企業が海外研修を行う目的や意義とは?注意点についても解説

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「研修メニューに海外研修を導入したいと考えているが、どんなプログラムが良いのかわからない……」そう思っている方は多いのではないでしょうか。

そこで、今回は海外研修にはどのようなスタイルがあるのか、どのくらいの費用がかかるのかなど、海外研修について説明します。この記事を読んで海外研修の基本とポイントを押さえましょう。

目次
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海外研修の目的と意義を確認

海外研修はどんな目的で行うものなのでしょうか?まずは、海外研修を実施することで得られるメリットについて確認しておきましょう。

グローバルリーダーとなり得る人材の育成

近年、ビジネスのグローバル化が進展し、日本企業でも世界で活躍できる人材が必要とされるようになりました。海外研修は一定期間海外に滞在し外国語を使って生活するため、国内研修に比べると実践的な力がつくことで定評があります。

また、海外研修は採用戦略としても有効です。対外的に海外研修を実施していることを公表している企業には、グローバルに活躍をしたいという意識が高い社員が集まります。

世界に躍り出て活躍したいという意欲がある社員が集まり、将来グローバルリーダーになる可能性を秘めた人材を育成できることも、海外研修の有意義な目的と言えるでしょう。

将来の海外赴任候補者を育成できる

最近の若手社員の中には、海外赴任を避ける人が増えているという話を耳にします。海外赴任を避ける原因は人それぞれですが、豊かな生活の中で育ったため、いわゆる「ハングリー精神」を持った若者が減っていることも一因とみなされているようです。

そんな若者であっても、実際に海外に出て世界のトップクラスを目指す学生やビジネスパーソンのレベルの高さを知り、刺激を受けることで意識に変化が生まれます。もちろん、「自分はこんなレベルでは戦えない」と感じることも多いでしょう。

しかし、海外で様々な刺激を受け、多くの経験をすることで向上心がアップします。特に語学力は、日本で勉強するのと海外で毎日使いながら生活をするのでは、勉強への取り組み方も伸びも段違いです。海外研修を経験させることは、将来の海外赴任候補者の育成にもつながります。

人脈が広がり視野も広くなる

日本と海外では生活習慣や文化がまったく異なるため、最初は苦労することもありますが、多様性を受け入れる寛容さが身につきます。自分の感覚が当たり前でないと分かることで視野が広がり、様々な視点から物事を見ることができるようになるでしょう。

また、海外研修で知り合った仲間が一生付き合っていける良い友達になることもあります。その時は単なる友達でしかなくても、ゆくゆくは海外のビジネスパートナーとして力になってくれるかもしれません。

社員の成長が期待できる

海外生活は語学力だけでなく、人間的な成長も期待できます。外国人は日本人と違い、表現がストレートです。オブラートに包まれた表現に慣れた日本人にとってはショックに感じますが、グローバルで活躍するためにはそうしたコミュニケーションに慣れていく必要があるでしょう。

また、自ら意見を述べないと意見がないものとみなされるので、海外生活をしているうちに自分の意見をしっかりと持てるようになります。海外研修を終えて帰ってきた社員は、人間的にひとまわりもふたまわりも成長して見えることでしょう。

社員の語学力が向上し業務にもプラス

日本語が通じない場所で一定期間生活をすれば、誰でもある程度は語学力が身につきます。日本にいても外国語学習をすることは可能ですが、やはり海外で生活すると外国語学習のスピードや身につく言葉のレベルがまったく違うのです。

実践で身に着けた外国語はビジネスでも大いに役立ちます。日本に戻ったときには、即戦力として活躍が期待できるでしょう。

目的別の海外研修の種類

求める成果別に海外研修の種類をまとめました。人材教育のプランに合った海外研修を選びましょう。

語学力の向上:語学研修

語学力の向上のみを目的とする場合は、語学研修で十分です。語学研修に参加することで、海外拠点とのやりとりに必要な語学力を習得し、異文化への理解も深めることができます。

語学研修には費用や期間の違いによって様々なプランがあり、短いものだと2週間程度の海外ホームステイ、長いものだと1年程度の大学留学、語学学校での留学などが代表的です。

語学の習得が目的なので、スタート時の語学力は高くはないが、海外で活躍してほしい人材も選出できるというメリットがあります。

専門分野のスキルアップ:MBA取得

ビジネス分野に特化し、グローバルリーダーの養成を目的としているのがMBA留学です。MBA習得には数百万円以上の費用がかかり、誰でも受けられる研修というわけではありません。

しかし、MBA留学生は優秀な人材が集うため、留学先によっては世界トップクラスのビジネスパーソンとの人脈ができる可能性があります。積極的にディスカッションに参加する主体性が必要とされ、参加者にはそれなりの苦労も伴いますが、修了したあかつきにはグローバルリーダーとしての力を確かなものにしてくれるでしょう。

MBA留学は語学を目的とした研修ではないため、選抜の時点で高い語学力があることが前提です。

海外赴任者候補の育成:トレーニー・インターンシップ

海外拠点や協力企業にトレーニーとして派遣することも、海外経験を積ませるという意味ではとても有効です。特に、MBAや語学研修と異なり費用負担が少ないのがトレーニーやインターンシップのメリットでしょう。

海外でビジネスをするといっても自社や協力企業内でのことなので、万が一トラブルがあってもサポートも可能。すでに海外に展開している企業であれば、ぜひ導入したい研修スタイルです。

海外研修にかかる費用

海外研修にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。語学留学とMBA留学を例にとって、費用についてご紹介します。語学留学は、留学先や期間で大きく変わる点に注目してください。

語学研修とMBAの費用例

例えば3ヶ月程度の語学研修の場合、アメリカだと約100万円、ニュージーランドでは60万円ほどの費用が必要でしょう。アジアでもフィリピンやシンガポールは英語圏のため、語学留学の選択肢に入ります。

欧米への留学は費用がかさみますが、アジアなら40万程度で済ませることも可能です。ちなみに、これらの金額は純粋な留学費用であり、航空券代やビザ取得代は含まれていないのでご注意ください。

MBAの場合は専門的なカリキュラムを履修するため、期間も1年単位の長期となり、留学費用は高額になる傾向があります。アメリカのハーバードビジネススクールの場合は約800万円、イギリスのロンドンビジネススクールは約1,000万円となっており、これに加えて滞在費用や航空券代、ビザ取得代が必要です。

投資金額としても1人に対しての金額としてはかなり大きなものになるため、派遣する人材の選定は慎重に行う必要があります。

海外研修を成功させるための注意点

海外研修を成功させるには、どのような注意点があるのでしょうか。ここでは、つい失敗しがちな注意点をまとめてご紹介します。

様々な視点から判断をして人材を選出する

海外研修はお金がかかり、成果が見えるまでには時間がかかります。長期的な投資になるため、今現在の能力だけでなく将来的な成長性も考えて人材を選出する必要があるのです。

ついつい現在の実務能力や成績で対象者を選びがちですが、選出の際には、以下のような点に注目してみましょう。

  • チャレンジ精神や行動力があるか
  • リーダーとして部下を育成する意欲があるか
  • マネジメント層として将来的に活躍できるかどうか

これらの視点から対象者をよく見て、将来像を想像して選ぶことが大切です。実績だけでなく、身近な上司や同僚の評価なども総合して判断する必要があるでしょう。

やる気のある人材を選出することが大切

選抜試験の際に、一番重視すべきなのは「やる気」です。能力のある成績優秀な社員を選んだとしても、本人にやる気がなければ研修の成果を十分に出すことができません。

注意すべきなのは、最近の若手社員の中には「リーダーになりたい」という気持ちがないタイプもいるということです。

海外研修にはお金がかかります。将来的なリーダー候補でなければ、お金をかける意味がありません。たとえ能力があってもリーダーになりたくない社員を選んでしまっては、海外研修の効果は期待できないでしょう。

やる気の有無は、直属の上司や同僚からの評判や面接でしっかり向き合うことで判断できます。面接の際には意欲や応募の動機について深く聞き、本人がどのような将来像をもって海外研修を希望しているのか、帰国後はどのように仕事に生かそうと思っているかなどを確認することが重要です。

事前準備を十分に行う

研修の期間は限られています。限られた研修期間を有意義なものにするためにも、十分な事前準備を整えることが大切です。参加者の中には研修の目的を理解していない状態で、指示されるままに参加している社員もいるかもしれません。

事前にオリエンテーションを実施し、研修の目的と求める成果をきちんと共有しておきましょう。また、基本的な語学力がないまま海外研修に参加しても、授業についていけず何もできなかったという事例もあります。

語学力が不十分だと思われる場合は、日本で語学スクールに通ってもらうなどして、最低限の意思疎通ができるレベルの語学力を身につけてから送り出すことも必要です。

行き先によっては独特の生活習慣があったり、治安の悪い場所があったりするでしょう。注意が必要な滞在先の場合は、事前オリエンテーションの場で情報を共有し注意を促します。先輩社員に体験談などを話してもらうのも有効な方法です。

研修中・研修後のフォローは怠らない

海外に送り出した後も、メールなどのやり取りをして、困っていることがないかなどのフォローが大切です。海外では思わぬトラブルが発生することもあります。いざという時のフォローがあるかどうかで、会社への帰属意識にも影響してくることでしょう。

また、海外研修を終えた後に、一歩踏み込んだ事後フォローもしておきたいところです。海外研修では多くの経験をするせいか、帰国後の社員は達成感に満ちておりモチベーションが上がっています。

研修で身につけた語学力やスキルを生かせるような仕事を任せてみたり、採用の有無に関わらず企画を出させたりするなどして、海外経験が仕事にも役立つという成功体験を積んでもらい、モチベーションが維持できるようにサポートしましょう。

上手に事後フォローができれば、仕事に対するモチベーションが高まり、企業と社員双方にメリットのある海外研修となります。

帰国後のフォローが退職を防ぐ有効な手段

海外研修には多額の費用がかかるため、帰国後の退職はなんとしても避けたい事態です。そのためにも、前述したようなフォローアップをしっかり行うことが重要になります。研修の成果と業務を結びつけることができれば、「海外研修で学んだことを活かして、この会社でもっと頑張ろう!」という気持ちがわいてくるでしょう。

同僚へのフォローも大切です。海外研修は誰でも行けるわけではありません。行きたくても選ばれなかった同僚などから、研修中に迷惑をかけたことを責められたり、帰国後に人間関係がギクシャクしてしまったりして、退職に追い込まれるケースもあります。帰国後の仕事がうまくいっているか、チームメンバーとの人間関係に問題がないか、モニタリングを欠かさないようにしましょう。

最後に

長期的な企業の成長を見据えれば、ぜひとも挑戦したい海外研修。かかる費用が大きいため運用する人事のスキルも問われますが、成功すれば会社のために大きな力となる人材を獲得できます。

海外研修と一言で言っても、そのやり方は千差万別です。あなたの企業に合った海外研修のやり方を探してみてください。

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