みなし労働時間とは?テレワークでの適用条件は?特徴と導入の要点を解説

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働き方が多様化する流れに対応して使われるようになったのが「みなし労働時間」という言葉です。働き方改革の推進と連動して登場し、テレワークが増加する流れの中でさらに注目を集めています。「みなし労働時間」とはどんなものなのか、特徴と導入する上でのポイントを解説します。

目次
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みなし労働時間とはどんなものか?

最初にみなし労働時間という言葉の定義と具体的な内容を説明します。

厚生労働省が推進するみなし労働時間制

「みなし労働時間」とは労働時間の算出の難しい職種や働き方に対応して作られた概念のこと。実際に働いた時間ではなく、事前に「1日にこれだけの時間分働いた」とみなすことで労働時間が設定され、その基準に沿って給与が支払われる仕組みです。

「みなし労働時間制」という言葉が初めて登場したのは1988年に改訂された労働基準法38条の例外の文中でした。通常は「制」という言葉とセットになり、制度を表す語句として使用されています。厚生労働省のガイドラインでも「みなし労働時間制」に関する記述が数多く登場しており、適切な導入を推奨しているのです。

みなし労働時間制には3つの種類がある

みなし労働時間制は業種や働き方によって3つの種類に分けられます。それぞれ該当する仕事の内容を説明しましょう。

1.「事業場外みなし労働時間制」

「事業場外みなし労働時間制」は社外で働く仕事が中心で、労働時間の算出が難しくなる場合に適応されます。事業場外とは自社以外の場所という意味です。具体的な仕事としては外回りが中心の営業職、旅行会社の添乗員、自宅勤務などが該当します。

2.「専門業務型裁量労働制」

「専門業務型裁量労働制」は研究者や技術開発者、クリエイターなど、仕事を進めていくやり方、時間配分などが本人の裁量にゆだねられる仕事に適応されます。仕事の進め方によって数時間ですむ日、長時間働かなければならない日など、バラつきがある場合に、平均的な時間を割り出して設定するのが一般的です。

3.「企画業務型裁量労働制」

「企画業務型裁量労働制」も「専門業務型裁量労働制」と同様に、仕事の時間配分などが本人にゆだねられているケースに適応されます。企画業務型が該当するのは専門職ではありません。事業を運営するうえでの企画・立案・調査・分析など、事業の中枢を担った業務に適応されるのです。

みなし労働時間制が適用される条件とは?

3つのみなし労働時間制にはそれぞれ適用される条件があります。くわしく解説していきましょう。

テレワークは?事業場外労働制での適用条件

社外での仕事で使われている「事業場外みなし労働時間制」ですが、社外での仕事すべてに適応されるわけではありません。条件は2つあります。1つ目は会社の外で働いていること、2つ目は会社側による労働時間の算定が困難であることです。

テレワークは会社とネットワークでつながっていることが想定されるため、算定可能と判断されて、適応されないケースが大半になります。しかしネットワーク環境にない在宅ワークであれば、適応される可能性が大きくなるといえるでしょう。

専門業務型裁量労働制の適用条件

「専門業務型裁量労働制」は適用される職種が厚生労働省によって明確に定められています。下記の19職種です。

  1. .研究
  2. システム・プログラムの分析・設計
  3. 新聞・出版・放送での取材・編集
  4. デザイナー
  5. 放送番組のプロデューサー・ディレクター
  6. 広告・宣伝の文章の考案(コピーライター)
  7. 情報システムの考案と助言
  8. インテリアコーディネーター
  9. ゲームソフトの創作
  10. 証券アナリスト
  11. 金融商品開発
  12. 大学における教授研究
  13. 公認会計士
  14. 弁護士
  15. 建築士
  16. 不動産鑑定士
  17. 弁理士
  18. 税理士
  19. 中小企業企画診断士

この19職種において、労使協定を締結することによって、「専門業務型裁量労働制」の導入が可能になります。

企画業務型裁量労働制の適用条件

「企画業務型裁量労働制」は専門業務型と違って明確な職種の区分けはないのですが、適応される条件は厳格になっています。本人が所属する事業の企画や立案に関わる業務であること、本人の裁量にゆだねる必要のある業務であること、労使委員会で5分の4以上に承認されることが導入の条件となるのです。

みなし労働時間制を導入する際注意すべきこと

みなし労働時間制の導入を検討する場合には注意すべきことがいくつかあります。具体的な数字をあげながら解説していきましょう。

残業代と休日手当は算出の仕方が違う

みなし労働時間制が導入された場合でも、一般の従業員と同じように残業代や休日手当は発生します。ただし算出の仕方は通常の場合と異なるため、注意が必要です。

仮にAという企業で1日8時間を超過する労働に対して残業代が発生するとしましょう。みなし労働時間が9時間と設定されている場合は、8時間からオーバーした分の1時間が残業代に当たります。

休日手当の算出の仕方も通常の場合とは大きく違います。休日に働いた時間がほんのわずかな時間であっても長時間であっても、9時間分働いたとみなして、手当が計算されるのです。

就業規則で規定する必要がある

みなし労働時間制の中でも「事業場外労働のみなし労働時間制」を導入する場合には、就業規則にその旨を明確に規定しなければなりません。「社員の労働時間の算定が難しい場合には、所定労働時間の労働をしたものとみなす」などの文言を追加する必要があるのです。

最後に

みなし労働時間制の導入が推奨される背景には働き方改革があります。柔軟な労働のやり方を推進することによって、労働条件の改善、業務の効率化、産業の活性化を目指していこうという狙いがあるのです。

導入にあたっては従業員の不利益にならないように配慮することが必要となるでしょう。会社側は制度本来の目的と意義を正しく理解して、みなし労働時間制を導入することが求められます。

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