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労働生産性とは労働効率のこと!計算法や向上する方法、効果について

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公開日: 2021.05.24
更新日: 2021.11.24

労働生産性とは、シンプルにいえば労働効率のことです。どのように求めることができるのか、向上することでどのような効果を得られるのか解説します。また、世界中における日本の労働効率の水準についても見ていきましょう。

目次
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労働生産性とは?2つの定義と計算式を紹介

生産するためにどの程度の労働力がかかったかを数値で示したものが「労働生産性」です。数値が高いということは、少ない労力や時間で商品などの成果を生み出したということを意味し、効率よく作業が行えていると判断することができるでしょう。反対に低いということは、成果を出すまでに労力や時間が通常以上にかかっているということを意味します。

1.物的労働生産性

作物や製品なども「もの」を生み出すのに必要な労働量を数値で示したものを「物的労働生産性」といいます。例えばパソコンをつくっている会社であれば、パソコン1台を製作するのに必要な労働量のことです。また、レタスを生産している農家であれば、レタス1個を収穫するまでに必要な労働量で計算することができるでしょう。

なお、労働量の計算は労働に従事する人一人当たり、もしくは時間当たりで計算できます。

2.付加価値労働生産性

原価や人件費などのコストから増えた価値を付加価値といい、付加価値を生み出すのに必要な労働量が「付加価値労働生産性」です。例えばパソコン1台を製作するのに5万円の原価がかかり、20万円で販売するとしましょう。この場合は付加価値15万円を生み出すのに、どの程度の労働力を必要するか計算することで、付加価値労働生産性を求めることが可能です。

なおこちらも、労働量は一人当たりと時間当たりの2つの計算式があります。

労働生産性を向上する5つの方法

労働生産性を向上するために実施できる方法を5つ紹介します。いずれも現在の状況を踏まえた上で実施可能な方法なので、ぜひ労働手順などの見直しに役立ててください。

  1. 作業手順を見直して効率向上を目指す
  2. 生産性が低い部門を切り離す
  3. 少数精鋭の人材で作業を進める
  4. 事業拡大により成果当たりのコストを削減
  5. 価格設定を高くして成果を増やす

1.作業手順を見直して効率向上を目指す

作業手順に問題があり、労働生産性が低くなっている可能性があります。例えば作業員Aが部品をピックアップし、作業員Bが部品を配置し、作業員Aがネジ締めを行うとしましょう。作業員間のやり取りが発生するだけでなく手間が二重になっているため、作業員に割り振る仕事や手順を変えることで生産できる商品数が増えると予想されます。作業を細かく割り出し、手順や仕事の流れに無駄がないかチェックしてみてください。

2.生産性が低い部門を切り離す

複数の事業を行っている場合は、生産性が低い部門の切り離しも考慮してみましょう。例えばお菓子の製造メーカーであれば、どのお菓子が売れているのかチェックしてみてください。クッキーでは利益がほとんど得られていないならば、思い切ってクッキー製造を止めることができます。「クッキー製造から我が社は始まったから……」などの思い入れがある場合も、本当に続ける必要があるのか考え直してみることができるでしょう。

3.少数精鋭の人材で作業を進める

人数における作業効率を検討するのもひとつの方法です。10人の従業員で2億円の売り上げを上げている部門と、1,000人の従業員で10億円の売り上げの部門があるのならば、後者を切り離したり、後者の従業員の人数を見直したりすることもできるでしょう。過剰と考えられる人員を作業効率の高い部門に回し、さらなる売上増を狙うこともできます。

4.事業拡大により成果当たりのコストを削減

注文や社会的ニーズが高いのに、従業員や設備が不足していて思うような成果が上げられていない場合は、資金を投入して事業を拡大し、成果当たりのコストを削減することもできるでしょう。しかし、従業員や設備を投入しても成果当たりのコストが下がらないときは、別の方法を検討することができます。投入した人材や資金が無駄にならないためにも、事前に労働生産性をシミュレーションしておきましょう。

5.価格設定を高くして成果を増やす

価格設定を見直すことで、付加価値労働生産性を増やすことが可能です。例えば100円で販売している商品を120円に値上げすれば、原価が変わらない限り商品1つあたりの付加価値は20円アップします。ただし、この場合は、単価を上げても売れ行きに影響しないか事前にシミュレーションしておくことが必要になるでしょう。値上げしたために販売数が減ってしまうと、在庫が増え、労働生産性も減少することになります。

労働生産性の向上により得られる3つの効果

労働生産性を向上することで、企業にとって重要な次の3つの効果を得られます。

  1. 企業利益の増加
  2. 従業員の賃金増加
  3. 国レベルの経済的成長

いずれも企業価値の向上にもつながるため、企業のファンを増やして安定した利益獲得を目指せるだけでなく、就職や転職を希望している人にもアピールして優秀な人材を確保することも目指せるでしょう。

1.企業利益の増加

同じ従業員数、同じ原価で労働生産性を向上するということは、企業利益の増加を意味します。企業の利益が増加すると、効率よく付加価値を生み出している部門に資金を投入することができるため、さらなる事業規模の拡大、さらなる利益の増加を生むでしょう。また、得た利益で新たな部門をつくることもできます。利益増が見込めるだけでなく、特定の事業の利益率が下がったときのリスク分散にもつながるでしょう。

2.従業員の賃金増加

生産性を向上することで得られた利益を、従業員の賃金として還元することもできるでしょう。賃金増加は人材確保に役立つだけでなく、優秀な人材を引き付ける魅力にもなります。また、賃金が増えることで、社員たちのモチベーションアップも引き出せるでしょう。仕事に取り組む姿勢が改善され、さらなる生産性の向上につながることもあります。

3.国レベルの経済的成長

各企業が生産性を向上すれば、利益が増え、国レベルの経済的成長が見込めるでしょう。また、作業手順や効率を見直すことで余剰人員が生じたときは、それらの人力をほかの分野や人手を必要とする企業で活用することもできます。利益は見込めるものの人員不足で、廃業もしくは規模縮小しなくてはいけない企業も少なくないため、国全体の経済的成長を考えるときにも労働生産性の向上は不可欠なことといえるでしょう。

日本の労働生産性は高い?

日本全体で見た労働生産性は、GDP(国内総生産)から計算することができます。GDPとは特定の期間内に国内で生み出された付加価値のことです。例えば日本企業が日本国内で生産した製品やサービスについては含まれますが、海外で生産した製品・サービスについては含みません。なお、2019年の日本のGDPはアメリカ、中国に次いで3位で、一人当たりで換算するとOECD加盟国中21位です。

一人当たり労働生産性はOECD加盟国中26位

日本のGDPは世界第3位と高いですが、一人当たりの労働生産性として換算するとOECD加盟国37か国中26位と低くなります。これは日本の人口が多いことと関係していますが、反対にいえば日本の人口を活かせばもっと国内総生産を増やすことができるということを意味しているといえるでしょう。

一人当たりの労働生産性が低い理由としては、アルバイトやパートなどの非正規雇用者や短時間労働者が多いことを挙げられます。日本の非正規雇用者は約4割ともいわれており、正規雇用者と比べると労働時間が短く、労働による成果物も少なくならざるを得ない現状です。日本全体の労働生産性を上げるためにも、各企業が雇用制度の見直しを行い、一人当たりの労働生産性向上を目指して業務改革を行えるでしょう。

時間当たり労働生産性はOECD加盟国中21位

時間あたりの日本の労働生産性もOECD加盟国中21位と、決して良い状況とはいえません。一人当たりの効率よりは幾分順位は上ですが、各企業が作業手順や部門ごとの生産効率などを見直す必要があるでしょう。

時間あたりの労働生産性が低い理由としても、短時間労働者が多いことを挙げられます。従事する時間が少ないために作業効率向上を目指しにくいことや、仕事の始まりや終わりに時間がかかって実質労働時間が少なくなる傾向があることなども理由のひとつとして考えられるでしょう。

製造業の労働生産性はOECD加盟国中16位

一人当たりの労働生産性を製造業に注目して計算すると、日本はOECD加盟国の中で製造業のみのデータがある31か国中16位となります。すべての業種でみた労働生産性よりは良い数字ではありますが、決して世界水準で良い順位とはいえないため、製造業においても作業手順や効率性の見直しが必要といえるでしょう。なお、日本の製造業労働生産性はアメリカの2/3の水準です。

最後に

労働生産性とは作業効率の良さを測る指標です。労働生産性が高いということは、短時間あるいは少人数で製品やサービスを生み出している、あるいは利益を上げているということを意味します。

労働生産性を改善することで、企業利益を上げるだけでなく、従業員の賃金を上げ、より魅力的な企業へと成長することが可能です。また、各企業が労働生産性を向上するならば、日本全体の労働生産性が上がり、高い経済力を獲得することにもつながるでしょう。

労働生産性の改善のためには、作業工程を一つひとつ洗い出し、手順や作業そのものに無駄がないか精査することが必要です。また、生産性が低い部門を切り離すことや、高い生産性を上げている部門に資本や人材を注力することでも、生産性の改善を行えます。企業価値を高めるために、そして日本全体の経済力を高めるためにも労働生産性に注目していきましょう。