【ジタハラ】時短ハラスメントとは?企業側の問題点と対策を解説

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時短ハラスメント(ジタハラ)とは、残業を制限することで従業員にストレスやプレッシャーを与える新しいハラスメントです。働き方改革で推奨されている「時短」を逆手にとり、悪用することで問題化してきたところに大きな特徴があります。

時短ハラスメント(ジタハラ)とはなんなのか、定義と問題点と対策法を解説しましょう。

目次
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時短ハラスメント(ジタハラ)とは

時短ハラスメント(ジタハラ)は、社会問題に発展している新しいハラスメントです。まずは、この言葉の定義を解説します。

時短ハラスメント(ジタハラ)の定義

時短ハラスメント(ジタハラ)とは仕事の内容やノルマが改善されたわけでもないのに、上司が部下に対して一方的に定時退社や残業の削減を強いる行為のことです。残業をしないと仕事が終わらないので、社外や自宅で「サービス残業」をする従業員の数は少なくはないでしょう。時短ハラスメントに該当するにも関わらず、表面化していないケースがかなりあると推測されます。

時短ハラスメントという言葉が初めて登場したのは2016年12月のことでした。厚生労働省が発表した「働き方改革実行計画」の中でも記述されている「パワーハラスメント」という言葉と、残業時間の短縮・抑制を意味する「時短」という言葉が結びつき、「時短ハラスメント」という造語が生まれたのです。

時短ハラスメントは2018年の新語・流行語大賞にノミネートされるほど一般にも浸透する言葉となりました。つまりそれだけ広く社会問題化してきたということでしょう。

時短ハラスメントが起こる要因

時短ハラスメントが起こる要因はいくつか考えられます。この問題はなぜ生まれたのか、考察していきましょう。

「働き方改革」から発生したハラスメント

前述したとおり、時短ハラスメントという言葉が生まれるきっかけとなったのは厚生労働省による「働き方改革実行計画」というガイドラインでした。この中に「長時間労働の抑制」という目標が掲げられています。この目標の本質を軽視して、表面的に達成しようとする企業の土壌が、時短ハラスメントを生む温床になってしまったのです。

企業として「残業削減」や「残業禁止」を打ち出しながら、根本的な対策がなされていないケースがたくさんあります。仕事量や内容の見直しをおろそかにしている、残業代を減らすことが支出削減という目標にすり替わってしまっているなどの状況は少なくないでしょう。時短ハラスメントは利益追求を最優先し、従業員の人権を軽視する企業体質が生んだ問題でもあるのです。

時短ハラスメントの法的リスクとは

「時短ハラスメント」が原因で精神疾患を患う、部下の仕事まで抱え込んでしまい、過労から自殺するという痛ましい事件も起こっています。現時点では「時短ハラスメント」そのものを取り締まる法律はありません。しかし残業を禁止しながら、サービス残業をさせて残業代を支払わないなど、悪質とみなされた場合は労働法に抵触し、労働基準監督署の是正勧告を受ける可能性があります。

厚生労働省より2020年6月からは大企業において、「パワハラ防止法」が義務化されました。この「パワハラ防止法」は中小企業でも2022年4月から義務化される予定です。

時短ハラスメント(ジタハラ)の2つの問題点

時短ハラスメントは多くの問題をはらんでいます。ここでは代表的な2つの問題点を紹介しましょう。

1.業務の質とモチベーションが低下する

仕事量は減らないのに、残業が禁止となり残業時間が減ってしまうことで、業務の質の低下をもたらす可能性が出てきます。従業員が仕事を持ち帰り、サービス残業をした場合には残業代がつかないので、モチベーションの低下につながるケースが増えるでしょう。

2.中間管理職へのしわ寄せが発生する

残業禁止となった場合、中間管理職が苦しい立場に立たされるケースも出てきます。定時までに終わらなかった部下の仕事を、中間管理職が代わりに行うことも考えられるのです。責任感が強ければ強いほど、こうした状況に陥る可能性があるでしょう。

時短ハラスメント(ジタハラ)の4つの対策法

厚生労働省のガイドラインによって「パワハラ防止法」の義務化が進んでいます。時短ハラスメントもその対象です。会社側が取るべき4つの対策法を紹介します。

1.相談窓口の設置

時短ハラスメントは表面化しにくい特徴があります。担当する従業員、中間管理職が問題を抱えたまま、誰にも相談できずにストレスを感じている状況を避けなければなりません。相談窓口を設置して問題の「見える化」を進めることが、問題解決の第一歩となるでしょう。普段から、社内での円滑なコミュニケーションが可能な環境を作ることも大切です。

2.人員増員と業務調整

有効な対策となりえるのが人員の増員でしょう。時短ハラスメントという問題が起きるのは残業時間を削減しても、業務量が減らないからです。人員を増やして仕事を分担することによって、時短ハラスメントを防ぐことが期待できます。

ただし、この対策が可能になるのは人員を回す余裕がある場合のみです。会社側に余力がなく、人員を増やせない場合には、業務を調整する方法も考えられるでしょう。部署によって仕事量に偏りがある場合は有効な対策となりえます。

3.ハラスメント教育の徹底

時短ハラスメントが起こる要因の1つとして、残業禁止にしたにも関わらず、平気で部下に仕事を押しつけてしまう企業の風土があげられるでしょう。この風土を改善することが時短ハラスメントの防止に有効であると考えられます。具体的にはハラスメント教育の徹底です。特に管理職、役職者への時短ハラスメント防止への意識づけがポイントとなるでしょう。

4.ITツールの導入・活用で効率化を推進

残業時間が削減されても労働量が削減されない場合には、ITツールを導入する方法もあります。例えば、経理であれば、経理精算システムを導入することによって、業務の大幅な効率化を進めることが期待できるでしょう。デジタル化、ペーパーレス化、キャッシュレス化の流れを活用することも時短ハラスメント防止の有効な対策になりえるのです。

最後に

働き方改革の推進によって、結果的に生じてしまったのが時短ハラスメントです。会社側は労働環境を改善するという本来の目的に立ち返ることが求められています。明確な目的意識を持って対策を立ててのぞめば、時短ハラスメントを防止することは可能でしょう。

「時短ハラスメント」という言葉がなくなる未来が来ることを目指して、社内の人間が一丸となり、問題の解決に取り組んでいくことが重要なのです。

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