ホームページから動画へと情報配信の形が変わり、ユーザーの関心も感覚的な刺激の強い「動画」へと移ってきています。
感覚的な情報が購入や売り上げに直結するアパレル業界では、動画を使うと服そのものの動きや生地感はもちろん、ブランドイメージという無形のものすら効果的に伝えることができます。
- 新規顧客を掴みたい
- ブランドイメージをもっと明確に伝えたい
- より多くの人に知ってもらいたい
などの目的を全て達成するには、動画でプロモーションを行うのがおすすめです。
とは言え、アパレルにおいて動画を使うとどのようなメリットを得ることができるのか、気になりますよね。
また、どんな成功事例があるのかを知っておけば、これから打ち出していく動画のイメージも湧きやすくなるはずです。
ここでは、アパレルで動画を活用すべき理由と、成功事例をご紹介しています。
アパレルで動画を使うメリット
服などの「印象」を商品とするアパレルでは、ビジュアルへの訴求が集客には最も効果的なのは周知の事実です。
多くのアパレル業界はプロモーションをいかにスマートかつスタイリッシュに見せるかに力を入れ、より効果的に顧客の視覚へ訴える方法を日々模索しています。
動画が身近なコンテンツとなった近年では、アパレル業界をはじめ様々な企業が動画でのプロモーションへと続々と参入。
文字メディアのみで集客を行う従来のやり方は今や主戦力ではなく、サブコンテンツのような立ち位置に落ち着いていますでは、なぜこれほどまでに動画プロモーションは活気を見せているのでしょうか?
まず、動画でプロモーションを行うメリットを考えてみましょう。
手軽に情報を与えられる
動画は、聴覚と視覚の両方へ同時に訴えることができるツール。
他メディアでは膨大になりすぎて詰め込みきれなかった情報量を、ナレーション・効果音・ビジュアルを駆使してコンパクトに伝えられるのが利点です。
またビジュアルや効果音を多用すれば、複雑な情報もポイントをピックアップして表現することができるため、ユーザーを疲れさせることなく情報を提供できるというメリットもあります。
特に近年流行している「漫画風動画プロモーション」などは、
- ユーザーへのベネフィット
- セール(割引)情報
- 商品によって得られる効果
といった膨大な情報を、ストーリー仕立てにすることで自然に盛り込むことに成功していますね。
アパレルブランドが動画プロモーションを行う場合も、セールや新店オープンなどの情報はより多くの顧客に共有しておきたい部分。
手軽な形で多くの情報を詰め込むことができる動画は、アパレルブランドに疎いユーザーとも手軽に情報を共有することができる非常に便利なツールであると言えます。
不特定多数の目に入る
今や誰のスマホにも入っている動画配信サイトは、近年の爆発的な普及により、「動画=暇つぶしの道具」としての立ち位置が盤石なものとなっています。
流し見で動画を見るユーザーが増えたことで、動画プロモーションに求められるニーズは「アパレルの既存顧客」に向けたニッチなものより「不特定多数の新規顧客」に向けたキャッチーさのあるものに変化しています。
動画サイトを利用したプロモーションでは、不特定多数の目に留まることでアパレル商品を幅広くアピールすることが可能。
そのためには、具体的な情報よりもまずイメージを全面に押し出すことが重要です。
アパレルブランドに限り、動画でプロモーションする場合は、商品の具体的な特徴よりも服を着ることで得られるイメージを強調して映像化することが効果的でしょう。
新規顧客にもアピールできる
多様な年齢層、性別、趣味趣向のある人々が同じく目にしている動画サイトでは、不特定多数の人々の中に、新しい顧客になり得るユーザー(潜在顧客)が紛れている場合も往々にしてあり得ます。
従来のメディアでは、わざわざアパレルブランドを検索して商品ページにたどり着かなくてはユーザーと情報を共有できませんでした。
一方、動画は「見るだけ」で情報の共有が成立するため、「検索してたどり着く」という条件を満たさなくてはならなかったHP時代よりもアピールポイントが高いのです。
まだアパレルブランドを知らない多くの潜在顧客の目に触れやすい動画は、商品情報や他にはないアパレルブランド独自の個性をアピールするのに最高の場所だと言えます。
ターゲットを絞り込みやすい
動画プロモーションでは、視覚の他に聴覚にも訴えることができます。
様々な情報を同時に伝えられるという点は動画プロモーションの強みであり、映像・文字・音声を組み合わせて表現できる動画では、アパレルブランドの意図が正確に伝わるという利点もあります。
情報が曖昧にならないということは、アパレルブランドが本当に狙っているターゲット層を絞り込んでアピールしても「伝わる」ということ。
動画に限らずプロモーションでは通常、ペルソナと呼ばれる仮想ユーザーを設定するのが一般的ですが、従来のメディアではより広い層に受け入れてもらうため、アピールポイントはペルソナより少し外れた範囲まで広げて制作を行なっていました。
動画であれば、例えば「27歳、OL、ゆるふわ好き」と設定したペルソナに一点集中してプロモーションを制作してもきちんと伝えることができ、さらに不特定多数の目に触れることで、その中からアパレルブランドのイメージに合う新規顧客をピンポイントで開拓することができます。
アパレルで動画を使うと伝えられること
アパレルに限らず、動画でプロモーションを行う際はメッセージを伝えられなくては意味をなしません。
そしてそのメッセージとは、従来メディアのように必ずしも具体的な情報である必要はないのです。
動画プロモーションでは、
- アパレルブランドのイメージ
- ファッションのコンセプト
といった具体的に表現しようのない抽象的な情報もわかりやすく盛り込むことが叶います。
アパレルブランドのイメージ
アパレルブランドは、ブランドの持つイメージや、シーズンごとに打ち出したい商品のイメージなど、とにかく印象をプロモーションしたい場面が多くありますよね。
動画以外のメディアで、ターゲットとする客層にイメージをきちんと訴えていくことは非常に難しい技です。
動画であれば、アパレルブランドが齟齬なく伝えたい「印象」をわかりやすく伝えることが可能。
アパレルブランドの動画では、
- どんな人に着用してもらいたいか
- どの世代に向けたブランドなのか
- 多様化した性別のうちどれか
といった、細分化したニーズにピンポイントで響く演出を実現できます。
従来の文字メディアでは、ターゲットに受ける文体や表現に工夫を凝らす必要があり、さらにその表現が果たして本当にヒットするものか、暗中模索の中コンテンツ作りをする必要がありました。
動画であれば、アパレルブランドの意図や伝えたいことが一目瞭然でわかるため、「印象」という無形のものを伝える手段としては非常に有効です。
ファッションのコンセプト
アパレルブランドとして伝えたいことの一つに、ファッションのコンセプトというものがありますよね。
ファッションのコンセプトはもちろん静止画でも伝えることができますが、アパレルブランドとして打ち出していきたいのは「シチュエーション」や「着用感」といった場面場面でのコンセプトですよね。
こうしたリアルな情報は、静止画および文字コンテンツだけでは伝わりづらい特徴もあります。
アパレルのプロモーションでは、ファッションを身につけた後、どのような状況に身を置くかをユーザーに想像させることで購入に結びつけていくため、イマジネーションを刺激することは戦略としてとても有効です。
文字メディアや静止画よりもイマジネーションに働きかけられる「動画」というメディアは、「このアパレルブランドに似合う最高のシチュエーション」をダイレクトに伝えることができるので、顧客へのアピールに一役買ってくれます。
セールなどの情報
アパレルブランドは時に、印象などの無形のものの他に、セールなど具体的な情報もきちんと発信していく必要があります。
特に、セールや特売、新店舗オープンといった情報は、目にするユーザーが多ければ多いほどアパレルブランドにとって利益になります。
日常のあらゆる場面で目にする機会のある動画であれば、アパレルブランドが新規顧客を呼び込むためのセール情報なども、不特定多数に発信できるというメリットがあります。
また、アパレルブランドでは季節の変わり目にオフシーズンの服をセールに出す場合が一般的ですが、なるべく最後まで売り尽くして利益を出したい売り手としては、セール期間を明確に、かつ覚えてもらいやすい形で発信し、ユーザーと共有しておく必要があります。
動画プロモーションを用いると、短い時間でも必要な情報がきちんと共有できる上、「冬物のみ割引」「スカートのみ半額」といった限定的かつ詳細な情報も、画像・音声とともに伝えられるため誤解を生みづらい利点も。
必要な情報をわかりやすく強調できる動画は、文字・静止画のプロモーションよりもユーザーの記憶に残りやすいと言えます。
アパレルで動画を使うとできること
アパレルブランドのプロモーションで動画を用いた場合、できること・効果が見込める範囲は以下のようになっています。
- 細かい情報を一気に伝えられる
- ECサイトへのアクセスにつながる
- SNSでの拡散・共有
アパレルで動画プロモーションを行う際にできることがわかれば、動画製作時に力を入れるべきポイントが自然と洗い出されるので、「アパレルで動画プロモーションを行いたい!」と考えている方は必読です。
また、メディアは効果的な使い分けが集客につながってくるため、アパレルのプロモーションで動画を用いた時できる範囲を知り、動画制作に力を入れるべきポイントを理解できれば、自然と集客に有効なコンテンツ作りも実現できます。
細かい情報を一気に伝えられる
動画プロモーションの最大のメリットは、細かく複雑な情報もわかりやすくまとめて伝えられること。
動画は、音声や画像などあらゆる方向から情報を伝えることができるため、視覚情報のみに頼っていた従来のメディアと比べて盛り込める情報量が大幅に違います。
アパレルでは、セールはもちろん、新作発売や一部商品値引きなど、顧客にとって魅力的な情報が一度に発信されることも多々あります。
アパレルブランドをまだ知らないという潜在顧客も呼び込むチャンスでもあるこういった情報は、多くのユーザーに投げかけられる形である方が望ましいですよね。
従来のメディアでは、多くの情報を盛り込むとユーザーの「情報処理能力」に負担がかかり、画面の離脱もしやすく費用対効果は薄いものでした。
しかし動画であれば「なんとなく見ているだけ」で印象に残るプロモーションが叶い、かつまとまった情報を盛り込むことができるので、集客までの時間が格段に短縮されます。
ECサイトへのアクセスにつながる
「ECサイト」とは、自社商品を販売するネット上の支店のことです。
昨今のアパレルブランドは自社HPで服の販売をするのは当然であるため、ECサイトはアパレルと切っても切り離せない存在です。
アパレルブランドのECサイトへの誘導に動画が有効な理由は、ユーザーの購買意欲に直接働きかけることができる点。
ユーザーのイマジネーションを刺激することがアピールの鍵を握っているアパレルでは、サイズ感や着用後のシチュエーションを具体的に想起させられる動画プロモーションは購入に結びつきやすい特徴があります。
特にECサイトを埋め込んだ動画は、視聴したついでに購入画面も開けるため、「欲しい」「買おうかな」という気持ちがしぼまないうちにサイトへ誘導することができ、迷う隙を与えません。
もちろん埋め込みがない場合も、動画によって顧客の背中を押し、購入へつなげることができるため、アパレルブランドは動画プロモーションと相性がいいと言えるでしょう。
SNSでの拡散・共有
アパレルブランドが動画プロモーションを行う利点の最たるものが、SNSでの拡散や共有が行われやすいという点です。
「バイラル動画」と言われるものがこれにあたりますが、動画によってはワンクリックでブログをはじめとしたSNSに引用することができ、自然と人の目に触れる良い流れが作れるのが動画の利点です。
文字メディアに比べて気軽に閲覧しやすい動画は、アパレルブランドのファンではないユーザーが触れるのにも敷居が低くわかりやすいため、「少しだけ見て共有」という好循環が起こりやすくなっています。
また「おしゃれ」「短い」「わかりやすい」など、忙しない現代でも情報が容易に伝わる動画であった場合、最初の数秒だけ見て拡散してくれる場合も多く、期待以上の集客が見込める可能性もあります。
情報をしっかりと処理しなくてはいけなかった従来の文字メディアなどに比べ、動画は個性をわかりやすく演出することができるため、アパレルブランドが新規顧客へ「他社との違い」をアピールする格好のコンテンツでもあるのです。
アパレル動画の効果的な制作のポイント
アパレル動画を活用するメリットや使うとできることなどがわかったところで、効果的な動画を制作する際に意識するべきポイントをご紹介します。
視聴者に伝えたいことを伝えられるように、ここで紹介する内容を参考に制作してみてください。
ブランドイメージにあったモデルを起用する
アパレル動画は、起用するモデルのイメージがブランドイメージを大きく左右するポイントになります。
そのため、ブランドイメージや商品の世界観などと合うモデルであるかどうかを、モデルを決定する際に意識して選ぶことが大切です。
インフルエンサーやモデルを起用することで、インフルエンサーやモデルのファンの目に届き、さらにファンによって拡散されることが期待できます。
しかし、人気のインフルエンサーやモデルだからといって、誰を起用してもいいというわけではありません。
あくまでもブランドのイメージに合ったインフルエンサーやモデルを起用することが重要です。
さらに、ブランドのターゲットとファンの年齢層が合っているのかにも注目しておきましょう。
着用イメージがわかりやすいように制作する
アパレル動画の一番の特徴として、生地の質感やサイズ感、シルエット、細かなデザインなどを伝えることができる点です。
この特徴を活かして、着用イメージをわかりやすく動画を制作することも大切なポイントです。
静止画と違い動画は動いた際の服の動きや生地の見え方も伝えることができます。
そのため、動いた際のイメージがしっかりと伝わるようなカメラワークも必要になります。
また、コーディネートの紹介や、他のアイテムとの着回しの組み合わせを盛り込むと、視聴者の購買意欲を掻き立てることが可能です。
掲載する媒体を考える
アパレル動画を配信する媒体によって、特徴は異なります。
例えば、拡散力に優れている媒体はTwitter、細かくターゲティングが可能なのはInstagramやYouTubeです。
また、それぞれの媒体を利用するユーザーの年齢層も違いがあります。
TwitterやInstagramは20~40代までと幅広く、YouTubeは30~40代のユーザーが比較的多い特徴があります。
配信媒体を選ぶ際は、狙っているターゲットの年齢層や動画を配信する目的と合っているか考えることも大切です。
タイムセールを行い購買意欲を刺激する
通販サイトやテレビショッピング、実店舗で見かけるタイムセールは、アパレル動画に取り入れるのも有効的です。
タイムセールの動画を制作して配信することで、視聴者の購買意欲を掻き立て、「安くなっているうちに買わなくては」という気持ちにさせることができるため、すみやかに商品の購入に繋げることができます。
インタラクティブ動画をうまく活用する
インタラクティブ動画とは、動画内をタップしたりクリックしたりするとアクションが起こる動画のことをいいます。
商品の価格情報や関連アイテムなどを掲載したポップアップの表示や、ECサイトに誘導させる導線を作ったりすることができます。
視聴者が動画を見終わった後に商品について検索する手間が省け、誘導率の高いインタラクティブ動画は、アパレル業界にとってとても有効的な手法です。
アパレル動画の成功した会社の事例
アパレルのプロモーションで動画を利用するメリットは十分ご理解いただけたかと思いますが、そこで気になるのは「過去どのような成功事例があるのか」といったところですよね。
アパレルで動画プロモーションを制作する際、どのような演出が効果的にユーザーを惹きつけるのか知っておくことは、今後コンテンツづくりをしていく中で重要な指針となるはずです。
ここでは、魅力的な動画と、アパレルブランドを紹介をしています。
ビームス
2022年のビームス春夏シーズンのプロモーション動画。
ビデオテープを意識したレトロな画面作りと、オレンジ色の絨毯のような抽象的な背景の前で男女が自由にダンスをする動画です。
毛足の長いファー素材の背景や男女が身につけた衣服が風で揺れ動く様、シチュエーションを限定しない演出が、ファッションの自由さ・可能性を感じさせる仕上がりになっています。
衣服や背景の揺れ以外に情報が入ってこないため、ユーザーに想像力の余白を持たせているのも魅力的な点です。
また、ビームスは動画に力を入れつつあるアパレルブランドとしても有名。自社HP内でスタッフにショートムービーを撮影・投稿してもらい、着こなしやワンポイントテクニックなどを発信しています。
スタッフの人柄や個性もユーザーに伝わるようにコンテンツづくりを行なっているため、オンラインながらリアルに接客を受けているような親近感もあります。
ビームスでは売り上げなどの利益に直結するセールスなどはしていないものの、動画マニュアルを完備するなど企業全体で動画制作に取り組んでおり、視聴者数増加によるユーザーの流入も期待できます。
動画の長さ:41秒
再生回数:1000回以上
ユナイテッドアローズ
「入社して年の浅い若い男性がスーツの似合う先輩との記憶を回想する」というコンセプトのプロモーション動画です。
「クールでかっこいい大人の男性」が主たるターゲットのアパレルブランド・ユナイテッドアローズですが、この動画ではあえて初めてアパレルを利用する「スーツ初心者の学生」にスポットを当て、「憧れの先輩」を通すことで洗練されたスーツスタイルを際立たせています。
この動画では、アパレルブランドの持つドレッシーなスーツの魅力を伝えるとともに、カッコよくスーツを着こなしたいという男性の憧れを刺激することにも成功しています。
まだ顧客となっていない不特定多数の潜在顧客に、「憧れの先輩」「仕事への熱意」という共感ポイントで訴求し、アパレルブランドのスーツを身につけることでワンランク上の紳士にステップアップできるという想像力の余白も与えている仕上がりです。
動画の長さ:2分08秒
再生回数:1000回以上
ルイヴィトン
誰もが知る高級アパレルブランドであるルイヴィトン。
ルイヴィトンの公式YouTubeチャンネルが発表しているプロモーション動画は、商品そのもののアピールよりも「世界観」「コンセプト」といった無形のものをアピールするものが大半。
あえて商品情報を省くことでユーザーのイマジネーションを掻き立て、「このアパレルブランドを身につける」ことそのものへの価値を訴求しています。
そんなルイヴィトンのプロモーション動画の中でも珍しく、商品にフォーカスしたこちらの動画は、アパレルブランドが動画プロモーションを行う上で大変参考になります。
45秒という短い再生時間、言葉や文字という情報を限りなく抑えた演出は、他の動画にも見られる想像力の余白に頼ったものですが、バービー人形のような常人離れしたモデルを起用することでアパレルブランドへの「無性な憧れ」「羨望されるべきもの」というイメージを崩さない動画作りを実現。
アパレル商品のアピールをしつつ、華やかでアーティスティックなイメージを強調した画面作りに引き込まれる動画です。
動画の長さ:45秒
再生回数:6000回以上
GU
プチプラアパレルブランドとして名高いGUは、アパレルブランドが動画プロモーションする際にモデルになる点が盛り沢山。
まずご紹介するのは、キッズコーデをコンパクトに紹介した動画です。
13秒というかなりミニマムな再生時間ながら、キッズTシャツのモチーフやカラー、値段、そして子供らしいポップで元気なイメージを見事にまとめ上げており、動画の「伝わりやすさ」「情報の詰め込みやすさ」を最大限活かした演出をしています。
動画の長さ:13秒
再生回数:2.6万回以上
こちらは「GUアクティブ クイックドライ」という新たな速乾性Tシャツのプロモーション動画。
30秒以内という見やすい再生時間ながら、グラフや水滴を吸収する視覚的効果を用いることで「さらさらした着心地」、「すぐに乾いてべたつかず涼しい」といった、店頭で手にとらないとわからない生地についての情報をコンパクトに共有しています。
また画面作りは服を着用したモデルのみというシンプルさながら、色彩効果を活用して「真夏に着るもの」という情報も伝わってくる他、値段やブランド名といった必要な情報も漏らしていません。
さらにどういったシチュエーションで着用するかなどのイマジネーションの余白もあり、短い再生時間で多くの情報がきちんと理解できる作りになっています。
アパレルブランドの動画作りで大変参考になる素晴らしいプロモーションであると言えるでしょう。
動画の長さ:21秒
再生回数:200回以上
H&M
洗練されたテレビCMが話題のアパレルブランド「H&M」は、最先端のファッションが安く・高品質で手に入ることが特徴。
この動画では、キリリとスーツを着こなす男性を歯医者というカジュアルな場所に登場させ、かつコメディタッチでストーリーを進めていくことでアパレルブランドの「安く高品質」という魅力をしっかりとアピールしています。
全体的に砕けた印象の動画が、アパレルブランドの「高級感なく良い服を着られる」という訴求ポイントを強調し、またきちんとしたスーツの取り扱いが少ないファストファッション店舗との差別化も図っています。
動画の長さ:30秒
再生回数:2.7万回以上
同アパレルブランドのプロモーション動画の中でもダントツの再生数を誇るこちらは、全てにおいて「対比」がアピールの鍵を握っています。
ダウンタウンのようなうらぶれた通りを、カラフルな服を着た陽気な男が歩いている様子は、日常の中に高品質なものを手軽に取り入れられることを無言ながら強烈にアピールしています。
また「いいシャツだね」と繰り返すことでそれがアパレルブランドの商品であることを強調し、さらに男性がそれを全く否定せず受け入れていることから、シャツの高品質さも伝えています。
男性が、常に笑顔でいて明るい服を着ている画面作りも、アパレルブランドの敷居の低さ・入りやすさへとイメージがつながっていき、直接的なメッセージには乏しいもののユーザーのイマジネーションに訴えかける動画となっています。
動画の長さ:30秒
再生回数:33万回以上
シャネル
「シャネルの5番」というテレビCMで、幼い子供から老人までその存在が広く知れ渡った高級アパレルブランド・シャネルによる母の日フェアの動画プロモーションです。
動画に登場するシャネルの香水の着ぐるみは、精巧にできているようで実は手作り感のあるハリボテ。
まるで誰しもがかつて作った「母の日の工作」を想起させるダンボール素材で、ユーザーの子供の頃の思い出に働きかけ、大人になるにつれ薄れていく「お母さん好き!」という原始的な気持ちにすら訴えかけてきます。
またハリボテの中身は幼い子供たちです。洗練されたダンスを披露しているため成人と思いがちですが、中の人が子供といったトリックは「母親」の存在と結びつきやすく、さらに意外性もあるのでユーザーの印象に根深く残ります。
シャネルの動画プロモーションはメッセージがわかりやすく、アパレルブランドの動画としてはあからさまでややいやらしい部分も否めません。
しかし、イマジネーションへの訴求は余白も残しつつ狙いが見えやすいため、アパレルの動画プロモーションとしては成功している事例と言えるのではないでしょうか。
動画の長さ:30秒
再生回数:30.9万回以上
ニコアンド
個性的かつナチュラル系ファッションに強いアパレルブランド「ニコアンド」の動画は、食器にフォーカスしたプロモーションとなっています。
軽快なロカビリーミュージックに乗せ、ややフィルム調の画面作りを行うことで高揚感を演出。
アパレルブランドの食器が「リッチ・セレブではないが、日常の特別なワクワクした瞬間」に似合うものであることを伝え、ユーザーのテンションを上げることで購入へとつなげていく狙いです。
また、食器のデザインをシチュエーションと並行して見せていくことでユーザーのイマジネーションをダイレクトに刺激。
「どんなシチュエーションなら映えるのか」をかなり強調していて一見想像力の余白にかけますが、ユーザーが「自分ならどんな時に使うか」といった意見を持つきっかけを投げかける、ヒントとして十分な役割を果たしています。
プロモーション動画にあるシチュエーションをヒントとしてユーザーが想像の翼を広げ、食器の使い道や食器のそばに自分自身を投影することで購入への道を近くする、アパレルブランドの動画プロモーションとしてとても役立つ1本です。
動画の長さ:1分30秒
再生回数:300回以上
ジバンシー
エレガント、上品といった印象が強く、特に香水が有名な高級アパレルブランド・ジバンシーの動画プロモーションは、ユニセックスなデザインのバッグをとにかく魅せています。
この動画は「職人が1つのカバンを手作業で作る」だけの動画であり、滑らかなカメラワークで素材の手触りをリアルに感じさせています。
アパレルブランドの動画には珍しく、モデルの起用はおろか色すらついていない、無駄な情報を一切省いたモノクロの画面作りを徹底し、ひたすら「鞄が欲しい」という気持ちに訴求し続けています。
またカバンを作っている職人の手には白い手袋がはめられていて、男性でも女性でもないアイコンとして存在感を発揮。ユニセックスなデザインのカバンに固定イメージをつけることなく、魅力をアピールすることに成功している事例です。
動画の長さ:1分01秒
再生回数:2.5万回以上
ザ・ノースフェイス
世界を代表するアウトドアアパレルブランド「ザ・ノースフェイス」のプロモーション動画。発酵食品のパイオニア田上彩さんへのインタビューを通して、アパレルブランドの持つアウトドアな面をクローズアップし、アパレルに対してぼんやりとした印象しかなかったユーザーにも魅力をわかりやすくアピールしています。
動画ではアクティブに活動し自由に生きる女性を通じ、「どんなに難しい挑戦や冒険であっても、失敗を恐れず取り組んでいく」と言うアパレルブランドのコンセプトを表現することにも成功。
また全編を通して海を映したシーンが多く、天気や風向きによって表情が変わる「海」の存在と、そこからエネルギーをもらっている田上さんの共存の関係性が、アパレルブランドのコンセプトを投影しているかのようにも見えます。
動画の長さ:2分14秒
再生回数:1000回以上
プラダ
映画「プラダを着た悪魔」で誰でも知っているブランドとなった高級アパレルブランド・プラダのプロモーション動画は、デバイスを動かして360度体験できる「VR動画」という新しい試み。
画面作りや全体的なセンスは80年代の映像をオマージュし、バブル前後のテクノ音楽PVのようなフィルム感と、やや野暮ったいレトロフューチャーな雰囲気が非常に特徴的です。
動画の中身自体は、アパレルブランドの洋服を着たモデルがウォーキングすると言うもの。個性的な動画のセンスに反し内容自体はとてもシンプルなので、洋服のデザインや魅力、着用感などを堅実に伝えており、またそのレトロな演出はかなり人目を惹きつけます。
近年のデジタルメディアでは「最後まで見てもらう」「ページにとどまってもらう」ことが、購入などユーザーの次のアクションに繋がりやすいとても大切なポイントです。
魅力的な画面作りと飽きないカメラワーク、かつ服の情報もきちんと共有しており何をアピールしたいのか明確。プラダの動画はアパレルブランドのプロモーションの中でもとてもわかりやすく、ハイセンスなものであると言えます。
動画の長さ:2分38秒
再生回数:4000回以上
ジル・サンダー
無駄を省いたシンプルなデザインが魅力のアパレルブランド「ジル・サンダー」が発信するプロモーション動画は、アパレルのイメージを表現したすっきりとした画面作りです。
静かでやや不気味なのがジル・サンダーの動画の特徴ですが、こちらはコンセプト動画のため商品情報に関してはやや乏しい印象があります。
また「質の良い素材を無駄のないデザインで最大限活かしている」と言うアパレルブランドが最も押し出して行きたい部分を、最低限に抑えた情報の中で「光」と「美しいモデル」のみを演出材料とすることで伝えています。
冬物のプロモーション動画であるため、色彩は抑えて薄ら寒さを表現しているのもテクニカルな点で、眩しすぎる光が抑えた色調と対比となり非常に美しい画面となっています。
アパレルブランドのアピールポイントである「華美さがない」ことを強調して動画を作るのは非常に難しい技術であったはずですが、ジル・サンダーは少ない情報でとても洗練された動画を制作している好例です。
動画の長さ:4分43秒
再生回数:3.3万回以上
ZARA
低価格と素晴らしいスピードで最新鋭のデザインを身に纏えるアパレルブランド・ZARAからは、レディースの春夏コレクションのプロモーション動画をご紹介。
全体を水彩画のような柔らかい色彩でまとめることで、女性らしい柔らかいコンセプトとエレガントさを表現。
さらに何度も映し出される「齧られたりんご」は聖書の有名な逸話「アダムとイブ」を想起させ、知恵の実を貪る貪欲さを映すことで、暗に女性が受けている抑圧へ一石を投じています。
また「横長のテーブルに並ぶ女性たち」は、巨匠ダヴィンチの名画「最後の晩餐」のオマージュとも取れ、非常に芸術的。
反面、女性たちが送りあう視線や、果物を這う虫、割れたグラス、不安定なBGMなどで、不穏な空気感と女性の持つ強さや棘をちらつかせているのがZARAのソリッドな点でしょう。
また、女性たちのまとうZARAの春夏コレクションは背景とおそろしくなじみ、高級感あるパーティの場面でも遜色なく着こなせることを表現。
最も発信したい情報である「新たなデザインの服」の数々を美しいタッチで描き出すことで、ECサイトはもちろん店頭へ足を運び、自分の目で服を選びたくなるような演出をしています。
ZARAのプロモーションでは、アパレルブランドが動画を用いたとき、コンセプトの中にある繊細な機微と服のデザインという情報を同時に発信できることがよくわかる非常に良い例です。
動画の長さ:1分
再生回数:14.6万回以上
無印良品
「ブランドなきブランド」、「『これがいい』ではなく『これでいい』」など自然体であることをコンセプトにかかげる無印良品。
公式チャンネルで公開されている「くらしによりそうシャツ」のプロモーション動画では、山の麓でレストランを経営する夫婦が主人公。
心が疲れない丁寧でシンプルなスローライフの中に、アパレルブランドのシャツやエプロンが溶け込み、「くらしによりそう」を見事に表現しています。
また、レストランで提供するとれたての野菜や果物を収穫しに行く場面では、草木に分け入って実を摘むなど泥臭いこともしていますが、そういった場面でも無印のシャツが優しく肌を守っている様子が伝わります。
さらに動画の最後には無印のお弁当箱などが登場し、アパレルブランドが展開する他商品のアピールにも余念がありません。
他のアパレルブランドの動画と違い服を過剰に強調することはありませんが、無印というアパレルブランドに期待されるナチュラルで心安らぐ毎日といったイメージを忠実に表現した抜け目のないプロモーション動画です。
動画の長さ:1分13秒
再生回数:4000回以上
GAP
アメリカンカジュアルの筆頭アパレルブランド・GAPの打ち出すプロモーション動画では、ブランドのルーツでもあるデニムを紹介。
動きやすい新作デニムをプレゼンするこちらの動画では、パルクールアーティストをはじめとしたアクロバットな動きをする人々へ、着用感のインタビューを行うという非常にシンプルなものです。
また、カメラの前で足を上げるなどのパフォーマンスを実際にしてもらうことで、新作デニムの柔軟性を印象付けており、「デニムは硬いもの」という固定概念を覆すことにも成功しています。
コンセプトよりも商品そのものを広告しているため非常にわかりやすさを重視しており、また固定概念があることによってアパレルブランドが伝えたい内容をストレートかつ端的にまとめています。
また、インタビュー形式をとることで商品への信憑性が増し、訴求効果を高めるといった期待も。
広告の原点であるわかりやすさを重要視したGAPのプロモーション動画は、シンプルな作りながらダイレクトに情報が伝わるため、動画というコンテンツをうまく活かしていると言えます。
動画の長さ:1分02秒
再生回数:500回以上
フェンディ
イタリア、特にローマに住む女性から支持と羨望を集める高級アパレルブランド・フェンディ。
フェンディはコートや靴など様々なアイテムを取り扱うアパレルブランドですが、とりわけ代表的なものは個性的なデザインのバッグではないでしょうか。
こちらの動画では、アパレルブランドの顔とも言えるバッグ「ピーカブー」をプロモーション。
動画は、冷蔵庫から出した板チョコを丸齧りするなど、日本語訳で「いないいないばあ」を意味するチャーミングな商品名を表現した、お茶目なストーリーに仕上がっています。
フェンディのコンセプトである「持つ人に選択肢を与える」といった部分を強調するように、高級アパレルブランドのバッグながら、セレブ女性の憧れから多くの人に持ってもらえるような「選択肢」を強調した動画です。
また、バッグそのものを強調して画面いっぱいに何度も映し出すことで心的な距離感を縮め、手を伸ばしやすくする効果も。
普段静止画で見ることの多いブランドバッグを動画で見せることで、実際の使用感などもユーザーに伝わり、自分が使用した時の感覚を想像しやすくしています。
さらに「ブランドバッグを持ちながら板チョコを丸齧りする」という一見チグハグな見せ方は、セレブだけのものだったアパレルブランドをより日常に溶け込ませることで「買い手の選択肢」を広げているようにも見えます。
動画の長さ:45秒
再生回数:1.1万回以上
5.最後に
アパレルブランドは、服のデザインをはじめ、機能性、値段、さらにコンセプトなど、顧客に伝えたい情報が想像以上に膨大なものとなりがちです。
特に発足したばかりのアパレルブランドなど、存在を広く知ってもらいたい場合は伝え方に苦心することも珍しくありません。
そういった時、動画であればアパレルブランドのコンセプトや服の情報を漏らすことなく発信できます。
様々な情報をまとめて共有できる動画というツールは、多くのハイブランドも利用しているとても効率的なプロモーション方法です。
上記でご紹介した動画を参考に、素敵なプロモーションを制作してください。
PITTALAB(ピッタラボ)ではおすすめの動画制作会社をまとめて比較することができます。
激選してご紹介していますが、動画制作でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。