テレワーク・リモートワークの普及によって、以前よりもWEB会議用カメラを使っての会議やミーティングが増えたのではないでしょうか。
良くも悪くも、カメラの性能はリモート会議の質に大きな影響を与えてしまいます。では、高額なカメラにすれば良いのかと言えば、一概にそうとも言い切れません。この記事では、リモート会議に必要不可欠なWEB会議用のカメラについて、その選び方や効果的な使い方をご紹介していきます。加えて、代表的な29種のカメラもその特徴とともにご紹介。これから外付けのカメラを導入するという方、現在のリモート会議の質に疑問を感じているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
テレワーク・リモートワークは、今後も一定以上は継続される可能性が高い
感染症への対策として、一時期急激に「出社しない働き方」が広がりました。一旦は落ち着いたことで、再度出社する方針に戻した企業もあるようです。ですが未だに、全社の出社率を下げる方針を維持している会社や、ほとんど完全にテレワーク・リモートワークを継続しているという企業が存在しているのも事実です。加えて、全国的な感染者の増加を受けて、飲食店などの営業時間の短縮要請も行われたりしています。一度出社に切り替えつつも、情勢を見ながら出社率を下げる方針に再転換する企業も現れることでしょう。エンジニアやWEB制作などの一部業種では、完全在宅ワークでも成果や効率が上がったことで、部署を限定して在宅ワークを継続・推進する気運も見られます。今後ウイルスの流行が完全に収まったとしても、以前の状態に戻ることはないだろうと予測されています。
テレワーク・リモートワーク以外でも遠隔で業務を行う機会は増えている
テレワーク・リモートワークが急激に受け入れられたのは、ある意味ではやむを得ない側面もありました。ですが、一度「遠隔でも業務ができる」ということを知った今、社会では様々なな変化が起きています。
例えば、飛び込み営業を断るため、または移動コストや接客コストを削減するため「対面での営業は受け付けない」という企業すらも出てきています。契約可能性が高い企業へ営業を行っている際、「営業は遠隔でしか受け付けていない」と言われたとき「弊社は遠隔営業は対応していません」と切り捨てることができるでしょうか。あるいはクライアントから「遠隔で会議をしたい」と言われた際、これまでは「弊社が伺います」と言えば誠意を伝えられました。ですが今後は「感染リスクがあるのでやめてください」と言われてしまい、真逆の印象を与えてしまう可能性があるのです。また、地方創生や働き方改革によって遠隔拠点を設置する企業も増えています。「出社しない働き方」を経験したことによる副次的な作用として、時短・地方人材・子育て世代など、在宅が前提の優秀な人材を採用できる可能性が増えた、とも言えます。テレワーク・リモートワークを導入できる業態でありながら導入しないということは、営業の機会損失と優秀な人材確保の機会損失につながってしまう可能性があるのです。
遠隔業務には特有の課題もある
実際に数か月のテレワーク・リモートワークの結果、思わぬ課題が発生していることが分かりました。どのような問題が発覚したのか、分類別に知っておきましょう。
自社内で発生する問題
- チームで仕事を行う場合、連携が取りにくい。
- 業務的な指導がしにくく、意図が伝わりにくい。
- 生産性が低下してしまう社員がいる。
- 部下やチームの生産性低下に上司が気づけない。
- 部下のミスに上司が気づけない。
- 社員のエンゲージメントが下がる恐れがある。
- 就業時間の管理ができず、過剰に残業してしまうメンバーがいる。
- やむを得ず出社するチームと在宅チームの間に軋轢が生まれる。
実は、我々は対面で仕事をすることで「様々な問題を解決できていた」のです。遠隔業務で対面機会が減ったことで、今まで解決できていた問題が、まるで新たな問題であるかのように現れてきました。
遠隔会議で発生する問題
- ニュアンスが伝わり切らない。
- 参加者が会議の雰囲気を感じ取れない。
- 一人が話し続ける形式となり、冷たい印象になる。
- 音声の問題で、会話形式でのディスカッションができない。
顔が見えているからこそ可能だった議論や課題解決のためのディスカッションができず、「報告」で会議が終わってしまうことが多くなってしまいます。主催側は参加者の反応が見えないため、不安なまま一方的に話し続けることになります。一般の参加者にとっては会話もできず雰囲気も掴めず、今まで以上に会議に参加する意義を見出せなくなってしまうのです。
遠隔営業で発生する問題
- 対面前提で構築されたトークスクリプトが使えない。
- 先方のニュアンスを感じ取れな。
- こちらのニュアンスを伝えきれない。
- 最後の一押しが難しく、契約に持ち込むまで時間がかかってしまう。
- 遠隔での商談だと冷たい印象になってしまう。
- 商談内容ではなく、通信設備の影響で商談が失敗してしまうことがある。
移動時間がなくなれば、営業活動にとっては良い面が多くなるような気がします。ですが良い面ばかりではないようです。
トークスクリプトも契約の一押しも、対面前提で考えられたものがほとんど。これまでのノウハウの蓄積を活かすことが難しく、承諾率が低下している営業部も多いようです。
カメラで顔出しすることで解決できる問題も多い
- 相手の表情が見えるため、ニュアンスを感じ取れる。
- 自分の表示を伝えられるためニュアンスを伝えられる。
- お互いの顔が見えることで、コミュニケーションが捗る。
- 社員のエンゲージメント向上に効果がある可能性がある。
- 顔を見せることで、遠隔会議特有の冷たい印象をやわらげられる。
テレワーク・リモートワークで生まれてしまう問題ですが、カメラを使うことで解決できるものもあります。遠隔業務が長くなっている企業では、上司との面談や会議などでは、カメラをつけた状態での顔出しが推奨される企業も多くなっています。
少なくとも、遠隔営業で先方とやり取りする場合は、顔を映しておくほうがよいでしょう。可能であれば相手にも顔を出してもらうようにすれば、比較的対面と同じようなコミュニケーションに近づけることもできます。なかには、自分の部屋の様子を写すことに抵抗がある方がいるかもしれません。ですが、今は背景をぼかす機能がついているテレビ会議システムがほとんどです。片付けるのが難しい、またはどうしてもスペースを確保できずに背景が映り込んでしまうなら、背景をぼかしてしまうのも手です。ただし機密資料などの万が一映ってしまうと問題がある物品は、ぼかし機能を過信しすぎず必ず物理的に片付けておくことを徹底しましょう。
合わないWEBカメラを導入すると、課題が際立つ可能性も
PCやノートパソコンに備え付けのカメラでも、使い方次第では十分に役立つ可能性もあります。ですが、1対1でのやり取り以外ではスペック不足が目立つ場合もあります。
そんなときに安易に外付けのカメラを導入してしまうと、失敗してしまう可能性があるのです。
- 画質はいいがフレームレートが低く、カクカクして見える。
- 会議室と会議室をつないで会議をしたいのに、画角が狭くてカメラ前の1、2人しか映らない。
- 1on1用に導入したはずが、画角が広すぎて見え方がおかしい。
- 通信にラグがありすぎて、音声と画像が合っていないため違和感がある。
- 用途と比較して、カメラの費用が高すぎる。
WEB会議用カメラには、それぞれ特徴があります。大人数とのやり取りを得意とする製品もあれば、画質に強みがあるもの、動画に強みがあるもの、各機能は抑えめなものの値段が安いものなど、様々です。導入したカメラと自社での使い方が合っていないと、上記のような問題が起こったり、遠隔会議で述べていた問題が際立ってしまう可能性すらもあります。メンバーにヒアリングするなどして、現状でどのような課題があるのか、どの課題を解決するのかを明確にし、目的に合ったカメラを選ぶようにしましょう。
WEB会議カメラの特徴を知り、比較検討したうえで導入する
遠隔で行われる会議の内容は、以下のいずれかではないでしょうか。
- 数百名~数千名規模の全社員が参加する総会
- 会議室などの拠点同士をつないだ、10名対10名規模の会議
- 小規模の会議室をつないだ、1~5名対1~5名の小会議
- 在宅ワークを行っている個人を数十名つないだ部門規模の会議
- 在宅ワークを行っている個人を数名つないだ小規模な会議
- 1対1で行う1on1
これらに加えて、会議には目的も存在しています。
- 決定事項や業績、数値などを周知する
- 議論して会議中に何かを決定する
- 社員の様子を確認し、困っていることや相談事を聞き出す/解決する
- エンゲージメントを高めるための交流を行う
どのような種類の会議で、その目的は何であるかを想定しましょう。その想定ができたことで初めて、目的に合ったWEB会議カメラの導入が可能になります。以下に、カメラ導入にあたって比較検討のヒントになる項目を示しています。ぜひ参考にしてみてください。
画質、フレームレート
画質は〇pとして表しており、この数値が大きければ大きいほど良い画質であることを示します。720pであれば、通常のノートパソコンのフルサイズ表示でも問題ない画質です。1080pであれば、デスクトップPCのモニターで表示しても問題ないほどの良い画質です。ただし画質が良くなればなるほど、フレームレートが低下してしまう可能性があります。例えば30fpsであれば、「1秒の映像を30枚の画像表示」で表示します。60fpsであればその倍なので、より滑らかな画像となります。
基本的には30fpsあれば問題ないでしょう。
稀にですが、画面をスクリーンで表示したり動作を伝えたりしたい場合には、高画質・高フレームレートのカメラを選ぶ必要があることもあります。
1on1程度であれば、720p/25fpsでもまったく問題ないでしょう。
画角
カメラに映る範囲の広さで、〇°として表しています。60°程度であれば、カメラから見て水平範囲60°までの物体を映すことができます。
自分一人だけの専用カメラであれば60°もあれば十分です。ですが会議室内の4人ほどを映したいとなると、100°程度は必要になるでしょう。ただし何でも画角が広ければ良いという訳ではありません。広角になればなるほど魚眼レンズのような歪んだ映像になってしまい、人数が少ないと違和感が生まれまてしまうためです。また、画角が広くなってもフォーカスできる人数には限りがあるため、全員が映っているがぼんやりして見える、ということもあります。想定される会議人数に合わせて、1名なら60°以上、2名以上なら70°~80°以上、それよりも多いなら100°以上、と使い分けるのが良いでしょう。もちろん、一度に全員を映す必要がない会議なら、4名以上でも70°程度の画角で事足りることもあります。
マイク有無
多くのカメラにはマイクがついています。ですがマイクの性能はモノラルのみであることもあり、場合によってはカメラのマイクではなく外付けマイクを使ったほうが良いということもあります。それでも、1on1程度であればモノラルマイクで十分です。もしも一部屋に2名以上が参加する会議で、複数名が発言する可能性があるなら、ステレオマイクを備えたカメラにするか、または外付けで性能の良いマイクで補助するようにすると良いでしょう。なかには、外付けマイクにも引けを取らないような高性能マイクを備えているカメラもあります。
機能
例えばカメラにオートフォーカス機能が付いていたり、発言者を判別して自動で追従したり、何倍ものズーム機能やリモコン操作による首振り機能が付いていたりすることがあります。または、備え付けのマイクにもノイズキャンセリングやフィルタリング機能がついていることもあります。そのほか、カメラレンズを物理的に覆うプライバシーフィルターが付いていたり、取り付け易いようにクリップ構造が特殊だったり、安定して設置できるような三脚が付属していたりすることもあります。このように、ほかの一般的な機能に加えてプラスの機能がいくつか付加されている場合、当記事では「高機能」として示しています。高機能になればその分値段も高くなってしまう傾向にはありますが、その代わり1台で何役もこなせる可能性があり、結果的に効率アップにつながることもあります。
WEB会議カメラのおすすめ29選
ここからは、WEB会議カメラのおすすめ商品をご紹介します。各種の特徴も表で示したため、比較したうえで自社の業態や社風に適したシステムを探してみてください。値段はメーカー希望小売価格があるものは示しているので、機能と値段感の比較もしてみてください。なお、製品の情報・価格は2020年12月1日時点を参考に記載しております。
最後に
テレワーク・リモートワークの質を向上させ、引いては業務効率をアップするためにWEB会議用カメラを導入することは、検討の余地があると思います。もちろん、会議の種別と目的を精査したうえで、PCやノートパソコンへの備え付けのカメラで事足りる例や、カメラが不要である場合もあります。ですが、もし何らかのカメラを導入したほうが良さそう、という結論になったのであれば、ぜひ当記事を参考にしてみてください。設備投資を行うことは社員の働きやすさやエンゲージメント向上にもつながり、「会議が楽になる」という表面上だけではない効果を生み出してくれるかもしれません。