【経営者必見】内容証明を送る方法と届いた時の対処法

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内容証明郵便を利用するとどのようなことができるようになるのか、また、内容証明郵便を送る方法や届いたときの対処法はご存知でしょうか。

この記事では内容証明郵便を使いこなすために知っておきたいことをまとめています。ぜひ参考にしてください。

目次
目次

内容証明とは

内容証明(内容証明郵便)とは郵便局から送る郵便の種類のひとつです。内容証明郵便を送ると、以下の4つの事実を証明することができます。

  • 郵便が送られた日付
  • 封筒に入っている文書の内容
  • 差出人
  • 受取人

内容証明郵便の役割

内容証明郵便には、以下の2つの役割があります。

  • 相手に意思を伝える役割
  • 相手に意思を伝えたことを証明する役割

普通郵便ではなく内容証明郵便を送ることで、相手に強い意思を伝えることが可能です。例えば、お金を返済せずに5~10年経てば消滅時効が成立し、お金を借りている人の返済の義務がなくなることがあります。そのため、消滅時効の成立を待って、どんなに「貸したお金を返して欲しい」と要求しても返さない人がいたとしましょう。

しかし、貸した人が内容証明郵便で「貸したお金を返して欲しい」と借りている人に返済を催促することで、時効成立までのカウントがリセットされます。お金を返して欲しいという強い意思を伝えて消滅時効の成立を阻むことにつながるかもしれません。

また、内容証明郵便は、相手に意思を伝えたことを証明する役割を果たします。内容証明郵便で「お金を返して欲しい」という文書を送れば、受取人は「返済の催促を受けていない」と主張することは困難になるでしょう。相手に意思を伝え、なおかつ意思を伝えたということを証明したいときに内容証明という選択肢があるのです。

内容証明でできること

内容証明を使うことで、以下の4つの事柄を実現できることがあります。

  • 相手に意思を伝えたことを証明すること
  • 相手に心理的な圧力をかけること
  • 時効を中断させること
  • 特定の請求等を行った日付を確定させること

内容証明郵便は、そもそも郵便内の文書に記載されている内容を明らかにするための郵便です。文書内容の真実性を証明することはできませんが、文章に記載されている事柄を証明することはできます。つまり、内容証明郵便を送ることで、文書の内容を相手に伝えたという事実を証明できるのです。

また、普通郵便ではないということで、受け取った相手に「普通の内容ではない」とアピールすることになるでしょう。送る側の本気が伝わり、相手に心理的圧力をかけることが可能です。

さらに、時効を中断させる役割も果たします。内容証明郵便を送ることで請求権の消滅時効を中断させ、裁判や差し押さえなどのトラブル解決に向けての行動に移ることができるでしょう。

いつ請求をしたかということも、内容証明郵便を送っていれば日本郵便が記録として残してくれます。日付の証拠が必要な場合は、内容証明を選択することができるかもしれません。

普通郵便との違い

普通郵便では「相手に文書を送る」ことはできますが、いつ送ったのか、誰が誰に送ったのか等について証明することはできません。日本郵便では普通郵便に関して記録を一切残さないので、送り主が「〇月〇日に〇さんに郵便を送った」と主張しても、普通郵便がそれを裏付ける証拠になることはないでしょう。

「〇月〇日に〇から〇さんに郵便を送った」という事実だけを記録として残したい場合は、特定記録郵便や配達証明郵便を検討できます。特定記録郵便は「〇月〇日に〇から郵便を送った」ことを証明でき、配達証明郵便は「〇月〇日に〇が郵便を受け取った」という事実の証明が可能です。

これらの特別な郵便も普通郵便よりは証明できることが多いですが、文書の内容までは証明できません。そのため、郵便を受け取った相手が「確かに〇月〇日に〇さんから郵便を受け取ったけれども、お金を返して欲しいというようなことは書かれていなかった」と主張すれば、せっかく郵便を使って請求しても証拠不十分ということになりかねないのです。

証拠として残したい内容によって、バラエティ豊かな種類の中から郵便を使い分けることができるでしょう。郵便をいつ送ったのかということだけでなく、誰が誰宛に郵便を送ったのか、また、封筒の中に入れた文書の文面を証拠として残したいときは、内容証明郵便を選択してください。

内容証明の効力

郵便をいつ送ったのかということと差出人、受取人、文書の内容に関しては、内容証明郵便を選ぶことで日本郵便に証明してもらうことが可能です。万が一、訴訟問題に発展した場合でも、内容証明郵便を送ることで、差出人がどのような意思を持ち、何月何日に主張したかといった事柄を示す効力を発揮します。

ただし、内容証明郵便が示せるのは「文面は〇〇であった」ということだけです。文章に書かれていた事柄が事実に基づいているのかという点については示すことはできません。例えば内容証明郵便で「100万円を返して欲しい」という文書を送付したとしましょう。このことで郵便を送った人が受取人に対して「100万円を返して欲しい」と要求していることは示せます。しかし、本当に郵便を送った人物が差出人として指定した人物に100万円の借金をしているかどうかは示すことができないのです。

なお、内容証明郵便で「100万円を返して欲しい」と請求し、受取人が「もう少し待って欲しい」「返済を減額して欲しい」というように差出人の言葉を事実と認めた上での発言をした場合は、文書の内容が事実だと証明する根拠になることもあるでしょう。

内容証明を郵送した方がいい場合

郵便を出した人物と住所、受取人として指定した人物と住所、郵送した日付はいつか、文書の内容はどのようなものか、内容証明郵便ならこれらすべてを証明可能です。以下のようなケースで利用できます。

  • クーリングオフを主張したいとき
  • 契約の取消や解除を主張したいとき
  • 時効を中断したいとき
  • 時効を援用したいとき(時効成立後、相手側に時効を成立したことを伝える必要がある)
  • 支払い請求
  • 賃貸借契約書の更新を拒絶するとき
  • 接近禁止請求(DVやストーカー行為の被害を受けている場合等)

上記の例以外にも、相手に大切なことを伝えるとき、万が一に備えて文書で証拠をつくっておきたいとき、伝える日付を記録として残しておきたいときは、内容証明郵便を活用しましょう。

内容証明を郵送したい場合

受取人に強い意思を伝えたいとき、また、受取人に強い意思を伝えたという記録を残したいときに内容証明郵便を活用することが可能です。内容証明郵便の利用方法を解説します。

差出方法について

どの郵便局でも内容証明を受け付けているわけではありません。特定の郵便局のみで利用できる郵便の種類のため、利用を予定している郵便局に電話をかけ、内容証明郵便を取り扱っているのか尋ねておきましょう。

取り扱いを確認した上で、郵便局の窓口で次の4つを提出します。

  • 文書の正本1通
  • 文書の謄本2通
  • 差出人の住所氏名、受取人の住所氏名を定位置に記した封筒
  • 内容証明郵便の料金

郵便物は封をしない状態で持っていきます。また、場合によっては印鑑が必要になることもあるため、差出人の印鑑を忘れずに持っていきましょう。

内容証明郵便の料金は、郵便物の重さ、書面の枚数、配達証明や速達などのサービスを利用するかによって異なります。封筒が定形郵便物で、書面は一枚、封筒と文書の合計重量が25g以下なら959円~(※)で送付可能です。

※2020年12月時点

配達証明付き内容証明郵便について

相手が確かに内容証明郵便を受け取ったという事実と受取日を証拠として残したい場合もあるでしょう。その場合には、内容証明郵便に「配達証明」を付加することで、書留郵便を配達したことを示すハガキを受け取れます。

急ぎの場合には、「速達郵便」も付加することができるでしょう。どのような証拠が必要かを考えた上で、郵便サービスを選んでください。

内容証明が送られてきた場合の対応方法

社会生活の中で、あるいは個人として、内容証明郵便を受け取ることもあるかもしれません。内容証明郵便を受け取ったときは、どう対応することができるのでしょうか。

郵送されてきた理由は?

内容証明郵便とは、受取人の注意を喚起し、トラブルを早期に解決したいときに送る郵便の種類です。差出人は何らかの注意を喚起し、トラブル解決を目指していると考えられます。また、消滅時効の中断などの目的で内容証明郵便を送った可能性もあるでしょう。

いずれにしても、普通郵便ではなく内容証明郵便を送るということは、差出人に強い意思があることが分かります。慌てて反応すると不利益に結びつく可能性もあるため、まずは反応せずに文書の隅々まで読みましょう。

対応方法について

文書を読み、記載されていることが事実であるかを確認します。例えば郵便を送った人からお金を借りているのが事実なら、内容証明郵便内の文書に記載されている金額や返済期間、適用金利などが本当に正確なのか確認しておきましょう。確認せずに差出人に「もう少し待ってほしい」等と反応すれば、文書の内容が事実であることを認めたことになってしまう可能性があります。

文書に記載されている内容が事実のみで、すぐに反応しても差し支えないと判断される場合は、電話や郵便を使って交渉を進めていくことができるでしょう。言った言わないの争いにならないように、こちらからも内容証明郵便を活用することができます。

しかし、文書に記載されている内容に偽りや疑問点があり、すぐには判断できないと考えられる場合には、弁護士に相談してみましょう。差出人自身ではなく弁護士が差出人の依頼を受けて内容証明を送ることも多いため、安易に反論してもこちらの思惑通りに交渉が進むとは限りません。弁護士を立てて交渉することで、不利益を回避できることもあります。

無視した場合はどうなるのか

内容証明郵便を受け取ったことで、厄介事に巻き込まれてしまうと感じるかもしれません。トラブルを回避するためにも郵便自体を無視したいと考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、内容証明郵便を無視することは決して賢明なことではないでしょう。差出人が裁判等の法的措置を考えて内容証明を送った可能性が高いため、無視したことで裁判が決定的になる恐れもあるのです。

内容証明郵便には「〇月〇日までに〇円を返済してください」あるいは「〇月〇日までにご連絡してください」のように、期限を定めて裁判以外の解決方法を提案していることがあります。無視をすると、差出人の提案も無視することになってしまい、法的措置へと進む可能性が高まるでしょう。

不在の場合はどうなるのか

無視するつもりはなくても、郵便が配達された時間に不在にしている場合もあるでしょう。そのような場合には郵便受けに不在票が投函されますので、指定された郵便局に行くか再配達を依頼することで内容証明郵便を受け取ることが可能です。

しかし、不在票に気付かない場合や受け取り手続きをしなかった場合は、一定期間後に差出人に内容証明郵便が返送されるでしょう。また、受け取りを拒否した場合も、郵便物が差出人に返送されます。

内容証明の書式を解説

内容証明で送る文書の書式は、特に指定されてはいません。しかし、適当に文書を書いてしまうと、受取人に伝えたいことを伝えることができない可能性があります。押さえておくべきポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

書き出しのルール

書き出しの文言にルールはありませんが、受取人が理解しやすいように「契約解除通知書」や「消滅時効援用通知書」とタイトルをつけるほうが良いでしょう。また、固有名詞以外には英文字を使わず、分かりやすく丁寧に記載します。

利用条件

内容証明郵便の謄本は、一枚あたり、縦書きなら20文字以下を26行以内、横書きなら20文字以下を26行以内もしくは26文字以下を20行以内、13文字以下を40行以内に収めなくてはいけません。文章をよく練り、簡潔に過不足ない表現を心がけましょう。

内容証明を書くことが難しければ専門家へ依頼しよう

短い文章で過不足なく伝えることは簡単ではありません。効力のある内容証明郵便を完成させるためにも、専門家に依頼することも検討してみましょう。

弁護士に依頼した場合

法的措置につながる文書を作成してもらうときには、法律の専門家である弁護士に依頼することができます。内容証明郵便送付後に訴訟等に発展した場合も、弁護士ならそのまま担当してもらうことができるでしょう。

司法書士に依頼した場合

法的措置につながる文書を司法書士に依頼することもできます。しかし、司法書士は140万円を超える民事事件の相談や和解、代理を行うことができないため、争点が高額債権等になるときは弁護士に依頼しましょう。

行政書士に依頼した場合

行政書士にも、内容証明郵便の文書作成を依頼することが可能です。しかし、行政書士には紛争解決を担当する法的権限がないため、訴訟に発展した場合には司法書士や弁護士に依頼し直す必要があります。紛争に発展しないと考えられる場合のみ、行政書士に依頼するほうが良いでしょう。

ネット経由のe内容証明サービスについて

インターネットを使って内容証明の送付を依頼する「e内容証明(電子内容証明サービス)」も利用することができます。窓口経由の内容証明との違い、そして利用方法について見ていきましょう。

電子内容証明サービスのメリット

24時間いつでもパソコンさえあれば利用できるため、内容証明郵便を受け付けている郵便局が近くにない方も利用可能です。また、窓口で出す内容証明郵便は一枚に520文字以下ですが、e内容証明は一枚あたりの文字数が2倍以上なので、文章が長くなる場合は料金を節約できる点もメリットと言えるでしょう。

利用方法

以下の手順で利用します。

  1. e内容証明の新規利用登録を行う
  2. 文書作成
  3. 差出人、受取人の住所氏名を記入
  4. 文書送信
  5. 新東京郵便局で送信されたデータを紙の文書・封筒として印刷
  6. 受取人に正本を送付、差出人に謄本を送付

内容証明の利用が多い事例とは

実際に内容証明郵便を送るのは、どのようなケースが多いのでしょうか。代表的な事例を4つ紹介します。

債権・売掛金の回収

債権や売掛金を回収できないときに、内容証明郵便を送ることが多いです。支払先の口座や支払方法を明記することで、受取人が行動を起こしやすくなります。

残業代の請求

残業代を請求しても勤務先から支払ってもらえないときには、内容証明郵便を使って請求することが可能です。すでに退職している場合なども、会社に行かずに請求手続きを進めることができます。

業務妨害

業務妨害を受けたときに、内容証明郵便を使って損害賠償請求を行うこともできます。訴訟に発展する可能性もあるため、弁護士や司法書士に依頼することができるでしょう。

賃貸料の延滞

賃貸料を延滞された場合も、内容証明郵便を使って支払いを請求することが可能です。返済しない可能性があるなどの悪質な場合には、滞納料金等の金額によって弁護士か司法書士に文書作成を依頼します。

内容証明でも解決できなかった場合はどうなる

内容証明郵便を送っても、必ずしも問題が解決できるとは限りません。トラブル解決の糸口が見えないときは、次の2つの方法を検討してみましょう。

弁護士を通じた交渉

弁護士を通じて、問題の解決を目指して交渉することができます。内容証明郵便を送付する時点から弁護士に依頼しておくなら、スムーズに交渉を進めることが可能です。

弁護士を通じて交渉すると、相手に「裁判を回避したい」という思いが生まれ、話し合いで解決できる可能性もあります。また、万が一相手が「裁判も辞さない」という姿勢で向かってくる場合も、弁護士に交渉を一任することができるため、交渉の場面に顔を出す必要がなく、精神的な負担を軽減することもできるでしょう。

裁判で損害賠償請求

相手が弁護士を通じた交渉に応じない場合や、弁護士を通じた交渉で和解することができない場合は、裁判で損害賠償請求を行うことが可能です。交渉で和解を目指す場合は相手の同意が必要ですが、裁判では相手の同意は不要なため、不利な状況であっても相手は逃げたり責任を回避したりしづらくなります。

ただし、裁判で問題を解決する場合には、少なくとも6カ月ほど、長い場合は1年以上もかかることも珍しくありません。裁判が長引くと費用がかさむ傾向にあることは念頭に置いておきましょう。

最後に

内容証明郵便を活用することで、正当な権利を主張し、思わぬ不利益を回避できることがあります。裁判等に進むとトラブルを解決するための費用が高額になり、しかも、数カ月、数年と長い時間がかかることもあるので、低コスト・短期間で問題を解決するためにも、まずは内容証明郵便を活用することを検討してみましょう。

お近くの郵便局で対応していない場合には、e内容証明を活用することで自宅のパソコンから内容証明を送付することが可能です。

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