近年、「シンギュラリティ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。不安要素として語られることもあるこのシンギュラリティとは、本来はどのような意味なのでしょうか。また、シンギュラリティは個人の生活にどのような影響を及ぼすのかについても解説します。
シンギュラリティとは?意味を解説

シンギュラリティ(singularity)とは「特異点」を意味する英語ですが、日本では主に「技術的特異点(technological singularity)」のことを指すことが一般的です。
ある程度以上に技術が発展すると、今までとはまったく違う世の中に変わるということを意味し、この転換点を「特異点」と呼んでいます。例えばAIが人間の知能を超えることが「特異点」になり、シンギュラリティ以降は人間の仕事がなくなるなどと予想する方も少なくありません。つまり、シンギュラリティとは、技術の進歩速度が無限大に増大し、AIが人間を超えるという仮説のことです。
2045年にシンギュラリティが来る?来ない?
シンギュラリティが訪れるのか、あるいは訪れないのかは未来のことのため予想するしかできません。
しかし、AI研究を行うレイ・カーツワイル氏は「2045年にシンギュラリティが起こる」と考えており、AIが人間の知能を超えることで、例えばテレパシーでの意思疎通が可能になるなど予測もできないことが生じると述べました。また、シンギュラリティにより起こり得る予想もつかない問題を「2045年問題」と呼んでいます。
シンギュラリティによる個人への影響

シンギュラリティは、SFの世界の出来事ではありません。すでにAIは人間では不可能なペースで演算を行い、未解明の出来事を紐解くきっかけを作ったり、あるいは解明したりしています。
シンギュラリティが起こると個人の生活はどうなるのでしょうか。予想される影響について見ていきましょう。
AIができる仕事は人間の仕事ではなくなる?
例えば事務作業は、反復単純作業を得意とするAIが担当すると予想されます。人間には不可能なスピードかつ正確さで作業を進めていくため、AIに仕事が取って代わられる可能性もあるでしょう。
その他にも、工場での流れ作業や検品作業、また、過去の判例と法律に照らし合わせる弁護士の仕事などもAIに向いている、あるいはAIのほうが適している仕事だと考えられます。
人にしかできない仕事は残る?
一方で、人間にしかできない仕事もあります。例えば保育士や介護士などの触れ合いが必要な仕事は、AIがどんなに発達し、仕事の一部、例えば力作業などはAIに任せるのだとしても人間が主導して行うことになるでしょう。
しかし、人間にしかできない仕事はシンギュラリティ後に必ず残るかというとそうとも言えません。AIができない仕事であってもニーズ減でなくなる可能性があるからです。
例えば伝統工芸作品は人の手で生み出しますが、工芸品を好む人がなくなれば、国などの団体が積極的に保護しようとしない限りなくなる恐れがあるでしょう。
ベーシックインカム制度が導入される?
AIの台頭により人間が担当する仕事が減っていけば、元気で働く意欲もあるのに収入を得られない人も増えてくるでしょう。そのような人々の生活を支えるために、毎月一定の現金を支給するベーシックインカム制度が導入される可能性もあります。
しかし、ベーシックインカムで最低限の生活が保障されると、積極的に自分で仕事を探そうとしない人々が増える可能性も考えられるでしょう。また、ベーシックインカム制度を支える財源はどう確保するのかという問題も生じます。
最後に

AIが人間の知能を超えることは、夢物語ではありません。現実にAIが活用されている場面は多く、人間の世の中もいつが特異点か分からないほど日々進化しています。
このような中で自分にできることやAIを理解することに努めることは必要なことです。AIを含む技術についての情報収集を積極的に行うようにしましょう。