編集作業は多岐にわたるだけではなく、幅広い知識とスキルが必要です。自社での編集に限界を感じて外部委託を検討している担当者の方も多いのではないでしょうか。ただし、外注先の選択や外注方法を誤ると、期待していた記事に仕上がらない可能性がもちろんあります。
そこで本記事は、編集作業の外注を成功させるために、以下の項目について解説していきます。
- 編集業務の外注先
- 外注先ごとのメリット・デメリット
- 編集を外注した場合の費用
- 外注時の注意点
自社での編集作業に不満を抱えている方、現在の外注先に満足されていない方は、ぜひ読み進めてみてください。
編集者の役割について
編集の仕事というと誤字や脱字の訂正をイメージするかもしれませんが、実際の仕事は以下のように多岐にわたります。
- 読者に有益な内容を決める「企画立案」
- 他にはない新しい話題を提供するための「取材」
- 記事をわかりやすくする「編集」
- 作成した記事を改めて精査し集客を改善する「分析」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.企画立案
読者の悩みや課題を解決する企画の立案は、編集者の大切な仕事です。主な企画立案は以下の4つです。
解決ネタ
自分や周囲の困りごとを基に、悩みの原因から解決方法までをリサーチして企画につなげます。
トレンドネタ
テレビやインターネットを騒がせている関心度の高い話題をもとにした企画です。一定期間のアクセス数増加が見込めます。
深堀ネタ
すでに紹介されている話題を深掘りする企画です。トレンドネタよりも関心度は下がりますが、周知の話題を取り上げるためアクセスアップが期待できます。
インタビューネタ
注目度の高い人物にフォーカスする企画です。有名人や著名人への取材は注目が集まりやすいため、読者からの高い関心が見込めます。ただし、独自目線による取材でなければ新鮮味がないため、「読者が知りたいこと」をおさえた企画立案が肝となります。
2.取材
編集者が直接取材に出向くケースもありますが、一般的には取材を得意としているライターの手配などが主な仕事になります。
3.編集
上がってきた記事や原稿の仕上げを行う作業です。文章の校正や校閲、事実確認、画像の挿入などをしながら全体的なレイアウトを整えます。記事の内容だけではなく、読みやすさの工夫も編集者の大切な役割です。
4.分析
公開した記事のPV数やSNSでの反応を見ながら、客観的に記事を分析していく役割も編集者は担っています。分析結果によっては記事のリライトも担当します。
編集業務を代行する外注先
編集業務の外注先には「編集プロダクション」と「フリー編集者」があります。それぞれの特徴と依頼方法を見ていきましょう。
編集プロダクションに依頼する
編集プロダクションには、記事の企画から取材、執筆、編集、デザインに至るすべての工程を依頼できます。編集プロダクションは、ライターやイラストレーター、デザイン事務所など幅広いネットワークを持っています。そのため、通常であれば依頼できない有名小説家やイラストレーターにコンタクトをとることができる編プロもあります。なお、編集プロダクションへの相談は、各社のホームページに設けられた専用フォームから行うと良いでしょう。
フリーの編集者に依頼する
記事の内容に適した経験や実績が豊富なフリーの編集者に依頼する方法です。フリーランスならではの個性的な経歴を持つ編集者も多く、独創的な記事を作成したいときに頼りになる依頼先です。最近ではSNSを使って情報を発信しているフリーランス編集者も多いため、直接仕事の相談をすることができます。
編プロ依頼VSフリー編集者依頼 それぞれのメリット/デメリット
編集プロダクションとフリーの編集者への依頼では、それぞれにメリットとデメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
編集プロダクションに外注するメリット/デメリット
クオリティの高さにこだわるなら、編集プロダクションへの依頼が最善の方法となるでしょう。編集プロダクションには、専門知識が豊富な編集者やライターが多数在籍しています。編プロ所属の編集者は、カメラマンやデザイナー、ライターとの連携、つまり「チーム力」で制作物の完成度を高めることができるという強みを持っています。
自社でプロレベルの記事を仕上げるには、まず人材確保に苦労するでしょうし、仮に社内に適任者がいたとしてもかなりの時間を拘束する必要があります。一方、編集プロダクションに依頼した場合は、撮影費やデザイン料だけでなく、企画進行に要するディレクション費用も発生するなど、外注費が発生することは言うまでもありません。プロジェクト予算を算出後、数社に声をかけ、品質と費用のバランスの良い外注先に依頼を進めましょう。
フリー編集者に外注するメリット/デメリット
フリー編集者に依頼するメリットは、個人で活動しているため「臨機応変に対応してくれる」「安価に相談に乗ってくれる」などです。企画意図に適したフリーランスが見つかれば、継続的な依頼の相談もできるでしょう。ただし、フリーランスは個性が強い人が多く、「担当者との相性」や「業務の進め方が合うか」などパートナーとして適した人材を見つけるのが困難です。
また、複数のプロジェクトを抱えているフリー編集者はキャパシティに限度があるため、タイミングによっては仕事を受けてもらえなかったり、別の継続案件が入ってきたことをきっかけに、仕事を引き受けてもらえなくなったりといったリスクがあります。
編集に関連する外注費用の相場
編集業務の外注費用は、依頼する業務の範囲や規模、難易度によって異なります。なお、フリー編集者は請負う仕事内容やボリュームによって独自に価格を決めているので、相場は存在していません。また、クラウドソーシングでは、記事単位で編集作業を請け負うケースがほとんどです。
編集業務の外注費用相場
編集業務の外注で発生する費用は主に2つです。
企画費
企画立案の費用です。記事制作の意図や課題を伝え、方向性に合致した企画を立案してもらいます。
編集費
企画に適したクリエイターのスケジュールを管理しながら、記事制作を進めるための費用です。
記事の内容によっては、上記のほかに取材費やデザイン費、撮影費などがかかります。それぞれの金額はプロジェクトによって大きく異なりますが、簡単な校正であれば「文字単価3円〜」、専門知識が必要でリライトなど大幅な編集が入る場合は「文字単価5円〜」などが相場といえるのではないでしょうか。編集業務を外注する場合は、こちら側から予算を提示したうえで依頼内容を相談しながら進めて行く方法がおすすめです。
文章校正の外注費用相場
一般的に、校正費用はページごとに単価が設定されています。ただし、1ページあたりの文字数も単価に影響するため、校正を依頼する前には依頼枚数と各ページの文字数を把握しておきましょう。また、校正の内容によっても料金は変わります。
校正は料金が変動する要素の多い作業ですが、費用感としては以下が目安になるでしょう。
- 誤字脱字の訂正:400文字につき1000円前後
- 文法の校正 :400文字につき2000円前後
- 専門的な調査とファクトチェック:400文字につき3000円から5000円前後
なお、健康や美容に関する記事は薬事法に則した校正が必要になるため、料金が高額になる傾向にあります。
編集作業を依頼する場合の注意点
フリーランスと契約する場合は、業務の開始前に「業務委託契約書」を結ぶ必要があります。契約書を結ばなかった場合、業務内容や報酬に関するトラブルが生じる可能性があるので注意してください。
業務委託契約書の内容
業務委託契約書に記載する内容を詳しく見ていきましょう。
1.業務内容
業務の内容や範囲などを定めます。修正回数や修正範囲、文字数の幅など、依頼後にトラブルになりそうな事柄はすべて盛り込んだ方が無難です。
2.報酬
具体的な報酬額や支払い方法を記載します。下請法では納品日から60日以内の支払いが定められているため、翌月末払いでの支払いが一般的です。
3. 契約期間
契約期間と併せて納期も記載します。記事ごとに納期が異なる場合は、個別契約書に納期と納品方法を記載しましょう。
4.瑕疵担保
検収後に発覚した欠陥の対応期間を定めます。民法では1年間の瑕疵担保が定められていますが、トラブルを回避するためにも業務委託契約書で独自の担保期間を定めておきましょう。
5.知的財産権
ライターとクライアントのどちらが知的財産権を有するかを定めます。
6.著作権
一般的に著作権はクライアントが保有しますが、業務委託契約書上で改めて確認しておきましょう。
上記のほかに、秘密保持や損害賠償、禁止事項、非常時の措置などを記載するケースもあります。
外注先の選出方法
編集プロダクションやフリー編集者によって得意としている分野が異なるため、外注先の選定には注意が必要です。各社各人の実績を確認しながら、理想に近い制作物を手掛けている外注先を見つけましょう。
意思の疎通も重要
質の高い記事を作成してもらうためには、外注先とのコミュニケーションが円滑でなくてはいけません。進捗状況や不明点の共有など、こまめに連絡がとれる外注先を見つけるべきです。
自社に適した編集業務代行先を
編集業務の外注は、品質の高い記事の継続的な公開を実現するために、検討するべき項目です。編プロやフリー編集者に相談をし、品質の高い記事を公開できるよう、自社に適した外注先を選んでください。