「ヒューマノイドとアンドロイドって何が違うの?」
「ヒューマノイドのメリットって何があるの?」
業務に人型ロボットの導入を検討している企業の中には、ヒューマノイドについて詳しく知らない担当者も多いのではないでしょうか。
ヒューマノイドには2つの種類があり、導入内容によって注目すべき機能があります。
本記事では、ヒューマノイドの概要やヒューマノイドのメリット、現状の課題、おすすめのヒューマノイドを紹介します。
この記事を読んで、ヒューマノイドのことを深く知り、自社に合った製品を導入しましょう。
ヒューマノイドとは
ヒューマノイドは「人間によく似た」を意味する言葉ですが、一般的には、ヒューマノイドロボットとして浸透しているといえるでしょう。
そこでここでは、ヒューマノイドロボットとは何なのかについて説明します。
なお、ヒューマノイドと似た言葉にアンドロイドがありますが、どのような点が違うのか把握しておきましょう。
(1)ヒューマノイドロボットとは
ヒューマノイドロボットとは、直訳すると人間そっくりのロボットで、人間の形をしたロボットのことをいいます。人間の形をしている理由は、人間が使うシステムをロボットが使えるようにするために設計されたからです。
たとえば、人間のように移動しながら腕(アーム部分)を使うためには、直立姿勢でなければならず、段差を移動するためには二足歩行でなければなりません。つまり、人間に似た動きをさせるように設計した結果、自然と人間のような形になったといえるでしょう。
人型をしているヒューマノイドロボットの登場によって、あらゆる場面で人間の代わりに働くようになりました。実際にオフィスやイベント会場での受付などで目にする機会が増えているので、今後ヒューマノイドの市場は拡大していくでしょう。
(2)アンドロイドロボットとの違い
アンドロイドロボットは、人間酷似型ロボットでヒューマノイドロボットの中でも、より人間味のあるロボットのことです。アンドロイドロボットは、遠目に見るとまるで人間かのように、生身の人間の容姿をしているのが特徴で、言葉を発さなければ、一見人間と見間違えてしまう人もいるでしょう。
ヒューマノイドロボットは、見た目から人間の姿形を連想できる形態なので、必ずしも人間の姿をしているわけではありません。キャラクター調の姿をしているものもあれば、動物のような見た目をしているものもあります。
したがって、アンドロイドロボットは、ヒューマノイドロボットの中でも、より人間らしいロボットと認識しておきましょう。
ヒューマノイドの2つの種類
ヒューマノイドの種類を紹介します。ヒューマノイドは主に以下の2タイプです。
- 二足歩行型
- 車輪型
順に紹介するので、自社のニーズに合ったものがどちらなのかチェックしましょう。
(1)二足歩行型
二足歩行型のヒューマノイドは、人間のように2本の足で身体を支えることが可能です。従来のロボットは上り下りの移動が苦手でしたが、二足歩行型のヒューマノイドは、階段などの上下の移動に強く、特に下る動作が得意のロボットといえます。
後に紹介する車輪型のヒューマノイドは、数センチの僅かな段差であれば乗り越えられますが、階段などの上り下りができません。また、四足歩行型のロボットであれば、上ることはできても下ることが困難で、無理に階段を下りようとするとバランス崩し、転倒してしまいます。
その点、二足歩行型のヒューマノイドは、下るときに片方の足でバランスを取りながら移動できるので、他のロボットにはできない動きができるのです。他のロボットに比べて特殊な動きができるため、従来のロボットにできない人間の動きを求める場合は、二足歩行型のヒューマノイドを活用しましょう。
(2)車輪型
車輪型のヒューマノイドロボットは、脚部が車輪になっていて、流れるように移動するのが特徴です。直進のためだけに電力を消費するので、バッテリー持ちもよく、充電の回数を抑えることができます。
また、二足歩行型のヒューマノイドに比べると、安定性がありバランスを崩して転倒する割合が少なく、移動速度が速いため、ある程度の距離を移動するのに適しているでしょう。
たとえば、大型ショッピングモールで導入すれば、フロアの隅々まで警備することができ、エレベーターを使って他の階層にも移動することが可能です。人間よりも速やかに移動し、体力の消耗を考慮する必要がないため、継続して施設内を見回るために導入するとよいでしょう。
ヒューマノイドの4つのメリット
ヒューマノイドのメリットを紹介します。今回紹介するメリットは以下の4つです。
- 災害対策ができる
- 活動範囲が広い
- 人間と同じ動きができる
- 親しみやすさがある
順に紹介するので、ヒューマノイドの魅力を知っておきましょう。
(1)災害対応ができる
ヒューマノイドロボットは、人間の代わりに災害対応ができる点が大きなメリットです。火災や地震など災害が起きたときに、状況を把握するためにヒューマノイドを活用することで、人が活動できないような極限環境や二次災害のリスクが高い環境下でも安全に災害対応ができます。
たとえば、原発事故により放射線物質が漂っている環境下でも、ヒューマノイドであれば心置きなく原因を追求することが可能です。もし、人間が行う場合は、いくら防護服を纏っていたとしても、ちょっとしたトラブルで命の危険に晒されることがあるでしょう。
災害現場では、何が起きるか分からないので、救助に向かう人や状況を調べる人は命をかけています。その度に精神的に大きな負担を受けているので、ヒューマノイドを導入するだけで、労働環境の改善につながるでしょう。
(2)活動範囲が広い
ヒューマノイドロボットで、特に二足歩行型ロボットは移動できる範囲が広いです。車輪型ロボットや四足歩行型ロボットは、上下の動きに弱いので、複数フロアの巡回には向いていません。
エレベーターを利用すれば、他のロボットでも巡回することはできますが、階段エリアの巡回が難しいです。特に、階段など人の目に触れにくい場所では、犯罪などが起こりやすいため、広範囲の警備をするには、二足歩行型のヒューマノイドの方が適任でしょう。
ただし、現状では、人間のように二足歩行で自由に移動できるヒューマノイドは製品化されていません。災害現場などであらゆる障害を乗り越えながら活動できるロボットの開発が進んでいるので、将来的には二足歩行型のヒューマノイドが製品化されるでしょう。
もし、今すぐにでも巡回ロボットを導入したい場合は、車輪型の警備ロボットは製品化されているので、そちらを利用してみてください。
(3)人間と同じ動きができる
ヒューマノイドは人間と同じ動きができることもメリットの1つです。実際はヒューマノイドよりも、協働ロボットや介護ロボットなど、人型ではないロボットの方が実際の現場で活躍しています。
しかし、これらのロボットは、特定の作業をこなすために開発されたものなので、構造上決められたことしかできません。プログラム上のことしか動作できないため、状況に応じて対応することが難しいのです。
一方、ヒューマノイドは人間の代わりに働くことを目的にデザインされたロボットなので、理論上は人間ができる範囲の動きをマネすることができます。AIでさまざまなシチュエーションにおける対応を設定する必要はありますが、他のロボットに比べると臨機応変に対処することが可能です。
特定の職種に限らずに、人手不足を解消するカギになるので、労働人口が減少している日本では、重要な役割を担う可能性があるでしょう。
(4)親しみやすさがある
ヒューマノイドは人間と似ているため、安心感や親しみやすさがあります。アンドロイドまで人間に酷似すると、不気味に映るかもしれませんが、マスコットのようなデザインにすると、存在するだけで周囲を温かい雰囲気にすることが可能です。
たとえば、ヒューマノイドロボットの代表ともいえるPepperは、愛くるしい見た目から人気を集めています。近年では、親しみやすさを売りにした高齢者向けのコミュニケーションロボットの開発が進んでおり、導入している介護施設も多いです。
ヒューマノイドと人間が共存するためには、人間がヒューマノイドに対して向き合う必要があるので、可愛い見た目や音声でコミュニケーションをとるヒューマノイドも増えています。
ショッピングモールや介護施設など、不特定多数の人と接する施設で、コミュニケーションロボットの導入を図りたい企業は、可愛らしい見た目のヒューマノイドを導入してみましょう。
ヒューマノイドの2つの課題
ヒューマノイドの今後の課題を紹介します。今回紹介する課題は以下の2つです。
- 動かすために多くのモーターが必要
- 想定している事態にしか対応できない
順に紹介するので、ヒューマノイドがどのような問題に直面しているのか頭に入れておきましょう。
(1)動かすために多くのモーターが必要
ヒューマノイドは、他のロボットに比べて細かい動きをしなければならないので、多くのモーターを必要とします。動かすためのモーターが多くなると、その分電力を必要とするため、電力コストが高くなるのです。
たとえば、二足歩行型のヒューマノイドの場合、腕や脚に多くのモーターが使われています。腕であれば肩や肘、手首、指先、脚であれば脚の付け根やひざ、足首など稼働部位が多く、歩行するだけでもさまざまな部分に力が加わるため、同じ距離移動しても、他のロボットより倍以上の電力コストがかかるでしょう。
消費電力が大きくなれば、その分バッテリーの持ちも悪くなり、充電の回数も増やさなければなりません。短時間で、小スペースを移動する分に関してはそれほど問題ありませんが、移動範囲が広くなるほどバッテリー切れを考慮しなければならず、消費電力を計算して動かす必要があるでしょう。
(2)想定している事態にしか対応できない
ヒューマノイドは、人間のような動きができるといっても、想定している事態にしか対応できない点が大きな課題です。状況に応じてしっかり対応するためには、問題別に対処法を予めプログラミングしておく必要があります。
そのため、急なトラブルが発生してもプログラミングされていないことは間違いなくできません。ほとんどのケースで、想定外のことが起きると停止するようになっており、あらゆることに対処するためには、かなりの数のプログラミングが必要です。
しかし、人間のように幅広いことに対応するためには、要求される設定が多いため、現状ヒューマノイドの開発のスピードは遅く、なかなか先に進んでいません。
人間のような動きを求めるロボットの開発は進んでいませんが、協働ロボットや介護ロボットなど、1つのタスクに対して正確に働くロボットは実際にさまざまな現場で活躍しているので、現状は複数のロボットを導入するなどして今後の研究に期待しましょう。
ヒューマノイドの2つの導入事例
ヒューマノイドの導入事例を紹介します。今回紹介する導入事例配下の2つです。
- 株式会社ノジマ
- パーソナルホールディングス株式会社
順に紹介するので、どのような業務にヒューマノイドが活用されているのかチェックしてみてください。
(1)株式会社ノジマ
株式会社ノジマでは、車輪型ヒューマノイド「EMIEW3(株式会社日立製作所)」を接客の実験導入をしました。EMIEW3は、豊かなコミュニケーション能力を持ち、人と安全に共存できるロボットサービスの実現を目的に開発されたヒューマノイドです。
クイズショーでお客さんに商品を披露したり、商品の売り場を音声とディスプレイで案内したりしました。さらに、洗濯機に関するヒアリングの対応やおすすめの洗濯機の紹介をするなど、より接客内容を人間よりにしたのです。
会話のタイミングなどやや課題はありましたが、「ロボットなので気軽に会話ができた」などお客さんからの評判も良かったので、ヒューマノイドによる接客も今後行われるようになるでしょう。
(2)パーソルホールディングス株式会社
パーソルホールディングス株式会社では、障害者雇用のためにPepper(ソフトバンク株式会社)を導入しました。対面によるコミュニケーションが苦手な障害を持っているスタッフに、Pepperを遠隔操作させて受付業務を実施しています。
障害のあるスタッフでも直接来訪者と接するわけではないので、冷静に受付業務を行うことができるのです。人手を解消するために自動ロボットを導入する企業が一般的ですが、ヒューマノイドを介して障害を持っているスタッフに仕事を任せるという活用方法は、多くの企業が参考にしてもよいポイントでしょう。
おすすめのヒューマノイド3選
おすすめのヒューマノイドを紹介します。今回紹介するヒューマノイドは以下の3つです。
- Pepper(ソフトバンク株式会社)
- RoBoHoN(シャープ株式会社)
- NAO(JTP株式会社)
順に紹介するので、どのようなヒューマノイドがあるのかチェックしてみてください。
Pepper
【ポイント】
コミュニケーション能力が高いロボットをお求めの方に
管理者側の利便性を考えロボットの状態だけでなく、データ化し、リアルタイムに可視化できる機能を搭載している
役割に応じて自由に作りこめるロボットをお探しの方におすすめ
Pepper(ソフトバンク株式会社)は、車輪型のコミュニケーションヒューマノイドです。ヒューマノイド用会話プラットフォームにより、業務別会話と汎用的な日常会話をすることができます。さらに、自社企業向けの独自会話を登録することができるので、企業ごとの接客用語などを教えることも可能です。
また、遠隔応答アプリによって、現地で対応できるスタッフがいなくても、Pepperを介して回答の難しい問い合わせに対応することもできるので、現場の人手が不足していても問題ありません。Pepperは移動する際に、前方だけでなく後方の人にも気づくことができ、高性能な音声認識機能によって、騒音のある環境下でもしっかり相手の声を聞き取ることができます。
プロ野球球団の福岡ソフトバンクホークスを歌ったり踊ったりして応援をしている姿など、可愛らしい一面も見せており、Pepperを見かけるとつい話しかけたくなるほど世間の人気が高いです。ヒューマノイドロボットで何を導入しようか迷っているのであれば、まず最初にPepperの導入を検討してみてください。
- 価格
- 要問合わせ
- ヒューマノイドの種類
- 車輪型
- 大きさ(高さ×幅×奥行)
- 1210×480×425(mm)
- 移動速度
- 最大2km/h
- 稼働時間
- 要問合わせ
- 屋外対応
- ×
NAO【JTP株式会社】
NAO(JTP株式会社)は、世界的に最も普及している二足歩行型のヒューマノイドです。愛くるしい表情や見た目が人気の秘密で、親しみやすい雰囲気が世界中の人から愛されています。NAOにはカメラやマイク、ソナー、タッチセンサーなどが搭載されているので、周囲の状況をリアルタイムで把握することが可能です。
また、相手の言葉や表情を認識して、相手に合わせてモーションを交えながらコミュニケーションをすることもできます。二足歩行型なので、踊ったり、立ち座りができたりするので、動作のバリエーションも豊富です。会話だけでなく、動きによるコミュニケーションも可能なので、言語的・非言語的に人間と関わり合いを持つことができるでしょう。
コミュニケーションの支援に役立つヒューマノイドなので、医療や介護、教育の分野において、活躍することは間違いありません。医療や介護など業界に特化したソリューションの提供や独自のアプリケーションを開発したり、IT教育コンテンツの提供をしたりとさまざまなサービスを展開しているので、業界に特化したシステムを活用したい企業は導入を検討してみましょう。
- 価格
- 1,540,000(税抜)
- ヒューマノイドの種類
- 二足歩行型
- 大きさ(高さ×幅×奥行)
- 573×311×275(mm)
- 移動速度
- 要問合わせ
- 屋外対応
- 〇
RoBoHoN【シャープ株式会社】
RoBoHoN(シャープ株式会社)は、二足歩行型のコミュニケーションヒューマノイドです。「ココロを前向きにしてくれるロボット」をコンセプトに開発され、友だちのような感覚で接してくれます。RoBoHoNは成長するロボットで、定期的にアップデートを行うたびに、歌やダンスなどできることが増えていくのです。
また、専用アプリを活用することで、LINEアプリでメッセージの送受信をしたり、名作文学を読み聞かせしてくれたりと、日常生活において役立つ機能を増やすことができます。RoBoHoNの使い方を動画で丁寧に教えてくれるので、初めてロボットを扱う人でも簡単に操作可能です。実際に購入したユーザーからの評価が高く、子どもや高齢者がいる家族に人気を集めています。
特に高齢者は他者とのコミュニケーションによって、性格が明るくなることは多々あるので、高齢者施設などにおすすめです。他にも、うつ病や対人恐怖症などメンタルケア施設にも効果的なロボットなので、低コストでコミュニケーションロボットを導入したい企業は、ぜひ使ってみてください。
- 価格
- 213,840円(税込)
- ヒューマノイドの種類
- 二足歩行型
- 大きさ(高さ×幅×奥行)
- 195×105×58 (mm)
- 移動速度
- 要問合わせ
- 稼働時間
- 要問合わせ
- 屋外対応
- ×
まとめ
ヒューマノイドは人間のような姿形をしているロボットで、さらに人間に酷似したロボットをアンドロイドといいます。ヒューマノイドには、災害対策や人間味のある動作など魅力的な可能性はありますが、現状は、SF映画のようなヒューマノイドは誕生しておらず、コミュニケーションロボットやセキュリティロボットとして活躍している状況です。
実際に販売されているヒューマノイドはコミュニケーションを重視した製品が多く、親しみやすい特徴があるので、導入することで周囲の雰囲気を和らげることができるでしょう。もし、コミュニケーション型ヒューマノイドの導入を検討している企業は、今回紹介したおすすめのヒューマノイドを参考に、自社に合った製品を活用してみてください。