RPAとはRobotic Process Automationの略です。RPAが普及することで人々の働き方は大きく変わると言われています。そもそもRPAとは何なのか、どのように企業に導入できるのかを事例と共に見ていきましょう。
RPAとは何か?わかりやすく解説
RPAとは「ロボットによる自動化」のことです。例えばパソコンでの事務作業にRPAを導入することで自動化させることができ、人材不足の解消や人件費の削減、ヒューマンエラーの防止などに繋がります。
AIとの違い
AI(人工知能)は学習能力があるため、作業の繰り返しの中で新たな作業を学習していきます。一方、RPAには学習能力がないため、作業を繰り返しても新たな作業を覚えたり、覚えたことを別の作業に活かしたりすることはありません。
RPAが得意とする分野
RPAは「手順が決まっている作業」と「繰り返し作業」を得意とします。例えば工場で製品を製造する作業は手順が決まっており、なおかつ繰り返し作業です。RPAの得意とする分野のため、工場ではロボットによる自動化が広く行われています。
また、クレジットカードやローンの申し込み者のデータに問題がないか調べる作業も、手順が決まっており、なおかつ繰り返し作業なのでRPAの得意分野といえるでしょう。その他にも、在庫状況の確認やデータの計算、顧客データの登録などもRPAの得意分野です。
RPAが求められている3つの理由
RPAのできる仕事の多くは人間もできる仕事です。例えば工場や事務などの作業を行う人も少なくありません。しかし、近年ではロボットにより自動化できる分野はロボットが担当するようになってきています。その理由について見ていきましょう。
1.人材不足
少子高齢化により労働力人口が減っており、今後も減少すると考えられます。人材不足に対応するためにも、RPAは必要だといえるでしょう。
また、給与が低い、辺鄙な場所にあるなどの理由から製造業への就職を希望する方が減っているということも、RPAが必要な理由のひとつです。製造業に限らずロボットが担当する仕事は単純作業がメインのため、やりがいを感じにくいと考える方も少なくありません。
2.生産性の向上
ロボットは人よりも作業をスピーディに行うため、生産量を増やしやすいというメリットがあります。また、労働基準法で労働時間を定められているわけではないので、長時間稼働させることも可能です。
ロボットは失敗が少ないということも、生産性の向上につながっています。欠陥品が減るため、無駄になる原料も減り、生産コスト削減も目指せるでしょう。
3.競争力の強化
欠陥品の少ない製品を短期間で大量に製造できるロボットなら、企業の競争力を高める効果も期待できます。また、作業を人間が担当する場合、安定した雇用を確保することが難しいですが、ロボットは離職の恐れがないため、安定した労働力を確保できるでしょう。業界内でのシェアを拡大するためにも、RPAの必要性は高いと考えられます。
RPAによって働き方はどう変わる?
RPAが普及することで、私たち人間の働き方はどのような影響を受けるのでしょうか。予想される3つの変化を紹介します。
クリエイティブな作業が求められる
ロボットは手順が決まった繰り返し作業を得意としています。反対に言えば、人間にはロボットが不得意とする作業、例えばクリエイティブな作業が求められると考えられるでしょう。
例えば顧客を対象に実施するキャンペーンのアイデアを出したり、アイデアを実現化するために試作品を作ることや、より顧客にアピールするために微調整を行ったりすることは、創造性を必要とする作業なので、ロボットではなく人間に向いています。
ロボットが単純作業を引き受けるなら、今まで以上に考える時間を作ることができるでしょう。ゆっくりと時間をかけて想像力を膨らませることで、かつてないほどの斬新なアイデアが生まれることも期待できます。
労働時間の短縮が実現する
手間のかかる作業をロボットに任せるならば、労働時間の短縮も期待できます。単純作業や繰り返し作業のために残業することがなくなり、毎日定時退社が実現したり、退社時間そのものが繰り上がったりする会社も出てくるでしょう。
また、工場で作業を自動化する場合は、人間はロボットの管理作業だけになることもあります。管理には手間がかからないため、体力的に余裕のある働き方が実現し、健康増進も期待できるでしょう。
システム・ツールの導入により事務作業が減る
ロボットが得意とする事務作業をシステムやツールを用いて自動化することで、人間が担当する事務作業が大幅に減少します。また、計算ミスや記入ミスなどのヒューマンエラーも減るため、照合作業で残業するといった事態も回避できるでしょう。
RPA導入までの手順と事例
RPAの導入は、次の手順で行います。
- ロボットによる自動化をしたい作業を選定する
- 作業内容に合うRPAツールを選定する
- RPAツールを導入する
- 導入効果を検証する
- RPAツールを全面的に導入する
- メンテナンス
まずはロボットで自動化したい作業を選びます。例えば計算作業にロボットを導入するなら、経費計算や給与計算、保険料や所得税の計算などの自動化を図れるでしょう。
次に計算作業に適したRPAツールを選んで導入しますが、試用期間のあるRPAツールならば使いやすさを検証してから導入できます。試用期間のないRPAツールを導入するときは、より一層、慎重に選ぶことが必要です。
RPAツールは導入後、定期的なメンテナンスが必要になることがあります。故障する前に適切なサポートが受けられるように、RPAツールを選ぶ際にはベンダー(ツール提供者)のサポート体制もしっかりとチェックしておきましょう。
最後に
RPAの普及に伴い、人はより一層クリエイティブな作業に従事できるようになります。また、勤務時間の短縮も期待でき、人間らしい暮らし方も追求できるようになるかもしれません。
しかし、RPAを導入する際には初期コストがかかるので、できれば試用期間のあるRPAツールを選び、無駄な支出を抑えるように工夫しましょう。