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人事制度設計とは?会社が成長するためのノウハウ・ポイント

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公開日: 2020.12.21
更新日: 2021.03.23

退職者が増加し優秀な人材を逃してしまわないためには、適切な人事制度の設計が必要です。しっかりとした人事制度があれば、従業員は自分のことをきちんと評価してくれているなと感じ、モチベーションを維持したまま働いてくれるでしょう。

とはいえ、従業員が満足し、さらに会社も成長する人事制度の構築は簡単ではありません。この記事では人事制度設計のノウハウやポイントを解説するので、有効な人事制度構築にお悩み中の方はご覧ください。

目次
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人事制度設計とは

人事制度には大きく広義と狭義の2種類が存在します。広義の人事制度とは、福利厚生や人材教育・開発などです。一方、狭義の人事評価制度とはいわゆる人事評価制度を示し、具体的には「等級制度」「報酬制度」「評価制度」の3つがあります。

それぞれの制度の具体的な内容については、下記の通りです。

等級制度について

主に社員のモチベーションアップや組織体制を整えるために、役職や業務内容など仕事を遂行する際の分類を定めることが等級制度です。具体的には、能力・職務・役割の3つの観点から人材を序列化することを指します。人材を序列化しないと評価や昇格、報酬などその他の人事制度に関わる事項を決められません。等級制度は、人事制度の骨格とも呼べる部分なのです。等級制度は以下の3つに分類できます。

  • 能力等級制度…従業員の能力によって等級分け

  • 職務等級制度…仕事を価値ごとに仕分けし、価値の高い仕事を担当する従業員の等級を上げる

  • 役割等級制度…上記2つの制度のミックス。能力が高く価値の高い仕事をしている従業員の等級が高くなる

人事評価制度について

人材の育成や適切な配置を実現するために、評価基準や評価手法を定めることが人事評価制度です。適切な評価制度の導入によって、従業員のモチベーションをうまくコントロールできれば、経営戦略と結びつく人材を育てることも可能になります。従業員の会社への貢献度をもとに評価していくことになりますが、「何を」「どのように」評価するのかという点が重要です。

評価項目をどこに据えるのか、どの基準まで達すれば評価するのか明確に定めましょう。人事評価制度の主な評価項目は、以下の3つです。

  • 年功評価…年齢や勤続年数、学歴などに焦点を当てる評価制度

  • 能力評価…従業員の能力が高いか低いかを基準に評価する制度

  • 職務評価…従業員に与えた職務の内容を評価する制度

なお日本は長年、年功評価を主たる評価に据えていましたが、近年は能力評価に軸足が移ってきています。

賃金制度について

賃金制度では、給与やボーナスといった労働の対価として従業員に支給するお金に関するルールを定めます。報酬は評価制度と同等、もしくはそれ以上に従業員のモチベーションに影響を与えるため重要です。具体的には月給制か年俸制か、残業手当や退職金手当のルールを決めます。

人事制度設計の目的は大きく分けて3つ

人事制度を設計する目的は大きく以下の3つに分かれます。

人材のスキルアップ

人事制度を設計する目的のひとつは、人材のスキルアップにつなげることです。例えば、等級制度と報酬制度を組み合わせ、難易度が高い業務を担当する従業員には多く報酬を支払うとすれば、従業員はスキルアップのために努力するでしょう。

人材は製品・サービス、金と並んで企業存続のためには必要不可欠な資源です。競合他社との競争を勝ち抜くためには人材のスキルアップが求められます。

職場のモチベーションアップ

人事制度を設計する2つ目の目的は、職場のモチベーションアップです。各従業員のモチベーションが上がると、職場全体が活性化します。コミュニケーションが活発になり、上司からとやかく言われなくても主体的に業務に取り組めるようになるため、自然と生産性の向上につながるでしょう。その結果、最終的には会社全体の業績アップも達成できます。

事業戦略を突き進める

人事制度を設計することで、事業戦略を突き進めることが可能になります。

経営者の経営ビジョンや事業戦略は、それだけでは中々従業員に伝わりません。人事制度の構築によって従業員の意識に根付いていくものです。

例えばグローバルな企業を目指すのであれば、外国語を使いこなせる人材に対して役職や高年収の条件を用意するなどの仕組みを導入すれば、事業戦略が全ての従業員に浸透していくでしょう。

人事制度が機能しないと組織が傾く?

人事制度が機能しないと組織が傾き、最終的には倒産に追い込まれるかもしれません。なぜなら、従業員の離職が相次ぎ、企業の重要な経営資源となるヒトがいなくなってしまうからです。それくらい人事制度の構築は重要なことなのです。なぜ人事制度を導入したのにうまく機能しないのか、その理由を紹介します。

なぜうまく機能しないの?

人事制度がうまく機能しない大きな要因は、経営陣と従業員の間に意識のギャップがあるからです。経営層の立場からすると、人事制度を設計することが会社の業績アップにつながるので、実施へのモチベーションは高くなります。

しかし、従業員の立場からすると「今のままでもいいのになぜ制度を変えるのだろう」と疑問を抱く場合が多いです。必要性を感じていないまま取り組みが進められるため、従業員はモチベーションを維持することができません。

このような意識の違いが、人事制度設計の失敗を招く大きな要因です。また、人事制度改革は企業全体に関わる事案なので、経営層が積極的にコミットしトップダウンで進められがちですが、現場の従業員からすると上から押さえつけられる印象が強く、反発を抱いてしまいます。人事制度設計には適切な手続きがあるので、その流れに沿って進めるとうまくいきやすいです。以下では人事制度設計を構築する際の手順を解説します。

人事制度設計を成功させるノウハウ3つ

人事制度設計は手順に沿って一つずつ進めていく必要があります。1月に制度構築を開始した場合のスケジュール例を以下に示したのでご確認ください。

人事制度構築の手続きは7つの段階にも分かれ、第1段階から運用が開始されるまで1年以上も必要とされています。人事制度設計はやるべきことが多く、運用開始に至るまではかなりの時間を要するものなのです。以下では人事制度構築のために特に重要となる3つのノウハウを紹介します。

1.現状分析をしよう

まずは現状の分析から入りましょう。人事制度には多くの人が関わるため、捉え方や問題意識が多様になりがちです。一方、給与や評価制度に関して正しく理解している従業員は多くないでしょう。

できる限り実態を分かりやすく整理し、共通の認識を形成することが大切です。現状分析の方法としては、以下の2つの方法があります。

定量分析

人員構成や給与水準など数値として把握できる部分の分析です。例えば、給与が低いという問題提起があったとしても、この時点ではあくまで主観的な意見にすぎません。

基本給が低いのか、残業代も含めた総支給額の話なのか、どこの誰と比較して低いと感じるのかなど多面的・客観的な視点での分析が求められます。定量分析により、企業が抱える課題をできる限り具体化しましょう。

定性分析

社風や社員が抱える意識など数値では把握できない部分を捉えることです。定性分析によって、適切な人事制度構築の検討材料となる多くの情報が得られます。

例えば、職場でのコミュニケーションの様子や処遇に対する感想、仕事に対する働きがいなどの部分です。意識調査の手法としては、社員満足度調査の実施や個別面談によるヒアリングが効果があると言われています。

2. 方向性を擦り合わせよう

得られた情報を分析し課題の認識・共有が可能になったら、人事制度構築の目的や目指す組織像を明確化しましょう。人事制度構築の基本となる部分なので、社内で方向性をすり合わせることが大切です。

新たな制度の導入に当たっては給与テーブルや評価シート等、様々な資料を作成する必要がありますが、それが目的や目指す組織像から離れるとせっかくの制度も意味がなくなってしまいます。基本の方向性を軸に据えて、取り組みましょう。

3. 求める人物像の基準を作ろう

次に、自社が求める人物像の基準を作った上で、人事制度構築を進めることをおすすめします。経営理念やビジョンはあくまでも組織が目指す方向性を示したものなので、人事制度の指針としてはまだ曖昧です。

自社が求められる人材は何か、どんな人材を育てたいのか定めることで人事制度の基本方針ができあがります。もちろん、求める人物像の基準も経営理念やビジョンと方向性が一致する必要があるので注意してください。

成長企業が実践している人事制度3選

成長を遂げた企業は人事制度が機能しているケースが多いです。成長企業が実践している人事制度の具体例を3つ紹介します。

メルカリの制度

フリマアプリで一躍有名になったメルカリには「merci box」と呼ばれる独特な人事制度があります。

従来の日本企業の福利厚生制度は、住宅補助に代表されるような、みんなに一定額を支給する内容でした。メルカリはこれらとは逆の考え方を採用します。

具体的には、優秀な人材には成果を上げれば報酬や待遇をアップさせ、病気やケガ・家庭の事情などの理由で働けなくなった従業員には会社が全て面倒を見るというスタンスです。『Go Bold-大胆にやろう』のミッションのもと、思い切った制度を構築しています。

ディー・エヌ・エーの制度

設立からわずか20年足らずで急激な成長を遂げたディー・エヌ・エーは、ユニークな人事異動制度「シェイクハンズ」を導入しています。これは、直属の上司の承認なしで、異動先の部署と本人が合意に至れば異動できるという画期的な仕組みです。

ディー・エヌ・エーはもともと月に一回、キャリアマネジメントアンケートを実施し、従業員の仕事に対するやりがいを可視化していました。

アンケート結果をデータ化すると「今の場所で力を持て余している」と回答した割合が4割を超えたため、もっと柔軟に異動できる体制を整備しようとの考えに達したようです。

サイボウズの制度

サイボウズは2007年、9通りの働き方から選べる「選択型人事制度」を導入しました。働く場所と時間をそれぞれ3タイプから選択できるという内容です。例えば、労働時間は8時間未満で働く場所は全てオフィスで働くスタイルが選択可能となっています。

つまり、個人のライフスタイルに合わせて、時間を気にせず家で働いたりオフィスで定時まで働いたりと多様なワークスタイルが実現しました。加えて、2012年から「ウルトラワーク」を導入し、総労働時間の10%程度であれば、選択した働き方以外の働き方も可能に。

基本的にはオフィスで勤務し、子供の具合が悪くなった時だけ在宅勤務に移行することもできます。

実際に運用する時のポイント3つ

実際に人事制度を策定・運用する際は、以下のチェックポイントに従って進めましょう。

特に重要な3つのポイントについて解説します。

1.目標設定に気をつけよう

従業員が設定する目標が適切な水準だといえるか、注視してください。目標設定の考え方や記載方法をきちんと説明しても、実際に従業員に目標を設定させると物足りない内容のものが提出されるケースが多々あります。

これは個人の性格や業務への意識の高さなどにも影響を受けるため、仕方がない部分です。例えば、チャレンジ意欲に満ち溢れたAさんが設定する「努力すればギリギリで達成できるライン」と、保守的で競争を好まないBさんの「努力すればギリギリで達成できるライン」は異なるでしょう。

このような目標を上方修正することが、上司に求められる役割です。ただ、上司によっては部下とのコミュニケーションがうまくないタイプや会社の利益のことを優先的に考える人もいるため、そのような上司の下では目標水準が不適切なまま放置されてしまいます。

例えば、部下とのコミュニケーションが苦手な上司の場合、きちんとした努力目標についての話し合いがなされず目標設定の水準が低いままになりがちです。

また、会社の利益を優先的に考える上司の場合、挑戦的な目標は採用されず、保守的なスタンスが保たれるため目標水準が向上しないままになってしまいます。

2.評価のばらつきを放置しない

評価基準はできる限り明確で具体的な内容を据えましょう。上司によって評価の基準の解釈に大きな違いが生じるような曖昧な基準では、従業員の人事制度に対する信頼性が担保されません。ただし、誰もが同じ結果となるような基準を設定することは現実的ではありません。

評価基準の解釈は、立場や価値観の違いなどにも影響されるためです。人事制度の目的はミスをした社員を責めることではなく、将来の成長を促すことにあるので、部下に気づきを与えるルールとしてあまり杓子定規にならずうまく活用していきましょう。

3.フィードバックに注意しよう

部下が納得できるフィードバックをするために、フィードバックの内容や方法には細心の注意を払いましょう。客観的な事実を根拠に据え的確な評価を下すことが重要。

また、フィードバック以前に上司と部下に信頼関係があるかという点も大切になってきます。いくら正論を言われても、尊敬できない上司からの言葉では受け入れる気にはなれません。

最後に

人事制度設計のノウハウやポイントを解説してきました。有効な人事制度を構築すれば、職場のモチベーションアップにつながり、ひいては業績アップに貢献します。しかし、失敗してしまうと最悪、組織崩壊を起こす危険もあるため、導入には細心の注意を払わねばなりません。

本記事で紹介した手順に則り、注意点も意識しながら進めれば成功の確率を高められます。ぜひ理解し実践してみてください。