1.はじめに
イベントの成功は、その企画から運営までにかかる多大な労力と時間、そして高度な専門知識が求められます。一方で、企業が自社のリソースをこれに集中することは、ビジネスの成長や他の業務に影響を与える可能性があります。
ここで注目したいのが、「イベントの外部委託」です。イベントを外部委託することで、専門的な知識を持つプロフェッショナルに任せることができ、自社のリソースを有効に活用することが可能となります。しかし、外部委託には手続きが伴い、また費用も考慮する必要があります。
2.イベントを外部委託するメリット
(1)イベント企画・運営の専門知識を活用できる
イベントを外部委託する最大のメリットの一つが、プロの企画・運営の専門知識を活用できる点です。経験豊富なイベント企画会社に委託することで、成功の見込みが高く、効果的な企画を立案できます。
例えば、
-
ターゲットに合わせた適切なイベント内容の提案
-
効果的な会場レイアウトと設営
-
スムーズな当日の運営スケジュールの作成 など、企画から運営までの全てのプロセスで専門的なアドバイスが得れます。
また、最新のイベントトレンドや消費者行動の変化についても把握しているため、時代にマッチした企画が可能です。公共の安全基準や規制も把握しており、法令順守も確実です。
これらは時間と経験を積むことで身に付けられる知識や技術で、これらを活用することにより、より効果的で成功率の高いイベントを実現できます。
(2企画から運営まで一括対応が可能
イベントを外部委託すると、企画の初期段階から運営の最終段階まで、一貫したサービスを受けることができます。これは、自社で全てを手掛ける場合には困難なことでしょう。
例えば、イベントの企画段階では、目的に応じた内容の設計、ターゲットの定義、広報戦略の立案など、多くの要素が絡み合います。ここでは、イベント会社の専門知識と経験が活きる場面が多々あります。
次に、運営段階においても、会場設営、参加者管理、プログラムの進行など、細部にわたる多岐に渡るタスクが発生します。これらを一社に委託することで、社内のコミュニケーションコストを削減し、スムーズな運営を実現できます。
以下の表に、企画から運営までの主なタスクとその詳細を示します。
企画段階 | 運営段階 |
---|---|
内容の設計 | 会場設営 |
ターゲットの定義 | 参加者管理 |
広報戦略の立案 | プログラムの進行 |
このように、イベントを外部委託すると企画から運営まで一括対応が可能で、全体の一貫性を保ちつつ、専門的なサービスを享受できます。
(3)社内リソースの節約
イベントを外部委託することで、社内リソースの節約が可能です。まず、社員がイベント運営に時間を取られることなく、本来の業務に集中できます。これにより業務効率が上がり、全体のパフォーマンス向上に貢献します。
また、専門知識を持つイベント会社に委託することで、効果的なイベント運営が可能となり、コストパフォーマンスも向上します。例えば、以下のような節約が見込めます。
イベント運営の部分 | 自社で手配する場合 | 外部委託する場合 |
---|---|---|
企画・運営 | 企画から運営まで全て自社で行う | 専門的な知識を活かして最適なプランを提供 |
施設・設備 | 自社で調査・手配を行う | 広範なネットワークを活かして最適な施設・設備を提供 |
スタッフ | 自社の人員を割かなければならない | 社内の人員を他の業務に専念させることが可能 |
以上のように、イベントの外部委託は経済的かつ効果的な選択と言えます。
3.外部委託する際の具体的な手続き
(1)目的と目標の設定
イベントを外部委託する際に最初に行うべきは、明確な目的と目標の設定です。この段階で問われるのは、「何をなぜ行うのか」です。例えば、新商品のプロモーション、会社のブランドアップ、顧客との深いコミュニケーション促進など、様々な目的が考えられます。
次に具体的な目標を設定します。目標はSMART原則(具体的、測定可能、達成可能、現実的、時間制限付き)に基づいて設定すると良いでしょう。例えば、「3ヶ月後の新商品発売に合わせて、イベントを通じて1500人の新規顧客獲得を目指す」といった形です。
これらを明確にすることで、イベント企画会社に具体的な要望を伝えやすくなり、期待する結果を得やすくなります。この目的・目標設定がイベント外部委託の成功の一歩となるのです。
(2)適切なイベント企画会社の選定
イベント運営を外部委託する際には、パートナーとなる企画会社の選定が重要となります。まず、自社の求めるイベントの形状や規模、目的に合った企画会社があるかをリサーチします。過去の実績や評判、専門性も見逃せないポイントです。
また、企画会社ごとに得意とする領域やスキルが異なります。例えば、大規模なコンサートや展示会を得意とする企画会社、地元密着型の小規模イベントを得意とする企画会社など、イベントの内容によって最適な企画会社は変わります。
以下に、企画会社選定のポイントを表にまとめました。
選定ポイント | 具体的な内容 |
---|---|
過去の実績 | 同じ規模・内容のイベントの運営実績があるか |
評判 | クライアントからの口コミや評価が高いか |
専門性 | 自社の求めるイベントに対する知識やスキルがあるか |
コスト | 予算内での運営が可能か、透明性があるか |
以上の要素を考慮し、適切な企画会社を選定することで、スムーズで成功確率の高いイベント運営が可能となります。
(3)見積もりと契約
適切なイベント企業を選んだら、次は見積もりと契約に進みます。まず、イベントの詳細を伝え、具体的な見積もりを依頼します。この際、イベントの規模、期間、内容、必要な人材等、様々な要素が費用に影響するため、明確に伝えましょう。
以下は一般的な見積り項目の一例です。
項目 | 内容 |
---|---|
企画費 | アイデア出し、計画立案等 |
運営費 | 当日のスタッフ配置、進行管理等 |
装飾費 | 会場の装飾、設営等 |
技術費 | 音響、照明等 |
見積もりが合意できれば契約へ。契約書は丁寧に読み、業務内容、費用、キャンセルポリシー等を確認しましょう。不明点はすぐに質問することが大切です。
(4)イベント企画・運営の進行と連携
委託先の企画会社との連携は、イベント成功の鍵となります。まず、スケジュールを共有し、何をいつまでに行うか明確に決定します。以下のような表を用いると分かりやすいです。
内容 | 完了予定日 | 担当 | |
---|---|---|---|
1 | 企画提案 | MM/DD | 会社A |
2 | 内容確認・修正 | MM/DD | あなた |
3 | 運営準備 | MM/DD | 会社A |
4 | 最終確認 | MM/DD | あなた |
また、企画会社の提案に対するフィードバックは具体的で明確に。あいまいな要望は誤解を生む原因となります。
最後に、定期的な進捗確認を行い、必要に応じて調整を加えていくことが重要です。これらのコミュニケーションを通じて、イベントのクオリティを高めることができます。
4.イベント外部委託の費用について
(1)基本的な費用構成
イベントの外部委託には、以下のような基本的な費用が発生します。
まず、企画・構想の段階での、コンサルティング費用が必要となります。これはイベント会社が提案するアイデアやプランニングに対する対価です。
次に、運営管理費です。イベント開催までの進行管理や、当日の運営に掛かる人件費、設備費などがこれに含まれます。
その他には、宣伝広告費用や、出演者やゲストのギャランティ、会場費、装飾費、機材レンタル費など具体的なイベント開催に伴う費用があります。
費用の種類 | 内容 |
---|---|
コンサルティング費用 | 企画・構想の段階での対価 |
運営管理費 | 人件費、設備費など |
宣伝広告費 | 広告費やPR費用 |
出演者・ゲスト費 | ギャランティや交通費 |
会場費 | 会場レンタル費 |
装飾費 | イベント空間の装飾費 |
機材レンタル費 | 必要な機材のレンタル費 |
以上が基本的なイベント外部委託の費用構成となりますが、イベントの内容や規模により、これら以外にも必要な費用が発生することがあります。予算計画を立てる際は、これらを十分に考慮しましょう。
(2)予算に応じた選択の必要性
イベントの外部委託における予算設定は非常に重要です。予算に応じて、選択イベント企画会社や依頼するサービス内容が変わってきます。資金面で無理をすると、イベントの質が下がる恐れがあるため、予算内で最大限の効果を得られるような計画を立てる必要があります。
たとえば、以下のような事項を考慮すると良いでしょう。
考慮点 | 例 |
---|---|
企画会社の選定 | 予算に見合った企画力と実績を持つ会社を選ぶ |
サービス内容の選択 | イベント企画だけでなくプロモーションやアフターフォローも必要か確認 |
候補地選び | 場所によっては費用が大きく変わるため、適切な選択が求められる |
各項目について、細かく見積もりを取り、比較検討することで、予算に見合った最適なプランを作成できます。
(3)隠れた費用についての注意点
イベント外部委託の費用は、一見明確に見える場合でも、隠れた費用が存在することがあります。具体的には、初期見積もりに含まれない追加の要求や、予期しないトラブルへの対応などがその例となります。
表1. 隠れた費用の例
項目 | 説明 |
---|---|
追加の要求 | 初期の見積もりでは考慮されていない追加のサービスや機能が必要になった場合の費用 |
トラブル対応 | 予期ぬトラブルに対する追加人件費や時間等の費用 |
これらの費用は、契約内容やイベント企画会社の方針により変動するため、事前にしっかりと確認し、予算計画に反映させることが重要です。また、隠れた費用を抑えるためには、明確なコミュニケーションが有効です。詳細な要求や事前のトラブル回避策を明確にすることで、後から発生する追加費用のリスクを減らすことができます。
5.成功する外部委託のコツ
(1)明確なコミュニケーション
成功するイベント外部委託の重要な一角を占めるのが、「明確なコミュニケーション」です。これは、委託する企業と業務を行う企画会社との間で、予算やイベントの目的、進行状況などを共有し、理解し合うための活動となります。
-具体的な活動としては、まず「ミーティング」が挙げられます。これは、初期段階でのイベントコンセプトの打ち合わせから運営中や終了後のフィードバックまで、様々な局面で実施されます。
-また、「レポート」も重要です。進捗状況や問題点、改善点などを定期的に書面で共有することで、双方の認識を一致させ、迅速な対応を可能にします。
これらの活動は、イベントの成功を左右するため、コミュニケーションを明確に取ることの重要性を理解し、適切に行いましょう。
(2)確認・フィードバックの重要性
イベントの外部委託では、進行状況の確認とフィードバックが重要となります。委託先に全てを任せるのではなく、定期的な打ち合わせを設け、進捗状況を確認しましょう。これにより、イベントの目的や目標が適切に進行しているかを把握できます。
また、フィードバックの提供も重要な役割を果たします。適切なタイミングでのフィードバックは、イベントの成功に向けた改善点を明確にし、必要なアクションを速やかに取るための基盤となります。
委託先とのコミュニケーション | 具体的なアクション |
---|---|
定期的な進捗確認 | 打ち合わせのスケジュール設定 |
フィードバックの提供 | 改善点の明示、アクションプランの共有 |
以上のように、確認とフィードバックの提供はイベントが計画通りに運営され、成功するための重要なステップとなります。
(3適切な評価と改善の取り組み
イベントが終了したら、その成果を評価し、次への改善点を見つけ出すことが重要です。まずは、成功した点と改善が必要な点を明確にしましょう。具体的には、参加者の満足度、イベントの目的達成度、予算内での運営ができたか等を評価基準にすると良いでしょう。
また、評価は数値やデータだけでなく、参加者やスタッフからのフィードバックも大切です。これらの情報をもとに反省会を開き、具体的な改善計画を立てていきましょう。
次に示す表は、改善計画の一例です。
項目 | 改善内容 | 期限 |
---|---|---|
設営/撤去 | マニュアル化してスムーズに | 次回イベントまで |
会場レイアウト | 間取りを見直して動線改善 | 2ヶ月後 |
コミュニケーション | 情報共有ツール導入 | 1ヶ月後 |
適切な評価と改善の取り組みは、イベントの品質向上に繋がるため、外部委託に限らず必ず行いましょう。
6.まとめ
イベントが終了した後も、その評価と改善の取り組みが重要となります。外部委託を成功させるためには、イベント終了後も適切なフィードバックが必要です。
まず、イベント後すぐに実施されるべきは参加者からのフィードバックの収集です。これにより、イベントの成功点や改善点を把握することができます。参加者がどのような印象を持ったのか、どの部分が特に印象に残ったのかを知ることは、次回のイベントの企画や運営に生かすことができます。
また、イベント企画・運営会社からの報告も重要です。彼らからの詳細な報告を受け取ることで、イベントの進行状況や問題点、改善点などを客観的に把握することが可能になります。特に、予想外の問題が発生した場合や目標値を達成できなかった場合などは、具体的な原因を分析し、次回に向けての改善策を検討する必要があります。
最後に、自社内での評価会議も重要です。イベント企画・運営会社との連携状況やコミュニケーションの有効性、予算管理状況などを評価し、改善点を見つけ出すことが求められます。
これらの評価と改善の取り組みにより、イベントを外部委託する際の成功率を高めることができます。これらは一度きりの取り組みではなく、継続的に行う必要があります。そのため、適切な評価と改善の体制を整えることが、外部委託成功のための重要な鍵となるでしょう。