動画制作における著作権とは?動画制作・外注時のポイントも解説

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「動画制作をするうえで、著作権や肖像権はどんなことに注意したらいいのかな」
「そもそも、著作権ってなんだろう?」

このようなお悩みはありませんか?

効果的なマーケティングツールである動画ですが、法律に関する知識を正しく理解しないまま動画制作をするとトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

そこで、本記事では動画の著作権・肖像権に関する基礎知識と動画制作する時や外注する時のポイントを紹介します。

動画制作を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
目次

著作権の基礎知識

まず、著作権の基礎知識を以下3つのポイントに絞って紹介します。

  1. 著作権とは?
  2. 著作物について
  3. 著作者について

1つずつ順に説明します。

著作権とは?

「著作権」とは、文芸や学術、美術、音楽などの文化的な創造物の著作者がもつ権利のことです。
盗用などによって著作者の利益が害されることのないよう、法律で保護されています。

著作権は知的財産権の一つですが、申請登録が必要な特許などとは異なり、作品が完成した時点で自動的に発生するため手続きは必要ありません。

著作権をもつ者は、複製・上映・翻訳・譲渡・二次創作など著作物の利用を許諾したり、禁止したりすることが可能です。

そのため、動画を外注して制作会社に著作権がある場合は、公開できる媒体や公開期間が決められている場合があります。

つまり、著作権がだれに帰属するのかによって、制作した動画の利用方法に制限が生じる可能性があるのです。

著作物について

著作権法で保護される「著作物」とは、個人や企業が思想や感情を表現あるいは創作したもののことです。加えて、文芸や学術、美術、音楽の範囲に入るものである必要があります。

具体的には、小説や詩、楽曲、絵画、映画、コンピュータープログラムなどがあげられます。
また、新聞や雑誌、百科事典など編集したものであっても、素材の選択や配列によって創造性のあるものは著作物となります。

動画に関する著作物は、動画広告やプロモーションビデオ、ミュージックビデオ、ホームビデオなどです。

動画本編はもちろんのこと、動画の構成要素である脚本、キャッチコピー、デザインなども著作物に含まれます。

反対に著作権法の保護対象外になるのは、創作物になる前のものや工業製品、模倣物です。
創作物になる前のものとは、アイデアや企画、データなどのことを指します。

著作者について

「著作者」とは、著作物を創った人のことです。

小説家や画家、作曲家といった創作活動を生業とする人に限らず、オリジナルで著作物を創った人は、たとえ子どもであっても著作者になります。

動画のように複数人で制作した場合は、ディレクターやプロデューサー、監督など作品全体の形成に携わった人が著作者となることが多いようです。

脚本や楽曲、デザインなど、動画の構成要素を作成した人は各要素の著作者となりますが、動画全体の著作者ではありません。

また、「法人著作」「職務著作」という、著作者が所属する会社に著作権が認められる場合もあります。
動画を法人著作にするためには、従業員を著作者にする規定がない会社が動画の企画を立て、会社の従業員が業務上制作し、できあがった作品は法人名義で公表することが必要です。

ただし、制作過程の一部でも外注した場合は、法人著作・食著作としては認められません。

著作権侵害の危険性

動画における著作権侵害は、動画制作会社が定めた利用目的以外で動画を使用した場合や制作会社に断りなく動画内容を変更した場合、動画に使用する素材を著作者の許可なく使用した場合などが考えられます。
著作権を侵害し、著作者に刑事告訴された場合は、最高で10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科されます。

また、民事訴訟された場合であっても、損害賠償や不当利益返還に応じなければなりません。

このように著作権法を違反してしまった場合は非常に重たい罰則があります。
さらに、著作権侵害をした動画制作者は社会的信頼を失ってしまうため、「著作権のことは知らなかった」ということがないようにしましょう。

肖像権の基礎知識

動画制作をする際には著作権だけでなく、肖像権にも注意する必要があります。

肖像権とは、本人の許可なく顔や容姿の画像などを勝手に利用・公表されないための権利です。

著作権と違って法律による保護はありませんが、プライバシーの権利の一部として憲法で定められています。

肖像権を侵害した場合は損害賠償責任が生じるので、著作権と同様に知っておくべき知識といえるでしょう。

肖像権には、「人格権(プライバシー権)」と「財産権(パブリシティ権)」があります。

人格権(プライバシー権)

「人格権」は、個人の顔や容姿を本人の承諾なく他人に利用・公表されないための権利です。
大勢の人に私生活上の容姿を勝手に公開することはプライバシーの侵害になり、その人の人格を考慮しない行為となります。

動画の場合に注意することは、通行人などの写りこみです。
通行人が写りこんでしまった場合は、個人の特定ができないようモザイクやぼかしをかけるといった加工をしましょう。

また、動画に出演する人にも事前に撮影・公開の許諾を得る必要があります。
たとえ家族や自社の社員であっても、必ず撮影前に許可を取ることは動画制作上の最低限のマナーです。

財産権(パブリシティ権)

「財産権」は、影響力がある芸能人やモデル、スポーツ選手などの経済的価値や利益を保護するための権利です。

有名人の画像などを無断で動画に使用した場合、写真の著作権を侵害するだけでなく、本人の財産権侵害にも該当します。

著名人を動画に起用したい場合は、必ず事務所と交渉して契約締結をしなければなりません。

また、動画の背景に有名人が写っている広告が写りこんだ場合にも、特定できないようモザイク加工などを施す必要があるので、注意しましょう。

動画制作を外注するときに著作権で知っておきたい3つのポイント

動画制作は自社で行う場合もありますが、専門業者に依頼する場合もあるでしょう。動画制作を外部の業者に発注する際に知っておきたいポイントを以下3つ紹介します。

  1. 著作権は制作会社に帰属する
  2. 著作権を制作会社から依頼者側に移す方法
  3. 著作権や肖像権侵害の心配が少ない

1つずつ順に説明します。

著作権は制作会社に帰属する

動画制作会社はクライアントから報酬をもらって依頼に沿った動画を作りますが、著作権は制作会社側にあります。

クライアント側が持つのはあくまで動画の著作利用権で、動画の著作者は動画全体の制作に携わったディレクターやプロデューサーになる場合が多いようです。

著作者には著作物の公開許可の権利があるため、公開範囲や公開期間を決めることができます。
例えば動画をWebサイトだけでなくYouTubeやSNSにもアップしたい場合や、長期間動画を公開したい場合は、業務委託契約書などで事前に確認を取っておきましょう。

著作権を制作会社から依頼者側に移す方法

先述したとおり、著作権は動画制作会社にあります。
動画の著作権を制作会社から依頼者側に移したい場合は、著作権譲渡契約を結ぶ必要があります。

映像・広告業界では著作権譲渡を「買い取り」と呼ぶことが多いです。

著作権譲渡契約をする際には、トラブルを防止するためにも口頭だけで決めてしまうのではなく、書面で行うようにしましょう。
買い取り価格の平均は、動画制作費用の10〜30%程度です。

制作会社の中には買い取りを許可していないケースもあるので、制作依頼をする前に確認をしておくとよいでしょう。

また、著作者の人格的利益を守る「著作人格権」は一身専属であるため、著作権譲渡を契約しても譲渡されません。

「著作人格権」とは、著作者の名誉や著作物に対する思いを保護する権利です。
具体的には、動画公開時に著作者を表示するよう指定できる「氏名表示権」や著作物の題や内容を勝手に改変させない「同一性保持権」「公表権」などがあります。

そのため、契約書などで動画公開のルールは必ず確認しておきましょう。

著作権や肖像権侵害の心配が少ない

動画制作を自社で行う場合、動画で使用する音楽やイラストなどの著作権や肖像権の管理をしなければなりません。
動画を構成する要素が著作権や肖像権を侵害していないか1つ1つチェックする作業は、本業を抱えつつ行うのは大変です。

万が一チェック漏れがあった場合は、損害賠償だけでなく社会的信用が失墜してしまう可能性があります。

著作権の知識がある動画制作会社に依頼すると、動画素材は制作会社が保有するものやフリー素材を使用し、通行人などの肖像権への配慮も行うので、そういった心配がなくなります。

とくに不特定多数の人が閲覧する可能性がある、WebサイトやYouTube、SNSにアップする動画を制作する場合は、動画制作会社に依頼した方が安全といえます。

ただし、従業員などに動画出演してもらう場合は、会社側で肖像権の管理は行うようにしましょう。

動画制作で著作権を侵害しないための3つの注意点

最後に、実際に動画制作をするうえで、著作権・肖像権の視点から気を付けるべきことを以下3つ紹介します。

  1. 動画素材を無断で使用しないこと
  2. 撮影時の写り込みに気を付けること
  3. 肖像権に注意すること

1つずつ順に説明します。

動画素材を無断で使用しないこと

動画には、撮影した映像だけでなく写真やイラストなどの画像やBGM、文字フォントなどさまざまな素材を使用します。

こういった素材をすべて自分で作成する場合は問題ありませんが、インターネット上にアップされている素材を使用する場合は注意が必要です。

たとえば、動画に欠かせないBGMにアーティストの楽曲を使用する際にはJASRAC(日本音楽著作権協会)で必要な手続きを行います。

ただし、音楽の場合は動画の使用目的が従業員対象のイベントやセミナーなど、社内利用のみであれば、手続きは不要です。

著作権侵害のおそれのない音楽を用いるのであれば、著作権フリーの音楽サイトを使用することをおすすめします。

検索エンジンで「BGM 著作権フリー」や「音楽 フリー素材」などで検索すると、著作権フリーの楽曲を提供するサイトが出てきます。

著作権フリーの素材を提供しているサイトは、サイトによって有料・無料が決まっており、音楽のほかにも文字フォントやイラスト、写真などを提供しています。

撮影時の写り込みに気を付けること

動画撮影の際には、キャラクターやロゴなど著作物や商標物が写りこまないように気を付けましょう。
文化庁によると、著作者の利益を害さない条件で、たまたま背景に著作物や商標物が小さく写ってしまった場合は原則問題ないとされています。

とはいえ、写りこむ著作物の見え方やサイズによっては、著作権侵害となってしまう可能性があります。
著作物の写りこみの許容範囲については著作者によって異なりますし、写りこみによる著作権には厳密な規定がないため、ケースバイケースで著作権侵害が判断されるためです。

無用なトラブルを避けるためにもなるべく著作物や商標物が写りこまないよう配慮しましょう。

また、商用目的で特定の建造物や観光スポットを写す場合は、事前に所有者に許可を取ることが必要です。

肖像権に注意すること

「肖像権の基礎知識」で述べたとおり、肖像権にも配慮が必要です。
動画の出演者がたとえ従業員や家族であっても、撮影前には必ず本人の許可を取るようにしましょう。

この際に、従業員の場合は退職後も動画を掲載し続けてもよいかどうかの確認をとることが必要です。
退職後の動画利用の承諾が得られない場合は、動画の使用中止もしくは本人が特定されない加工を行わなければなりません。

また、通行人が写りこんだ場合もモザイクやぼかしなど動画加工をしなければならないため、人が多い場所での撮影は気を付けましょう。

最後に

この記事では、動画制作に関する著作権・肖像権について解説してきました。
インターネットの普及によってYouTubeなどを活用する方が多くなり、動画コンテンツへのニーズが高まっています。一方、大勢の人に閲覧される可能性から動画制作者には著作権・肖像権への理解がますます求められています。

著作権や肖像権を侵害してしまった場合は損害賠償だけでなく、社会的な信用を失ってしまいます。

「知らなかった」では済まされない著作権と肖像権。
本記事を参考に、著作権・肖像権への配慮をしっかりと行った動画を制作しましょう!

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