起業で使える助成金の探し方は?シーン別におすすめの助成金を紹介

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起業家の多くが、「助成金は、申請すればもらえるお金だから必ず利用すべき!」と言われた経験があるのではないでしょうか。しかし、今まで助成金に縁のなかった人にとっては、メリットより手間がかかる面倒臭さが上回るように感じるかもしれません。この記事では、比較的利用しやすいポピュラーな助成金を紹介しています。

起業そのものを支援するような助成金やサポートメニューもありますので、「まだ起業したばかりで実績がないから……」などと思わずに、まずは助成金の基礎知識に触れてみましょう。

目次
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助成金ってどんなもの?

助成金とセットで登場する補助金という言葉。助成金と補助金の微妙な違いには落とし穴もあります。申請する前に確認しておきましょう。

補助金と助成金の違い

なんとなく使っている補助金と助成金という言葉ですが、実は微妙なニュアンスの違いがあります。どちらも事業のサポートのために支給され、返済不要という点では同じですが、支給されるまでの手続きが若干異なるのです。

まず補助金は期間内に申請し、審査を経て採択されれば支給されます。申請しても、審査を通らなければ支給されないこともあるのがポイントです。中には倍率が数十倍になるようなものもあり、そういった補助金はプレゼンによる審査会が実施されることもあります。助成金に比べてまとまった金額のものが多いのは魅力ですが、採択されなかった場合は申請に使った時間も無駄になってしまうことは、念頭に置いておきましょう。

いっぽう助成金は、一定の要件を満たしていれば必ず支給されます。金額はそれほど大きくないものが多いですが、申請さえすればもらえるお金ですので、ぜひ活用したいところです。助成金は審査がない代わりに予算があらかじめ決まっていて、予算がなくなると受付終了になるケースも。日頃から情報のアンテナを高くしておくことが大切です。

なお、補助金と助成金に共通していることが、基本的には後払いだということ。補助金・助成金の振込がされるまで、一旦は自己資金での立替えが必要になりますのでご注意ください。

助成金は申請しないと損!

助成金は、要件を満たせば必ずもらえるだけでなく、返済が不要なお金です。創業当初は利益も出ず、資金繰りは苦しくなりがち。そんな状況下では金額の大小に関わらず助かるものです。助成金がもらえるかどうかは、助成金の存在を知っているかどうか、申請手続きを期限内にしたかの2点にかかっています。

助成金の中には自治体や商工会独自のものもあるので、日頃から地元商工会や行政書士、税理士などと接点を持っておくと、情報を得やすくなるでしょう。また、商工会の会員になっておくと、補助金や助成金の申請に必要な書類作成も手伝ってもらえます。起業したばかりの頃こそ、地元の商工会とうまく付き合っていきましょう。

創業時に必ずおさえたい助成金

創業時に使い勝手のよい、定番の助成金を紹介します。起業を考えているなら、自分の会社で使えないかまず確認してみましょう。

キャリアアップ助成金

創業時にも使える企業向けの助成金で認知度も高いのがこの「キャリアアップ助成金」です。この助成金の目的は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促し、雇用を安定化させること。アルバイトやパート、契約社員などの非正規雇用労働者を、契約期間の定めがない正社員などに契約形態を変更する際に使えます。要件を満たせば、従業員1人あたり国から15万〜40万円支給されることもあり、決して小さな金額ではないだけに見逃せません。

パートやアルバイトに依存した職場は、スタッフがどうしても流動的になります。スタッフが入れ替わるたびに業務の引き継ぎを行っていると、なかなか長期的な人材育成まで手が回らず経営効率が悪化してしまう原因にもなりかねません。スタッフが長く働いてくれれば現場が安定し、業務効率の改善も期待できます。

また、従業員を正社員化すると離職率が下がる傾向にあるため、対外的に社員の定着率が高い会社であることをアピールすることも可能に。結果として新規採用でも、より良い人材を雇用しやすくなるのです。会社の成長を考えるならば、社員の定着率は重要視すべきポイントですので、キャリアアップ助成金を活用して雇用の安定化をはかりましょう。

キャリアアップ助成金は、ただアルバイトを正社員に転換すればもらえるわけではありません。キャリアアップ計画書を策定し、それに基づいて半年間人材教育を実施する必要があります。そのため、起業してすぐ人を雇用するとすれば、キャリアアップ助成金の申請は少なくとも起業から半年後となります。申請から審査結果が出るまで3~4ヶ月、結果発表から振込がされるまではそこからさらに3~4ヶ月ほど時間がかかるため、資金繰りのスケジュールには十分余裕を持たせておきましょう。

なお、キャリアアップ助成金はアルバイトの正社員化だけでなく、人材育成、健康診断制度の導入など、従業員の労働環境を良くする目的で全8コースから選ぶことが可能です。詳しくは厚生労働省ホームページをご確認ください。

小規模事業者持続化補助金

こちらは補助金になりますが、補助金の中でも比較的ポピュラーで採択もされやすいものです。この補助金では、小規模事業者の定義を「本人、会社役員、パートなどを除く従業員が20人以下の事業者」としています。

小規模事業者は資金的余裕がなく、ホームページやチラシ作成などにかける予算が十分ではありません。小規模事業者の販路開拓を手助けするために設定された補助金で、起業したばかりの頃に必須となる用途が網羅されています。例えばホームページ制作、パンフレット・チラシ制作、インターネット広告、業務効率化のためのシステム導入、店舗改装費などが対象となっており、販路開拓や業務効率化のためであれば幅広く利用できる使い勝手の良い補助金です。

優先順位をつけたときにどうしても後回しにしてしまいがちな販促費ですが、小規模事業者持続化補助金を使えば、創業したばかりの時期でも積極的にお客さまを集めるための戦略を打っていくことができるでしょう。商工会議所が主体になって運営している補助金なので、管轄エリアの商工会が申請の窓口となっています。

補助金や採択事業にチャレンジしてみよう

補助金は必ずしも採択されないのがデメリットですが、もし採択されれば金額も比較的大きいので、資金繰りを助けてくれるでしょう。

会社の力を底上げするために、また将来のための投資を行うためにも、補助金の申請をチャレンジしてみてください。ここでは、代表的な採択事業と補助金を紹介します。

地域中小企業応援ファンド

地域中小企業応援ファンドは、無利子の貸付金です。地域によって「こうち産業振興基金」「えひめ中小企業応援ファンド」と名前は若干変わります。厳密には貸付金なのですが、平均的な貸付期間が最長10年間と比較的長く、さらに無利子であるということで、補助金に準ずる存在としてよく知られているファンドです。このファンドは、中小企業を支援する「中小機構」という公的な団体と、都道府県や地方銀行が共同出資することで成り立っています。

地域中小企業応援ファンドにこれまで採択された事例としては、「多摩産材使用低環境負荷型木材乾燥機の開発」、「八丈明日葉深入り健康カレーの開発」など地域資源を活用した公益性の高い事業が多いことが特徴です。利益を追求するだけでない、社会のためにもなる「社会起業」を考えている起業家にとっては獲得しやすい補助金かもしれません。

地域中小企業応援ファンドは2つの型に分かれており、「スタート・アップ応援型」と「チャレンジ起業応援型」のどちらかから選ぶことになります。起業を志す方は、主に創業者を対象とした「スタート・アップ応援型」を選ぶことになるでしょう。

この補助金について詳しくは、中小機構のホームページでご確認ください。

IT導入補助金

中小企業が業務効率化のためにIT(ソフトウェア)を導入する際に使える補助金です。国が運営するもので、比較的採択もされやすいためよく知られています。レジシステムの導入、在庫管理、会計ソフトやホームページの作成まで対象となっており、かなり使い勝手が良いのでぜひ活用したいところです。

補助の対象となるのは中小企業と小規模事業者で、飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護のほかサービス業や製造業など、幅広い業種が対象となっています。ただし、補助金を使用して導入できるITツールは、経済産業省の認定を受けたものだけという点にはご注意ください。対象のツールはIT導入補助金のホームページから確認することができます。

IT導入補助金の申請は、オンライン申請のみ対応となっています。申請に必要なIDの取得に2週間ほど時間がかかるため、申請を検討している方は早めにIDだけでも取得しておきましょう。採択が決まる前に行った取り組みは補助の対象外です。採択されるとは限らない補助金ですので、焦らず結果を待ってからIT導入を進めていきましょう。

なお、2020年は新型コロナ対応の特例として、テレワーク支援ツールやテレワークに必要な備品(PCなど)のレンタル代も対象となりました。2022年度についてはまだ実施の発表がされていませんが、IT化推進の流れが強まっているのもあり、引き続き実施されるとの見方が強くなっています。仮にIT導入補助金という名前ではなくなったとしても、何らかの形でIT導入に関する補助金が設定されるのではないでしょうか。

女性起業家が使いやすい助成金

女性起業家の割合は、近年増加傾向にあるものの、全体から見るとまだまだ少数派です。日本の発展には男女ともに活躍できる社会づくりが欠かせません。女性は様々な社会的要因で起業がしづらいのが現状ですが、だからこそ、女性を応援する助成金も存在しています。

ここで紹介するのはいずれも東京都の助成金ですが、日本各地で女性を対象とした助成金が設置されています。使える支援制度はしっかり活用して、自分らしい起業を成功させましょう。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

こちらは、東京都が実施している助成事業です。東京都内の商店街で女性もしくは若手男性(39歳以下)が起業する場合、起業資金として最大730万円が助成されます。助成対象は個人事業主のみで、法人は対象外となっているのでご注意ください。

助成対象の業種も幅広く、卸売業・小売業、不動産・物品賃貸業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、サービス業など多種多様です。物件の賃借料や物件改装費も対象となっているので、初期投資を抑えるだけでなく、当面のランニングコストの負担も大きく軽減することが可能になっています。採択率は3倍前後で推移しているようです。

対象経費

下記の合計で最大730万円

事業所整備費(店舗新装・改装工事、設備・備品購入、宣伝・広告費) 400万円

実務研修受講費 6万円

店舗賃借料 1年目:月15万円、2年目:月12万円

※「店舗新装・改装工事費」と「設備・備品購入費」の申請は必須となっています。

※交付決定日前の工事や設備購入等は対象となりません。

申請方法や審査について

参加必須ではありませんが、事業説明会が開催されていますので、参加すれば事前相談が可能です。申込みにあたってはホームページからエントリーし、申請書類は東京都中小企業振興公社へ持参もしくは郵送となっています。

女性・若者・シニア創業サポート事業(東京都)

東京都と信用組合・信用金庫が協力して行っているのがこの事業です。信用組合や信用金庫は地域密着の金融機関なので、個人事業主や中小企業の強い味方と言えるでしょう。女性・若者・シニア創業サポート事業の対象となるのは、女性、39歳以下の若者、55歳以上のシニアでこれから起業する、もしくは起業から5年以内の人です。

東京都の事業のため、東京都内に拠点を置く必要があるほか、地元金融機関の支援を受けるため、地元に貢献できるような事業内容であることが条件。このサポートを受ければ個別相談会に3回参加できるほか、セミナーにも無料で参加することができます。

また、無担保・低金利で融資を受けることが可能です。金利はなんと固定金利で1%以下と、驚きの低金利。融資を受けた後も最大5年間の経営サポートを受けることができ、長期間にわたって伴走支援してくれる至れり尽くせりのサポート事業となっています。

対象経費

規定なし。融資金額最大1,500万円。うち運転資金は750万円まで。

申請方法や審査について

各金融機関の伴走サポートを経て、融資の審査が行われます。事業計画書の作成についてもサポート対象です。

地域限定の助成金の探し方

助成金は、国、都道府県、自治体、民間団体など様々な団体が設置しているため、自分にぴったりの助成金を探すのは一苦労です。ここでは比較的多くの補助金・助成金が網羅された検索サイトを3つご紹介しますので、条件検索などを駆使して、効率よく助成金を探しましょう。

みんなの助成金

行政書士・社労士・税理士・会計士・弁護士・中小企業診断士など小規模事業者を支援するプロが厳選した助成金をまとめたサイトです。随時情報は更新され、締切りが迫っている助成金から順に探すこともできます。助成金に関するコラムも多数掲載されていて、助成金についての知識を深めることができるサイト構成です。

https://www.minnano-joseikin.com/

ミラサポplus

中小企業庁管轄の中小企業向け情報ポータルサイトです。ミラサポから名称が変更になり、情報量も増えてパワーアップしました。補助金や助成金だけでなく、中小企業のサポートメニューをワンストップで検索できるようになっています。利用にはアカウント登録が必須となっており、国の補助金の中にはミラサポplusを利用して申請するものもあるので、起業するのであればアカウント登録をしておきましょう。コロナ対策の持続化給付金についても詳しくまとめられています。

https://mirasapo-plus.go.jp/

J-Net21

中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する中小企業向けの総合情報サイトです。ミラサポplusと併せて利用している経営者の方も多くなっています。ニュースやトピックスといった読み物コンテンツが充実しており、補助金や助成金の検索だけでなく、日常的な経営情報の収集にも役立つでしょう。起業家であれば、ブックマークしておいて損はないサイトです。

https://j-net21.smrj.go.jp/

最後に

助成金や補助金は申請自体が面倒に感じますが、元手がゼロでも資金調達ができる貴重な手段です。融資と違って返済する必要がないので、会社の資金繰りを助けてくれるでしょう。

資金的に余裕のない創業期であれば、助成金を獲得するための手間は惜しまず、とにかく挑戦してください。必ず受給できる助成金はもちろんですが、審査のある補助金であっても実際は倍率がそれほど高くない場合もあります。

経営情報のポータルサイトを使えば検索も簡単にできますので、まずはどんな支援制度があるのか探してみるところから始めましょう。

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