【法務部でなくても必修事項】商標とは何か?
商標の定義と歴史
「商標」とは、簡単に言うと「商品やサービスに付けるマーク(識別標識)」のことです。たとえば「商品名・サービス名」そのものをはじめ、「商品名などを表すロゴやイラスト」「図形や色の組み合わせ」など、特定の商品やサービスを他と区別するための仕掛けが商標になります。
商標制度の歴史は比較的浅く、海外では1857年にフランスで制定された「製造標及び商業標に関する法律」が最初です。日本では1884年に「商標条例」が制定され、数回の改正を経た結果、1959年に現在の商標法が誕生しました。
商標制度の目的について、商標法の第1条には「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」と書かれています。
ここでポイントとなるのは、商標制度があくまで商取引を前提としている点です。つまりせっかく商標を取得しても、それをビジネスに生かさなければほとんど意味がないといえるでしょう。
参考:商標とは|特許庁
ビジネスにおいて商標登録をした方がいい理由
「商標登録しないとビジネスができない」わけではありません。しかしビジネスを円滑に、有利に進めるうえで商標登録はとても重要です。なぜなら商標は「もの言わぬセールスマン」とも呼ばれ、商品やサービスの「顔」となるからです。
商標登録をすると、商標権者は「商品やサービスに登録商標を使用する権利」を持ちます。これによって似たような商品・サービスに登録商標が使われることを防げますし、万一勝手に利用された場合、行為の差し止めや損害賠償の請求が可能になります。
苦労して育て上げたブランドを勝手に利用されたり、粗悪な商品・サービスにブランドの信用を壊されてしまわないためにも、商標登録を上手に利用する必要があるでしょう。
参考:商標権の効力|特許庁
商標の種類にはどのようなものがあるのか
文字
ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、数字といった文字のみで構成される商標です。具体例として「SONY」のロゴが挙げられるでしょう(身近にソニー製品があれば、ぜひロゴの部分を確認してください)。なお文字商標では、その文字が意味のある言葉であるかどうかは関係ありません。
図形
絵や図形などで構成される商標です。身近なところでは、クロネコヤマトの「ネコの絵」がわかりやすい例です。図形商標の場合は、写実的(リアル)な絵でも、図案化されたものでも(クロネコヤマトはこのタイプ)、さらには幾何学的模様のようなパターンでもかまいません。
記号
暖簾記号(呉服屋の「のれん」に描かれているようなマーク)や、文字を図案化し組み合わせた記号、記号的な紋章による商標です。たとえばマクドナルドの「黄色いM」、三菱の「赤いスリーダイヤ」あたりがわかりやすいと思います。
立体的形状
立体的形状、つまり人形や容器が商標になったものです。不二家の店先に立っている「ペコちゃん人形」、ヤクルトの「小さなプラスチック容器」などをイメージしてみてください。ちなみにペコちゃんは架空の人(?)ですが、実在の人物や動物の人形などでも問題ありません。
結合商標
文字と文字の組み合わせ、文字と図形の組み合わせ、図形と記号の組み合わせ、記号と立体的形状の組み合わせなど、2つ以上の商標を組み合わせたものです。たとえば花王の商標は「三日月の横顔とKAOという文字」の組み合わせで構成されています。
動き商標
次第に変化する文字や図形などで構成される商標です(2014年の商標法改正で追加)。 具体例としては、東宝映画の冒頭に流れる「東方と描かれた丸を中心に、後光のような光の筋がゆらめく映像」などがあります。
ホログラム商標
ホログラフィーなどの技術を使い、見る角度によって変化する文字や図形などで構成される商標です(2014年の商標法改正で追加)。「JCBカードに印刷された銀色のホログラム」などが、ホログラム商標の一例になります。
色彩のみからなる商標
単色や複数の色の組合せで構成される商標です(2014年の商標法改正で追加)。輪郭があるものは図形の商標なので、ここはあくまで「色だけ」というのがポイントになります。身近なところではトンボ鉛筆が作るMONO消しゴムの「青・白・黒の組み合わせ」がこれです。
音商標
音楽、音声、自然音などで構成される商標です(2014年の商標法改正で追加)。実際に登録されているものとしては、ラッパのマークの正露丸の「音」が挙げられます。
位置商標
特定の位置に配置された図形などが特徴となる商標です(2014年の商標法改正で追加)。キューピーマヨネーズの「外袋の上半分に配置された赤い網目模様」などが位置商標の具体例です。
商標出願・登録までの主な流れについて
1.商標調査
商標を登録したいと思ったら、まずは同じ商標や類似する商標がすでに登録されていないかどうかを調査します。調査にはJplatpat(特許情報プラットフォーム)を利用したり、オンラインの商標出願サービスや弁理士に依頼するなどの方法があります。
2.登録区分の決定
次に「区分」を決めます。区分というのは商品やサービスの分類で、その数は全部で45種類(商品が34種類、サービスが11種)。たとえば「第16類( 紙、事務用品)」「第30類(コーヒー、調味料、菓子)」といった具合です。
参考:類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2020版対応〕|特許庁
商標制度では商標と商品・サービスがセットで扱われるため、うっかりしていると「他人が同じ商標を別の区分で登録してしまう」というケースもありえます。後から後悔することがないよう、区分はしっかり考えておきましょう。
3.出願
特許庁のホームページからダウンロードした申請書(様式)に必要事項を記入し、出願料とともに提出します。提出は特許庁へ持参するほか、郵送やオンラインでも可能です(オンラインの場合は事前に申請用ソフトのダウンロードと、電子証明書の購入を済ませておきます)。
申請用のオンラインサービスを利用したり、弁理士などに依頼することもできます。
4.審査
特許庁による審査は、約13ヶ月ほどかかると言われています。審査のポイントは「似ている商標がないかどうか」で、もし「他の商標似ている」と判断された場合は出願が拒絶されます(登録できません)。
拒絶された場合でも、拒絶理由となった部分を修正できれば再出願が可能です。
5.登録
無事に審査が終わったら商標権を維持する期間を決めます。基本は10年ですが、半分の5年を選ぶこともできます(この場合はさらに5年の延長が可能)。10年か5年かで登録料が変わるので注意してください。
【事前確認】商標登録にかかる費用はどのくらいか
「出願料」と「登録料」は必ず必要
商標を出願する際は出願料、商標を登録する際は登録料が必要です。これらは特許庁に収めるもので、「特許印紙代」と呼ばれる専用の印紙で支払います(特許印紙は集配郵便局などで購入)。
・出願料
基本の「3,400円」と「区分数×8,600円」を足した金額です。
・登録料
一括で支払う場合は「区分数×28,200円」です。前期・後期の分割で支払う場合は、それぞれ「区分数×16,400円」になります。
専門家に頼むと「手数料」も発生する
弁理士などの専門家に依頼すると、一般に「1区分あたり1万円〜数万円」程度の手数料(報酬)が発生します。事務所によって商標調査や相談が有料となる場合もあるので、依頼先を探すときは費用の内訳をきちんと把握しておくようにしましょう。
商標登録を個人でやろうとすると意外に面倒
「商標出願・登録までの主な流れについて」で説明したように、商標の出願にはさまざまな書類を準備する必要がありますし、特許庁とのやりとりが発生する場合もあります。
商標法の専門知識や手続きの経験がない人にとって、これらの準備や対応は意外に面倒なものです。もし専門知識や経験がないのであれば、慣れない作業にストレスを溜めるより、思い切って専門家に任せたほうが良いでしょう。
これから紹介する「オンラインサービス」や「専門家(税理士事務所)」はいずれも定評のあるサービスや事務所ばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
【2022年最新】商標登録に便利なおすすめオンラインサービスをご紹介
・電子出願サポートサイト 【特許庁】
引用元:https://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/index.html
出願申請から特許庁とのやりとりまでオンラインで行える「インターネット出願ソフト」や、入力するだけで電子出願用の一部の書類を作れる「さくっと書類作成」(2020年12月提供予定)をダウンロードできる特許庁の公式サイトです。ソフトの利用料自体は無料ですが、申請する場合は事前に電子証明書を購入する必要があります(出願手数料は別途支払いが必要)。*以下、サービスの情報、価格は2020年9月26日時点を参考に記載しております。
ポイント
・特許庁が運営しているため、出願申請からやり取りまで可能
・出願書類を雛形もあり簡単に作れる
・ソフトは無料で利用できる(申請時は電子証明書の購入費用が発生する)
・Cotobox 【cotobox株式会社】
引用元:https://cotobox.com
AIを活用することで、一般的な商標登録サービス相場の約4分の1(手数料6,000円)という業界最安水準を実現。登録商標の確認からオンライン出願、商標管理までワンストップに対応していながら「最短3分で終了」という手軽さも魅力。手続きで不明な点があれば、担当者との無料チャットでしっかりフォローしてもらえます。プレミアムサービスとして経験豊富な弁理士によるフルサポートも用意されているので「専門家にすべて任せてしまいたい」という人にもオススメです。
ポイント
・利用手数料は6,000円からリーズナブル
・登録の確認から出願まで、最短3分とスピーディにできる
・専門性の高い弁理士によるサポート体制あり
・Toreru 【特許業務法人Toreru】
引用元:https://toreru.jp
商標登録件数や10,000社以上の利用者(企業・大学)など実績豊富なオンライン出願サービス。手続きは所定のフォームに入力するだけと簡単で、手数料も出願が9,800円〜、更新が9,800円とリーズナブル。商標を含む知財情報をコラム記事で紹介してくれるサイト「Toreru Media」と連動しているので「知財に関する話題のニュースやネタを知りたい」という方にもピッタリです。
ポイント
・フォーム入力で簡単に手続きできるため、最短1分で完了
・手数料は9,800円とリーズナブルな価格帯
・商標の調査、相談は無料で可能
・ すまるか 【特許業務法人Smarca】
引用元:https://smarca.jp
希望の商標(文字列又は図面)を記入・アップロードするだけで、AIと弁理士による高精度な調査報告書を最短1日(原則1週間)で受け取れます。しかも商標調査だけなら利用料は無料、出願時の手数料も1区分あたり12,000円と、業界水準よりずっとお得。先行商標調査依頼後はLINEによる問合せが可能になるため、気軽に相談できるのも強みです。
ポイント
・AIを活用した商標調査は最短1日〜1週間で完了
・スマートフォンでの手軽な操作や弁理士とのLINEのやりとりが可能
・先行商標調査は無料で実施
・ nomyne 【GMOブライツコンサルティング株式会社】
引用元:https://www.nomyne.com
無料で使えるネーミング専用の検索エンジンnomyneを使い、Google検索では見つけきれない「名前の類似」も検索可能。1区分あたり23,000円という手数料は他のオンラインサービスと比較してやや高めに感じるかもしれませんが、IT大手「GMOインターネット」のグループ企業が運営しているためサービスの安心感はダントツです。
ポイント
・商標を検索窓で簡単に調査できる
・商標検索は無料プランからはじめられる(有料プランあり)
・出願や登録は区分ごとに料金設定されている
【2022年最新】商標登録をする時相談したい特許事務所10選
次に商標登録をする際、相談できる特許事務所をご紹介します。比較できる項目も表にまとめたので参考にしてみてください。
特許業務法人 JAZY国際特許事務所
【ポイント】
AIを活用した商標調査は最短1日〜1週間で完了
スマートフォンでの手軽な操作や弁理士とのLINEのやりとりが可能
先行商標調査は無料で実施
希望の商標(文字列又は図面)を記入・アップロードするだけで、AIと弁理士による高精度な調査報告書を最短1日(原則1週間)で受け取れます。しかも商標調査だけなら利用料は無料、出願時の手数料も1区分あたり12,000円と、業界水準よりずっとお得。先行商標調査依頼後はLINEによる問合せが可能になるため、気軽に相談できるのも強みです。
- 調査料金
- 無料
- 料金形態
- 成果報酬型
- 外国出願
- ◯
- 代理件数
- 15,877件
- 商標登録の成功率
- 96%以上
- 問い合わせ対応
- ◯(問い合わせあフォームあり)
最後に
会社のブランディングをはじめ、商品やサービスの差別化、売上げにも大きな影響を与える「商標」。自分で商標登録にチャレンジするのも良いですが、スムーズで確実な登録を行うためには「専用サービス」を利用したり「専門家に依頼」するのがベストです。今回の記事を参考に、自分に合ったサービスや専門家を見つけてみてください。