ぴったり、を選ぼう。PITTALAB

pexels-fauxels-3182822.jpg

クライシスマネジメントとは?重要性やプロセス、事例までを徹底解説

twitterでシェア
facebookでシェア
はてぶ
公開日: 2021.05.31
更新日: 2021.06.01

経営者にとって、経営におけるリスクを最小化することは重要な役割です。近年では、経営におけるリスクを想定したクライシスマネジメントというものが存在します。今回は、企業に起こるリスクの対応に必要なマネジメント方法について見ていきましょう。

目次
目次

クライシスマネジメントとは

クライシスマネジメントとは、自然災害やテロ、紛争などの危機が発生した時に、企業がどういう対処を行うのかを管理することです。危機が既に起こってしまった事後策のことで、危機を想定した事前の準備を行います。

そのためには、より緻密なプランを立てる必要があるでしょう。そうすることで、災害時のリスクを最小限に抑えることが可能です。逆に、事後策を立てずに危機的状況が発生してしまうと、事態に対応することが難しくなり、被害が悪化してしまうこともあります。

クライシスマネジメントを行う目的

では、どういう目的でクライシスマネジメントを行うのでしょうか。最大の目的は、起こってしまった企業の危機的状況をなるべく早く平常の状態に戻すことです。事前に防ぎきれなかった危機が起こってしまった時に、迅速に初期対応をしてリカバリーを行い、その後平常状態に戻すことを目的として行います。

もちろん、危機的状況を想定した対策を行っているからとはいえ、危機が発生することを防ぐ取り組みも重要です。あくまでも、クライシスマネジメントは危機的状況が発生する前の対策のひとつとして考えておきましょう。

リスクマネジメントとの違い

クライシスマネジメントと似た言葉で、リスクマネジメントというものがありますが、それぞれどういう違いがあるのでしょうか。それぞれの最大の違いは、何を管理するのかに大きな違いがあります。

危機的状況が発生した時の管理であるクライシスマネジメントに対して、リスクマネジメントはそもそも危機的状況を発生させない管理のことです。仮に危機的状況が行ってしまった場合でも、リスクマネジメントでは対処できるように備えておきます。

つまり、リスクマネジメントは危機的状況を発生させない管理も含まれるため、広義と捉えた場合、リスクマネジメントにクライシスマネジメントが含まれるのです。そのため、企業はリスクを最小限に抑える上で、クライシスマネジメントだけではなく、同時にリスクマネジメントを行う必要があります。

クライシスマネジメントの重要性

ここまでの話しの流れで、企業は危機的状況を想定した事前準備が重要だということがわかりました。クライシスマネジメントは、企業として重要なことであるのはもちろんですが、従業員を守る上でも重要な役割を担っているのです。

想定外のアクシデントに対応できる

企業を経営していると、想定外のアクシデントは往々にして起こることがあります。アクシデントに対応するためには、危機的状況は必ず起こるという前提のもと、アクシデントに対応するための体制を事前に整えておくことが重要です。

そうすることで、想定外のアクシデントが起こったとしても、迅速な初期対応や2次災害を防ぐといったアクションに繋げることができ、最小限の被害で抑えることができます。

被害を全て抑えることができなかったとしても、クライシスマネジメントを行っておくことが、後の企業存続に大きな影響を与えるかもしれないのです。

従業員の安全を確保できる

前述した通り、クライシスマネジメントは従業員の身を守る上で重要な役割です。例えば、大きな自然災害が起こった場合、従業員は混乱をして組織は機能しなくなります。そのため平常時に、災害や事故が起こった時のことを想定し、従業員の安全を守るための対策を立てておくことが重要です。

クライシスマネジメントを行う時は、まずは従業員の安全を第一として考えましょう。

クライシスマネジメントのプロセス

クライシスマネジメントのプロセスは、事前準備・対処・回復と大きく3つに分かれています。想定外の事態を事前に予測することは、非常に難しいことですが、あらかじめプランを立てておけば、被害が出たとしても焦らず対応することができるでしょう。

そのためには、それぞれのプロセスで何を行うのかを理解することが重要です。

クライシスマネジメントのプロセス1.事前準備

クライシスマネジメントを成功させるためには、事前準備をどれだけ十分に実施できたのかにかかっています。

実際に危機的状況が起こった場合、従業員はパニック状態に陥り、正常な判断が難しくなるでしょう。そのため、危機的状況を可能な限り予測し、事前準備の段階で出来る限りのことを行うことが、現場での混乱を最小限に抑えることに繋がります。まずは、事前準備をしっかり行った上で、その後のプロセスに繋げていきましょう。

行動計画を設定する

事前準備の段階で重要となるのが、行動計画を定めておくことです。災害時のマニュアルや対応フローを作成しておくことで、緊急時でもそれらを見て行動することができます。

具体的な内容としては、危機的状況の発生から収束までのプロセスや責任者の緊急連絡先、責任者に連絡が取れない場合の対処方法など、実際の事態を想定した内容が好ましいです。

ここでは、誰が見ても対処できる行動計画を設定し、意思決定の流れをわかりやすく言語化しましょう。

発生時に、必ずしも責任者がその場にいるとは限らないため、誰が見ても対処できる行動計画を設定することが大切です。

リハーサルを行う

行動計画を設定したとしても、実際に危機的状況が起こって対処するのはなかなか難しいです。

上手く対処するためには、危機的状況を想定したリハーサルを実施しておくことで、災害が発生した時に上手く対処できる耐性が身に付くでしょう。

例えば、自社で起こり得そうな危機的状況をシミュレーションし、それが発生した時の収束までの一連のフローをリハーサルします。そうすることで、事態への対応ノウハウや課題点が見つかり、組織の対応強化に繋げられるでしょう。

日常的に情報収集を行う

将来起こり得る危機的状況をイメージするためには、日々の情報収集が重要です。将来のことを予測することは非常に困難ですが、日常的に業界の最新状況や競合の動きなどを、インターネットやSNSでチェックしておくことで、起こり得る危機をイメージしやすくなります。

大規模な自然災害においても、マスメディアや公的機関から発表されている情報などを参考にすることで、ある程度の災害は予測できるでしょう。このように、将来起こり得そうな事態にアンテナを張っておくことで、危機的状況発生時の影響を抑えることができます。

クライシスマネジメントのプロセス2.対処

危機的状況が発生した時に、実際の現場で求められる行動はケースや企業によってさまざまです。ただし、危機的状況の種類や大小に限らず、これから紹介する対処方法はどのケースにおいても活用できます。

部署ごとに責任者を決める

まず危機的状況が発生した時にやるべきことは、危機管理時における委員会を設置することです。
経営層は事態発生を把握後、迅速に各部署の責任者を決めて委員会を設置しましょう。その後、員会が主体となり、危機的状況の内容や規模、被害状況に応じて、事前準備で行ったことを活かして平常状態に戻れるように対策をします。

ここでは、従業員が混乱しないように事態を正確に把握し、正しい情報をもとに現場を指揮することを意識しましょう。

問題点を把握する

次に、現場から上がってきた情報をもとに問題点を把握します。問題点を把握する時に大切なのは、情報を時系列で整理し、漏れなく情報を収集することです。もし問題点を把握することができなければ、手探りの状態で対応する必要があり、現場はより不安定になってしまいます。

そのため、可能な限り素早く情報を収集し、誰が・どこで・何を・どのようにといった観点で問題点を把握して初期対応を行いましょう。

スピーディーに対応する

危機的状況が発生してから、最も重要なのはスピーディーな対応をすることです。実際に対処を行ったことのある企業は、反省点として挙げているのが初動が遅れてしまうケースが多発しています。

事態の大小に関係なくどんなケースにおいても、スピーディーな初動が重要であり、それによってその後の対応や企業価値に影響が及ぶのです。

少なくても、経営層は現場から報告があった段階で躊躇することなく、スピーディーに物事を判断しましょう。そのために現場では、事前に用意した行動計画やリハーサル時のチームにしたがって連携を取り、情報をスピーディーに共有する力が必要です。

もし仮に、現場でスピーディーな対応が出来なかったとしても、経営層でスピーディーな対応ができれば、その後の被害を最小限に抑えることができます。

クライシスマネジメントのプロセス3.回復

クライシスマネジメント最後のプロセスが回復です。回復段階では主に、なぜ問題が起こってしまったのか、どうすれば同じ問題を繰り返さないようになるのか、この2つを追求する必要があります。

もし、この2つの課題をあやふやにしてしまうと、根本的な解決には繋がりません。また、問題に対して不十分な対応をしてしまうと、企業や経営者への不信感に繋がり、経営的なリスクも背負うことになります。

そうならないためにも、問題の真相追求と解決策を施し、また必要であればメディアを通じた謝罪や状況説明なども行いましょう。

問題の真相を追求する

まずは、なぜ危機的状況が起きてしまったのかを把握しましょう。そのためには、はじめに社内による内的要因なのか、市場や社会などの外的環境による問題なのかを整理することが大切です。

もし社内に原因があるのであれば、問題が起きた根本的な理由を追求し、理由によっては社内環境の改善が求められるかもしれません。また、真相を追求していく中で、事業内容や人員配置に問題があるとわかれば、経営戦略の改善が必要になることもあります。

企業は信頼を失わないためにも、ミスを認めて次回以降の改善に努めていく姿勢が重要です。いずれにせよどんな理由であっても、解決策を決めるためにはどこに問題があるのかを必ず把握しましょう。

改善策を決める

改善策は部署や現場任せにするのではなくて、経営層が主体となって決めるようにしましょう。実際に改善策の実施が現場で行われることから、現場の意見や考え方を取り入れた改善策になりがちですが、対処方針は経営目線で実施する必要があります。

なぜなら、現場の意見は情や感情に流されたものがあり、経営的な判断としては適切ではないことがあるからです。そのため、現場から反対の声があったとしても、経営層の方針を押し通さなければいけません。

苦渋の決断になるかもしれませんが、企業経営の目線を重視して、冷静な対処法を決めるようにしましょう。

クライシスマネジメントの2つの事例

ここまでの話の中で、クライシスマネジメントの重要性や進め方について理解できたと思います。業界や企業規模によってさまざまではありますが、経営者は企業内で発生するリスクをできる限り多く認識しておく必要が大切です。

全てのリスクをここで把握することは難しいですが、ここでは2つの例を紹介します。

1.医療現場

医療現場でのクライシスマネジメントの場合、主に患者の生命や安全を損なう危機が潜んでいます。ここでは、入院している患者が病院内で転倒して、怪我をすることを想定したクライシスマネジメントを紹介しましょう。

実際に患者が病院内で転倒してしまう例は、多く発生していることです。このようなケースの場合は、患者が転倒してしまったことを想定し、病院としてどういう対応をするのかを事前に決めておく必要があります。具体的には、患者が転倒した時の初期対応を決めておくことです。

クライシスマネジメントの視点で考えると、スピーディーな対応が求められるため、この場合は事故現場からの報告体制や応急処置のやり方などが想定できます。また、患者の命と健康を守り、再び患者を平常の状態に戻すことを視点に置くことも重要です。

当たり前ですが、そもそも患者が転倒しないようなリスクマネジメントをすることが大切になります。あくまでもクライシスマネジメントは、危機的状況が発生した時の対応を管理するものです。

しかし、事故は必ず発生するもの、人は間違いをしてしまうものことを認識した上で、危機管理をすれば万が一の事態でも対応することができます。特に医療現場では、想定しないことが多く起こりやすいため、想定できる全てのことを危機管理の対象にしてもいいでしょう。

2.大手チョコレートメーカー

某大手チョコレートメーカーでは、過去に企業の信頼を失いかけた事件が起こりました。事件の発端は、ひとりのユーザーがTwitterに「チョコの中に虫が混入していた」という投稿を写真付きでツイートしたことです。

写真には、チョコの中から幼虫が見えている状態が写されていました。このツイートは瞬く間に拡散されて、販売元の企業はブランド価値の失墜や商品の回収、生産体制の改善など、さまざまなダメージを想定した対策が必要になります。

しかし、その時に販売元の企業が取った迅速な対応によって、この危機的状況を短期間で平常に戻すことに成功しました。その要因は、ユーザーがツイートをしてから3時間というスピードで公式見解を発表したことです。

写真に写されている幼虫の成長過程とチョコの製造年月日から、生産過程で幼虫が混入するはずがないことを当該ユーザーに説明し、事態が収束しました。これにより、情報の信憑性が増して、ツイートの拡散も防ぐことができ、大きな損害がなく危機的状況を乗り切れたのです。

このことから、某大手チョコレートメーカーでは不測の事態への対応策がしっかりと練られていて、スピーディーな対応を心がけていたことがわかります。素早くチョコレートの最終出荷日を調べる的確な対応をはじめ、幼虫の成長過程を専門家にヒアリングする調査体制は、まさにクライシスマネジメントのお手本といえる事例でしょう。

ここまで完璧に対応するのは難しいとしても、スピーディーな動きや公式での発表など、参考になることは多いのではないでしょうか。

最後に

クライシスマネジメントについて説明しました。企業経営をするにあたって、想定しない事態は往々にして起こり得ます。そういった状況になった時に、その場で慌てて対策を講じたとしても、事態の悪化を抑えることは難しいです。

経営者は、常に危機的状況が起こることを前提に考え、起こり得る全ての事態を想定した上でクライシスマネジメントを行いましょう。長期的に経営をしていくためにも、自社でクライシスマネジメントを取り入れてみてはいかがでしょうか。