コストカットの正しい意味とは何でしょうか。また、最近よく使われるコストダウンやコストリダクションとの違いは何でしょうか?
コストカットとは英語の「Cost(費用)」+「Cut(削減する)」からきている言葉で、費用・経費を削減することです。今回は、コストカットの正しい意味と類義語との違い、コストカットのメリット・デメリットについて解説します。
コストカットとは?コストダウンとの違い
コストカットとは、字のごとくムダな費用・経費を削減することを意味します。企業の運営には家賃、人件費など様々なコストがかかりますが、企業の利益は単純に売上からコストを引いたものです。
売上-経費=利益
利益を上げるためには、売上を上げるかコストを削減する必要があります。売上は相手があるものなので急激に上げることは困難ですが、コストは自社の努力ですぐにでも削減することが可能です。つまり、企業にとって、コストカットとは利益アップを効率良く行うための手段であると言えるでしょう。
コストカットと似た言葉に「コストダウン」についても、詳しく説明いたしますので、言葉の違いについて把握しましょう。
コストダウンは和製英語
実は「コストダウン」は和製英語。つまり、日本でしか通じない言葉なのです。グローバル化がすすむ現代のビジネス環境では、海外の取引先とコスト削減について話し合う場面も多いでしょう。外国人と英語でやり取りをする際には、「コストダウン」という言葉を使わないように気をつけてください。相手は何を言っているのか、理解できない可能性が高いでしょう。
では、「コストカット」は外国人に通じるのか、気になるところですよね。コストダウンに比べれば、コストカットのほうが通じる確率は高いです。コストカットを英語で伝えるなら「cut costs」が正しい表現となります。「cost cut」は本来の文法としては正しくありません。
英語圏の新聞を見ていると、「cost cut plan」など「cut」を形容詞的な名詞として使っている表現も目にしますが、この辺りは英語ネイティブスピーカー同士特有の表現です。英語は外国語である日本人が使う場合は「cut costs」と正しい文法に従って使うようにしましょう。
英語の適切な言い方はリダクション
コストカットの英語表現について説明しましたが、ビジネスシーンにおいてはコスト削減を表現するならば、コストリダクション「cost reduction」のほうが適切でしょう。
コストカットとコストリダクションは「コスト削減」という大まかな意味は同じですが、以下のように細かいニュアンスが異なるからです。
- コストカット - 削減、切り詰める
- コストリダクション - 縮小、低減、緊縮
コストカットは「厳しく経費を切り詰める」コストリダクションは「削減していきましょう」というイメージです。
近年、日本のビジネスシーンでも、コストリダクションという言葉を頻繁に見聞きするようになりました。日本のビジネス用語として使われているコストリダクションも英語の「cost reduction」と同様、細かく切り詰めるのではなく「低減」の意味合いが含まれています。
特にエンジニアが活躍するITや建設業界での「コストリダクション」は、企画・立案段階から費用を削減する意味合いで用いられる場合が多く見受けられます。
コストカットを行うメリット
企業がコストカットを行うメリットは次の4点です。
社の純利益が上がる
企業の使命は「利益追求」ではないなど様々な意見もありますが、企業が将来への成長に向けて挑戦し続けるには利益追求を行うことは不可欠です。
前述のように、社の利益を上げるためには、売上を上げるかコスト削減のどちらかとなり、コストカットは最も効率良く企業の利益を上げる手段となります。
社員の賞与・福利厚生に回せる
純利益が上がれば社員の賞与アップや待遇の見直し、社員旅行や保養所の設立など福利厚生を充実させることもできます。社員にとっては大きなモチベーションアップに繋がるため、会社にとっても好循環となるでしょう。
新しい事業に資金が回せる
純利益が増えると新しい事業に資金が回せることになります。また、新規事業立ち上げ時の予算が多少不足していたとしても、決算が黒字なら金融機関などからの資金調達もしやすくなるでしょう。
不況に強い骨太な会社が目指せる
会社の利益が上がると不況に強い骨太な会社を目指すこともできます。
例えば、今回のコロナ不況で多くの倒産が相次いだ外食産業ですが、非接触型システムの導入やテイクアウトへのシフトチェンジに成功した一部の企業はむしろコロナ前より業績が好調です。
これらの対策はただその企業の発想力、実行力が優れていたからだけではなく、その対策が実現できる「原資」があったからなのは言うまでもありません。
このように日頃からピンチに備えて会社の利益をきちんと確保することは、どんな不況にも負けない骨太な会社を目指せるのです。
コストカットの3M(ムリ・ムダ・ムラ)とは?
徹底してコストカットを意識しているつもりでも、思わぬところにコストがかかっていることは少なくありません。経費が正しく、適正に使われているかを知るための指標として参考にしたいのが3M(ムリ・ムダ・ムラ)です。
3M(ムリ・ムダ・ムラ)は日々の業務効率化にも応用できる、ビジネスシーンに欠かせない考え方でもあります。ここではコスト削減において見ておくべき3M(ムダ・ムリ・ムラ)について解説していきます。
ムダのコストカット事例
「ムダ」のコストカット事例は次のような点です。
- PDFで済むのにペーパー書類を頻繁に使う
- 音声通話でなくても済むのに電話が多い
- 無駄な車移動や成果が不透明な出張が多い
何気なく使用しているコピーやプリントアウトを減らすように意識付けるだけで、電気代・インク代・用紙代など多くの費用が削減できます。
社外の人と接する機会の多い部署に多く見受けられるのは、音声通話の回数や無駄な車移動、成果が不透明な出張です。本当に必要な電話なのか、メールなどで要点を伝えて話す時間の短縮を図れないか、その移動や出張は必要なのか、いま一度確認してみてください。必要なもの不要なものを常に考えながら行動する意識改革を行いましょう。
ムリのコストカット事例
「ムリ」のコストカット事例には、次のようなものがあります。
- 社員が業務範囲を超えて疲弊している
- 古いPCをいつまでも使っている
- 社員の休憩所
少人数で無理に業務を回そうとして、社員が疲弊する状態を作ってしまうのは「ムリ」の典型例です。また、買い替えを控え処理速度の遅い古いPCをいつまでも使っていては、持続的に不効率となります。
社員の休憩所も人間にとっては大切なエネルギーです。日々のささやかな福利厚生部分をムリにコストカットするのは、避けるようにしましょう。
ムラのコストカット事例
「ムラ」のコストカット事例は次のような点です。
- 一部の人に業務が偏っている
- 経費の精算基準が一定でない
- 社員旅行は豪華だが報酬には反映させない
「同じような業務を行っているのに、一部の人だけ多忙で深夜まで残業、他は定時で帰宅。」ように一部の人に業務が偏ると、残業代や光熱費など、余分なコストを生じさせる原因となりかねません。なるべく全員が均等量の業務をこなして、定時で帰れるように努めましょう。
営業接待費や交通費などの精算基準も一定でないと、一部の人が余分な経費を計上しやすい状況を作ります。
また、社員旅行は豪華に海外旅行なのに、利益を社員の報酬には一切反映させないなどの「ムラ」も経営者の意向が伝わりにくい行為なので、この辺りもバランスが必要です。
コストカットのやりすぎはNG!デメリットを検証
コストカットは必ずしも全てのコストを見直すということではありません。やりすぎは逆効果になることもあります。
ここでは、なるべく削減するべきではない項目について見ていきましょう。
原価調整は商品・サービスの質を落とす恐れも
商品の質を落とすような原価調整は削減するべきではありません。ムリな原価調整を行うことで一時的には利益が出たとしても、いつか大きなクレームに発展しないとも言いきれないためその状態が長く続くことは期待できないからです。
自社の商品やサービスは企業の現在の状態を写す鏡である、ということを忘れないようにしましょう。
人件費のコストカットは最終手段
ビジネスに重要なのは「ヒト・モノ・カネ」の順番といわれます。これまで自社を支えてきたのも人材「ヒト」であり、将来においても良い人材「ヒト」なくして企業の成長は見込めません。
基本的に人件費のコストカットは選択肢に入れず、最終手段だと考えましょう。
コストカット企業必見!コンサルタントの役割
コストカットといえば、社員が注意を払って日々の経費を切り詰めなくてはならないイメージがありますが、それは過去の話です。昨今の企業におけるコストカットは、その道のプロが存在するほどの専門分野。彼らは光熱費や通信費をはじめとするランニングコストの大幅な削減まで、独自ノウハウと経験により実現してくれます。
ここでは、企業のコストカットに貢献してくれるコストカット専門コンサルタントについてご紹介します。
コストカットコンサルタント費用相場一覧
こちらはコストカット専門コンサルタント5社の費用相場一覧です。
社名 | 削減項目 | 費用・条件 |
株式会社プランシード | 水道光熱費 ガソリン代 法定点検 | 初期費用無し 固定:1契約¥5,000~ 歩合:年間削減額の50% |
株式会社ミューコーポレーション | 水道光熱費 固定資産税 車両費用 保険料 IT費用 事務費用 通信費 | 初期費用無し 固定:要問合せ 歩合:3年契約 初年度削減費用の50% 2年以降~30% |
株式会社リライオン | 水道光熱費 電話代 OA機器 通信費 自動車リース料 地代家賃 | 初期費用無し 電話代:1年間削減費用の50% 電気代:2年間削減費用の50% |
株式会社エフケイ | 光熱費 IT費用 通信費 保険料 その他 | 初期診断料5万円 全ての削減費用の50% |
トランスミック株式会社 | 光熱費 IT費用 通信費 HP費 顧客管理費 その他 | 初期費用無し 1年目のみ削減費用の50% ※他社切り替えプラン提示無し |
コストカット専門コンサルタント会社の削減対象は、水道電気代などの光熱費・携帯代・ネット回線・NTT固定回線などの通信費などです。初期費用はほぼ全ての業者が無料の成功報酬、報酬条件については年間削減費用の50%としているケースが目立ちます。
各業者によって費用に差が出る点は、契約年数と削減対象項目です。コストカットの対象を電気光熱費のみに絞っている業者の場合は、契約年数が2~3年と長期の契約条件が多く見受けられます。IT費用やHP費用、保険料から警備費など様々な項目を幅広く扱う業者は、契約年数1年のみと比較的短期間での契約が可能です。
いずれも現在受けているサービスの質を落とすようなサービスでなく、あくまで現状維持のまま料金プランや設備、器具の交換、業者との交渉などの方法で対応してくれます。
優良コンサルタント5社のサービスを比較
株式会社プランシード
株式会社プランシードは東京都渋谷区のコンサルタント会社です。削減対象項目は水道光熱費、ガソリン費、法定点検。報酬体系は固定と歩合の2通りあり、固定の場合は1契約月額¥5,000~と安価なので、お試ししやすいでしょう。コンサルへの年間総支払い費用を抑えたい方には固定料金がおすすめです。
株式会社ミューコーポレーション
株式会社ミューコーポレーションは東京都港区のコンサルタント会社です。
削減対象項目は以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 車両費用
- 保険料
- IT費用
- 事務費用
- 通信費
サービスの特徴は固定資産税等他社であまり取り扱っていない項目のコストカットが相談できる点と、歩合制の場合、2年目以降は報酬を削減費用の30%に減額してくれる点です。事務費用や保険料、税金まであらゆるコストの見直しにも協力してもらえるでしょう。
株式会社リライオン
株式会社リライオンは、東京都港区のコンサルタント会社です。削減対象項目は以下。
- 光熱費
- カーリース費用
- 保険料
- IT費用
- 事務費用
- 通信費
- 地代家賃
サービスの特徴は家賃やカーリース費用の交渉まで行ってもらえる点と、現在契約の業者から他社への乗り換え等が一切ない点です。家賃が高い場合、オフィスの引っ越しを提案してくるコンサルタントもいるでしょう。しかし、オフィスの引越しは影響が大きいため、簡単には決められません。その点、リライオンならば、家賃交渉をしてもらえます。
株式会社エフケイ
株式会社エフケイは名古屋のコンサルタント会社です。
- 光熱費
- IT費用
- 通信費
- 保険料
- その他
- 印刷費
- 荷造り運賃
- 事務用品
- 法定設備費用
エフケイは事務用品から荷造運賃に至るまでクライアントにあった内容を細かく分析。初回診断料は5万円かかりますが、ここに記載している削減対象以外にも様々な項目を診断してくれます。
株式会社トランスミック
株式会社トランスミックは東京都の八丁堀にあるコンサルタント会社です。削減対象は以下全ての項目を対応してくれます。
- リース料金全般
- 携帯電話
- 固定回線料金
- 複合機
- カウンター料金
- システム保守メンテナンス料金
- 基幹業務
- 顧客管理費
- 会計管理費
- ネットワークセキュリティ料金
- 電気代
- 設備維持費
- 警備費
- WEB・HP費
契約年数が1年と短く、契約終了後は引き続き割引された料金でサービスが使えることが特徴として挙げられます。光熱費のみでなく、幅広いコストの見直しにもつながるのがポイントです。この機会に全ての経費を見直したい場合は検討してみましょう。
最後に
今回はコストカットの正しい意味や類義語、メリット・デメリットについて解説してきました。
コストカットの正しい意味とは企業運営においてかかる経費、費用を適正に削減することです。自社にとって絶対に削減するべきではない経費、そうでない経費の項目を透明化し今一度よく見直すことから始めるようにしてください。
コストカットは成功すればメリットは多いですが、やりすぎのデメリットも踏まえ自社に適切な方法で実践するようにしましょう。