Webサイトとホームページの本来の定義は異なりますが現在では混同されて使われるケースが一般的です。
しかし場合によってはしっかりと使い分けることが必要です。使い分けの重要なポイントについてご紹介します。
Webサイトとホームページの意味は厳密には定義が異なる
Webサイトやホームページという言葉について私たちは普段深く考えることなく、同じような意味で使用していることが多いのではないでしょうか。
本稿ではWebサイトとホームページという言葉の本来の意味を明確にし、使い分ける方法についても詳しく解説します。
Webサイトとは(本来の意味)
まずは「Webサイト」について簡単に解説します。
複数のWebページの集合体のこと
Webサイトとは複数のWebページが集合したもののことを指します。
一方、画面上に表示されている1枚のページのことをWebページといいます。以下のようなものがWebページに該当します。
- ブラウザを開いた際に最初に表示されるGoogleやYahooなどのページ
- 「http」「https」「www」などで記載される
- URLをクリックして表示されるページ
雑誌に例えるとわかりやすく、表紙や特集記事など1ページ単位がWebページに相当し、雑誌そのものがWebサイトに当たります。
ホームページと呼ばれているもの=Webサイト
ホームページはWebブラウザを起動した際、はじめに表示されるページのことを指します。
しかし、日本で「ホームページ」を使う場合はWebサイトと同じく、Webページの集合体を指すと捉えて問題ありません。
Webサイトの種類
Webサイトには種類がたくさんありますので、一覧でご紹介します。
種類 | 目的 |
コーポレートサイト | 会社が公式に運営・管理するサイト |
サービスサイト・キャンペーンサイト | 特定の商品やサービスに関する情報を載せたサイト |
ランディングページ(LP) | 特定の商品やサービスの販売を促進することに特化した縦長のレイアウトページ |
採用サイト | 求職者向けに企業や採用に関する情報を掲載したサイト |
ECサイト | インターネット上で商品を販売するサイト |
ブランドサイト | 企業などが自社の商品やサービスを多くの方に認知・価値を理解してもらうためのサイト |
オウンドメディア | コラムやニュースなどのコンテンツを掲載を目的とした自社で保有するメディアサイト |
ポータルサイト | GoogleやYahoo!などのWebページへアクセスするための検索エンジンやニュースや記事など様々なコンテンツへのリンクが設置されているサイト |
ホームページとは(本来の意味)
続いて、「ホームページ」について簡単に説明します。
Webサイトのトップページのこと
Webサイトは複数のWebページから構成されていますが、ホームーページはその中でも大元となる、いわゆるトップページのことを指します。
検索の最初のページを指す場合もある
また、Webブラウザを開いた際に最初に表示されるページのことを指す場合もあります。
具体的にはインターネットを利用するためのブラウザ(インターネットエクスプローラー、Google Chrome、Safari、Firefox、など)を開いた際に出てくる最初のページのことです。
本来的には「最初のページ」を意味していたホームページという言葉が徐々にWebサイト全体のトップページのことをいうように変化していきました。
ブラウザを開いた際の最初のページ、という本来の意味から、Webサイトのトップページを意味するようになったホームページという言葉ですが、意味はさらに変化し続けており、現在では一層広い意味で使われるようになっています。
Webサイトとホームページを上手に使い分けるコツ
Webサイトとホームページという言葉の本来の意味の違いについて説明してきましたが、実際にWebサイトとホームページという言葉を上手に使い分けるためにはどのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。
Webサイトもホームページも正しい用語?
結論を言ってしまうと、基本的にはWebサイトをホームページと呼んでも問題はありません。
日本国内で使用する場合に限定すれば、Webサイトをホームページと呼んだほうがむしろ相手には通じる可能性が高いと考えられます。
具体的な例を挙げると、東京23区のWebサイトを確認してみると約9割の自治体で自分たちの公式なWebサイトをホームページと呼んでいます。また、日本マイクロソフトのWebサイトにおいても「日本マイクロソフト‐Official Home Page」のように、「ホームページ(Homepage)」という言葉が使用されています。
このように、多くの企業において「ホームページ」という言葉を「Webサイト」という意味で使っているので、この2つの言葉を同じ意味を持つ言葉(同義語)として使用することには問題はないと考えられます。
ただし言葉としては別個の言葉として存在しており、本来は意味が異なるものなので、2つの言葉を意識して使い分けたほうが良いでしょう。
これまで説明してきた本来の言葉の定義を踏まえると、サイト全体を表す言葉としてより適切な言葉はWebサイトになります。
しかし、言葉の使用方法は時間の経過と共に変化していくものなので、ホームページという言葉も世間で一般的に使用されている今日においては正しい用語と考えても問題はないでしょう。
いくつかの国語辞典でホームページという言葉の意味を調べてみると、「Webサイト全体」と「Webサイトのトップページ」の双方の意味で使用されるという記載がありました。
一般化した言葉なので、ホームページという言葉も正しいという見解は、NHKのホームページ上に記載されています。(参考URL:https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20210301_4.html)
なお、Webサイトとホームページのどちらの用語を使用しても問題がないとしても、言葉の意味の伝わりやすさという点ではホームページの方がより伝わりやすいと指摘されています。
「ホームページ」が検索上は主流
Webサイトもホームページも一般的に利用されている言葉として問題はない、とされているようですが、実際の検索場面ではどちらの言葉がより使われているのでしょうか。
キーワード検索数チェックツール(https://aramakijake.jp/)を利用して調べてみると、「Webサイト」という言葉はYahoo!JAPAN上では2,420件、Google上では9,680件、検索されていますが、「ホームページ」という言葉はYahoo!JAPAN上では18,100件、Google上では72,400件、検索されています。
つまり検索するというシーンで主に利用されている言葉は「ホームページ」ということになります。
また、検索トレンドの推移を調べることができる「Google Trends」で調べてみても、「ホームページ」という言葉の方がより広く使用されていることが確認できます。
つまり、Webサイトも「ホームページ」も一般化された言葉で使うことには問題はないものの、言葉の検索上においては「ホームページ」という言葉が主流になっているということです。
Googleにおける取扱はどのようになっているのか
上述したGoogle検索やGoogleトレンドの結果からは、「ホームページ」という言葉の方が「Webサイト」というよりも主流になっているということがわかります。
こうした結果を踏まえると、SEOの観点からは個人ブログコーポレート・サイト上には「ホームページ」と記載する方が、より多くの検索者にWebサイトを見てもらえる可能性が高くなると言えそうです。
一方Googleでは「Webサイト制作」と「ホームページ制作」を同じ言葉として認識しています。Googleで「Webサイト制作」という言葉を検索しても「ホームページ制作」という言葉が太字になって(ハイライトされて)しまいます。「ホームページ」と「Webサイト」というそれぞれの言葉はGoogle上では同じ言葉としては認識されていませんが、「ホームページ制作」と「Webサイト制作」という言葉についてはGoogle上では同じ検索ワードと認識されているのです。
しかし、詳しく調べてみると、「Webサイト制作」という言葉と「ホームページ制作」という言葉では検索結果に表示されるWebサイトが若干異なることが判明しました。この結果はGoogle上において認識されている「Webサイト制作」と「ホームページ制作」という言葉の検索目的や利用者にとっての要望などが完全に一致しているということではない、ということを意味していると考えられるのです。
日本国内と海外(英語圏)での取扱の差異
本来のホームページの定義が拡大解釈されて使われるようになったのは、あくまでも日本国内での話です。
海外(英語圏)においては本来の意味でホームページ(Homepage)という言葉は使われているので注意が必要です。つまり、海外ではホームページ(Homepage)は最初に表示されるページのことだけを差し、サイト全体のことを意味している「Webサイト(Website)」とは使い分けが明確に行われています。
海外の企業と一緒にWebサイト制作の仕事をするような場合や海外向けに書類を作成するようなケースでは「ホームページ」と「Webサイト」という言葉はしっかりと使い分けることが重要です。
日本国内では使い方がかなり曖昧な「ホームページ」と「Webサイト」という言葉ですが、明確な定義が定められている海外でこうした言葉を使用する場合にはどのような意味でその言葉を使用するのか、といったことを確認しながら使うことをおすすめします。
日本国内に比べると海外では言葉の定義も明確なため、本来の意味で使用されることになります。
つまり、日本国内にいる感覚で「ホームページ」と「Webサイト」という言葉を混同してしまったような場合には仕事上の大きなミスにも繋がってしまうおそれがあります。日本国内と海外とではホームページ」と「Webサイト」の言葉の取り扱い方が異なっているということをしっかりと意識しておくことが必要です。
ターゲットによって使い分ける重要性
結論から言うと、日本国内においては基本的にホームページという言葉をホームページとWebサイト両方の意味で使ってもOKです。
しかし、IT関係者や海外の人と話す場合にはWebサイトとホームページをきちんと使い分けるほうが好ましいと言えます。
日本国内では「ホームページ」も「Webサイト」もほぼ同じような意味を持つ言葉として一般的に定着しているので、言葉の意味の正しさ、というポイントを考えると、どちらの言葉を使用しても問題はありません。しかし、実際にはそれぞれ異なる言葉なので使い分ける際に悩んでしまう人も多いでしょう。
そのような場合には「ホームページ」や「Webサイト」という言葉を使って誰(どのようなターゲット層なのか)に対して届けようとしているのか、ということを考えることが重要です。相手にとって慣れ親しんでいる言葉かどうか、というポイントを踏まえることが大切だと考えられます。
具体的には、検索用語のトレンドやマスコミでよく使われている用語などの観点を踏まえると「ホームページ」という言葉の方がより一般的に広く使用されているので、トレンド研究者やマスコミの人々に対しては「ホームページ」という言葉を使ったほうが話が通じやすいと思われます。
一方で、Web業界関連者と話すような場合には「Webサイト」という言葉の方が馴染み深いと思われるので、基本的には「Webサイト」という言葉を使用することをおすすめします。つまり、誰に対して使用する言葉なのかという観点を踏まえて上手に使い分けることが必要であり大切なのです。
結論
最後にWebサイトとホームページを使い分ける必要があるのかどうか、使い分ける場合に注意すべきポイントはなにか、という点についてあらためて解説します。
Webサイトもホームページも使用して良い
これまで説明してきたように、本来はWebページの集合体であるWebサイトとWebサイトの最初のページであるホームページは定義が異なっているので違う意味を持つ言葉ではありますが、一般的にはホームページもWebサイトも同じような意味で使われているのが現状です。
したがって、日本国内で使う場合にはどちらの言葉を使用しても問題はないでしょう。
本来のWebサイトの意味でホームページという言葉を使ったとしても相手には意味が通じていると考えてよいでしょう。現在では多くの場合でWebサイトとホームページが同じものを意味している言葉になっているのでどちらの言葉を使用しても基本的には問題ありません。
ましてやITにあまり詳しくない人に対して「今のWebサイトという言葉は本来のWebサイトの意味?それともホームページの意味?」などと確認していては会話が進まなくなってしまうでしょう。Webサイトもホームページもどちらも使うことにはまったく問題はありません。
ただし、厳密な違いを理解したうえで使用することが望ましい
上述したように、一般的にはWebサイトという言葉とホームページという言葉のどちらを使用しても基本的には問題はないのですが、状況によっては使い分けが必要になる場合があることは覚えておきましょう。
ITに詳しい人や海外の人と話す場合には相手がWebサイトとホームページという本来の厳密な定義を理解している場合が多いので、本来の意味に則して使用することが好まれます。
日本国内のように曖昧な定義・意味に基づいて話をしてしまうと、本当はホームページ作成を依頼するつもりだったのにWebサイト制作をする話になってしまうようなこともあり得るかもしれません。
Webサイトとホームページという言葉の厳密な定義を正確に理解したうえで、相手(ターゲット)の状況を十分に勘案して2つの言葉を使い分けることが必要なのです。
最後に
一般的に日本国内においては「ホームページ=Webサイト」と認識されているのでどちらの言葉を使っても特段の問題はありません。
特に日本ではホームページという言葉の使用頻度が高いのでホームページということばのほうが通じやすい傾向があります。
ただし、IT業界の関係者や海外(とりわけ英語圏)の人と話すような場合には、ホームページとWebサイトという言葉は本来の厳密な定義の違いを踏まえて使いわけたほうがよいでしょう。
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