相対評価とはどんな評価方法?絶対評価との違いと人事評価への活用法

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人事評価を行う場合、「相対評価」と「絶対評価」の2つの考え方があります。それぞれどのような評価方法で、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。相対評価を利用しやすい分野や反対に絶対評価が用いられやすい分野についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
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人事評価における相対評価と絶対評価の違い

相対評価とは、特定のグループ内で成績を比較して評価する方法です。一方、絶対評価とは、誰かと比較するのではなく最初に決めておいた基準に従って評価する方法を指します。

日本では従来、学校や企業などの様々な場面で相対評価が用いられてきました。しかし、近年は絶対評価を用いたり、相対評価と絶対評価を組み合わせたりすることで、より柔軟な評価を実施しているケースも少なくありません。ここからは企業人事における相対評価と絶対評価の違いについて見ていきましょう。

企業人事の相対評価

企業人事における相対評価の方法はいくつかあります。最もシンプルな相対評価法は、グループ内の対人比較で順位をつける方法です。

また、グループ内の人物と比較するのではなく、グループの平均実績を評価基準とし、各自の貢献度から評価するという方法もあります。いずれの方法もグループ内でどの位置にいるかが評価の基準になる点は同じです。

例えば20人のグループがいたとします。成績上位者順にS~Dまでの5段階に割り振り、段階によって年収の増減が決まるとしましょう。

成績が1番違うだけでも異なる段階に配分されることがあり、年収にも大きな影響が及びます。また、グループ内に優秀な人物がそろっている場合は、高評価を得にくい点も相対評価の特徴です。

相対評価の例

国家公務員や地方公務員の査定では相対評価が用いられることが一般的です。例えば内閣官房内閣人事局では、あらかじめ配分率が決まったSからDの5つのランクに職員たちを分けて評価しています。

また、大阪市でも平成25年度から、あらかじめ配分率が決まった第1区分から第5区分に職員たちを分ける相対評価が導入されました。

企業人事の絶対評価

企業人事に絶対評価法を用いる場合は、あらかじめ定められた評価基準によって、社員や従業員の個人の能力や成果を評価・判定します。そのため、相対評価のように他の社員の成績に影響されることがありません。

例えば、絶対評価では目標への達成率150%ならS評価、120% ならA評価、100%ならB評価、100%未満ならC評価と基準を決めます。それぞれ年収1.2倍増、年収1.1倍増、年収変わらず、年収0.9倍が適用されるとしましょう。

従業員は自身の成績がグループ内で何番目かに関わらず、達成率さえ高ければ高評価を得られます。そのため、優秀なグループでは皆がS評価やA評価ばかりということも起こり得るでしょう。

絶対評価の例

絶対評価は評価に時間がかかるため、大企業で全面的に導入されているケースはあまりありません。しかし、企業によっては絶対評価による査定を実施しています。例えば、乾杯股份有限公司では、従業員の努力に報いる目的で絶対評価を導入しました。

相対評価のメリット・デメリット

相対評価を用いて人事評価を行うことのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

相対評価のメリット

評価方法ごとに得意分野が異なるため、特性を見極めて導入することが大切です。まずは相対評価のメリットを説明します。

評価をつける作業が楽

例えば住宅メーカーの営業において、契約件数が10件、5件、1件の社員がいたとしましょう。相対評価ならば、成績上位順にランク分けするだけで評価作業は完了します。評価が簡単にできることは、大きなメリットと言えるでしょう。

一方、絶対評価では従業員一人ひとりについて前回との成績の伸びや目標達成率などを算出しなくてはなりません。手間を省きたい場合は、相対評価を利用すると良いでしょう。

評価者による影響が少ない

順位をつけて評価を割り振る方法なので、相対評価は評価者によって評価が変わりにくいです。反対に、絶対評価では、「従業員個人の成長」などの数値化しにくい基準を採用していると、評価者の影響を大きく受ける可能性があります。

切磋琢磨する空気が浸透しやすくなる

相対評価においてグループのメンバーは全員ライバルですから、お互いが競って切磋琢磨する空気が生まれるでしょう。少しでもメンバーよりも良い成績を上げたいと考えるようになり、競争意識も生まれます。

一方、絶対評価の場合は皆が最高評価を得ることも可能ですから、グループ内がライバルだという意識は生まれにくいです。

相対評価のデメリット

相対評価による人事評価には、次の3つのデメリットがあります。

評価が適正でなくなる可能性がある

組織全体から見ると優秀な部類に入る人物であっても、所属するグループに優秀な人が多い場合どうなるでしょうか。低い評価しか得られなくなります。

そのため、「どんな成績を上げるか」というよりも「どのグループに配属されるか」が評価に大きな影響を与えることになるでしょう。

反対に、絶対評価ではグループメンバーとは無関係に評価が決まります。より一層、個人の努力が評価されやすくなるでしょう。

個人の成長が評価に反映されにくい

相対評価ではグループメンバー全員が成長すると、どんなに個人が成長しても評価されにくくなってしまいます。例えば前月比120%以上の売上を記録しても、他のメンバー全員も売上が増えたのなら、実績は伸びたのに年収が下がるということになりかねません。

一方、絶対評価では他人と比較しないで評価を決定します。個人がどの程度の成長を遂げたかも、より評価されやすくなるでしょう。

チームの結束力が低下する恐れがある

相対評価ではグループメンバーはライバルになるため、チームとしての結束力が低下する恐れがあります。自分の評価を上げるためにチーム内で適切な情報共有がなされないなどの弊害が生まれやすくなるでしょう。

絶対評価ならばメンバー全員が高評価を得ることも可能なため、チームが一丸となって目標達成に向かいやすくなります。

企業に合う人事評価方法を構築しよう

相対評価も絶対評価も一長一短があり、どちらのほうが優れているとは断言できません。しかし、それぞれの特性に合った評価法を用いるならば、より公平感のある人事評価を構築することは可能です。

成績が見えやすい部分は絶対評価

営業などの成績が見えやすい部分に相対評価を用いると、高評価を得る人と低評価を得る人が固定されやすいというデメリットがあります。低評価で固定されている従業員のやる気を削ぐ可能性があるので、成績が分かりやすい分野には絶対評価を用いるほうが良いでしょう。

また、営業における個人の成長度や目標到達度はいずれも数値化しやすいという点も、絶対評価に向いています。

計算方法がわかりにくい部分は相対評価

絶対評価で評価するためには、成果を数値化する必要があります。しかし、システム課や法務課などは成果を数値化することが難しいため、メンバー内で比較してどの程度の頑張りがあったかで評価する相対評価が向いているでしょう。

最後に

人事評価において公平性があることで、従業員の仕事に対するモチベーションを向上することが可能です。結果的には離職率を下げる効果も期待できるので、人事評価法は慎重に決定するといいでしょう。

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