法人保険は、事業を進めるうえでさまざまなリスクに備えるために活用する保険です。その法人保険は長期間加入する必要があります。そのため、保険会社選びが重要になるのです。そこで本記事では、法人保険を扱う保険会社を選ぶ際のポイントとして、比較するべき10項目を解説し、おすすめ商品15選もご紹介します。

法人保険とは

法人保険とは、企業が契約者となってリスクに備える保険のことで、大きく分けて生命保険と損害保険の2種類に分類されます。また、法人向けに販売されている保険だけでなく、個人向け保険であっても企業が契約者であれば法人保険として扱うことができます。

法人向け生命保険の種類

生命保険は、経営者や役員、社員の死亡に備えて加入するものです。借入金返済の準備など事業保障や死亡退職金、社員の福利厚生制度として活用することができます。主な生命保険は、定期保険、養老保険、医療保険です。

定期保険

法人向け定期保険には、逓増（ていぞう）定期保険と長期平準定期保険の2種類があります。

• 逓増定期保険

一定期間経過後に、逓増率により死亡保障額が増加していく保険です。一定時期まで増えていく解約返戻金を活用して、事業保障・経営者の死亡退職金・弔慰金の資金確保として用いられます。

• 長期平準定期保険

一般的な平準定期保険より保険期間を長く設定できる保険です。保健機関の満期を100歳に設定することも可能で、長期の事業保障や退職金の貯蓄として用いられます。

養老保険

役員・社員を被保険者として企業が契約するもので、満期までに被保険者が死亡すれば死亡保険金、満期まで生存していれば満期保険金が支払われます。役員・社員の死亡退職金・遺族の生活保障、生存退職金として活用され、「福利厚生プラン」ともいわれています。また、支払った保険料の半分を損金として計上できます。

医療保険

病気やケガによる入院・手術・通院した場合に保障するものです。経営者や役員を被保険者にすれば、給付金を事業保障として活用することも可能です。従業員を被保険者とすることで、福利厚生の一環として活用できます。

法人向け損害保険の種類

損害保険は事故や災害、賠償責任、損失補填などを目的に企業の損害を最低限にする役割があります。企業に求められる責任が多様化し、損害保険の種類も細分化されています。企業のリスク対策には損害保険の加入が重要です。主な損害保険は、以下のようなものがあります。

• 損害賠償に備える保険

PL保険（生産物賠償責任保険）、施設賠償責任保険、会社役員賠償責任保険、請負賠償責任保険、使用者賠償責任保険など

• 企業財産に備える保険

火災保険、建設工事保険、企業財産包括保険、動産総合保険、自動車保険など

• 損失補填に備える保険

店舗休業補償保険、取引信用保険など

法人保険を扱う保険会社の選び方

法人保険は、生命保険会社・損害保険会社によってさまざまな種類があり保障内容も異なります。ここでは、法人保険を扱う保険会社を選ぶ際に押さえておきたい10の項目をご紹介します。選定する際に参考にしてみてください。

1.設立10年以上

保険業務を継続している期間を計る目安になります。継続期間が長いからといって質の高いサービスを得られるわけではありませんが、国内での歴史が長い会社であれば信頼性が高いです。ただし設立されてから浅くても、商品の内容が優れていれば検討する価値はあるでしょう。

2.保険期間

保険期間が長くなるほど、保険料の負担も大きくなります。特に、終身保険や長期平準定期保険などは保険料支払いの負担が大きくなります。長期にわたってさまざまなリスクに備えようとするとキャッシュフロー（資金の流出）が悪化する可能性があるので注意が必要です。

3.法人保険の種類

先にご紹介したように、法人保険は保険会社によってさまざまな種類があります。さまざまなリスクをカバーしようとすると、どうしても保険の種類が増えてしまいます。どのようなリスクに備えたいのか事業展望も見据えてニーズに合った保険を選ぶことが重要です。

4.ネット手続き

申し込みや見積もり、保険金、給付金の請求が空いた時間に手続きができます。保険会社の営業時間帯に時間がとれない、時間の調整が難しい方は、確認しておきたい項目です。ただし、商品について確認したいときは自力で調べたりサポートセンターに問い合わせる必要があります。

5.保険金・給付金を受け取るまでの日数

保険会社は約款で、保険金・給付金の支払い期限を定めています。規定はそれぞれ保険会社によって異なるため、確認が必要です。多くの場合、請求に必要なすべての書類が保険会社に到着した日の翌営業日から5営業日以内に受け取ることが可能です。調査が必要な場合や医療機関などに問い合わせが必要な場合は、さらに時間がかかります。

6.業績掲載

保険会社は、決算後に決算報告書やディスクロージャー資料を作成して、業務内容や財務状況を開示しています。なかでもソルベンシー・マージン比率は保険会社の健全性を示す指標のひとつですから、200%を下回る保険会社は倒産や破綻の危機が高くなります。運営している保険会社の業績が気になる方は、ぜひこの項目を参考にしてみてください。

7.無料見積もり・シミュレーション対応

候補となる法人保険を扱っている保険会社があれば、無料での見積もりや料金のシミュレーション対応しているか確認しましょう。保障内容や期間を設定して保険料が算出できれば、一年もしくは毎月支払う料金の目安が分かり、資金の流れを確認することができます。また、何社か比較するうえでも役立ちます。

8.ソルベンシー・マージン比率

ソルベンジー・マージン比率とは、保険会社の健全性を測る指標のひとつで、予測不可能な大規模災害などが発生した際など、予測を超えた保険金の支払いが発生した際に、自己資本や準備金などによって、どの程度支払い能力があるのかを判断するための指標です。200％以上が基準となっており、それを下回った場合には、状況に応じて行政による業務改善命令を出し、経営改善を図ることもあります。

9.解約返戻金の有無

法人保険の加入にあたって、解約返戻金を受け取れるかどうかを確認する必要があるでしょう。さまざまな種類の商品があり、解約返戻金を受け取ることができるものもあれば、そもそも解約返戻金がないものもあります。事業保障や退職金などの支払いを確保することが目的の場合は、解約返戻金がある法人保険を選ぶことが重要です。

10.得意業界

保険会社によっては、特定の業界向けの保険商品を扱っている場合があります。例えば、飲食業では自然災害や事故による店舗の損害、店舗を休業することによる利益の減少、食中毒などの商品を原因とした賠償などに備えた保険です。業界ならではのいくつかの典型的なリスクを基本として、オプションで幅広くカバーします。無駄のない保険を選ぶことができます。

法人保険を扱う保険会社おすすめ15選

最後に

法人保険の種類や選び方、おすすめ15選をご紹介してきました。法人保険に加入することで、さまざまなリスクに備えることができるなど、事業を進めるうえで役に立ちます。検討したい保険会社や商品があれば、ぜひ問い合わせてみてください。