プレゼンテーションとは、相手が知りたい情報を伝えて行動を促す技術です。聴き手の要望を認識し、こちらが望む意思決定を行ってもらわなければなりません。本記事ではプレゼンテーションの意味や行う内容、成功させるポイントについて紹介します。
プレゼンテーションとは?わかりやすく説明
プレゼンテーションとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?その意味について説明し、発表との違いについても紹介します。
聴き手に行動してもらうための提案技法
プレゼンテーションは聴き手が望むものを認識し、行動を起こしてもらう提案技法です。ただ伝えるだけではなく、聴き手が理解して行動することを目的とします。主体は伝える側でなく聴き手であり、行動を促すだけの確かな提案ができなければなりません。
発表との違いとは
プレゼンテーションは発表とは異なります。発表は聴き手に自分の考えや思いを伝え、話の内容を理解してもらうことが目的です。聴き手に内容を理解してもらえば目的を達成します。聴き手の理解に重きを置いており、そのための資料を準備しなければなりません。
理解を得るために、話し方にも工夫が必要です。プレゼンテーションも聴き手に理解を求める点では、発表と同じです。プレゼンテーションは何らかの行動を促すことを目的としているということが、発表との大きな違いでしょう。
プレゼンテーションで行う3つのこと
プレゼンテーションで行うべきことは、主に次の3つです。
1.ヒアリングして現状を知ること
プレゼンテーションを行う目的を定めたら、聴き手について理解しなければなりません。聴き手はどのような人で、何を求めているかを知ることから始めます。
聴き手を見極め、現状について情報を集めましょう。聴き手となる人にヒアリングを行うことも大切で、聞き手の立場に立ち、要望についてしっかり把握しましょう。
2.問題を分析して把握すること
ヒアリングをもとに、現状を分析します。問題点を明らかにし、問題が発生している原因は何かを考えましょう。聴き手の要望をかなえるために何が障害になっているか、何を提案したら解決に向かうかを考え、具体的な解決策を見出します。
3.解決策を提案すること
導き出した解決策の提案は、プレゼンテーションの要となる部分。実際にプレゼンテーションする際は、ただ解決策を伝えるだけではなく、理解を得るために伝え方を工夫することも大切です。
わかりやすくゆっくり話す、声のトーンを高めにする、身振り手振りも交えるなど、聴き手を話に惹きつける工夫をしましょう。聞き手が具体的なイメージができるよう、例え話を入れるなどを入れるのも一つの方法です。
プレゼンテーションの場面と手法
プレゼンテーションは、様々な場面で行われます。ここでは、具体的な場面ごとにプレゼンテーションの手法について紹介しましょう。
新しい企画の提案の場合
プレゼンテーションは限られた時間のなかでできるだけ多くの情報を伝え、行動を促さなければなりません。そのためにはまず結論を伝え、具体的な行動を提案します。そのあと、根拠を話すという流れが基本です。
新しい企画を提案する場合もこの流れで伝えましょう。聴き手に取ってもらいたい行動は企画の採用です。そのためには、企画の趣旨を理解してもらわなければなりません。
プレゼンテーションの聴き手は直属の上司や部長クラス、経営者層など様々で、聴き手が求めていることもそれぞれ異なります。そのニーズを明確にし、期待に添える内容を伝える必要があるのです。
直属の上司であれば、上位者に企画を通してもらうためにその魅力を伝えることが必要。企画内容がどのような目標を達成できるのかについて、市場調査のデータなど客観的な情報を集めてプレゼンテーションするとよいでしょう。
経営視点で組織の収支に責任を持つ部長クラスには、企画の実現可能性や収支への貢献度を伝えます。具体的な数値を用いてプレゼンテーションしてください。決定権を持つ経営者層には、経営への貢献度や費用対効果などを、具体的な数字を使って説明しなければなりません。
用意する資料には、重要な項目だけを入れるのがポイントです。最も伝えたい内容が簡潔にわかる情報だけを記載したシンプルなものを作りましょう。
会社説明会の場合
就活生を対象にした会社説明会で取ってもらう行動は、採用試験への応募です。そのためには、多くの情報を提供して企業の魅力を伝えなければなりません。
ここでもプレゼンテーションの基本である結論を先に伝えて根拠を伝える流れを忘れないようにしてください。説明会に必要な資料は、会社の魅力を伝えるポイントを押さえたシンプルなものにしましょう。
話し手には、学生からの質問に応えられるエース級の社員が理想的です。プレゼンテーションするときは就活生が入社後のイメージは持てるよう、できるだけ具体的な会社のビジョンを伝えます。
上司への報告の場合
上司への報告もプレゼンテーションの一つであり、取ってもらいたい行動は現状の理解と適切なアドバイスをもらうことです。上司が求めていることは簡潔でわかりやすい報告なので、できるだけ短い時間で要点をまとめなければなりません。
ここでもプレゼンテーションの基本を忘れず、結論を先に伝え、結論に至った経緯を伝えます。理由がたくさんある場合にすべて並べると把握しづらいため、多くても3つ程度にまとめることがポイントです。作成する資料も、要点を押さえた簡潔なものを作るようにしましょう。
プレゼンテーションの組み立て方
プレゼンテーションの組み立て方には一般的な構成のほか、いくつか有効な方法があります。より説得力のあるプレゼンテーションにするため、構成の組み立ては必ず行いましょう。
一般的な方法
プレゼンテーションでは、「序論・本論・結論」の順で構成する方法が一般的です。「序論」はプレゼンテーションの導入で、テーマや話す理由を伝えます。
導入は聴き手の心をつかむ大切な部分であり、ここで聴き手の興味を惹きつけることが大切です。聴き手の悩みや要望に対し「このようなことで悩んでいるのでは?」と問いかけをすれば、共感を得て「話をもっと聴きたい」と思ってもらえるでしょう。
さらに、時事ニュースや世間話などをして聴き手の緊張をほぐせば、和やかな雰囲気になって本題へと入りやすくなります。「本論」は、プレゼンテーションで伝えたいことを話す部分です。聴き手が得られる利益は何かを伝え、具体的な提案を行います。
例えば自社製品をアピールする場合は価格や性能など具体的なデータを示し、聴き手にどのようなメリットをもたらすかを伝えるのです。「結論」は締めくくりの部分で、導入で伝えたテーマを振り返り、話をまとめましょう。
DESC法
DESC法は次の4つを順に組み立てる構成です。
- Describe:客観的な事象の説明
- Express:客観的な事象についての意見
- Suggest:解決方法や対処の提案
- Consequence:解決方法や対処によって得られる結果
DESC法は、問題を解決するためのプレゼンテーションに向いている構成です。最初に客観的な事実を説明し、それに対する主観的な意見を伝えます。続いて解決策を提案し、得られる結果を説明するという流れです。
問題点をいきなり伝えるのではなく、客観的な事実を説明することで問題点が正しいことを伝え、解決策の提案に説得力を与えます。
PREP法
PREP法は次の4つで構成されています。
- Point:結論をポイントで述べる
- Reason:伝えたい理由を示す
- Example:理由の根拠となる具体例を話す
- Point:再度結論を伝えて締める
まず最初に伝えたい結論をポイントで話します。先に結論を話すことで聴き手に疑問を与え、そのあとに話す理由と根拠によって深い理解に辿り着けるでしょう。最後に再び結論を伝えることでより話に説得力を持たせ、聞き手の記憶に残ります。
仮に結論を最後に後回しにした場合、聴き手はずっと何が言いたいのかわかりません。本当に伝えたいことが最後までわからないために、話に飽きてしまう可能性があります。
プレゼンテーションを成功に導く6つのポイント
プレゼンテーションを成功させるためには、いくつかのポイントがあります。次の内容を意識するようにしてみましょう。
1.話し手ではなく聴き手を主役にすること
プレゼンテーションの主役は、話し手ではなく聴き手です。自分が伝えることをメインにするのではなく、聴き手が何を聴きたいかという視点に立ちます。聴き手が望んでいることは何かを考え、期待に応える提案を行うことが大切です。
2. メリットを提供し裏付けを示すこと
プレゼンテーションの最大の目的は、聴き手にメリットを伝えることです。人は自分にメリットがある内容に惹きつけられます。プレゼンテーションの最初にメリットを伝え、それを裏付ける根拠を示すことが成功の秘訣です。
3. ストーリー性を盛り込むこと
話にストーリー性を盛り込むことも、プレゼンテーションを成功させるポイントです。体験談やエピソードを使って聴き手の興味を惹く手法としてストーリーテリングがありますが、これをプレゼンテーションに応用することで良い効果が得られるでしょう。
聴き手の感情を動かすことで、印象に残りやすくなります。
4. 資料の情報は必要最小限のみにすること
プレゼンテーションの資料は、ポイントを押さえたシンプルな内容にしましょう。情報をすべて盛り込もうとすると、本当に伝えたいことがうまく伝わらなくなります。無駄を省き、一番伝えたいことを明らかにすることがコツです。
5. 時間を明らかにしてその通りに進行すること
タイムマネジメントも、プレゼンテーションでは大切です。冒頭でテーマと時間を明らかにし、その通りに進行します。時間をオーバーする、早めに終わるといったことは極力避けなければなりません。リハーサルを行い、時間通りに進行できるようにしっかり準備してください。
6. 解決の先もイメージさせること
解決策の提示で終わるのではなく、解決の先をイメージさせることもプレゼンテーション成功の秘訣。商品の購入が目的であれば、購入後の特典やアフターサービスを提示します。聴き手が考えていた以上のメリットを提示することで、よりプレゼンテーションの効果は高まるでしょう。
最後に
プレゼンテーションはただ伝えるだけではなく、聴き手の行動を促す手法です。行動を促すには、聴き手を主役として考え、その立場に立って伝えなければなりません。
プレゼンテーションを行う場面は様々ですが、状況ごとに聴き手に求める行動を考え、適切なプレゼンテーションを行いましょう。