「配送ロボットを導入するとどのようなメリットがあるの?」
「配送ロボットにはどのような製品が実用化されているの?」
配送ロボットの導入を検討している企業の中には、実際にどのような機種があるのか分からない担当者も多いのではないでしょうか。
実は、配送ロボットの実証実験が各地で行われており、実際に導入して活用している企業もあるのです。
本記事では、配送ロボットを導入するメリットや今後の課題、導入事例、おすすめの配送ロボットを紹介します。
この記事を読んで、配送ロボットを導入する際の参考にしてください。
配送ロボットとは
配送ロボットとは、注文者のもとに人間の代わりに商品を届けてくれるロボットです。配送ロボットには、カメラやセンサーが搭載されており、360°認識しながら自動走行します。周囲の状況を瞬時に判断し、障害物にぶつからないように回避したり停止したりするので、商品の品質を損なわずに注文者のもとに届けることが可能です。
配送ロボットが注文者のもとに届くと、自動音声による電話で到着を知らせ、注文者が事前に伝えられている暗証番号を入力して解除すると商品を受け取れる仕組みになっています。電話で到着を知らせてくれるので、少し外出していてもすぐに戻って商品を受け取れるだけでなく、暗証番号が設定されているため、第三者に中身を奪われる心配もありません。
エストニアやアメリカの一部州では法整備が進み、歩道の走行が認められているので、今後世界各地で配送ロボットによる宅配サービスが普及することが予想されます。日本ではまだ配送ロボットは普及していませんが、2019年の9月に「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」が設立され、2020年度からはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」を始めました。
各地で実証実験が始まり、日本でも配送ロボットの市場は広がるので、積極的に配送ロボットの導入を検討してみましょう。
配送ロボットの2つのメリット
配送ロボットを導入するメリットを紹介します。主なメリットは以下の2つです。
- 別の依頼を同時進行できる
- 人手不足を解消できる
順に紹介するので、配送ロボットを導入するかどうか決めるときの参考にしてください。
(1)別の依頼を同時進行できる
配送ロボットを導入することで、複数の依頼を同時に進行することができます。人間だけで配達を行う場合は、人手の数しか同時に依頼をこなせませんが、配送ロボットを活用することで、人手+配送ロボットの分だけ依頼をこなすことが可能です。
依頼が多いときは、全てのリソース(人手+配送ロボット)を使ってこなすことができますし、依頼が少ないときは、配達を配送ロボットに任せて、人手を清掃や接客等の他の業務に回せるため、業務効率が向上します。配送を行う業種は、依頼数が売上に直結するので、なるべく多くの依頼を効率良く受けられるように、配送ロボットを導入して配送体制を整えておきましょう。
(2)人手不足を解消できる
配送ロボットに配達を任せることができれば、その分配達に必要な人員を削減できるため、人手不足の解消につながります。コロナ禍により宅配件数が急増し、配達員への負担も増加傾向にあるため、人手を確保することが難しくなっているのが現状です。
また、売上を確保するために宅配サービスを始める企業が増え、ライバル企業が増えたことも人手不足に影響しているでしょう。配送ロボットを導入すれば、配達要員を確保しなくても消費者にサービスを提供できるため、人手不足に悩んでいる企業におすすめです。
配送ロボットの2つの課題
配送ロボットを導入する上で突き当たる課題を紹介します。特に配送ロボットの大きな課題は以下の2つです。
- 到着するまでに時間がかかる
- 臨機応変に対応できない
順に紹介するので、配送ロボットを導入する上で、どのようなデメリットがあるのか把握しておきましょう。
(1)到着するまでに時間がかかる
配送ロボットは移動スピードが遅いため、注文者のもとに到着するまでに時間がかかるのがデメリットです。人間が配達する場合は、トラックやバイクなどに乗って時速40~60kmのスピードで移動するので、交通状況によりますが、ある程度離れた場所でも早く届けることができます。
しかし、配送ロボットの移動速度は時速5km前後なので、自転車で走行するよりもやや遅めです。配達先が遠くなるほど時間がかかるので、1km圏内でなければ配送ロボットによる配達は現実的ではないでしょう。そのため、配送圏内を絞ったり、病院や介護施設などの私有地内で活用したりするのが無難といえます。
(2)臨機応変に対応できない
配送ロボットは、事前に設定しているルートしか配達できないので、臨機応変に対応できない点もネックです。たとえば、配達したにもかかわらず注文者が不在で受け渡しができなかったとき、人間であれば、再配達の連絡がきたときにすぐに切り返して届けられますが、配送ロボットの場合は、途中のルート変更などができません。
一度に配達できる量も少ないので、受け渡しができなかったときが、無駄な動きになってしまうでしょう。ただし、きちんと決められたルートは必ず進行するため、信頼度は高いといえます。
配送ロボットの2つの導入事例
配送ロボットの導入事例を紹介します。今回紹介する導入事例は以下の2つです。
- 楽天と西友が横須賀市で期間限定導入
- ローソンとZMP in 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが実証実験
順に紹介するので、実際にどのように導入されたかチェックしましょう。
(1)楽天と西友が横須賀市で期間限定導入
楽天と西友が横須賀市で、西友馬堀店の商品を配送ロボットで自動配送するサービスを2022年3月23日~4月22日の期間限定で実施しました。導入された配送ロボットはパナソニック製で、周囲を監視するためにLiDAR(対象物や距離を測るシステム)やカメラが搭載されています。
この配送サービスでは、楽天ペイの注文サイトから商品を選択し、配送先と配達時間帯を入力して注文する方法と、西友馬堀店で購入した商品をサービスカウンターに持参し、配送ロボットによる配達を依頼する方法を設けました。本実証実験では、多くの人に利用してもらうために、以下の配送枠を用意して利用料を無料にして実施。
- 積載可能な容量はスーパーの買い物カゴ4杯分
- サービスは期間中の火曜・木曜日のみ計10日間が対象
- サービス受付時間は10時~15時30分
- 配送枠は各日11時発、12時発、13時発、14時発、15時発、16時発の計6枠
- 注文できる商品は米や飲料、菓子、調味料、日用品などの計約400点
- 生鮮食品や要冷蔵・冷凍食品、割れ物などは対象外
時速4kmでブロック内の公道を自走して注文者のもとに到着したら、自動音声により到着を通知します。注文者はロボットの側面にある操作パネルに暗証番号を入力して扉を解錠して、商品を受け取る流れです。このサービスの利用者からの評判はよく、「今後も継続して利用したい」という声が挙がっています。
この実証実験は、配送ロボットが公道を走行するのは国内で初めての試みだったので、多くの人から注目を集めました。今回の配送ロボットによるサービスによって、小売業でも配送ロボットが活躍することが証明されたといえるでしょう。
(2)ローソンとZMP in 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが実証実験
ローソンが慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス内で、宅配ロボット「CarriRo® Deli」で、世界初となるコンビニ商品の無人配送サービスを実証実験しました。配送の利用者は、専用のアプリをスマホにインストールして、ユーザー登録を行い、ローソンの商品を注文します。本実証実験では、注文を受けるとキャンパス内の仮説店舗からCarriRo® Deliが配達拠点に商品を届ける流れでした。
注文者のスマホにQRコードが送られ、CarriRo® Deliのカメラにかざすと商品が入ったロッカーが開く仕組みで、第三者に商品を取られないためのセキュリティ対策が実施されていました。配達時間の指定ができ授業が終わるころに配達がくるので、休憩時間を無駄にせずに済む点が学生から好評だったことから、大学や病院など特定の範囲内で利便性の高いサービスとして普及することが期待できるでしょう。
おすすめの配送ロボット2選
おすすめの配送ロボットを紹介します。今回紹介する配送ロボットは以下の2つです。
- DeliRo( 株式会社ZMP)
- YAPE(株式会社DroneFutureAviation)
順に紹介するので、配送ロボットを選ぶときの参考にしてみてください。
YAPE【株式会社DroneFutureAviation】
YAPE(株式会社DroneFutureAviation)は、日本郵便が実証実験を行ったことがある自動配送ロボットです。30%の傾斜や7㎝の段差でも走行できる設計になっているので、凹凸した道でもラクラク配達できます。最先端の通信技術が用いられ、リアルタイム通信ができるため、最適な配送ルートの選択や周囲とのコミュニケーションが可能です。
最大積載量が20kgまでなので、1回の買い物分の量は十分配達できるでしょう。駆動時間が8時間と長めなので、広い敷地内で利用したい企業は、導入を検討してみてください。
- 価格
- 要問い合わせ
- ロッカー内寸(幅×奥行×高さ)
- 要問い合わせ
- 最大積載量
- 20kg
- 移動速度
- 最高速度6km
- 駆動時間
- 8時間
- 充電時間
- 要問い合わせ
DeliRo【株式会社ZMP】
DeliRo( 株式会社ZMP)は、自動運転技術を搭載した宅配ロボットです。ZMPが開発した自動運転ソフトウェア「IZAC」が搭載されており、カメラやレーザセンサーで360°把握しながら、最大時速6kmで自走走行します。DeliRoには、1ボックス、4ボックス、8ボックスの3タイプあり、荷物の大きさに合わせて使い分けることが可能です。
たとえば、冷たいものと温かいものを注文するときは、4ボックスタイプを選び、別々に積載することが可能です。最大で50kgの荷物を運んでくれるので、自分の手で持ち運ぶのが困難な商品を購入したときは、配送サービスを利用するのもよいでしょう。見た目もチャーミングで、目や音声で周囲とコミュニケーションを取ることもできるため、利用者を楽しい気分にしてくれます。施設や観光地など、利用者を楽しませる一環として導入したい企業におすすめの配送ロボットです。
- 価格
- 要問い合わせ
- ロッカー内寸(幅×奥行×高さ)
- 52×52×40(cm)
- 最大積載量
- 50kg
- 移動速度
- 最高速度6km
- 駆動時間
- 約4時間
- 充電時間
- 1時間
まとめ
配送ロボットは、ヨーロッパを中心に市場が拡大しています。日本ではまだ普及していませんが、労働人口の減少に伴い、市場が広がる可能性は高いです。今回紹介した導入事例やおすすめの配送ロボットを参考に、自社のニーズに合った配送ロボットを導入してみてください。