採用課題とは?採用前・採用試験・採用後の段階ごとに詳しく解説

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少子化が進む中、優秀な人材を採用し必要な人員を確保することは、どの業種においても課題です。この記事では、企業が解決すべき採用課題には何があるのか、採用前と採用試験中、採用後で課題は課題を解決することでどのようなメリットがあるのかについて探っていきましょう。

また、中途採用する場合は、新卒採用とは異なる課題が生じることもあります。中途採用における課題も紹介するので、ぜひ参考にして優れた人材を見つけていきましょう。

目次
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企業が解決すべき採用課題とは?

インターネットが普及したことで、採用活動は大きく変化しました。オンラインで採用の募集をかけたり、就職希望者の質問に個別に答えたり、面接をしたりするなど、今まで対面で行ってきた内容をオンライン上でも実施するようになることで、採用担当者が業務過多になっている傾向が見られます。

インターネットでの募集は、紙媒体で募集するよりも多くの就職希望者の目に触れるという点が大きなメリットです。しかし、就職希望者が「気軽に断ることができる」と認識していることも多く、多数の就職希望者の相談に対応してきたものの、実際に応募したのは数人だけというような事態も頻繁に起こっています。

また、新卒者だけでなく既卒者も含めた就職希望者を集めた大規模なイベントも行われることが増えてきました。就職希望者としては効率よく希望する企業と接点を作れる良い機会ですが、企業側としては採用活動の選択肢が増えたことで業務が増え、一つひとつのイベントに十分な準備ができないケースも生じてきています。

その他にも、採用方法が増え採用活動が複雑化したことでコストが増えてしまったという点も課題です。優秀な人材を見つけるためにはある程度のコストは仕方のないことですが、会社の運営自体に影響を及ぼすほどのコスト増は企業にとって大きな負担と言えるでしょう。

さらに、中途退職者が増えてきているという点も採用課題のひとつです。かつてよりは転職に抵抗を持たない人が増えてきたこともあり、「少し合わない」程度でもすぐに辞めてしまうケースが少なくありません。インターネットで簡単に情報が入ることから、企業イメージだけで就職先を決めてしまう就職希望者が一定数いることも、中途退職者の増加の一因と言えるでしょう。企業の社風や働き方と合わず、仕事を辞めるという決断を早々と出してしまう人も少なくないのです。

退職者が出ると、業務の穴を埋めるためにも新たな人員を募集する必要が生じます。就職から退職までの期間が短いと、コストをかけて採用したことが無駄になったことになり、また新たなコストをかけて採用活動を行わなくてはなりません。企業が抱える採用課題は多いのが現状と言えるでしょう。

採用課題の解決で得られるメリット

採用担当者の業務が増え、多岐にわたる複雑化した業務に携わることでコスト増が見られる昨今の採用事情ですが、これらの課題を解決することで大きなメリットを得られるのも事実です。

具体的には、次の3つのメリットを得られます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

  • 人員確保と人材確保
  • 中途退職者が減る
  • 就職者の満足度アップ

人員確保と人材確保

採用における課題を解決することで、採用活動がスムーズに進み、必要と思われる人員を確保することができます。また、丁寧かつ積極的な採用活動を行えば、企業を大きく発展させる力を持つ優れた人材に出会えるかもしれません。必要数の人員と優れた人材を確保するためにも、採用面での課題を解決していくことが大切です。

中途退職者が減る

採用の時点で、社風や働き方、実際にどのような社員がどのように働いているかを就職希望者によく知ってもらうことで、イメージ違いによる中途採用者を減らすことができるでしょう。

そのためには、採用の前・採用試験の時点で、就職希望者に何度も意思確認を行い、就職希望者が望むような会社なのかどうかを吟味する機会を設けるなど、採用における様々な課題を解決する必要があります。

課題を解決して中途退職者が減れば、採用にかかるコストを大幅にダウンさせることが可能です。コストを削減するということは、新たな人員確保や企業発展に活用できる資金が増えるということですから、企業の底力を向上させることにもつながるでしょう。

就職者の満足度アップ

採用課題を解決することで、就職者の満足度アップも期待できます。採用前の時点でイメージしていた企業の姿と実際の姿に乖離がなければ、仕事から得られる充足度も高まり、長く勤続してくれる可能性も高まるでしょう。

個人差や企業による差はありますが、新入社員の教育や就業支援には50万~600万円ほどの費用がかかると言われています。もちろん教育・就業支援コストの前には採用コストがかかっていますから、企業側としては莫大な費用を負担して人材を確保していることになるのです。

これらのコストを無駄にしないためにも、採用課題を適切に解決し、就職者の満足度アップを目指す必要があるでしょう。

採用前に解決しておくべき課題一覧

では、具体的に採用のどのタイミングでどのような課題があるのか紹介していきます。まずは採用前に解決しておく課題です。

いずれも面接やオンライン、イベントなどの多岐にわたる採用活動を始める前に解決しておく必要があるので、早めに着手するようにしましょう。

必要な人材像や採用方針は明確か

採用の季節になったから採用活動を始めるのではありません。人員が不足していること、適切な人材がいないことなどの「採用するための明確な理由」があるから採用活動を始めるのです。

まず、どのような人物像を求めているか、採用担当者だけでなく会社の経営陣や各課の部長、課長などを集めて話し合う必要があるでしょう。また、理想とする人物を採用するために、どのような採用方針を立てることができるのかについても話し合って決定しておく必要があります。

例えば、求める人材によっては、従来型のOB・OG訪問を通した採用が有効になることもあるでしょう。反対に動画を作成して企業ホームページで流すことで求める人材にアピールすることもあります。SNSを使って、より身近に感じる方法で求める人材にアピールすることもできます。

ターゲットに合わせて発信方法や採用までの道筋をアレンジし、求める人材に出会える可能性を高めていきましょう。

必要な人員の調査は適切か

求める人物像と採用方法を明確にした後で、どの程度の人員が必要かという点を調査していきます。まずは会社全体でどの程度の人材を雇用できるか、予算から最大人員数を決定しましょう。その上で、各部署に何人必要なのか、部長や課長などの現場の声を採集していきます。

各部署で必要だと思われる人員数の合計が予算を超えてしまう場合には、どこまで削減できるか人事部と部署ごとの話し合いが必要になることもあるでしょう。どの部署も「これ以上は採用人員を減らせない」と判断するときは、会社の予算とも照らし合わせて再検証が必要になります。

何度も採用活動を行うことは、採用にかかるコストを増やす行為です。一度の採用活動で必要な人員すべてを採用できるように、人員調査は綿密に行うようにしましょう。

採用にかかるコストは適切か

採用活動にはお金がかかります。オンラインでのPR活動や場所を指定した説明会、他企業との合同説明会など採用活動の種類が増えてきているため、従来よりも採用コストが増加していると言えるでしょう。

お金をかけて多岐にわたる採用活動をすることで、企業に興味を持つ就職希望者に出会える可能性は高まります。しかし、必ずしも採用に結び付くとは限らず、また、仮に採用まで進んだとしてもすぐに退職したり企業側が求めていた人材からとは全く違ったということが判明したりすることもあるでしょう。

採用にかける予算を決め、予算内で効率的な採用活動を行えるように綿密にプランニングする必要があります。「数打ちゃ当たる」といった無駄の多い採用活動をするのではなく、求める人物像にターゲットを絞り、ターゲットに直接アピールするような採用活動を実施していきましょう。

採用試験に関して解決しておくべき課題一覧

採用試験に関しても、解決しておくべき課題があります。以下の4つの課題を解決することで、就職希望者が企業にアプローチしやすくなり、なおかつ就職者の満足度を上げることができるでしょう。

応募しやすいスケジュールか

説明会の受付から説明会の実施、書類選考、筆記試験、面接試験の流れは、無理のないスケジュールになっているでしょうか。説明会の実施から書類選考までの期間が短すぎると、他企業と比較している就職希望者がエントリーしにくくなる恐れもあります。

反対に各過程の期間があまりにも長く空いていると、申し込みや受付をついうっかりと忘れてしまい、優秀な人材を取り逃がすことになりかねません。無理なく就職希望者が参加できるスケジュールを組み、必要に応じて各過程で採用担当者からのフォローを入れるようにしましょう。

募集方法は適切か

募集方法についても吟味が必要です。採用専用のサイトを作成し、就職希望者の質問に答えるようなコンテンツを作ることで募集に導くこともできるでしょう。

また、直接、自社サイトに求人窓口を設けることもひとつの方法です。その他にも、就職情報の専門サイトに情報掲載を依頼したり、ハローワーク等の公的機関に登録したりすることもできるでしょう。

独自で就職説明会を開催したり、合同説明会に参加したりすることで就職希望者を募集することもできます。考え得る限りの募集方法を実施すると採用担当者の業務が増えすぎてしまうだけでなく、応募者を絞り込む作業も大変になってしまうかもしれません。

効果的かつ適切な募集方法を選び、効率よく人材を確保できるようにしましょう。

採用から入社まで内定者のフォローは万全か

入社するまでに内定を辞退するケースも少なくありません。採用活動が無駄にならないためにも、内定者のフォロー体制を整えておきましょう。

学生の価値観は多様化しており、就職して安定した生活を確保すること以外にも、自分らしさを追求することを重視する傾向にあります。そのため、入社までの期間に「仕事よりもやりたいことが見つかった」「起業したい」「もっと自分に合う企業が見つかった」などの心境の変化が起こると、内定を辞退することもあるのです。

採用担当者は「内定したから入社するに違いない」と安心しきってしまうのではなく、定期的に内定者をフォローすることが必要になります。

定期的に会ったりSNS等のメッセージツールで連絡を取ったりすることで、内定者を精神的にフォローすることができるでしょう。内定者に悩み事があるときには相談に乗り、入社までに企業や担当者との信頼関係を築けるようにサポートしていきます。

内定辞退者が出たときの対策はあるか

どんなにフォローをしていても、内定を辞退する可能性があります。内定辞退者が出たときにどのように新たな人員を補充するのかについても、事前に決めておきましょう。

補欠合格者に連絡を取ったり、再度セミナーを開催したりすることで、採用候補者を絞っていくこともできます。また、中途採用について検討してみてください。自社の採用専用サイトや、民間の転職専門サイトなどで募集をかけ、即戦力となる人材を採用することもひとつの方法です。

採用後にフォローすべき課題一覧

採用が決まり、入社した後でも、解決すべき課題はたくさんあります。特に次の3点に留意して、新入社員の定着率を高めましょう。

研修スケジュールは無理のないものか

入社後、新人研修が始まりますが、この段階で離脱する社員も少なくありません。新入社員に伝えたいことが多いのは当然のことですが、あまりにも多大なタスクを課したり、十分な休息が取れないほどにスケジュールを詰め込み過ぎたりするのは、新入社員のためになりません。

入社2年目、3年目の若手社員に「研修スケジュールはどうだったか?」と尋ね、経験者の意見も取り入れながら、無理のないスケジュールで研修を進めていくようにしましょう。

新入社員の精神的フォローはできているか

入社する前の精神的なフォローは必要ですが、社員になった後も精神的なフォローが必要です。学生から社会人という立場になり、新たな悩みが生じている可能性もあるでしょう。

研修指導者が定期的に相談に乗ることもできますが、メンター制度を導入して、困ったときにはいつでも話せるようにしておくこともおすすめです。

なお、研修指導者やメンターになる社員は、メンタルヘルスについて学んでおくと、新入社員に、より効果的なサポートを与えられるようになります。メンタルヘルスマネジメントなどの検定資格もありますので、ぜひ社内でも研修制度の一つとして採り入れてみてはいかがでしょうか。

新入社員のフォローをする社員のフォロー

新しい環境で日々刺激を受ける新入社員のストレスが多大なものであることは、容易に想像がつくでしょう。しかし、ストレスを受けているのは、新入社員だけではありません。新入社員を仕事面でも精神面でもフォローするスタッフのストレスも大きいのです。

研修システムやフォロー制度にもよりますが、フォローする社員がフォロー業務だけに専念できず、自分のタスクもこなしながら新入社員のフォローをしている場合も多いでしょう。このようにフォロー担当の社員に多大な業務負担がかかっている場合には、彼らの精神的なフォローをすることも考えなくてはいけません。

新入社員だけでなくすべての社員が無理なく仕事をできるように、業務の極端な偏りが起こらないようにチェックするシステム構築も必要です。

中途採用の課題と対策

新規採用者とは異なり、中途採用者は即戦力として働けるという魅力があります。特に同業種から転職してきた中途採用者の場合なら、ビジネスにおいて必要なマナーやスキルもほとんど習得していると考えられるため、新入社員のように研修を実施する必要もなく、採用したその日から働くことが可能です。

しかし、中途採用の場合にも課題はいくつかあります。その中でも特によくある課題を3つ紹介し、それぞれの対策についても説明しましょう。

応募が集まりにくい

新規採用の場合と異なり、中途採用に関しては大々的な募集活動を行えません。そのため、応募者が集まりにくく、必要な人員がなかなか確保できないという問題点があります。自社の採用専用サイトで中途採用についての求人も公開することがありますが、新卒募集と比べると閲覧回数も少ない傾向にあり、中途採用希望者と出会えないことが多いのです。

しかし、閲覧回数が少なくても、閲覧した人が高い確率で応募してくれれば、中途採用者を集めることができます。中途採用者の心に響くような採用ページを作るためにも、雇用条件や待遇といった基本情報だけでなく会社独自の制度や魅力、具体的な業務内容等をできるだけ多く盛り込んでみましょう。

また、実際に中途採用で働いている社員の声を紹介すると、採用後の姿をイメージしやすくなり、応募へと進んでくれる可能性が高まります。

人材の見極めが困難

新卒者・既卒者を選考する際も、人材の見極めは困難です。「この人なら全力で働いてくれるだろう」と期待した人が入社する前に辞退してしまったり、「ちょっといい加減だけど採用してみよう」と選んだ人が抜群の成績を発揮したりすることもあります。

中途採用者の場合は、さらに人材の見極めが難しくなるかもしれません。新卒者・既卒者を選考するときは何段階にもふるいをかけて選びますが、中途採用者の場合は、2、3回のわずかな機会だけで採用するかどうかを決定することが多いからです。

後悔するようなことがないためにも、短い選考期間において濃度の高いコミュニケーションを取り、応募者が求めている仕事や条件とすり合わせていくことが大切と言えるでしょう。

定着率が低い

中途採用者の中には、転職することに対して抵抗がない人も少なくありません。「この職場はちょっと思ったのと違うな」と感じたらすぐに退職を申し入れるというように、直感的かつ迅速な行動力を発揮する人もいるでしょう。

新入社員と比べると少ないとはいえ、中途採用者にも採用するコストや就業支援をするコストがかかっていますし、採用・就業に対して時間もかかっています。費用や時間を無駄にしないためにも、こまめに精神的なフォローを入れ、定着率を高めるようにしましょう。

また、仕事をスムーズに行えるという理由から、中途採用者に作業量が偏ってしまう可能性もあります。作業量に極端な偏りが出ないようにこまかくチェックし、中途採用者が居心地よく働ける環境を構築することも大切なポイントです。

最後に

就職希望者や中途採用希望者を採用する際には、採用前・採用試験・採用後に様々な課題があります。一つひとつの課題を丁寧に対処することで優秀な人材を確保し、社員の定着率と満足度を高めることが可能になるでしょう。

また、採用担当者が業務過多になることが多いのも、採用課題のひとつです。業務量を減らす工夫をしたり担当者を増やしたりすることで対応し、採用側の負担が大きくなり過ぎないように配慮していきましょう。

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