コンテンツマーケティングとは?準備から実践、評価の流れを解説

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「優れた商品です。買ってください」というシンプルな宣伝だけでお客さまが商品を買ってくれるような時代は過ぎ去りました。情報や物があふれた現代では、ユーザーの一人ひとりが批評家でもあります。商品について「他の商品と比べてここが劣っている」「独創性に欠ける」と厳しくジャッジするため、企業側の宣伝をそのまま信じてくれることは滅多にありません。

そこで新たなマーケティングの手法として注目を浴びているのが「コンテンツマーケティング」です。コンテンツマーケティングとは、簡単にいえば、ユーザーの役に立つ情報を提供することで商品やサービスを知ってもらうマーケティング手法を指します。

この記事ではコンテンツマーケティングはどのようなメリットがあるのか、実践する上でどのような準備が必要なのか、また、実践の方法や実践後について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
目次

コンテンツマーケティングとは?簡単に解説

コンテンツマーケティングとは、ユーザーに役立つ「コンテンツ」を提供し、サービスや商品、また企業自体を知ってもらい、ユーザーとの距離を縮めて最終的には顧客やファンになってもらうマーケティングの手法です。

売りたい商品やサービスについて「この商品は良いです」「このサービスがあれば便利です」と直接宣伝するのではなく、ユーザーのニーズを引き出すことで「このような商品があれば良いのに」「このようなサービスがあれば便利だな」という気持ちに導き、販売に繋げていきます。具体的に見ていきましょう。

さまざまなコンテンツマーケティングの形

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツには、さまざまな形態があります。

たとえば以下の形態は、コンテンツマーケティングにおいて幅広く活用されています。

  • 自社のホームページで有益な情報を発信するオウンドメディア
  • TwitterやInstagramなどのSNSにおける投稿
  • 定期的にメールを送付するニュースレター
  • YouTubeなどを活用したプロモーション動画
  • 製品の仕様や情報を伝えるホワイトペーパー
  • 購買活動や問い合わせ件数を増やすランディングページ
  • 自社の動向や新製品について外部から告知するプレスリリース
  • ライブプラットフォームを用いたライブ配信

一口にコンテンツマーケティングといっても、その在り方はさまざまです。

なお、コンテンツはWEB上で公開できるものだけとは限りません。

以下のような形態も、コンテンツマーケティングの一種です。

  • 長期的に顧客育成する新聞や雑誌での連載コラム
  • 雑誌や新聞におけるインタビュー記事
  • 有益な情報とともに、購買活動を促進する書籍出版
  • テレビやラジオなどでの広告宣伝や出演

というようにWEB上以外でも、そこにコンテンツがあるのならコンテンツマーケティングとして定義できます。

もちろんコンテンツマーケティングにおける効果は、形態によって大きく異なるものです。

また自社で実現可能か、あるいは自社や製品イメージに合致しているかどうかも、形態によって異なります。

したがってコンテンツマーケティングの手法は、自社との相性を踏まえたうえで選択することが重要です。

顧客との信頼関係を築くことが目的

コンテンツマーケティングでは、商品やサービスを販売することよりも、ユーザーとの信頼関係を築くことを目的としています。直接的にユーザーへ「この商品は良い」と訴えかけるのではなく、コンテンツを通じて商品やサービスの魅力をアピールするため、「この企業が発信する情報なら信頼できる」と感じてもらいやすくなり、信頼関係を築くことが可能になるのです。

コンテンツマーケティングを通じてユーザーとの信頼関係を築くことで、一時的でなく将来的にも企業のファンとして商品やサービスを継続的に利用する顧客になってもらえるかもしれません。

コンテンツマーケティングのメリット

数あるマーケティングの手法の中で、コンテンツマーケティングを選ぶことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主な3つのメリットを紹介します。コンテンツマーケティングならではの魅力について探っていきましょう。

1.ローコストで始められる

商品やサービスをPRしたいと考えた場合、テレビコマーシャルを使えば秒単位でお金がかかります。より多くの人々にアピールしたければ、全国放送のチャンネルで、なおかつ視聴者が多いと考えられる時間帯に放映する必要があり、さらにコストがかさみます。

コマーシャルを作成する費用とは別に何億円というお金が動くことになりますが、確実に売上に繋がるとは限りません。

また、雑誌や新聞に公告を載せることでマーケティングを行うこともできますが、この場合も全国紙でアピールしようとするなら、場合によっては広告を作成する費用とは別に何億というお金がかかることになります。

一方、コンテンツマーケティングなら、ほぼコンテンツを作成する費用だけで始めることが可能です。例えば動画やホームページ内のコラムという形でマーケティングを行うなら、コンテンツマーケティングだけにかかる費用は動画制作費や記事作成費のみとなります。

このように、コンテンツマーケティングはローコストで始められるため、ターゲットとなる属性を絞った何通りもの広告の作成を同時に行うことができるでしょう。流行を反映して中高生にアピールする広告や、中高年にアピールする健康問題を意識した広告など、細かくターゲットを定めて、それぞれの「気になること」に直接応えていくことができるのです。

2.コンテンツを資産として増やせる

秒単位で流れるテレビコマーシャルは、何かを蓄積するものではありません。企業によっては過去のコマーシャルを「CMギャラリー」という形で残していますが、ギャラリーに掲載されているコマーシャルが増えたからといって、ユーザーが受け取る情報量が増えるわけではありません。

また、新聞や雑誌などの紙媒体を使った広告も同様です。基本的に広告という手法は「消費されるマーケティング」であり、広告が流れている瞬間はユーザーにアピールできますが、ユーザーが何度も自主的に「学び」として閲覧したり、商品やサービスを選択するときの「参考」にしたりすることはあまり多くないでしょう。

一方、コンテンツマーケティングでは、コンテンツを資産として蓄積していくことができます。例えば食品会社が健康に関する情報のコンテンツを作成したとしましょう。コラムを増やせば増やすほど情報量が多くなり、ユーザーの生活に役立てることができます。

例えばユーザーに体調不良や栄養面で気になることが起こったとき、「あの会社のコラムなら、何か関連する情報が得られるかもしれない」と自主的にアクセスしてもらえる可能性があります。つまり企業側にとっての資産であるコンテンツが、ユーザーにとっても役立つ情報になるのです。

3.効率の良い広告効果を期待できる

一方的に企業から消費者へ情報を与える従来のマーケティングでは、ターゲットを絞り込まずに広告を出稿するため、企業が流す情報にまったく無関心な方にも情報を届けていました。

例えば高い放映料を支払って全国放送のゴールデンタイムにコマーシャルを流しても、コマーシャルの内容に興味がある消費者はその中でも限られた人だけです。商品やサービスの購入まで進んでくれる消費者となれば、さらに限られてしまうでしょう。つまり、こうした一方的な広告は費用が高いわりに効率が良いとは言い難いのです。

一方、コンテンツマーケティングは、基本的にはユーザー自身からアプローチしてもらうことを前提としています。企業のホームページからアクセスする場合もありますが、気になるキーワードをグーグルなどの検索サイトで調べて流入してくるユーザーも多いでしょう。

つまり、すでに何らかの関心を持ったユーザーがコンテンツを閲覧することになるため、何の関心も持たない方に一方的に情報を提供する場合と比べ、効率の良いPR効果が期待できるのです。

また、ユーザーは「情報を与えられた」という意識ではなく「情報を自分で探して見つけた」という意識で企業のコンテンツを閲覧するため、従来のマーケティング手法よりも情報を信じて何らかのアクションを起こしてくれる可能性が高いと考えられるでしょう。

コンテンツSEOとは何が違う?

「コンテンツマーケティング」と似た言葉で、「コンテンツSEO」があります。「コンテンツSEO」とは、簡単に言えばグーグルなどの検索エンジンを使って表示される「検索順位」を上げることを意味する言葉です。

コンテンツSEOでは、コンテンツが検索上位に表示されることを目指した活動を行います。うまくいけば、特定のキーワードを使って情報を探しているユーザーがコンテンツを閲覧してくれる可能性が高くなるでしょう。

一方、コンテンツマーケティングとは、コンテンツによってユーザーに関心のある情報を提供し、商品やサービスの購入や企業の知名度向上・信頼度向上を目指すマーケティングの手法です。コンテンツSEOが「検索エンジンで上位に表示されること」を目指すのに対し、コンテンツマーケティングでは「コンテンツを手段として売り上げや認知度、信頼度を向上させること」を目指します。

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングが目指す最終的な目的は異なりますが、どちらもコンテンツをユーザーに見てもらわなくては目的を達成できないという点では同じです。そのため、コンテンツマーケティングでは、SEOの視野も含めてできるだけコンテンツが検索上位に表示されるように工夫する必要があります。

なぜなら、コンテンツが上位に表示されることでユーザーが閲覧する可能性が高まるだけでなく、上位表示されていること自体がユーザーに「信頼できる情報に違いない」と思ってもらえる要因となり得るからです。

WEBマーケティングとは何が違う?

「コンテンツマーケティング」と混同されやすい言葉として「WEBマーケティング」があります。「WEBマーケティング」とは、インターネットを使ったマーケティング全体を指す言葉です。商品やサービスの売上高向上や企業ページへのアクセス数増加を目指して行う行動全体を「WEBマーケティング」と呼ぶこともあります。

両者のもっとも大きな違いは「手段と目的」です。WEBマーケティングでは、WEBコンテンツやWEB広告、動画などの様々なWEBを使った手法で商品やサービスを販売し、企業の認知度を上げることを目的として広報活動を行います。

つまり、WEBマーケティングが利用する手段は「ブログや広告、動画などのWEBを用いた様々な方法」で、目的は「商品やサービスの売上高増や企業の認知度・好感度の上昇」です。

一方、コンテンツマーケティングでは、ブログやSNSなどのWEBコンテンツを使うこともありますが、雑誌や新聞などの紙媒体などを利用することもあり、手段はWEBに限られていません。また、目的は「企業とユーザーとの信頼関係を築くこと」です。

良質なコンテンツを作ることで商品やサービスの売れ行きが向上し企業知名度が上がることもありますが、あくまでも目的を達成するための副次的な効果であり、売上高増や知名度向上自体は目的ではないという点に注意しておきましょう。

コンテンツマーケティングの事例

コンテンツマーケティングは、企業とユーザーの信頼関係を築くことを目的として行われるため、一見すると「何の宣伝なのだろうか」と思われるものも少なくありません。しかし、見ているうちに「優れた技術を持っている企業だ」という認識を得たり、「誠実な仕事をしている」という評価につながったりすることがあります。

また、何か情報を得る際に、消費者が積極的に企業側のコンテンツを活用するケースもあるでしょう。企業側のコンテンツマーケティングが、消費者の興味と信頼獲得につながり、副次的効果として売上高増や認知度向上につながった例を2つ紹介します。

コンテンツマーケティングの最高到達点、「北欧、暮らしの道具店」

コンテンツマーケティングの成功事例が議論されるとき、必ず「北欧、暮らしの道具店」について言及がなされます。
同事例はコンテンツマーケティングの最高到達点と呼ばれるほど、すばらしい成果を上げています。

「北欧、暮らしの道具店」は、デザイン性の高い小物や雑貨を中心に取り扱うネットショップです。
ネットショップであると同時にオウンドメディアとしての属性を有しており、多くのコンテンツを発信しています。

マーケティングに活用されるコンテンツは、取り扱う雑貨や小物の紹介です。
担当バイヤーが一つひとつの商品について、画像や動画などを用いて紹介しています。
その紹介記事のクオリティは非常に高く、「売りたい」よりも「商品の魅力をしっかりと伝えたい」という信念が感じられます。

マーケティングでは「宣伝色」が強すぎるゆえに失敗するケースも少なくありません。
しかし「北欧、暮らしの道具店」は、宣伝色をおさえて、商品の魅力について誠実に紹介する術をよく理解しています。

コンテンツ自体がたいへん面白く興味深いものであり、多くの読者を獲得。
月間PV数は1,500万件以上、UU数は150万人と、たいへんな人気ぶりです。

読者はそのまま商品を購入する顧客としてナーチャリングされ、商品購入サイトへ誘導されます。
またネットショップとオウンドメディアが同一サイトであることから、送客が容易で、安定した売り上げ経路が確立されています。

(参考:北欧、暮らしの道具店

視覚で安全と安心を訴えたVOLVO

ハリウッドスターのジャン=クロード・ヴァン・ダム氏が目をつぶって腕を組んでいるVOLVOの動画コンテンツは、世界的にも成功例として知られているコンテンツマーケティングです。2020年12月時点で閲覧回数は1億回を突破しています。

こちらの動画では徐々にカメラが引いていき、ヴァン・ダム氏が片足ずつ別のトラックに足を乗せて立っていること、しかも、2台のトラックは後ろ向きに走行していることが明らかになります。

トラック間の距離が変わらないので「素晴らしいドライビングテクニック」と驚きながら動画を視聴していると、ヴァン・ダム氏が180度開脚するまで徐々にトラック間の距離が開いていき、次はヴァン・ダム氏の身体能力に驚かされる番です。

カメラが角度を変えてさらに引いていくと、ヴァン・ダム氏の開脚の様子がさらによく見えるようになります。引き込まれるように動画を見ていくうちに、ドライビングテクニックの素晴らしさやヴァン・ダム氏の身体能力の高さだけでなく、VOLVOのトラックが持つ走りの滑らかさや安全性に注目するようになるでしょう。

この動画にはVOLVOの製品をアピールするような音声はありません。しかし、VOLVOの安全性と安心性を雄弁に視覚に訴えているため、言葉以上の感動があり、ユーザーは気付かないうちにVOLVOのファンになってしまうでしょう。

(参考:VOLVO

世界遺産を宣伝ツールにした熊野古道

三重県と奈良県、大阪府、和歌山県の4つの府県にまたがる熊野古道は、2004年に登録が実現した世界遺産です。しかし、世界遺産に登録されたことで、大型バスで団体客が来るようにはなったものの、滞在時間はわずか30分と、約600km(世界遺産に登録されたのはそのうち約200km)もある熊野古道の魅力をほとんど理解しないまま帰ってしまうことに、熊野古道の関係者は頭を悩ませていました。

また、個人客が少ないことも観光の問題点となっていたのです。アクセスしづらいロケーションに加え、宿泊所から次の宿泊所に行くまでにアップダウンのある山道を約38kmも歩かなくてはいけないということもあり、あまり多くの観光客を集めることができていませんでした。

そこで熊野古道の宣伝を担当する事務局(一般社団法人 田辺市熊野ツーリズムビューロー)では、ターゲットを欧米の個人客に絞り、「熊野古道のファンになってもらうこと」を目標としたコンテンツマーケティングを立ち上げたのです。

ファンになってくれればリピーターとなり、何度も熊野古道に足を運んで、その魅力を十分に味わってくれるでしょう。また、自発的に友人や家族に勧め、一緒に熊野古道を訪れることになるかもしれません。

ほかにも、外国人リピーターを増やすため、熊野古道ファンの外国人をスタッフとして雇用し、周辺の小さな店でも外国語のメニューを用意したり英語の表記を統一(「温泉」の英語表記をSpaやHot Springを使わずにOnsenで統一など)行なったりするなど、外国人目線のサービスを展開。1,000年以上の日本の歴史を肌で感じながら歩けるという熊野古道だけの特性をアピールしていきました。

その結果、わずか7年で熊野古道がある和歌山県田辺市の外国人宿泊客が35倍も増加し、個人で熊野古道に訪れる観光客が急増したのです。

このケースでは、コンテンツはWEBを使った広報だけでなく、店舗のメニューや看板の表記など多岐にわたります。細かなところまで「熊野古道のファンになってもらいたい」という思いでコンテンツマーケティングを実施し、飛躍的な結果につなげたといえるでしょう。

(参考:熊野本宮観光協会

圧倒的な質量で突破した「キナリノ」

キナリノは、株式会社カカクコム傘下のオウンドメディアです。
家具や料理レシピ、家計管理やファッションなど、日々の暮らしに関する情報を発信しています。

キナリノが展開するコンテンツマーケティングの特徴は、コンテンツ数が非常に多いこと。
オウンドメディアで公開できるコンテンツ数には、企業によっては限りがあります。
中には数十本程度しか公開できないケースもあるでしょう。
しかしキナリノには、インデックス情報を参照する限り、2020年9月の段階で推定40,000のコンテンツページが存在します。

もちろん、一つひとつのコンテンツも優秀です。
ターゲットである女性層の興味を惹きつけるテーマを取り扱い、各記事にはキャッシュポイントである「キナリノモール」への導線を用意。
適切に商品の購買へとつなげています。

コンテンツマーケティングは、コンテンツの質がたいへん重要です。
しかし大量のWEBコンテンツが存在する昨今において、コンテンツの数を揃えることも重要だと言えるでしょう。
SEOの観点から言えば、数を揃えることは、内部リンクや被リンクの獲得やドメインパワー向上といった点にもつながります。

(参考:キナリノ

コンテンツマーケティングの下準備

ファンを増やすことを目的とするコンテンツマーケティングは、綿密な下準備をした上で開始しなくてはいけません。次の4つの順にコンテンツマーケティングの準備を進めていきましょう。

1.商品のニーズを調べる

どんなに優れた商品やサービスを提供しても、人々のニーズと合っていないものなら受け入れられない可能性があります。商品やサービスに対するユーザーのニーズを調査し、ニーズに応える形でコンテンツマーケティングを展開していく必要があるでしょう。

商品のニーズを調べる際には、商品に寄せられた感想や問い合わせ、グーグルなどの検索エンジンを用いて探した商品に対する意見や類似商品への要望・感想などを活用できます。また、商品を検索してくれているお客さまの流入ルートをグーグルアナリティクスなどの分析ツールを用いて分析することもできるでしょう。

ユーザーが商品を検索するときに用いたキーワードを調べることも、ユーザーのニーズを分析する際に有用なデータです。キーワードごとの検索ボリュームも調べるなら、ユーザーがどのようなモノやコトに関心を持っているかを割り出すこともできます。

2.誰に伝えたいのかターゲットを選定

コンテンツを作る際には、誰に伝えたいのかターゲットを明確にすることが必要です。
なぜならターゲットが明確化することで、より訴求力のあるコンテンツを制作できるからです。

たとえば先述の熊野古道の事例でも、ターゲットを外国人個人観光客に絞ったことで、多角的なサービスを開発してファンを飛躍的に増加させることができました。
ターゲットを絞ることでユーザーに対して適切なコンテンツを届けられます。

ターゲットを考えるときに役立つのは、「ペルソナ」です。
ペルソナとは、想定されるターゲットの平均的な人物像のこと。
ペルソナを設定し、ペルソナに対して発信することで、ユーザーにとって価値あるコンテンツを発信できます。

ペルソナはできるだけ細かく設定することが必要です。
細かい設定であればあるほど、適切な発信が期待されます。
またペルソナを細かく分析することで、新しいニーズに気づくこともあるでしょう。

ペルソナを作成するうえでは、「creately」というツールが役立ちます。
ペルソナについて考えたことがない人でも、createlyで最低限必要なペルソナを策定することが可能です。

ペルソナを作成したら、ペルソナが求めるニーズを割り出して心に響くコンテンツの内容を決めていきます。
例えば女子中高生をターゲットとした商品について考えましょう。
そうすると、女子中高生が気になる情報を選択し、コンテンツの内容を決めていきます。

つまり女子中高生なら女子中高生が関心を持つ話題、小学生の子どもを持つ親、中学生の子どもを持つ親など、細かく設定し、ターゲットが関心を持つ話題を提供します。

ペルソナを用い、ターゲットにピンポイントで訴えるコンテンツを作成することで、ユーザーは「この情報は私向けだ」と判断でき、誰にでも当てはまるような内容の情報を提供するよりも、情報や企業への信頼性が増すことになるでしょう。

3.伝える順番を決める

ターゲットごとにコンテンツの内容を決定した後で、伝える順番も決めなくてはいけません。例えば「運動することの重要性」をユーザーに認識してもらう内容のコンテンツで、いきなり「運動しましょう」と語りかけるのではユーザーの共感を呼ぶことは難しいでしょう。

運動をしないことでどんな不利益があるかを説明し、運動することで得られるメリットを紹介した上で、手軽にできる運動をいくつか例に挙げた先で、ようやく「運動しましょう」と述べることができるのです。

コンテンツマーケティングの具体的手順

商品ニーズの調査とターゲットの選定、コンテンツの内容確定、伝える順番の決定までの下準備ができたら、いよいよコンテンツマーケティングを開始していきます。次の4つのステップでコンテンツを作成していきましょう。

1.コンテンツマーケティング専用のチーム作り

コンテンツマーケティングは、仕事の片手間に実施できるものではありません。コンテンツマーケティングを専門に行うチームを作り、コンテンツマーケティングだけに専念できる環境をつくりましょう。

なお、コンテンツマーケティング前の下準備も、同じチームで行う方が効率的です。ぜひチームを作ってから、下準備、コンテンツマーケティングと進んでいきましょう。

2.コンテンツの題材収集

今回のコンテンツマーケティングで設定したターゲットごとに伝える内容を決めて、コンテンツの題材を集めます。

コンテンツマーケティングはユーザーとの信頼関係を築くことを目的として実施するため、提供する情報に不正確な部分や誤解を生むものがあってはいけません。必要に応じて専門家の協力・監修を仰ぎながら、時間をかけて正しい情報を集めていきましょう。

3.コンテンツを公開する場を選択

ターゲットごとにコンテンツを紹介する場も変える必要があります。例えば女子中高生をターゲットとしたコンテンツマーケティングを行うなら、SNSやブログなどのメディアがアクセスしやすいかもしれません。

また、高齢者向けの情報を提供する場合は、雑誌や新聞、機関誌などの紙媒体やテレビで公開することで、ターゲットにより閲覧してもらいやすくなるでしょう。

4.コンテンツ作成

情報収集と公開する場を決定した後で、いよいよコンテンツの作成に進んでいきましょう。

コンテンツ作成で重要なのは、明確なスケジュールを設定することです

コンテンツマーケティングは中期、あるいは長期的に取り組むことを前提としています。

  • いつまでに
  • どのようなコンテンツを
  • どの程度公開するのか

といったことを、きちんと想定しておきましょう。

もちろんスケジュールどおりに進行させるため、KPIやKGIによる現状分析も重要です

またコンテンツマーケティングのために収集した情報は、時間とともに変化することがあります。題材収集時に調べた情報から変化していることもあるので、掲載する前に再チェックするようにしてください。

コンテンツマーケティングの成果を調べる

コンテンツマーケティングは、コンテンツを作成して終了ではありません。コンテンツマーケティングの目的は「顧客との信頼関係を築くこと」ですから、コンテンツの配信については期限を決めず、長期にわたって継続し続ける必要があります。

そのためには、定期的にコンテンツマーケティングの成果を調べるようにしましょう。コンテンツマーケティングが狙い通りの成果を出しているのか調査し、不足する情報を継ぎ足したり、不評を得ている情報については変更・削除したりして改善していきます。

また、こまめに情報をアップデートしていくこともおすすめです。例えば、参照として記している情報が10年以上も前のものなら、顧客からの信用も得にくいからです。

以下の2つの方法でコンテンツマーケティングの成果を調べながら、コンテンツをアップグレードしていきましょう。

滞在時間やSNS流入で認知状況を調べる

コンテンツが好評価を得ているかどうかは、コンテンツ上でのユーザーの滞在時間の長さからも調べることができます。滞在時間が長ければ、ユーザーが時間をかけて情報を理解したと考えられるので、ターゲットの心に響くコンテンツだと評価できるでしょう。

また、コンテンツをSNSでも告知することで、SNSからの流入も見込めます。顧客がコンテンツにたどり着いた足取りを調査して利用頻度が高い流入経路を明確にし、今後の動線確立にも活かしていきましょう。

アクションに結び付いた状況を把握

コンテンツを見たユーザーが「商品を購入した」「インターネットで商品や会社を検索した」「SNSで情報を発信した」「サイト内の別のコンテンツも閲覧した」など、どのようなアクションをしたのかという点も把握する必要があります。

あまり購入に結びついていないのなら、どのようなコンテンツが必要になるのか検討する必要があります。また、他社サイトへと流出したユーザーが多い場合も、原因を追求してコンテンツの見直しが必要になるでしょう。

商品購入や情報拡散などのアクションをしたユーザーの特徴を分析し、次のマーケティング戦略にも活かしていきます。

コンテンツマーケティングの注意点

ユーザーの心に響くコンテンツを作成することで、企業との信頼関係を築くコンテンツマーケティングは、上手に活用すれば長期的な顧客を獲得することが可能となる有益な手法です。

特定の商品のファンは、その商品が販売されなくなった時点で購入をやめてしまいますが、企業自体のファンなら「この企業の商品やサービスが好きだから」と、引き続きニーズに合う別の商品を買ってくれる可能性があるでしょう。

また、商品に飽きてしまった場合でも、商品ではなく企業自体のファンなら、企業が提供している別の商品の中から新たなお気に入りを探して購入するというアクションを起こしてくれるかもしれません。

ただし、コンテンツマーケティングを利用して広報活動をする際には、次の2点に注意する必要があります。コンテンツマーケティングによるPR効果を高めるためにも、ぜひ以下のポイントに気をつけた上でマーケティングを進めてください。

長期戦になることを理解しておく

コンテンツマーケティングはユーザーと企業との信頼関係を築くために実施されます。信頼関係は短期間で構築できるものではないので、コンテンツマーケティングは長期戦になることを最初に理解しておきましょう。

コンテンツマーケティングではユーザーの役に立つ情報を提供しますが、ユーザーが「情報を得たい」と思ったときにコンテンツが閲覧できない状態では意味がありません。ユーザーが情報を得たいときにいつでも寄り添えるように、コンテンツの期限を決めず、半永久的に公開することを前提で始めていきましょう。

コンテンツのクオリティを重視する

コンテンツは多ければ多いほうが、ユーザーのニーズに応える可能性が高まります。しかし、単に多ければ良いというわけではありません。コンテンツ一つひとつのクオリティが低い場合は信頼度が下がり、コンテンツの閲覧をやめてしまうユーザーも増えてくるでしょう。

記事などのコンテンツを作成するときは、誤字脱字がないことはもちろんとして、正確で新しい情報を盛り込み、高いクオリティを維持する必要があります。その上でコンテンツ量を増やし、ユーザーのニーズに応えていくようにしましょう。

なお高いクオリティのコンテンツを作成するには、コンテンツを公開する前に様々な角度から内容をチェックするシステムを作る必要があります。文章やリンク、参考資料などが適切なものか、必要に応じて専門家の意見も参考にして、多重確認できるようにしておきましょう。

最後に

コンテンツマーケティングは、ターゲットのニーズを分析し、ターゲットに向けた情報を提供することでユーザーとの信頼関係を築いていくマーケティングの手法です。

信頼関係を築けるなら、企業のファンになってもらうことができ、企業が提供する商品やサービスの顧客になってもらえるという副次的効果も期待できます。

ファンになってもらえるならば、商品やサービスが変わってもいつまでも利用してもらえるでしょう。一見、遠回りのマーケティング手法に思えますが、実は長期的かつ効果的な手法で、実践している企業も少なくありません。

コンテンツマーケティングを実践するためには、下準備を念入りに行い、実施した成果を調べ、半永久的にコンテンツを維持していく必要があります。ぜひ紹介した手順を実践し、ユーザーとの信頼関係の構築を始めていきましょう。

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