「システム開発を依頼したいが、相場がよく分からない」
「内訳を見たがどうしてこんなに価格差が出るのだろう?なるべくコストを抑えたいが、安い業者は質も悪いのだろうか?」
システム開発には莫大な費用がかかるため、簡単にシステム会社を決めることはできません。
かといって、業界外の人間から見れば費用相場の考え方や内訳がわかりづらいことも事実です。
今回はシステム開発の費用相場や価格差が出る理由、費用の内訳やなるべくコストを抑えるコツを紹介します。
この記事を読めば、適正価格でシステム開発を依頼できるでしょう!
1.システム開発の費用相場
まずはシステム開発の費用相場は、作成するシステムの種類によって変わります。依頼が多いシステムを4つ例として挙げました。
- 顧客管理システム
- webシステム
- 業務システム
- スマホアプリ開発
システム開発の全体の平均相場は233万円と言われていますが、一概に同じとは言い切れません。
1つずつ具体的に説明します。
(1)顧客管理システム
顧客管理システムを依頼する場合は、20万円程度が相場です。顧客情報を入力・管理する程度のものであれば、比較的仕組みが簡単なため、安く制作できます。
ただし、他のアプリとデータを共有させるAPI連携や、他システムへの出力作業、また自動で他のツールからデータを取り込むなどの作業(バッチ作業)等を含めた場合は、開発費用が高額になるでしょう。
(2)webシステム
webシステムを依頼する場合の制作費用は、130万円程度が相場です。webシステムとは、売上拡大のための営業支援ツールなど、ブラウザで閲覧してインターネット経由で使用できるツールのことを指します。
クラウド型と言って、ネット上の仮想空間を使用するものであれば、環境構築が比較的容易なため、安く制作できるでしょう。
(3)業務システム
業務システムを依頼する場合の制作費は、400万円程度が相場です。業務に使用するデータを一元管理したり、システム上で顧客情報・請求・入金等のデータ処理ができる基幹システムは、複雑な工程を重ねて作成するため高額になります。
特に、システムを利用する人数によっては、現状のサーバー環境では動きが悪い可能性があり、サーバー増強等の他の費用がかかる可能性もあるでしょう。
また管理しているデータ量によっては、データ移行費用なども高額になります。
(4)スマホアプリ開発
スマホで使用できるアプリ開発を依頼した場合の相場は、50万円程度〜1,000万円とかなり相場に幅があります。
まず、社内で使用するチャットや管理ツール程度であれば、50万円〜100万円程度で制作できるでしょう。
顧客向けにECアプリを作りたい場合は、購買フォームやデータ連携などの工程が必要になるため、100〜300万円が相場です。
最も高額なのがゲームアプリで、ゲームの規模によっては300〜1,000万円程度必要になります。
自社でどんなアプリを作りたいのか、社内向け・社外向けかによっても金額が変わると考えておきましょう。
2.システム開発費用の価格に差が出る3つの理由
システム開発費用の価格に差が出る3つの理由を紹介します。
- システム開発・構築のやり方
- どんな機能を実装するか
- システムの利用者規模
事前に自社で予算を立てる際などに、どんな要因で価格が上がるかを覚えておくと、予算立てしやすくなります。1つずつ解説します。
(1)システム開発・構築のやり方
システム開発費用の価格に差が出る1つ目の理由は、システム開発・構築のやり方です。
開発費用の内訳のほとんどが人件費で、制作期間が長い程費用が高くなります。制作会社が用いている開発の手法によっては、制作期間が長く、比例して人件費が高くなるでしょう。
システム開発は、主に以下の工程で行われます。
- 要件定義(システムの概要を決める)
- 設計(システムの大まかな方向性を決める)
- プログラミング
- システムテスト
- 運用テスト・データ移行
- システムの実運用・保守
以上の工程がどの程度の期間で終わるかによっても、制作費用に差が出ます。
システム会社ごとに想定期間が違うため、見積もりの際は制作にかかる期間にも着目しましょう。
(2)どんな機能を実装するか
システム開発費用の価格に差が出る2つ目の理由は、どんな機能を実装するかです。
盛り込みたい機能が増えるほど作業工数が増えるため、当然費用が高くなります。システムの要件定義の打ち合わせの際に、システム制作意図をきちんと伝えて、必要最低限な機能が盛り込まれており、同時に余計な機能が付帯されていないかチェックすべきです。
自社内でも、本当に必要な機能なのかをしっかり見極めてから依頼をしましょう。
(3)システムの利用者規模
システム開発費用の価格に差が出る3つ目の理由は、システムの利用者規模です。
システムを利用するのが小規模事業者で、社員だけなら比較的安価で済みます。反対に、顧客向けにWEBシステムを整備しようとすると、サーバー等のインフラ環境から整備をする必要があり、数百万円以上の費用がかかります。
人数が限定されているシステムなら比較的安価であり、不特定多数の顧客を想定するシステムは高額になりやすいです。
3.システム開発の費用の内訳
次にシステム開発の費用の内訳を説明します。
- 人件費
- 設備費
- その他ソフトウェアの購入費用
- 保守費用
システム制作会社によっては、費用内訳を合計で出してくる場合もあります。
内訳をチェックするためにも、大体の概要を覚えておきましょう。
1つずつ説明します。
(1)人件費
システム開発の費用の内訳の1つ目は、人件費です。
システム開発にかかる費用のほとんどが人権であり、必要な人員×期間分(1月単位)が計上されます。
また、プログラマー・SE(システムエンジニア)は、スキルやランクによって人件費も相違するため、上位プログラマーが関わると高額になりやすいです。
例えば、個人のプログラマーに依頼する場合は1ヶ月40〜60万円程度が相場ですが、大手企業のプログラマーの場合は、1月で50〜100万円程度。
SE初級の人材の場合でも、60〜100万円、中級で80〜120万円、上級クラスだと1ヶ月で100〜160万円です。
システム開発費のほとんどは人件費が占める、と覚えておきましょう。
(2)設備費
システム開発の費用の内訳2つ目は設備費です。システムの規模によっては、サーバーの増強や開発用のパソコンをリースする必要性、または開発環境のためのスペースが必要になります。
サーバーの購入・設置・保守にかかる費用や、エンジニアがテストや実用テスト、運用のために、社内に常駐する場合は、PCやデスクなどを揃えなければなりません。
システム開発にかかる諸経費も全て企業側が負担するため、設備費も必要です。
(3)その他ソフトウェアの購入費用等
システム開発の費用の3つ目の内訳は、その他ソフトウェアの購入費用等です。開発したシステムに、別途既存のソフトウェアを購入、組み合わせる場合があります。
例えばECサイトのシステムを作成する際、フォームだけを別のソフトウェアと連携させるなど、その場合のソフトウェアの購入経費はクライアントの負担分です。
システム開発に伴い、既存のパッケージソフト等を利用する場合は、購入費用などを支払う必要があります。
(4)保守費用
システム開発の費用の4つ目の内訳は、保守費用です。保守費用とは、リリース後のシステムが順調に動くか監視し、また不安定になった場合などに修正等を行うことを意味します。
制作会社によっては、保守費用などのアフターケアを含めて請求することがあり、相場はシステム開発費用総額の15%程度です。つまり、300万円程度のシステムを発注した場合は、その後の運用保守に45万円が必要になります。
また、制作のみを依頼する場合は、この費用はかかりませんが、自社内で保守ができる環境・リソースを揃えておかねばなりません。
4.システム開発費用を安くするためのポイント
システム開発費用を安くするための5つのポイントを紹介します。
- 自社で具体的な要望を固めてから依頼する
- 複数社に見積もりを取る
- 全てをシステム化せず一部のみにする
- フリーランスのプログラマに依頼する
- ASPやパッケージを活用する
システム開発費用はかなり高額ですが、以降の5つのポイントに留意すると、費用を安く抑えらるケースがあります。
1つずつ詳細を解説するので、見積もり前に検討しておきましょう。
(1)自社で具体的な要望を固めてから依頼する
システム開発費用を安くするための1つ目のポイントは、自社で具体的な要望を固めてから依頼することです。
システム開発の工程の要件定義で、できるだけ具体的に制作会社にシステム作成の目的・用途を伝えましょう。
曖昧に伝わると、不要な機能が盛り込まれて高くなったり、後ほどの修正が増えてしまって追加費用がかかり、またそれに伴って開発期間が長期化して人件費も上がります。
なるべく最初の段階でシステム定義を伝えられるよう、依頼前に自社で開発の目的・用途・ワークフロー等の洗い出しを詳細に行いましょう。
(2)複数社に見積もりを取る
システム開発費用を安くするための2つ目のポイントは、複数社に見積もりを取ることです。システム開発におけるコストは、会社によっても大きく違います。
また、高ければ質が良いシステムができるというわけでもなく、担当者とどれだけ意思疎通できているかによっても変わるでしょう。
そのため、複数社に見積もりをとった上で打ち合わせを行い、予算と相性が良い会社を選ぶのがおすすめです。
(3)全てをシステム化せず一部のみにする
システム開発費用を安くするための3つ目のポイントは、全てをシステム化せず一部のみにすることです。
基幹システムを作成する場合は、莫大な費用が必要ですが、既存システムの一部だけをシステム化するなどしてサイズダウンすれば、それだけ費用を抑えられます。
例えば自社サイトに問い合わせフォームを作るとしましょう。
顧客からの問い合わせフォームは無料のツールを用い、顧客情報の管理だけをシステム化すれば予算は100万円以下で収まることもあります。
一括したシステム化が本当に必要なのか、コストの面からも考えてみると良いでしょう。
(4)フリーランスのプログラマに依頼する
システム開発費用を安くするための4つ目のポイントは、フリーランスのプログラマに依頼することです。
個人のプログラマの月単価は40〜60万円程度と安く、時間・期間等に融通が利きやすいのがメリット。システムがあまりにも大規模な場合は一定期間や人材が必要ですが、仕組み自体が簡単なものなら、個人に依頼するのも手段の1つです。
フリーランスのプログラマは、クラウドソーシングサイトで募集できます。見積もりを取る際に、個人に対応可能かどうかを確認し、見積もりを取ると良いでしょう。
(5)ASPやパッケージを活用する
システム開発費用を安くするための5つ目のポイントは、ASPやパッケージを活用することです。ASPとはアプリケーションサービスプロバイダの略で、プロバイダが提供するネットワーク上にあるソフトウェアを利用できます。
プロバイダが提供するネットワークをそのまま利用できるので初期費用がかからず、また運用・保守などのメンテナンスも、プロバイダ側が行うため、保守費用も削減可能です。
パッケージソフトは、既存のソフトウェアを購入してインストールして使用する方法で、1からシステム構築するよりははるかに安い金額で使用できます。
柔軟にカスタマイズができないのが難点ですが、特殊な機能を盛り込みたいという要望がないなら、一度パッケージソフトを検討するのも良いでしょう。
最後に
今回はシステム開発の費用について解説しました。システム開発費用は、作成するシステムのジャンル・機能の数によって変わります。
主な内訳は人件費が占め、設備費・ソフトウェアなどの購入費用、運用・保守にかかるコストを考えなければなりません。
適切なコストでシステムを作るために、クライアント側も内訳についてある程度理解しておきましょう。
また、コストを低くしてシステム開発するためには、まず自社でシステムの必要性・機能を検討することです。その上で見積もりを取り、場合によっては個人のプログラマを雇ったり、ASPやパッケージソフトの使用も選択肢に入れておきましょう。