「パッケージデザインの相場ってどのくらいなの?」
「パッケージデザインの制作コストを抑えるコツってあるの?」
パッケージする商品やサイズ、形によって相場が大きくことなります。
あらかじめ相場を把握しておくことで、依頼する企業を選定する際に適正な判断を下せます。
相場を理解するとともに、依頼する際に少しでも費用を抑えるためのコツも紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
1.パッケージデザインの相場の基準
パッケージデザインの相場は、パッケージにする商品やサイズ感、素材で大きく異なります。
JAGDA(公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会)が設定しているガイドラインを参照すると、推奨されているパッケージデザインの価格は、以下の通りです。
- 個包装(和菓子など):57,000円
- 缶(ドリンクや食缶):117,000円
- ラベル:90,000円
- ギフト用パッケージ:127,000円
- ガラス・プラスチック容器:78,000円
- 個装箱:137,000円
パッケージデザインの価格の中でも、和菓子など個別包装のパッケージデザインが、約6万円とリーズナブルに設定されているのが特徴です。
次に安く設定されているのがガラスやプラスチック容器で、8万円前後で依頼できるため、パッケージデザインを考えるときに、素材の候補として検討してみてもよいでしょう。
また、パッケージデザインの中でも、ラベルを依頼する企業は多く、素材と組み合わせることで様々な使い方ができるので、コスパが良いパッケージといえます。
箱のデザインになると10万円を超えてくるので、化粧箱などのデザインの依頼を検討している企業は、少なくとも10万円はかかると見積もっておきましょう。
2.パッケージデザインの費用内訳
パッケージデザインを制作する際は、設計、デザイン、印刷の3つの工程に分かれます。
中でも、デザインは最も制作に時間を要する工程で、費用もかかってきます。
- 企画・プランニング費用
- デザイン制作費用
- 印刷・加工費用
基本的に、デザイナーの時給と作業時間によって、相場は変動するのですが、今回はあくまで一般的な費用を紹介します。
(1)企画・プランニング費用
まずは、最初の工程である企画やプランニングにかかる費用です。
制作物の方向性などのリサーチから依頼する場合は、一般的には、5〜15万円ほどかかります。
デザイン会社に依頼をすると、ヒアリングで商品のコンセプトや魅力、商品への想いなどが聞かれますが、何もパッケージの企画が決まっていなければ、その段階から考え始める必要があります。
打ち合わせの段階で、パッケージのイメージや、商品展開の方法など企画やプランニングが確率していなければ、デザイナーなどを交えて行うことになるので、その分の作業時間に費用が発生します。
逆に言えば、商品の魅力を伝えるために、可愛らしいイラストを使ったものにするなどデザインのイメージや、ターゲット層の目に留まり、実際に手に取りたくなるように箱の形を特徴的にするなど具体的な方針があるだけで、作業の工程を削減することが可能です。
デザイン会社の中には、企画・プランニング費用を設けていない会社もあるので、見積もりのときに確認しておきましょう。
(2)デザイン制作費用
パッケージデザインの費用の大部分を占めるのが、デザイン制作費用です。
デザイン制作に一番時間がかかるので、パッケージデザインの費用の中でも一番高くなります。
一番比率は高いのですが、打ち合わせの内容によって大きく変動するため、3~20万円と最も振れ幅が大きいです。
パッケージのイメージがほとんど完成しており、デザインの評価をしてもらうだけであれば、一番安く収まりますし、全くイメージがなくデザインを丸投げする場合は、最高値の価格になってしまいます。
デザイン制作費用も見積もりの段階で提示してくれるので、契約前から把握することができるので、安心して依頼することができるでしょう。
なお、デザイン制作費用にどのようなサービスが含まれているのか確認しておくことをおすすめします。
たとえば、2回までの修正費用やデータのCD起こし費用などが含まれていると、追加で料金が発生するのを防ぐことが可能です。
デザイン制作費用がどの範囲までのサービスが該当しているのか確認しておきましょう。
(3)印刷・加工費用
印刷・加工費用もパッケージデザイン費用に含まれている項目の1つです。
パッケージのデザインによって変動する項目で、パッケージの素材や加工技術によって大きく変動します。
パッケージの出来にこだわる場合は、印刷や加工技術で手を加える必要があり、技術によって発生する料金が変わるのです。
たとえば、商品やイメージ画像を撮影する場合は撮影費がかかりますし、つや加工やマット加工などの表面加工をする場合も別途費用が発生するのです。
また、印刷も1枚あたり90~130円が相場で、白黒かカラーによって若干変動します。
制作数によって変わる費用なので、最初の段階では具体的な数字は見えてこないかもしれませんが、見積もり時にざっくりと印刷や加工費用がどのくらいかかるのかも確認しておきましょう。
3.パッケージデザイン制作コストを抑える4つのポイント
制作コストを抑えるために、ターゲットとするユーザーを想定し、イメージに落とし込むことが重要です。
あらかじめイメージを検討しておくことで、必要な素材も明確になります。
パッケージに用いる写真などの素材は、自社内で活用できるものがあれば事前に依頼企業に伝えておきましょう。
- パッケージデザインのイメージ図を制作しておく
- パッケージデザインに使用できる素材を用意しておく
- チラシやパンフレットなど他のデザイン制作と一緒に依頼する
- 複数のデザイン会社に見積もりを取って安い依頼先を決める
提示された費用が相場より高かったとしても、これから紹介する4つを実践することで相場より安く依頼することができる可能性が高くなるでしょう。
(1)パッケージデザインのイメージ図を制作しておく
パッケージデザイン費用の大部分を占めるデザイン制作費用を少しでも抑えるためには、デザイン会社にデザインの制作を丸投げしないことがポイントです。
完全にデザインを作る必要はなく、商品名の位置やフォント、色合い、画像の有無など、デザイナーが作りやすいように準備しておきましょう。
打ち合わせの段階で細かく情報を共有して、修正の回数を減らすことで、制作時間の短縮を狙えます。
スケッチやパワポでイメージ図を作って担当者に見せると、制作にかかる手間が減り、値段が安くなります。
(2)パッケージデザインに使用できる素材を用意しておく
パッケージデザインに使用する素材を一から探すとなると、かなりの時間を割くことになります。
素材を用意しておくことで、デザイナーの手間を省くことができるので、見積もり時に価格交渉がしやすくなるでしょう。
パッケージデザインに使う素材の中でも特に多いのは、商品の画像です。
商品画像を予め撮影しておけば、少し加工するだけで、パッケージの素材として活用できるので、作業時間を大幅に削除することができます。
パッケージデザインに、商品の画像など特別な素材を組み込みたい場合は、自社で用意することで、デザイン費を安くすることが可能です。
(3)チラシやパンフレットなど他のデザイン制作と一緒に依頼する
チラシやパンフレットなど他のデザイン制作と一緒に依頼することで、パッケージデザイン制作自体の費用が安くなることがあります。
トータルデザインを行っているデザイン会社の中には、複数のサービスを依頼すると割引になる料金プランを設けている会社があるので、そのサービスを利用するとコストを抑えることが可能です。
たとえば、パッケージデザイン制作の料金が10万円だったとして、チラシやパンフレットなどのプロモーションツールの制作を依頼することで、2~3割程度安くなることもあります。
商品展開をするためにチラシやパンフレットを用いてプロモーションしたい企業は、同じデザイン会社に依頼しましょう。
(4)複数のデザイン会社に見積もりを取って安い依頼先を決める
デザイン会社に限らず、依頼先の会社を決めるときは、複数の会社に見積もりも取って安い方の依頼先にお願いするのが基本です。
昔からお世話になっている人や交友のある人が担当者である場合や、すでに依頼先を決めている場合を除いて、特に依頼先にこだわりがなければ、初めから1社に絞らずに、複数の会社に見積もりを依頼しましょう。
会社ごとに人件費や設備費などが異なるため、同じ条件でもトータルのパッケージデザイン費用に差が発生します。
大手の会社や事務所などが高くなる傾向があり、規模の小さい事務所や起業したばかりの会社は、相場よりも低く価格が設定されているものです。
見積もりの段階で、なるべく細かく要望を伝えておき、MAXでどのくらいの金額になるのかで判断しましょう。
4.費用が安いパッケージデザインの依頼先
パッケージデザインは、会社や組織に依頼する場合と個人に依頼する場合とで、費用や進め方が大きく異なります。
初めてデザインを作る場合は、パッケージデザインの専門会社に依頼することをおすすめします。
中でも比較的安く依頼できるデザイン依頼先は以下の2つです。
- パッケージデザイン専門会社
- フリーランス
専門会社はトータルデザイン会社より安くなる傾向で、且つ専門に行っているので企画からデザインまで安心して依頼できます。
対してフリーランスは進め方など全体的に融通が効く一方、選定方法によっては期待したデザインが返ってこない場合もあるので、慎重に選定しましょう。
(1)パッケージデザイン専門会社
パッケージデザイン専門会社は、トータルデザイン会社よりも価格は安い傾向があります。
最も効率良く作業を進めるための設備が整っているので、無駄な作業を省くことが可能です。
各セクションごとに専門家がいるため、打ち合わせから企画、デザイン制作、印刷までの流れがスムーズで、漏れのない情報共有により短納期が実現します。
パッケージのデザインから制作までの時間が短く、無駄な費用が発生しないため、トータルデザイン会社よりも安く依頼できるのです。
パッケージデザイン専門会社は、過去の成功事例のサンプル数が豊富で、他のデザイン会社よりも効果的なアイデアが期待できるため、コスパが最も良いといえるでしょう。
(2)フリーランス
パッケージデザイン制作コストを最大限まで削減するならフリーランスに依頼するのもおすすめです。
フリーランスは会社や事務所に所属せず、個人かで活動している人のことで、クラウドソーシングやSNSなどで、デザイン制作を行っているフリーランスを探し、直接依頼することができます。
フリーランスは制作者本人の人件費しか発生しないため、人件費以外に設備費などが発生するデザイン会社よりも安く抑えることが可能です。
ただし、フリーランスは制作者個人のデザインスキルがデザインのクオリティに大きく影響するため、フリーランスの見極めが難しいです。
スキルや実績が乏しい人でも、アカウント情報では自由に記載することができるので、信頼できる人かどうか判断することは困難と言えます。
それでも、プロ顔負けのスキルを持ったフリーランスもいるので、過去の実績や依頼数などを参考に選ぶのがポイントです。
5.パッケージデザインを依頼する企業の相場が適切か確認する方法
パッケージデザインを依頼する際は、相場感と費用内訳をより詳細に把握しておくことがポイントです。
相場を把握しておくことで、クライアントを精査する中で適正な判断を下すことが可能になります。
また、あらかじめ費用内訳を提示してもらい理解しておくと、当初予定していた予算を超えることなく、納得のいく取引ができます。
- JAGDAの相場表を参考にする
- 内訳を全て提示してもらう
- 納期の短縮等のオプションをチェックする
パッケージデザインの相場と費用内訳を理解し、求めているクリエイティブを予算内で作り上げてくれる企業を選定しましょう。
(1)JAGDAの相場表を参考にする
パッケージデザインを依頼する際、適正な価格かを判断するために、JAGDAの相場表を参考にしましょう。
JAGDAでは、デザインの項目によって目安となる価格が明記されています。
依頼企業が提示している費用が、相場と比べたときに適正か判断するために一度目を通しておくことをおすすめします。
(2)内訳を全て提示してもらう
今後制作するにあたって必要になる費用の内訳を全て提示してもらいましょう。
デザイン会社によっては、デザイン制作だけの費用の場合もあれば、企画やデザイン制作、印刷まで全ての費用が含まれている場合があります。
提示してきた費用が、果たしてどこまで対応してくれるのかを判断するため必ず内訳を提示してもらいましょう。
(3)納期の短縮等のオプションをチェックする
内訳を提示してもらった際、例えば納期を調整してくれるかなど、もし追加でかかってくる費用があれば、依頼するタイミングで聞いておきましょう。
デザイン会社によって、別途サービス料が発生するオプションを設けている場合があります。
たとえば、相場より高くても、納期の短縮や修正の回数などのサービスが含まれていれば、別途料金が発生しないことを考えると適正な価格と判断できるケースもあります。
依頼する際は、追加でかかってくる費用がないか確認した上で、制作物をより成果の高いものに仕上げるために、オプション等があるか確認しましょう。
最後に
なるべくコストを抑えてパッケージデザインを依頼する場合は、見積もり費用が相場とどのくらい差があるのかチェックすることをおすすめします。
内訳によって見積もり価格の評価が変わるので、全ての要望を伝えた上で、最高でどのくらいの価格になるのか見積もってもらいましょう。
今回紹介したパッケージデザイン制作コストを抑えるコツを参考にしながら、デザイン会社と価格交渉をしてみてください。