「ブランデッドムービーってどんな動画なのか?」
「ブランデッドムービーを作ることでどのようなメリットがあるのか?」
動画マーケティングを検討している方の中には、ブランデッドムービーについて情報を集めている方もいるのではないでしょうか。実は、動画広告とは異なり、商品や企業をPRするだけの動画ではないのです。本記事では、ブランデッドムービーの概要や動画広告との違い、活用するメリット、作り方、有名企業の活用事例についてご紹介します。この記事を読めば、ブランデッドムービーを活用して、企業の成長に繋げることができるでしょう。
1.ブランデッドムービーとは
ブランデッドムービーとは、企業のブランディングを目的にした動画のことで、多くの企業は動画マーケティングの手法に使っています。企業のイメージを定着させるための動画なので、メッセージ性の強い内容になっているのが特徴です。ドラマのようなストーリー性のある内容になっているものが多く、視聴者をグッと惹きつけられるような魅力的な動画が多い傾向があります。ブランデッドムービーを作る際は、視聴者に共感してもらえる部分をアピールし、視聴者に印象付ける動画を意識することがポイントです。
2.動画広告との違い
ブランデッドムービーは動画広告とは異なります。企業を認知してもらうことがブランデッドムービーの目的ですが、動画広告は直接的な成果を期待したものです。つまり、動画によって企業のイメージを定着させるためのものがブランデッドムービーで、商品の購買につなげるものが動画広告といえます。動画広告は視聴者の商品購入に繋げるために、全面に商品をアピールしますが、ブランデッドムービーは企業の支持者を増やすために、露骨なアピールを控えるのが特徴です。無理やり良いイメージを作ろうとすると胡散臭さが出てしまい、逆に支持者を集めることが難しくなります。そのため、世間の声を意識しながら、視聴者に寄り添った内容にすることがブランデッドムービーには必要といえるでしょう。
3.ブランデッドムービーを活用する4つのメリット
ブランデッドムービーを活用するメリットについてご紹介します。
主なメリットは以下の4つです。
- 消費者の信用を得られる
- ブランドの認知が広まる
- 拡散が期待できる
- 伝えたいメッセージを反映できる
具体的にどのようなメリットがあるかご説明するので、ブランデッドムービーの採用を検討している方は参考にしてみてください。
(1)消費者の信用を得られる
ブランデッドムービーを活用することで、消費者の信用を得やすくなります。消費者から支持される企業になるためには、共感を集めることが重要です。「企業が消費者と同じ視点に立ち、より良い商品やサービスを提供してくれる」と消費者に期待してもらってはじめてブランド力が確立します。視聴者の悩みを重点にブランディングムービーを作ることで、視聴者から共感を得られれば、自然と企業のファンが増えるでしょう。
(2)ブランドの認知が広まる
ブランディングムービーによって、自社ブランドの認知を広げることもできます。企業だけでなく自社ブランドに焦点を当てることで、商品のブランドをアピールすることも可能です。ただし、動画広告のように商品を全面にアピールするのではなく、ブランド名を知ってもらうことに特化した内容にする必要があります。自社ブランドのファンを獲得できれば、新商品を押し売りしなくても良いリアクションが期待できるでしょう。
(3)拡散が期待できる
ブランディングムービーは話題になりやすいため、SNSと相性が良いです。自社のSNSアカウントでブランデッドムービーを投稿すれば、コミュニティに所属するファンが自ら拡散してくれます。話題になるほど多くの人から注目してもらえる確率が高くなり、より多くのファン層の獲得に繋げることが可能です。動画マーケティングにおいてSNSの活用は必須なので、いつでも拡散できる準備は整えておきましょう。
(4)伝えたいメッセージを反映できる
ブランデッドムービーはストーリー仕立ての構成が基本なので、伝えたいメッセージを表現しやすい特徴があります。視聴者に対し自然と消費者への企業のメッセージを伝えられるので、不快感なくメッセージを受け取ってもらえる点がメリットです。主人公が企業メッセージを代弁したり、ナレーションやテロップで説明したりと、バリエーションは豊富なので、企業の特徴を活かしたメッセージ動画を作ることができます。ブランデッドムービーを作るときは、伝えたいメッセージを軸にした構成を考えてみましょう。
4.ブランデッドムービーの作り方
ブランデッドムービーの作り方についてご紹介します。
主な流れは以下のとおりです。
- 動画の目的を決める
- ターゲット層を絞る
- 脚本を作る
- 動画を撮影する
- 動画を編集する
- エフェクト・テロップ・音響をつける
未経験者でも作ることができるので、一つひとつ丁寧に工程を進めていきましょう。
(1)動画の目的を決める
まずは、ブランデッドムービーを作る目的を決めましょう。動画を作る上で大切なのは目的です。企業のどのようなイメージを動画で伝えたいのか明確にしなければなりません。たとえば、生活支援事業を行っている企業であれば、「消費者の気持ちに寄り添ってサービスを提供する」というメッセージを込めるなど、具体的にすることがポイントです。ちなみに、動画目的を決める段階で、ブランデッドムービー制作に充てる予算を決めておくことをおすすめします。動画の内容によっては、撮影や編集の仕方が変わり、発生する費用が大きく変動する可能性があるのです。予算内に収めながら構成を考える必要があるので、この段階で決めておきましょう。
(2)ターゲット層を絞る
動画の目的を決めたら、次はターゲットを決めます。ブランデッドムービーは企業やブランドのファンを獲得するためのものなので、費用対効果を高めるためには、メッセージを伝えるターゲットを絞ることがポイントです。
たとえば、バッグを販売している企業であれば、バッグの購買意欲が高い女性をターゲットにした方が注目される可能性が高くなります。さらに高級バッグのブランド力を高めたい場合は、子育てがひと段落し、比較的金銭に余裕が出やすい40~60代にターゲットを絞ると、より企業イメージが定着しやすくなるでしょう。
なお、ターゲットを特定したら、動画のコンセプトも決めておくことをおすすめします。動画のコンセプトを明確にすることで、次に紹介する脚本が作りやすくなるのです。1人の主人公に焦点を当ててドラマ仕立てで動画を進めるのか、アニメーションを使ってインパクトのある動画にするのかなど、動画の全体的なイメージを作りましょう。
(3)脚本を作る
コンセプトが決まったら、脚本を作っていきます。最初はざっくりとした大枠で構成を考え、徐々に具体的に内容を埋めていく流れが効率が良いです。ただし、ストーリーを考えるときは、話の軸を決めておきましょう。動画で視聴者にどんなメッセージを伝えたいのかを1つ明確にすることで、話の大筋が見えてきます。ちなみに、伝えたいメッセージが複数ある場合も、1つに絞りましょう。1つの動画に複数の軸があると、動画の内容がぶれてしまい、視聴者が分かりづらくなってしまう可能性が高くなります。予算を考慮しながら、視聴者が分かりやすいストーリーを考えましょう。
(4)動画を撮影する
脚本に従って動画を撮影します。撮影に必要な機材は、脚本を作る段階で判明するので、動画撮影前に揃えておきましょう。ちなみに、ブランデッドムービーで人物を登場させる場合は、自社の社員を出演させることで費用を浮かせることができます。また、スケジュール管理がしやすいように、会社の近くで撮影しましょう。自然などの背景を使う場合、すべて納得のいく形で撮影することは難しいので、フリー素材の活用も検討してみてください。
(5)動画を編集する
動画を撮影したら、自然な流れになるように編集します。複数のカメラや、カット割りで撮影した映像を違和感のないように1本にまとめる作業です。動画の編集は、MicrosoftフォトやiMovieなどの無料の動画編集ソフトを使ってみましょう。専門的な知識が必要なく、初心者でも簡単に扱えるソフトなのでおすすめです。ちなみに、編集作業が難しくて作業が進まない場合や急いで編集を終わらせたいときは、動画制作会社に依頼することも検討してみましょう。依頼内容が編集のみであれば、費用も抑えることができるため、予算と相談して検討してみてください。
(6)エフェクト・テロップ・音響をつける
最後にエフェクトやテロップ、音響をつけます。いずれも動画の完成度を高める上で重要な要素です。特に音響は動画の印象に大きく影響を与えるので、違和感のないようにテーマとリンクした効果をつけましょう。
5.ブランデッドムービーの活用事例5選
最後にブランデッドムービーの活用事例についてご紹介します。
今回は以下の5社をピックアップしました。
- 早稲田アカデミー
- 積水ハウス
- ティファニー✕ゼクシィ
- LIXIL
- トヨタ自動車
どれも魅力的なムービーになっているので、具体的なイメージができていない方は、企画・構築の参考にしてみてください。
(1)早稲田アカデミー
早稲田アカデミーのブランデッドムービーは、小学3年生とその母親に焦点を当てた動画です。親子の日常を描いたストーリーで展開されていき、初見では何の動画なのか分からないようになっています。最終的には、宇宙飛行士になると夢見た子どもが母親に「塾に行く」と告げ、早稲田アカデミーへと連想させる流れです。第53回ギャラクシー賞優秀賞受賞(CM部門)や第69回広告電通賞最優秀賞受賞(テレビ広告/教育・文化・娯楽部門)などブランデッドムービーとして高い評価を集めています。
公式YouTubeより
(2)積水ハウス
積水ハウスは、長期にわたってシリーズとしてブランデッドムービーを制作しています。動画の内容は家と関係のない話が中心になっていますが、最終的には登場人物が積水ハウスで建てたと連想できる家に帰るという流れです。何気ない日常の1つに積水ハウスが関わっていることを伝えており、親近感を抱かせる内容になっています。ブランデッドムービーをシリーズ化したい方は参考にしてみましょう。
公式YouTubeより
(3)ティファニー✕ゼクシィ
ティファニーとゼクシィがコラボしたときに放送されたブランデッドムービーが話題を集めました。約6分間と流れの尺になっており、短編ドラマのような構成になっています。料理人の彼氏とOLの彼女を中心に物語が進み、すれ違いがありながらもプロポーズをするまでの話です。男女の恋愛をリアルに描写した内容が多くの人から共感を集め、ブランデッドムービーとして成功しました。SNSなどで拡散を狙ってブランデッドムービーを制作したい方は、リアリティのある内容を考えてみましょう。
公式YouTubeより
(4)LIXIL
LIXILのブランデッドムービーは、脚本が特徴的で、視聴者に幸せとは何なのかを問うシーンから始まります。最初に視聴者にテーマを提示することで、視聴者が考えながら映像を追うことができるようになっており、メッセージを印象強くさせることができるブランデッドムービーです。途中でさらに視聴者に問いかけるシーンも盛り込まれており、気をしっかり引ける構成になっている点も参考になります。メッセージ性の強い動画を作りたい方は、視聴者に語りかける構成を検討してみましょう。
公式YouTubeより
(5)トヨタ自動車
トヨタ自動車のブランデッドムービーは、ドキュメント番組のような構成が特徴的です。登場人物である父親と娘の視点でカメラが回っており、前半は父親から娘を見る視点、後半は同じシーンを娘から父親を見た視点で展開されていきます。娘の成長とともに車が買い替えられているシーンも見ることができ、家族の日常と車の移り変わりが見られる動画です。ユニークな構成と心を動かされる音楽が絶妙にマッチしていて、感動的な動画になっています。
公式YouTubeより
最後に
ブランデッドムービーは、消費者の信用獲得やブランドの確立などさまざまなメリットがあります。動画を作るときは、目的やターゲットを明確にし、メッセージ性のある脚本を考えることがポイントです。今回紹介した活用事例を参考に、効果的にブランデッドムービーを活用してブランディングを狙いましょう。