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リカレント教育とは何か簡単に解説!メリットや企業の導入事例を紹介

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公開日: 2021.02.27
更新日: 2021.02.27

人生100年時代に突入し、仕事と学習を繰り返すリカレント教育が注目を集めています。欧米では一般的な制度ですが、最近では日本でも国の後押しにより、様々な制度が利用できるようになりました。

本記事ではリカレント教育の詳細や注目される理由、教育を受ける方法などを紹介します。

目次
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リカレント教育とは

リカレント教育とは、生涯にわたって学習を繰り返す教育のことです。スウェーデンの学者により「学習は生涯にわたり必要である」と提唱され、1970年代から欧米を中心に広がりを見せました。

日本でも長寿社会の到来市場の変化などによりリカレント教育が注目され、国も退職後の再就職を見据えてリカレント教育を推奨しています。

仕事に活かす知識が学べる

日本でのリカレント教育は、職業上必要な知識・技術を修得することに重点が置かれており、対象になるのは社会人です。

より専門性を高め、仕事に活かす新たな知識やスキルを身につけることを目指します。それにより、労働市場で価値の高い人材になることを目的としているのです

生涯学習との違い

リカレント教育は、生涯学習とは異なるものです。生涯学習とは人が生涯に行うあらゆる学習のことで、学校教育のほかに家庭教育やスポーツ活動、ボランティア活動なども含みます。

その目的は、仕事に限らず生涯にわたり学び続け、豊かで生きがいのある人生を送ることです。これに対し、リカレント教育は働くことを前提にしており、仕事に活かす、スキルアップを図るなどを目的にした教育が行われます。

欧米とは異なる日本のリカレント教育

欧米ではスウェーデンやデンマークなど北欧を中心に、早くから積極的にリカレント教育への取り組みを始めました。

これら各国では就労と教育を繰り返しながら能力を高め、できるだけ長く働くという発想があります。キャリアの途中で長期就学を行い、復職する教育が推奨されているのです。

一方、日本は長期雇用の慣行が根強く、欧米のような教育が行われることはほとんどありません。社会人の学び直しについては欧米に大きく立ち遅れており、リカレント教育を導入している企業も、休職や退職をせず働きながら学ぶという内容がほとんどです。

リカレント教育が注目される理由

今日、国をあげてリカレント教育が推奨されていますが、このようにリカレント教育が注目されているのはいくつかの理由があります。

市場の変化に合わせて新たなスキルを習得できるから

時代はAIなどテクノロジーの導入により、急激に進化しています。デジタル化の加速でこれまでの働き方が通用しなくなり、市場の変化に合わせたスキルが求められているのです。

これまでの知識やスキルを高めるだけでなく、新たな知識やスキルの習得も必要になるでしょう。その手段として、リカレント教育が注目されています。

人生100年時代の到来による人生設計の変化に対応するため

人の平均寿命は延びていくと予測され、人生100年の時代を迎えるにあたって人生設計を考え直す必要が出てきました。

働く期間も長くなり、働き方も変わってくるでしょう。それに合わせたスキルの習得も必要になり、習得のためのリカレント教育が求められているのです

雇用の流動化により自ら学ぶ必要性があるから

今日、新卒で入社してから定年まで同じ会社で働くという終身雇用の体制は崩れ、雇用の流動化が進んでいます。これまでの終身雇用体制では、社内教育で必要なスキルを身に付けることも可能でした。

しかし、転職が当たり前になった今日では、社内教育だけでは必要なスキルを習得できません。労働者自らが学ぶ手段として、リカレント教育が脚光を浴びているのです

文部科学省の取り組みについて

国では文部科学省を中心に、リカレント教育の取り組みが推進されています。どのような取り組みなのか見ていきましょう。

経済産業省など関係省庁との連携

文部科学省は経済産業省など関係省庁と連携し、様々なリカレントプログラムの開発を行なっています。

各省庁の取り組みの一例をあげてみましょう。

  • 経済産業省:中小企業で海外展開を担う人材育成を支援、ITを駆使する人材の育成やスキルアップの促進など
  • 厚生労働省:ITの知識習得のための職業訓練の開発、教育訓練給付の拡充など

社会人向けプログラムの開発

文部科学省は社会人の学び直しを充実させるため、社会人向けの実践的なプログラムを開発しています。

放送大学の充実や産学連携による情報技術人材等の育成、専修学校リカレント教育プログラムの開発などがその一例です。誰もが年齢に関係なく新たなチャレンジができる社会を構築するため、リカレント教育の推進が急ピッチで進められています。

大学での取り組み例

大学では企業等と連携し、社会人向けのリカレントプログラムを提供しています。大学側では企業のニーズに反映して学外リソースも活用しており、企業側ではプログラムの作成に協力し、受講者の継続的な派遣などを行なっているのが特徴です。

取り組みの一例を紹介しましょう。

  • 日本女子大学

育児や進路変更などで離職した女性を対象に、1年間(2学期)のキャリア教育を通して再就職を支援するプログラムです。仕事に必要な高い知識とスキルを習得し、働く自信や責任感を養います。

  • 東京電機大学

独自の社会人教育を開発しており、製品の開発・設計から身近な安全・安心までを学ぶ2つのユニットと、技術者のスキルアップを図るユニットを設置しています。

電気・機械・情報を中心とした専門分野横断型の科目や、ものづくりの上流から下流までストーリー性を持たせた科目など、社会人のニーズに合わせたカリキュラムが特徴です。

リカレント教育のメリット

リカレント教育は労働者の学び直しに貢献しますが、企業にとっても多くのメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、紹介しましょう。

変化に対応する人材を確保できる

ITの進歩によりビジネス環境は急激に変化し、企業ではそれに対応できる人材の確保が課題の一つになっています。リカレント教育により従業員が知識やスキルをアップデートすることで、変化に対応できる人材の確保が可能です。

会社に長く貢献し経験を積んでいる従業員が学び直してスキルアップすることは、スキルを持つ人材を新たに雇うよりも企業にとって有益でしょう

企業の生産性や業績が高まる

従業員がリカレント教育によりスキルアップすることで、新しいアイディアや価値を生み出し、企業の生産性や業績を高めます。

身に付けた知識やスキルで企業の成長に貢献できることは、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう

リカレント教育を受ける方法

リカレント教育を受ける方法は様々あり、労働者の都合で選べます。ここでは、リカレント教育を受ける主な方法と、企業が支援できる内容について紹介しましょう。

リカレント講義開設の大学に通う

社会人を対象とした、リカレント教育の講義を開設している大学や大学院は多数あります。社会人向けに、特別選抜制度が実施されている大学も少なくありません。パートタイムの学習機会を拡充し、特定の科目履修のみで単位が取得できる大学もあります。

企業は大学に通う従業員に対し、休暇や休業制度の整備、学費の補助といった支援が行えるでしょう。

資格学校の講義を受講

資格学校の講義を受講する方法もあります。国家資格や民間資格を取得することに特化した講義を行っているため、業務で特定の資格が必要な企業に最適です

取得する資格によっては、講義の受講が資格取得につながる場合もあります。夜間や土曜日の講義も設けられ、労働者でも通いやすくなっているのが特徴です。

オンライン学習

リカレント教育には、オンライン学習もあります。eラーニングと呼ばれ、パソコンやスマホなどで場所や時間を選ばず学習できる方法です。反復学習もできるのがメリットで、学習する時間がなかなか作れない労働者にも利用しやすいでしょう。

ほかの方法に比べてコストがかからず、リカレント教育の中では最も多く企業で導入されています。企業はeラーニング受講のための時間を、業務時間内で確保するなどの支援ができるでしょう。

リカレント教育に利用できる助成金・補助金

企業にとって、リカレント教育は優秀な人材の確保など大きなメリットがありますが、費用がかかる点がデメリットです。しかし、そのような問題も、助成金や補助金を利用することで解消できます。

ここでは、リカレント教育に利用できる助成金や補助金について紹介しましょう。

人材開発支援助成金

従業員の人材開発促進のために職業訓練を行った事業者に、訓練中の賃金や経費の一部を支給する助成金です。中小企業の事業主が主な対象で、「労働生産性の向上に直結する訓練」などいくつかのコースがあります。

企業の生産性向上に向けた取り組みを支援するのが目的で、制度を利用している企業の生産性が一定条件以上に伸びた場合、助成額が増額されるのが特徴です。生産性を高めたい企業はぜひ利用してみるとよいでしょう。

教育訓練給付制度

雇用保険に一定期間加入している労働者がリカレント教育を受けた際、支払った受講料の一部が支給される制度です。

雇用の安定と再就職の促進を図るための「一般教育訓練給付金」と、中長期的なキャリア形成を支援する「専門実践教育訓練給付金」の2種類があります。

返済義務のない給付制度であり、企業の負担を軽くして従業員にリカレント教育を受けさせることができるのがメリットです。

リカレント教育に取り組む企業の動向

国が積極的に推進を進めているリカレント教育ですが、企業での導入はどのように進められているのでしょうか?

ここからは企業のリカレント教育への取り組みについて紹介します。

環境の整備が課題

2019年、民間の調査でセミナーに参加した企業に対しリカレント教育への取り組みについてアンケートをしたところ、約9割の人事担当者が「取り組みをしていない」と回答しています。「リカレント教育を導入している」「導入を検討している」という回答は、数%と少数でした。

企業のリカレント教育への取り組みは、まだまだ少ないというのが実情といえるでしょう。その必要性は認識していても、実施する体制やリカレント教育を受ける従業員への支援策が整備されていないなど課題は多くあります。

欧米では有給教育訓練制度が法制化されていますが、日本ではまだ法整備が整わず、制度を導入している企業の割合は全体の1割にもなりません。労働を中断してリカレント教育を受けるのが難しいのが現状です。

しかし、業務の変化による従業員のスキルアップが不可欠となる今後、リカレント教育の導入を真剣に検討する企業も増えていくのではないかと推測されます。

導入している企業の事例

リカレント教育を導入している企業が少ない中でも、積極的に取り組んでいる企業の事例について見ていきましょう。 

  • ヤフー株式会社

Yahoo! JAPANで広く知られるヤフー株式会社では、キャリア施策のひとつとして「勉学休職制度」を取り入れています

業務を離れ、専門的知識や語学力をより集中的に習得できる機会を提供する休職制度です。勤続3年以上の正社員を対象にしており、最長で2年間取得できます。

  • サイボウズ株式会社

「kintone」や「サイボウズ Office」など、数多くのシステムを提供している会社です。

同社では35歳以下の社員を対象に、退職後でも6年以内であれば復帰が可能な「育自分休暇制度」を導入しています。転職や留学などで退職する人に「またチームに戻れる」という安心感をもってチャレンジしてもらうことが目的の制度です。

  • 株式会社ミクシィ

SNSの「mixi」の運営や求人広告事業を展開する株式会社ミクシィでは、「業務の成果につながる個々の自己成長を支援する」をコンセプトに、スキルアップ支援プログラムを設けています

英会話や資格取得、プログラミング学習などのサービスを特別優待で利用でき、さらに電子書籍を含む書籍の購入費用を補助するなど、従業員の学び直しを支援するプログラムです。

最後に

市場の変化や雇用の流動化などで、労働者の学び直しは高い必要性に迫られています。リカレント教育はこれからの社会に欠かせないものとして、より深く浸透していくでしょう。企業でもAI業務への対応など、従業員のスキルアップは必須になってきます。リカレント教育を導入していない企業も、今後のために取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。