「遠隔操作ロボットにはどのような種類があるの?」
「遠隔操作ロボットを導入することでどのようなメリットがあるの?」
遠隔操作ロボットの導入を検討している企業の中には、導入後の職場環境のイメージができていない方も多いのではないでしょうか。
実は、遠隔操作ロボットには2つの種類があって、職場環境にマッチする機種を選ぶと圧倒的に効率が良くなります。
本記事では、遠隔操作ロボットの種類や導入するメリット、おすすめの遠隔操作ロボットを紹介します。
この記事を読んで、自社でどのような遠隔操作ロボットを導入すれば良いか判断するときの参考にしてみてください!
遠隔操作ロボットとは
遠隔操作ロボットとは、遠く離れた場所から操作できるロボットのことで、現地にいなくても操作できるということから製造業や医療などの現場で活躍しています。ロボットといえば直近10年ほどで開発が著しく進展していますが、実は遠隔操作ロボットの始まりは1948年で、アルゴンヌ国際研究所で放射性物質を扱うために遠隔式のマニピュレーター(機械などで作業を行う部分)が開発されました。
今では、遠隔操作技術を応用して、被災状況の把握などを目的とした災害対応ロボットや、病気や怪我などを理由に外出できない人の代わりとなる分身ロボットの開発も行われており、コロナ対策として病院での患者へのご飯の配達なども行っています。
また、第5世代移動通信システム(5G)の登場など通信技術の発展に伴い、操作できる距離も大幅に伸びました。遠く離れた病院にいる医者が別の病院に入院している患者を手術するなどの事例も出ています。導入目的によって求められる機能が異なるため、導入する際は自社のニーズに対応できるロボットを選ぶことが重要です。
遠隔操作ロボットの2つの種類
遠隔操作ロボットには2つの種類があります。大きく分けてマスタースレーブ型とコックピット型に分けることが可能です。遠隔操作ロボットで行いたい作業によって、使い分ける必要があるので、どちらのタイプが業務に適しているか確認しましょう。それでは、順に説明します。
(1)マスタースレーブ型
マスタースレーブ型は、複数の機器の制御や操作を担当するマスター機を使って、制御下にある機器(スレーブ機)を動かすタイプのロボットです。同じ機能の機器が複数ある場合、全体を揃えて動かすことができるので、統一した作業を同時に進行させることができます。マスター機を用いて、スレーブ機を操作するだけでなく、スレーブ機の優先順位や序列を管理するために使用されることもあり、用途はさまざまです。
たとえば、マスタースレーブ型の遠隔操作ロボットには、手術支援ロボットなどがあります。医師が遠く離れた場所からマスター機を操作して、スレーブ機が連動して手術をする仕組みです。
従来のロボットは、マスター機を操作している医師の視野や施術範囲でしか手術できませんでしたが、技術の発展に伴い、人間の手よりも細く長く設計されていることから、人間が行うよりも施術範囲が広がっています。手術中の出血量を抑えたり、傷口や切開範囲を少なくしたりと患者の負担軽減にも繋がっているので、今後ますます医療現場に普及していくでしょう。
(2)コックピット型
コックピット型は、飛行機などの操縦席のように、さまざまな情報をモニタリングしながら直接操作するタイプのロボットです。ロボットに搭載されたカメラ映像や過去のデータをもとに操作するため、現場の状況把握などに適しています。たとえば、自動運転の巡回ロボットや配達ロボットなどを管理するのに向いているでしょう。現場に配置する人員を必要としないため、モニター前で一人管理する人がいれば人手不足が解消します。
中には、振動や衝撃などを感じられるコントローラーが搭乗されている体感型コックピット型ロボットも存在し、その機体を使えば、臨場感のある操縦ができるようになっているのです。コックピット型ロボットは、特に建設現場や災害現場など、危険を伴う場所で作業をしなければならないケースで活躍することが期待されています。
遠隔操作ロボットの3つのメリット
遠隔操作ロボットを導入するメリットを紹介します。今回紹介するメリットは以下の3つです。
- 省人化を図れる
- 業務効率がアップする
- 安全性を確保できる
順に紹介するので、導入することでどのような恩恵があるのか頭に入れておきましょう!
(1)省人化を図れる
遠隔操作ロボットを導入することで、人手不足を解消できます。少子高齢化によって労働人口の減少が問題になっており、深刻な人手不足に陥っている職場は多いです。特に、人手が集まりにくい工場や建設現場などの過酷な労働を強いられる職種では、人員の確保が難しいでしょう。人が集まりにくい理由として、高温多湿での長時間労働や荷物の積み上げなどの肉体労働による身体への大きな負担が挙げられます。
そのような場所に遠隔操作ロボットを導入することで、作業者にかかる負担を軽減しながら作業を遂行することが可能です。たとえば、建設現場などの力仕事が求められる場所で遠隔操作ロボットを導入すれば、作業者は肉体的な労働をしなくて済むため、肉体労働に限界を覚え始めたベテランや男性に比べて体力が劣る女性でも建設現場で戦力として働くことができます。
モニター越しに操作することができ、体感型の遠隔操作ロボットも登場しているので、機械に疎い人でも直感的に動かすことが可能です。同時に複数のロボットを遠隔操作すれば、工場の生産ラインで省人化できるため、人件費などのコストカットも見込めるでしょう。人手不足やコストカットを図りたい企業は、遠隔操作ロボットを導入を検討してみてください。
(2)業務効率がアップする
マスター機を使えば複数の遠隔操作ロボットを操作し管理できるため、業務効率のアップが期待できます。複数の人間が1つの工程を協力して進める場合は、それぞれが周りの人の様子を見ながら合わせる必要があるため、スムーズに工程を進めるにはある程度時間がかかるでしょう。特に退職者が多く、人の入れ替わりが激しい現場では、なかなか効率良く作業を進めることは難しいものです。
そこで、1つの作業に対して複数の人員が必要な場合に、遠隔操作ロボットを導入することで、プログラム1つで即座に完璧な連携を取ることができるため、人間が作業を行うよりも業務効率はアップします。人間の場合は、作業者のスキルによって製品の品質にバラツキが生まれますが、ロボットの場合は品質が安定するので、品質レベルの低い製品を軽減でき、生産効率の向上も可能です。
複数のロボットの業務を分担すれば、より作業効率がアップするため、製造業など現場に複数の人員を必要としている企業は、生産効率の向上を図るために遠隔操作ロボットを導入してみてはいかがでしょうか。
(3)安全性を確保できる
危険が伴う作業をロボットに任せることで、作業者の安全性を確保できます。作業者の身体などに影響を及ぼす可能性がある場所にロボットを導入して遠隔操作すれば、作業者は遠く離れた場所にいるため、危険を省みずに作業を進めることが可能です。たとえば、災害現場で作業をするときに活躍します。
災害現場では、放射線などの有害物質や建物の崩落などの二次災害に注意しなければならず、作業者にかかる精神的な負担は大きいです。災害現場など危険が伴う場所に遠隔操作ロボットを導入すれば、危険地帯に足を踏み入れずに作業を遂行できるため、安全を確保して仕事をすることができます。
労働環境の改善において、作業者が安心して働けることは重要です。作業者に大きな負担をかけている現場に遠隔操作ロボットを導入して、働きやすい環境を整えましょう。
おすすめの遠隔操作ロボット3選
おすすめの遠隔操作ロボットを紹介します。今回紹介する遠隔操作ロボットは以下の3つです。
- テレワークロボット™(株式会社スマートロボティクス)
- マスタ・スレーブ(株式会社デンソーウェーブ)
- ugo R(ugo株式会社)
順に紹介するので、遠隔操作ロボット選びの参考にしてみてください!
ugo R【ugo株式会社】
ugo R(ugo株式会社)は、アームを使った軽作業に適した遠隔操作ロボットです。エレベーターに搭乗することができるため、移動範囲が広いオフィスやショッピングモールなどの施設の警備に適しています。親しみやすい見た目になっており、お客様など外部の人と対面しても、雰囲気を壊すことがありません。
たとえば、お客様が買い物を楽しんでいるショッピングモールなどに警備員を配置すると、その場は緊張感が高まりますが、ugo Rが巡回していれば、逆に小さい子どもなどに喜んでもらえるでしょう。24時間体制のセキュリティ部門は人手不足になりやすいので、労働力を確保するためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。
マスタ・スレーブ【株式会社デンソーウェーブ】
マスタ・スレーブ(株式会社デンソーウェーブ)はマスター機を操作してスレーブ機を遠隔操作するロボットで、安全かつ直感的な操作が可能です。プログラミングなど専門的な知識がなくても扱える操作性になっており、バーチャルフェンス機能を活用すれば、簡単にスレーブ機の動作範囲の設定ができます。
特に、外部から異物混入を防ぐ必要がある医薬品製造現場などで活躍しており、作業者が行き来しないため、小さなゴミなどが混入するリスクが生じないのです。マスタ・スレーブはクリーンな環境を維持するのに役立つので、異物混入や作業者の感染などのリスクを軽減したい企業は導入を検討してみてください。
テレワークロボット™【株式会社スマートロボティクス】
テレワークロボット™(株式会社スマートロボティクス)は、遠隔操作型の自走式ロボットで、運搬だけでなく会話もできるため、見回りをするのにも適しています。パソコンやスマートフォンで操作しますが、専用のコントローラーでも操作できるので、モニターを見ながらゲーム感覚で扱うことが可能です。また、台車部分を自由にカスタマイズでき、荷台やアームの位置を業務内容に合わせて調整できる点も大きな特徴といえます。
紫外線照射機能が搭載されている新型コロナウイルスに対応した機器も開発されているので、除菌対策も可能です。初期設定も必要なくすぐに導入できるので、気になる方は価格など問い合わせてみてください。
まとめ
遠隔操作ロボットを導入することで、人手不足の解消や業務効率の向上、労働環境の改善などが実現します。製造業や建築現場、医療現場などさまざまな場所で活躍しているので、幅広い作業に導入可能です。さまざまな機能を搭載しているため、自社のニーズに合ったロボットを選びましょう。