケットインといいます。マーケットインは市場や顧客のニーズに応える商品を開発し、商品化することです。

例えば折り畳み傘について消費者の声を集めた結果、軽くてなおかつ骨が曲がりにくい商品を求める声が多かったとしましょう。マーケットインの考え方では、作り手のこだわりは考慮しないで消費者ニーズに応える商品を開発し、形にして販売します。

そのため、プロダクトアウトより売れる可能性は高いと考えられるでしょう。しかし、企業としての独自性は発揮できないため、同じように市場調査を行った競合他社から似たような商品が販売される可能性があります。

顧客ニーズに応える「カスタマーイン」

マーケットインは市場の声、つまり多数派の意見を参考にした商品開発の考え方ですが、カスタマーインは顧客一人ひとりの声、つまり少数派の意見も参考にした考え方です。

例えば軽くてなおかつ骨が曲がりにくい折り畳み傘を求める声の中には、「他人と被らない色やデザインの傘が欲しい」という意見もあるかもしれません。カスタマーインの考え方を活かし、単に軽くて骨が曲がりにくい傘を開発するのではなく、色やデザインを100通り準備するなどして、少数派の意見も反映させて商品開発を行うことができるでしょう。

プロダクトアウトのメリット・デメリット

作り手がつくりたい商品を開発して販売するプロダクトアウトの考え方には、メリットもあればデメリットもあります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

メリット

プロダクトアウトの考え方に基づくと、作り手本位で商品開発を進めていくことが可能です。次の2点は、プロダクトアウトならではのメリットといえるでしょう。

メリット1.企業の強みを最大限に発揮できる

プロダクトアウトは作り手がつくりたいものをつくる考え方なので、企業の持つ強みを最大限に発揮することができます。企業の個性を発揮できるだけでなく、独自の技術や設備をフルに活用して、他社ではつくれない製品を完成させることができるでしょう。

また、作製した商品によって、商品そのものだけでなく企業の宣伝につなげていくことも可能です。「この商品といえば〇〇」といったイメージを消費者に広げることができ、企業自体のブランド価値を高める効果も期待できます。

メリット2.コストを削減できる

すでに保有する技術や設備を活用して商品を作成するため、一から技術を開発したり新しい設備を導入したりする必要がなく、ローコストで商品を作成することができます。また、市場調査を行わずに商品を開発するので、調査費用やサンプリングなどのコストも削減できるでしょう。

デメリット

プロダクトアウトは企業の独自性をローコストで発揮できる優れた考え方ですが、デメリットもあります。注意すべき2つのデメリットについて見ていきましょう。

デメリット1.ニーズに合わない可能性がある

商品開発に携わるスタッフたちが「これはいい」と思っても、市場や顧客の意見を反映していないため、売れない可能性があります。作り手のこだわりが見える商品は魅力的ですが、市場の意見も少しは参考にすることである程度の売上を担保することができるでしょう。

デメリット2.売れないときのダメージが大きい

市場のニーズを一切調べずに販売したときは、商品がまったく売れない可能性があります。企画や製品化、販売にかかったコストと期間を考慮すれば、大きなダメージを被ることもあるでしょう。

売れないときは、なぜ売れないのか理由を探ることで状況を改善できることがあります。商品そのものの着眼点だけでなく、デザインやパッケージ、プロモーションなどを一つひとつ見直してみましょう。

プロダクトアウトの事例紹介

プロダクトアウトによって生み出された商品が、世界的なヒットにつながったケースも少なくありません。作り手のこだわりが消費者に受け入れられ、やがて企業を代表する商品にもなった事例を2つ紹介します。

SONY「Walkman」

音楽と一緒に出かけるという発想を具体化したSONYのWalkman。移動しながら音楽を聞くことは今となっては普通のことですが、Walkmanが誕生した時代では画期的なことでした。Walkman自体がポータブルオーディオプレーヤーの代名詞となっているほど、生活に溶け込み、SONYの顔ともなっています。

Apple「iPhone」

デザインありきで誕生したともいわれるiPhoneは、シンプルで美しい外見とタッチスクリーンを搭載した操作性の高さが特徴のスマートフォンです。iPhoneもスマートフォンの代名詞となっているだけでなく、Apple社の顔でもあります。

最後に

作り手のこだわりを商品化するプロダクトアウトは、他社と差別化を図り独自性を出すという点では優れた考え方です。しかし、市場や消費者に受け入れられないというリスクもあるため、市場ニーズを優先するマーケットインの考え方も取り入れることができます。プロダクトアウト、マーケットインに固執するのではなく、どちらも柔軟に取り入れ、よりよい商品開発に活かしていきましょう。

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